「して、あの呪われた馬車は、なんじゃ?」
ダストは、応接間に通され、一人、事情聴取される事になった。
他の3人は、風呂に入りベッドコースのようで、羨ましい。
徹夜明けなので、眠かったのだが、気付け薬を嗅がされ、かなりハイテンションになっている。
魔法か麻薬的な、なにかなのか、栄養ドリンクよりも、遥かに効くとかヤバ過ぎ。
「あの原始的な馬車は、乗っていると、痛いだろ?サスもタイヤも無いからな。だから、俺がタイヤを作った。見た目が悪いのは勘弁な、釘しか無かったから。」
「サスに、タイヤとは、何じゃ?普通は、痛くなくなるように、魔法か肉体を鍛えるのだが。」
相容れない価値観。どうも異世界の住人は、道具に頼る事をダサいと思っているフシがある。
「これだから、脳筋が。サスペンションは、バネとダンパーで構成されていて、」
おっと、リリイが、ぼんやりとした顔をする。理解力を超えたか。
「例えば、今座ってる柔らかいソファーを馬車の中に持ち込んだら、どうなる?」
「確かに少し快適じゃな。高級馬車にそういうのは、すでにある。」
「そのソファーをタイヤに巻き付けたら?」
「な、何という贅沢な発想なのじゃ。」
「それが、タイヤだ。ただし、もっと頑丈で弾力性のある素材が必要だが。ブヨブヨした死骸を今回は仕方無く使ったが、ゴムといって、金属のように、溶けて、固まる素材がいい。」
「そんな理由で呪われておったのか。ゴム?ゴムゴムゴーレムのゴム素材でいいのかのう?」
「たぶん、それでいいかと。ゴム素材で空気を閉じ込めるとさらに良い。この掴めない大気だが、密封する事により、恐ろしい弾力性を発揮する。」
「何を、馬鹿な事を言ってるのじゃ。え?・・・本当なのか?え?」
「俺を信じろ。揺れない馬車は出来る。」
困惑するリリイに、ダストは微笑む。
この男は、奇蹟を起こす男
ゆえに、今までの常識は書き変わる。
「す、凄いのじゃ、ダスト。まさしく、文明レベルを超えた革命。」
この後、科学技術を詰めたロマン馬車が完成するのだが、権力者に秘匿されたため、一般に広まる事はなかった。
次は、ダストのターンだ。
「体を鍛えるのは分かるが、魔法でなんとかなるものなのか?」
「ふむ。ダストは、凄いが、常識が欠落しておるのじゃ。一言で魔法といっても、様々なやり方があるの。ダメージ床から僅かに浮き回避する魔法、肉体強化してダメージを受けない魔法、回復力を高めダメージを回復し続ける魔法。」
「浮くとは?」
その質問に、ニヤリと笑うリリイ。
「妾の魔法力を見るが良い。《フロート》。」
僅かな浮遊感と、部屋が沈んだような錯覚。何かが起きたような気がするが、分からない。
「この魔法が何か?」
「すでに魔法は行使されだしたのじゃ。さてさて、今度はダストが驚く番じゃ。美味いのう。」
優雅に紅茶を飲むリリイは、楽しそうに、答え合わせを待っている。
ダストは、再確認する。ソファーには座ってるし、足元にはふかふかの絨毯があり、自分の体重も、しっかりと感じる。
実は、フロートという魔法は、見た事がある。セルゲイの婆さんが、猫娘クロを、ふわりと浮かべていた。たぶん浮く魔法なのだと思っていたが、リリイも浮いていない。
一瞬の浮遊感と、部屋が沈み込む感覚。
これの意味するところは何なのか?
答えを求めて部屋を見渡す。
ダストは、ようやく理解した。
「な、何だと!?」
主人公は誰がいい?
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豚野郎 ダスト
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美少女 ダストちゃん
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男の娘 ダスト君
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美男 Dust
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でぶ女 D