フェアリーは、ダスト君の周りを余裕たっぷりに飛び回る。
苦労して擬人化したクリアフィッシュが、エルフではなかった事に、失望が隠せないダスト君はその余裕にイラッとして噛み付く。
「はぁ…エルフは何処にいるんだよ。ところで、何で裸なの、変態?」
「はぁ?何を言ってるの」
馬鹿にしたようにフェアリーは笑うが、ダスト君がノーリアクションな事に疑問を持ち自分の服装をチェックすると、激しく焦りだす。
「え?え?なんで?裸だし。羽衣の服がない。」
「いや、僕が聞いてるんだけど。恥ずかしくないのかな。」
「でもでも同性に見られても何の問題も無いし。それより、同じ同性のよしみとして、服を貸してくれない。ね?」
「僕は男だけど?」
フェアリーは動揺しながら精神の安定を取り戻すため魔法を使う。
「ど、どう見ても女の子だし、嘘言っても分かるのだし。嘘発見(サーチライ)!」
爽やかに微笑むダスト君。
魔法は彼の言葉が真実である事を告げた!全裸を男に見られたフェアリーは、ふるふると震えだし、大音量の叫びを上げた。
「男だし いっ、やぁああ!」
美少女とは奇蹟の存在、ゆえに秘められた奇蹟を開放する。
身体から七色の光の球があちこちに放出されて飛んでいく。彼女の起こした奇蹟はソウルマーカー。しばしの間、魂の強さを光りで教えてくれる。
異能の力により、範囲内の魂を内包する美少女になれる可能性を秘めた存在達は、見えないはずの魂が光りだし、その存在を主張しだす。
日が沈みかけた赤の森。
分厚い雲で夕陽は隠され、やや薄暗い、そんな世界の中で、池の上を飛んでいる透明な魚群の魂が光り出す。
まるでホタルのような。
水面に浮かぶ光りが幻想的だ。
森全体が、ぼんやりと光る。
まだ美少女化すべき相手が残っているとソウルマーカーが教えてくれていた。
耳を押さえていたダスト君がハンカチを取り出して、泣きそうなフェアリーに渡す。
「ほら、これをあげるよ。お嬢さん。」
「え、いいの?」
「遠慮しないで。」
貰ったハンカチをくるりと、身体に巻きつけるとお風呂あがりのようなスタイルに。背中には羽が生えているので、後ろ姿はセクシーで実に色っぽい。
「雄のくせに、裸の女に発情しないなんて何なのだし。」
「僕は、紳士だからね。」
屈託なく、少女のような男の娘は爽やかに笑う。発情しなかったのは、体格差が違い過ぎる事、それに僕は女もイケるけど男性の方が好きだから。
うっ…精神汚染が辛い。
汚染された精神を浄化するべく、微かに光る景色を見つめる。
「綺麗だな。ここは、いつもこんな幻想の光りに満ちてるの?」
「これは、異能ソウルマーカーの力。って、変な異能を獲得してるし。使うと魂が光るみたい、あの池の上をふわふわと浮いてるのが、擬人化前の私。」
どうも池の上を飛んでいる光りはクリアフィッシュのようだ。
「そうか、蛍みたい。」
「ほたる?」
「ふふ秘密。さて、今日は暗くなってきたし日の落ちないうちに帰ろうか。来るかい?お嬢さん。」
「付いていってあげてもいいし。」
木から降りるべく幹の方へ振り返ると、ぼんやりと光る木の中で、木の虚と言えば分かるだろうか、樹皮が剥がれてむき出しになった部分が強めに発光していた。
「あれ?何か光って無いか。樹液に集まる虫だろうか?」
「分からない、でも魂が近くにあるみたいだし。」
近寄って観察してみたが、ノーマルポムの樹からは樹液は出ないらしく虫は見えない。樹皮を剥かれた木肌が、光ってるように見える?
そっと、手を伸ばして木肌に触る。
「うわっ、右手が光りだした。」
この兆候は…
樹皮がバラバラと剥がれ落ちて、すべすべとした木肌が露わになる。樹全体がギラギラと光り出す。
ガッチリと右手で掴む。
異能発動ーーーー
『|絶対美少女化(ハーレム)!!』
進化前:ポムの樹
↓
成功
↓
名前:ポー
種族:樹人『木偶人形』美少女
装備:森人の服[N]
特記:木のような肌
残り:奇蹟1回
異世界に美少女が生まれた。
ヘンテコな樹から、生まれたのは、ぼんやりした美少女。木偶人形のような木肌の女の子は、のほほんと自己紹介する。
「ポーだよ。」
「は?」
そして美少女化したという事実は、足場にしていたポムの樹の消失を意味する。
つまり、ダスト君とリリイは、上空10メートルから投げ出された。
墜落した先にあるのは、固い地面。
「うわぁぁ!」
「落ちるのじゃーー。フロート!」
ふわりふわりと、落下速度が緩やかになったリリイは激突を、一人だけ免れる。
ダスト君の心に、ふつふつと怒りが湧いてきた。
落下しながら怒っていた。
これは始まりの日に似ているが、許せないと。
このまま墜落すると死ぬ確率すらある。
そんな何も出来ない状況だが、ダスト君はチャンスを掴む男。その右手は、始まりの日と同じように、しっかりと掴んでいた。
ポーのおっぱいを!
Cカップか?
しかしながら、やはり許せない。
これは、おっぱいに対する冒涜だ。
「何で固いんだよ。カチカチじゃないか、これは、おっぱいに非ず。」
墜落とか、リリイの裏切りとか、死ぬかもしれないとか、そんなのはどうでも宜しいと。この女は、もっと刹那的に生きている。怒りをぶつけろ!
「おっぱいとは、柔らかいものなんだ!夢が詰まってるものなんだ。それを、こんな木型のようなカチカチでぇカチカチで良いのかよぉ。柔らかくなりやがれぇぇえ!」
セクハラにより、奇蹟のトリガーを引き美少女の力を解放する。
木偶人形ポーの奇蹟が発動。
ぽよよおん。
と、墜落したダストが弾むように空に飛び上がる。
柔らかくなったのは、地面。
危機を脱した。
主人公は誰がいい?
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豚野郎 ダスト
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美少女 ダストちゃん
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男の娘 ダスト君
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美男 Dust
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でぶ女 D