「いやっふぅぅ!」
ダスト君の奇蹟により、ぽよんと跳ねるように変化した地面でトランポリンのように、跳ねながらはしゃぐ。
樹人ポーの胸は柔らかくならなかったが、その代わりに赤の森の地面はポムの実のように弾むようになり、楽しいアトラクションのある森となった。
しかしながら、少し遊び過ぎてしまった事により、夜の帳が落ちて森は月明かりのみとなる。
月明かりは十分に明るいのだが、森の中は葉に覆われているため視界が悪くなっており、このまま歩くのは不安だ。
「リアフィ、暗くて堪らないや、ソウルマーカーを使ってくれ。」
「仕方無いのだし。」
森の魂が光り出した。
空に魚群のようにクリアフィッシュの魂が輝きだす。
「よし、みんな今日は帰ろうか。」
「了解っす。」
ハクレンに背負われながら、メルカーナの村に向けて帰路につく。
森を埋め尽くす紅いメルルの木がぼんやりと光り出して道を明るくしてくれたので帰りはスムーズに歩けた。
念のため、ぼんやりと光るメルルの幹に右手で触れたが、やはり何も起こらなかった。
幻想的な世界と、しばしの別れを告げる。
この森は幻想的だが、何も無い。
不思議な鳴き声も無くなり静謐に包まれた神秘の森を抜ける。
森守達と別れ、村に到着すると何だか慌ただしかった。人が集まっているのか、ゆらゆらと松明が揺れている。
ダスト君はうろうろしていた村人の一人に尋ねた。
「何か、あったんですか?」
「うぉっ、何だ?旅人のお姉ちゃん。赤の森に出掛けた調査員さん達が帰って来なくてな、これから捜索を出そうかとしてるんだ。」
ん?僕が探されてたのか。迷惑をかけてすまない。
僕がその調査員だと説明するのが面倒なので塀の影に隠れて奇蹟を発動して豚野郎に戻り、素知らぬ顔でリトライ。
「おや?何かあったのか?」
「あ!何かじゃないよ。あんたらが村に戻らないから心配してたんだよ。おおーい、皆、調査員さん達が見つかったよー。」
それを確認した村人達は、ほっとした顔でぞろぞろと家に引き上げていった。
「調査につい夢中になってしまった。なんだか迷惑掛けたようで、ごめん。」
「良いよ、あたしらが勝手に勘違いしただけだから、料理は冷めちまったけど用意してあるから食べな。」
「ありがとう。」
村長の奥さんに手を振って別れた。
今日はメルカーナの卵がメインのようで、あまりパッとしなかったので、森守達が朝に拾ったクリアフィッシュを追加で焼いて、夕食を一品増やして1日は終わる。
欲を言うなら、あのほっぺたが落ちるような紅葉蟹をもう一度食べたい。
「はぁ…空振りだったな。エルフでは無くてフェアリーだとか。」
「勝手に女にしておきながら、何言ってるのだし。」
燐光を纏い、ダストの周りを飛び回る綺麗な妖精を、虫のように追い払う。
さらに怒ってきたので、ポムの実で機嫌をとると、ぱくぱくと夢中で食べだした。
ポムの実はそれなりに採ったので、帰り際、森守の犬娘ペスに3個渡すと尻尾を振りながら尊敬の目で見つめてきた事を思い出す。
あまり良さは分からなかったが、ポムの実には一部の人達の心を捉えて離さない魅力があるようだ。
「しかし、何処にいるんだろうな。」
「えるふ。ですにゃ?」
「そうだ。あと、試して無いのは紅葉蟹くらいだろうか。リアフィ、ポー、他にあの森に生き物はいるか?」
「死喰鳥とチクチクくらいで、後は知らないのだし。」
「ポーも知らない。」
「そうか、変わった森だな。でも。何となく、その2つは違う気がする。」
「何でですにゃ?」
「ロマンだ!美しくない者がエルフになるなど、有り得ない。エルフとは息を飲むような美しい種族。進化前もさぞ美しいに違いない。という訳で、明日は紅葉蟹を狙うぞ。」
「おぉ、妾も賛成じゃ。あの美味い蟹じゃろう。」
リリイだけテンションが高い。というのも、あの絶品の蟹を食べれるのは、メンバーで俺とリリイだけなのだ。
明日への想いを馳せつつ、コイシちゃんとともに眠りにつく。
「コイシちゃん。エルフ見つかるかな?」
「ダストなら出来るよ。」
半ば無理やり言わせたような気もするが、期待どおり返ってきたコイシちゃんの無根拠な全肯定に力が溢れる。
そろそろエルフに会えるような気がする。すやすやと、良い夢を見た。
主人公は誰がいい?
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豚野郎 ダスト
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美少女 ダストちゃん
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男の娘 ダスト君
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美男 Dust
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でぶ女 D