この世の全てを美少女に!   作:縛炎

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84 エルフ10

 

「木の上から、空を泳ぐ魚を釣り上げたい。追い風に乗せて、仕掛けをふわふわと池の中央に運ぼう。ピンクはあの木に登って、皆が登れるように手掛かりになる木登り用のロープを作ってくれ。」

 

「了解ですにゃ。」

 

「なる程なのじゃ!」

 

 ダストちゃんは、池の周りに生えたノーマルなポムの木に登り、10メートルくらい上から、釣り糸を垂らす作戦に出た。

 

 ノーマルなポムの木は、池の中の女王樹のような禍々しさは無いが、高くて安定している。埋め尽くすような紅い木の中に数本混ざっている同じような白い幹の、このポムの木は、葉が無く枝が太くて、釣りの足場には最適だろう。

 

 ピンクが、しゅるしゅると樹の上に登っていき、俺の髪の毛から作った釣り糸で、木の蔦を巻き上げて、上で固定し、木登りしやすくするための木登り用のロープを作った。

 

 ピンクが作った木の蔦でできた木登り用ロープを補助として使いながら、幹を蹴るようにどうにか登り、荒い息を吐きながら、太い枝へと腰掛ける。

 

 

 思わず声が出た。

 

「なんて…綺麗なんだ。」

 

 見渡すかぎりの紅、鮮烈な紅の狂うような美しさを讃えた赤の森が眼下に広がる。

 

 上空から見える景色に息を飲む。

 

 

 これで釣りの準備が完了した。

 

 これより、ピンク、コイシ、リリイ、ダストちゃんの4人で、クリアフィッシュとの、空中バトルへと挑む。

 

 

「コイシちゃん頼んだ。」

 

「うん、任せてよ。」

 

 釣り師は、パワーガールのコイシちゃん。リールが無く巻き上げが出来ないので、カツオの一本釣りの如く、強く合わせた勢いだけで釣る。

 釣り上げた先で、異能の右手でキャッチし擬人化すれば一丁上がりという流れだ。

 

 リリイが餌のポムの実の中身を針に挿して、ふわふわと風に乗せて仕掛けを空中へと放つ。

 

「さて、妾のつけた美味しい餌に、食らいつくのじゃ。」

 

 

 すぐに、アタリが来た!

 

 コイシちゃんの手に持つ木で作った竿がしなると、空中にギラリと光る魚鱗と点滅する発光体が見えて興奮する。

 

 ダメージを与えると、透明化が一時的に解けて見えるようになるようだ。

 

「来たよ。むむー、絶対に釣り上げるんだから、いくよダストちゃん!」

 

 コイシちゃんが、ぐぐっとチカラを込めて竿を跳ね上げると、釣り上げられたクリアフィッシュが跳ねるようにぐんぐんと迫ってくる。

 

「来いよ、透明空魚(クリアフィッシュ)。俺がお前を女にしてやらぁぁぁあ!」

 

 ダストちゃんの燃える魂に呼応して、光り纏う異能の右手っ。

 この右手の輝きは、フィギュアを全て集めて不完全な魂をコンプリートし、美少女を顕現させるまで、消えない。

 

 光りを纏った右手を伸ばす。

 

 美少女ダストちゃんと、透明空魚(クリアフィッシュ)は激突する。

 

 その衝撃の出会いは、この異世界に美少女を生むっ。

 

 パアン!

 

 

 異能発動ーーーー

 

 『絶対美少女化(ハーレム)!!』

 

 

外観:美少女のフィギュア

特記:進化可能(1/12)→(2/12)

 

 美少女の欠片を、掴み取った!

 

 手の中に顕現した小さな美少女の|偶然(フィギュア)は、ずんっと存在感を増して重くなり、ポケットに入れていたフィギュアが吸い込まれるように消失していく。

 

「しゃおらっ!」

 

「師匠、さすがですにゃ。」

 

 

「この調子で、どんどん釣り上げるのじゃ。ほら、食いつけ。」

 

 リリイが、いそいそと餌をつけて、再トライすると、すぐに餌が消えた。

 

 まさに入れ食い状態。

 エンペラータイム

 

 これは随分と楽しいらしく、コイシちゃんが珍しく燃えている。

 

「行くよダストちゃん。私が、ガンガン釣るんだからぁ。」

 

 透明空魚(クリアフィッシュ)は、びっくりしたように跳ねてコイシちゃんの剛力により引き込まれる。

 

 神秘のベールを纏い悠然と空から下界を見下ろしていた空の主は、強引に丸裸にされて神秘の国からひきづり墜とされていく。

 

 

「ナイスだ、コイシちゃん。

 俺が丸裸にしてやる。

 エルフぅぅう

 

 恥ずかしがらずに出てこいや。」

 

 

 ドパアン!

