仄かに発光しだした右手が空中を叩くと、そこには体長1メートルを超える大魚がいた。
空に、魚。
ピンクは中二病にかかったのではなく、獣人の鋭すぎる感覚で、透明化して空中を泳いでいた魚の気配に微かに気付き、追っかけていたのだ。
ダストが真似をして伸ばした手が、偶然にもそれを捉える。中二病ごっこだと思い真剣では無かったからこそ嘲笑う魚の油断を突けたのかもしれない。
透明化を暴かれ、忽然と空中に姿を現した
銀の体躯に、
美しい。
その幻想的な光景に心を打たれる。
大気を泳いでる姿は、まるで違和感が無くて、まるで自分達が湖の底に沈んだような錯覚すら受ける。
ダストは、空を見つめ、手を伸ばす。
「お前は何者だ?
いつからそこにいた?
再び神秘の空に消え去るつもりなのか?
だが、それは俺が許さない
既に異能で捉えた
神秘のベール脱ぐ時が来たのだ
お前は誰だ?
真の姿を、見せやがれぇぇぇ」
魂の叫びに呼応して、空にかざした右手と、魚に付けられた手形が、連動して強く光り始める!
俺だけの異能の右手が、透明化で姿を隠し空を泳いでいた魚の真の姿を暴く。
異能発動ーーーー
『
進化前:
↓
成功
↓
種族:???(美少女)
外観:美少女のフィギュア
装備:羽衣の服
特記:進化可能(1/12)
異世界に美少女の欠片が生まれた。
小さな美少女の
「流石ですにゃ、御主人様。」
「ひぃっ!本当になんかいたのじゃ。意味が分からんのじゃーー。」
「「ヒィィン!」」
「えっ!何があったすっか?ポリポリ。」
反応はそれぞれだがダストの心臓もバクついている。
嘘から出た真といえばいいのだろうか、ピノキオの伸び過ぎた鼻が、魚を突き刺したような気分だった。
こうなったら、この嘘つきの鼻を伸ばしてしまえ。
「ようやく捕まえたぞ。」
「最高ですにゃ。オーナー、いえ師匠は、すでに五感を超えた高みに到達しておられたのですにゃ。」
「ダストよ、妾は疑っておった。疑ってすまなかったのじゃ。自分が恥ずかしい。」
嘘つきダストの鼻がニョキニョキ伸びて純粋な美少女達の心に突き刺さり、尊敬の視線を獲得した。綺麗な何かを代償に捧げ大人へとなる。
しかしながらまだ童貞を捧げていないので変身形態を残しているともいえる。この男、可能性の塊。
「まるで昨日の夕食の魚のようでしたにゃ。あれは美味しかったですにゃあ。」
「妾には、想像すら出来なかったのじゃ。昨夜の魚が空を泳いでおるなど、一体誰か思おうか。やはりダストは凄いのう。」
偶然、
「なぜ美少女にならずにフィギュアになったんだ。これは、一体?」
「不完全体かもですにゃ?ピンクも猫娘[N]の記憶は、ぼんやりですからにゃ。」
なる程その可能性が高いだろう。
さらに少しでも手掛かりを得るため、動かない美少女フィギュアの詳細を確認する。
もしや、ここに隠されているのか?スカートの中を覗いてみたら薄緑のパンツを履いていた。うむ。
「あと何匹か捕まえる必要があるという事か。大きな一歩を前進した。今日はこれで引き上げよう。」
「「おーっ!」」
《乙女達の楽園》は、ホワイトなクランを目指しているので残業は無い。
「今日はメルカーナの卵を出してくれるらしいぞ。」
「魚が良いですにゃー。」
興奮冷めやらぬまま、実にほのぼのと、ダストは美少女達を引き連れて、平和で貧乏な村メルカーナへと帰路に着いていた。
ダスト達はまだ知らない。
その少し前、平和な村メルカーナへ、人間の限界を超えて土煙を上げて走って駆けつける男が現れた。
疲労困憊、満身創痍といったいつもと違う様子で倒れ込む男に村人達は慌てる。
「どうした!?スタンビートか?」
「水を‥」
「大丈夫か、ほら水だ。」
一昼夜走り通して隈のある目で、ごくごくと水を飲む男。
ルビの振り方が、サイトで違う事に気付きました。
・・・修正中。
読みにくかったハズなのに、お気に入りつけてくれてた方には感謝を
主人公は誰がいい?
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豚野郎 ダスト
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美少女 ダストちゃん
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男の娘 ダスト君
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美男 Dust
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でぶ女 D