 

 

 砕けるような閃光

 

 異能発動ーーーー

 

 『絶対美少女化(ハーレム)!!』

 

 

特記:進化可能(2/12)→(3/12)

 

 さらに、手の中の存在が重くなる。幻想の存在が現実へと近付いてきた。

 

 

「よっしゃあ!」

 

「はにゃー。師匠は格好いいですにゃ。」

 

 

「妾の餌はそんなにも美味いのか。どんどん食べるが良いのじゃ。」

 

 ご機嫌なリリイが仕掛けを放ち、ふわふわと、風に流されて運ばれていく餌。

 

 消えた!やはり、入れ食い。

 空に、銀色の魚が現れるのは、信じられないぐらいに幻想的な光景で何だか夢でも見ているかのよう。

 

 絶好調のコイシちゃんだったが、ぐっと竿を合わせたが、バツンッと音がして軽くなった竿が空をきる。

 針の外れたクリアフィッシュが、悠然と天空の中へと姿を消して逃げていった。

 

「あーあ、逃げられたよ。」

 

「コイシちゃん気を落とさないで。むしろ、あの古代人の仕掛けで釣り上げたのに、驚いてるくらいだから。コイシちゃんは天才釣り師だ。」

 

 奇蹟の美少女ダストちゃんから作成した髪の毛は、伝説級のアイテムなので簡単には切れたりしない強度がある。

 しかしながら、生きてるような美しさを持つ髪の毛の強度には問題が無いのだが、木で作った簡単な針には問題点がありまくり。

 そりゃ、逃げられて当然だろう。

 

 

「ダストの優しさが嬉しいよ。」

 

「いや、そんな事は、あるのか?」

 

 はにかむコイシちゃんの言葉が、意外すぎて戸惑うダストちゃん。

 プロニートだった頃は、掲示板で、他人の些細なミスを、マジレスで指摘して小さな喜びを得るどうしようもないゴミ野郎だったからだ。

 しかしながら変われたのか、もしや変わりつつあるのだろうか。

 

 朱に交われば赤くなるという諺は、悪い人の影響を受けるという意味だが、逆も有り得るのかもしれない。

 

 コイシちゃんの影響を受けて、良い方向へと変わりつつあるのだろうか。

 

 

「見てて、次は、私頑張るよ。」

 

「コイシちゃんが、頑張ってるのを俺はずっと隣りで見てきた。だから、きっと出来るさ。」

 

 エールを贈ると、コイシちゃんが、ふんすっとやる気を出した。

 

 

「妾も頑張っておるのじゃが?」

 

「あぁ、リリイも偉いね。よしよし。」

 

 子供かよ。いや見た目は子供なんだけども、そして雑に頭を撫でたら不満げだ。

 

「女に触られても嬉しくないのじゃ。」

 

「そうか?なら見せてやろう。」

 

 まさか、豚野郎を御所望されるとは驚きここに極まれり。

 趣味悪いぞリリイ。

 

 良いだろう、今日は惜しげもなく奇蹟を使うと決めているのでご希望どおり男になってやるよ、と顔に手を触れると光りがダストちゃんを包む。

 

 それを見てリリイは嬉しそうだが、喜ぶのはまだ早いぜ。なぜならば、もう一つ変身を残しているからだ。

 

 

 ピッカァ!

 

「ダスト君、参上!これで満足かな?リリイ。」

 

 鈴のような女らしい声から、中性的なハスキーボイスへと変わる。

 男の娘に変身っ。見た目は全く変わらないが、いちおう男には戻った。

 

 

「え…お前様、失敗したのか?女のままじゃぞ。」

 

「リリイ、僕は男だ。」

 

 しかし満足しないどころか、やや悲壮感を漂わせたリリイの間違いを、ふるふると首を振りハスキーボイスで指摘する。

 

「え、それは無理があるじゃろ。顔は変わっておらんし、変わったのは、胸が小さくなったくらいなのじゃ。」

 

「僕は、ついてる男だ。」

 

 疑問顔に変わったリリイに、秘められた事実を告げると、しばし悩みだした。

 

「ついてる?幸運?いや、もっと具体的な意味なのじゃろうか、、、!!」

 

 リリイは、ようやく結論に至ったのか、真っ赤な顔をしてダスト君を、ばしばしと叩いてくる。

 スカートの中に秘められた事実。つまりは、下ネタをぶっこんだ。可愛い見た目なのに、サイテーである。 

 

「リリイ、速く餌をつけるですにゃ。」

 

「おぉ、忘れておったのじゃ。」

 

 イチャイチャしていたら、2人の仲に嫉妬した猫娘に急かされて慌てて餌をつけだすリリイ。

 コイシちゃんは、1週間くらいなら待ってくれるぐらいに気が長いのでニコニコして待っている。

 

 

 ふよふよふよ。

 

 ばくんっ

 

 空中を漂うように風に流した餌が突如消えたならば、それは魚が食らいついた合図、ビシぃ!と合わせる。

 釣り上げて迫ってくる魚を、打ち返すように右手でぶっ叩く。

 

 パアン!

 

「僕に、隠された姿を見せろ!」

特記:進化可能(3/12)→(4/12)

 

 

 パパパ、パアン!

 

「女になれぇぇえ!」

特記:進化可能(4/12)→(8/12)

 

 

 手にしたフィギュアが、どんどんと精巧になっていく。

 綺麗な顔、薄い胸、そして尖った耳。

 そして、まるで本物の皮膚のようなリアルな質感。

 

 

「僕の右手が光り輝く。

 

 偶像(アイドル)

 この世に産み落とすまで

 右手は光り続ける

 

 神秘のベールを脱がせてやる!」

 

 ピカッピカッビカッ!

 

特記:進化可能(8/12)→(11/12)

 

 

 手の中のフィギュアの存在感は、さらにどんどんと増していき、さながら活きた人形のようだ。

 人形から、体温と鼓動を感じる。

 

 フィギュアのサイズは20センチといまだ小さいままだけど、次は何か劇的な変化が起きるような予感がする。

 

 完成しつつある。

 

 ダスト君は鑑定を持たないので正確な数値を知る事は出来ないが、女のカンがそう告げた。

 

「おそらく、あと一回だろう。」

 

「お前様、何で分かるのじゃ?」

 

「女のカンだね。」

 

 そう答えるとリリイは嫌そうな顔をしたが両刀使いだから、安心してね。

 

 

 ふよふよと、浮かぶ餌。

 最後の戦いが静かに始まった。

 

 

 ガガガガッ!

 

 今までと比較にならない強烈なアタリが来て、コイシちゃんが、ぐっと耐える。

 あまりの大魚の引きに、ギシィギシィと足元の枝が揺れる。

 

「うわっとと。」

 

「ふふ。ダスト大きいよ。これは、最後に相応しい相手だよ。絶対に釣り上げるんだからぁ。」

 

 大魚との力勝負が始まった。

 

 大空の主の魚影が見える。で、でかい。体長2メートルはあろうかという大物だ。

 キラキラと銀色の燐光と、流れる発光体が美しい。

 

 細腕のコイシちゃんがぐっと真剣な表情をして、ぐっぐぐ、ぐぅーーんと竿を上げきった!

 

 

「・・やったか。」

 

 誰かが、つぶやいた。

 その言葉は負けフラグ。つまりは、勝ちきれなかった。竿は上がったが、魚は遠い。

 

 ここに来て、糸を巻き取るリールが付いていない弱点が出たのだ。竿と糸だが、糸の方が圧倒的に長い。

 今までは、魚との力勝負に圧勝していたため、竿を上げる勢いで魚をドビュンと引き寄せて捕獲出来ていた。

 しかし、この大魚との勝負はギリギリの勝ちなので勢いはつかない。

 

 つまり竿は完全に上がっているが、魚は全然、捕獲出来る位置にはこないのだ。

 

 持久戦で弱らせて、心を折れば捕獲は出来るかもしれない。しかし、完全に折ってしまうと、擬人化が出来ないジレンマがある。

 

 ・・まさに、打つ手なし。

 

「ダスト、どうしよう?」

 

 

主人公は誰がいい?

  • 豚野郎 ダスト
  • 美少女 ダストちゃん
  • 男の娘 ダスト君
  • 美男  Dust
  • でぶ女 D
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