森守の青年が投げた、ぽむぽむと弾むポムの実をたたたっと走る犬娘が空中でキャッチを決めた。
「わうう。」
朝一から、そんな嬉しそうな2人の森守カップルの遊びを見せつけられた豚野郎ダストだが、ハーレム王は余裕を持ってニヒルに笑う。
「朝からお盛んだな。良い事だ。」
「こ、これはダスト様。お恥ずかしい所をお見せしました。」
「わう。」
一歩引いて格好つけている豚野郎だが、背の高い美少女ハクレンに背負われているので、こちらもいい勝負の変態だったりする。
すまないが、こんなのでも主人公である。気持ち悪い表現をすると脱落者がバンバンと出るのだが、よく耐えてくれた強き者よ。
豚野郎は、ハクレンに背負われているのにナポレオンのように手を高く上げて決め顔で唐突に宣言しだした。
「青年よ、つまらない事は気にするな。それよりも、今日はエルフに会うぞ。」
「えるふですか?」
「そうだ。それは耳長の森の美少女。」
「はあ、分かりました?」
返ってきた平凡なリアクションに失望が隠せないダスト。やはり実物をこの目で見るまでは、いまいち感動を共感出来ないようだ。
エルフだぞ、あのエルフ。
はー、これだから異世界人は。
しかし、それも時間の問題であるだろう。なぜならば、
今日こそは、エルフに会う!
エルフを一目見ればその良さに気付く事、間違いなし。ロードス○のオープニングのエルフだけは神がかってる。今見ても綺麗だとかクオリティがおかしい。
寝て起きたら夢のお告げとでもいうのかエルフの居場所の予想が閃いたのだ。
確認作業はこれからとなるが間違いないだろう。あれがエルフだ。
簡単すぎた謎をここまで引っ張って恥ずかしいっ。名探偵ならば、この森に入った瞬間に気付くだろう。
いや!彼らは人が死んでから推理を始めだす死神だから、誰か死ぬまでは分からないフリをし続ける。
『分からないといい切るヤツがいたなら、そいつが名探偵だ!』
まだ誰も死んでいない。
という事は、探偵より優秀なのでは?
と浅はかな考えがチラつくが事件前に解決する探偵ってどうよ?
つまりは、事件が起きるまで怪しい者をスルーする心力を養わないと、名探偵になれないという嫌な事実に気付く。
そして大勢死ぬのが好ましい。助けられる能力があるのに、ぐっと耐えて第2第3の被害者をスルーし続ける。
さらに無理のあるトリックにも気付かないような驚く演技をしながら、犯人当てのその時まで犯人のモチベを育む。よし、もっと殺せと。
全く恐ろしい。世界の真理の欠片を手にしたダストは、名探偵とは友人にならないと心に誓う。
そんな訳で、今日も同じメンバーで、《赤の森》の再調査に入った。
幻想的な赤の森は、棲息している物の種類が極めて少ない資源の少ない森である。
クリアフィッシュのように隠れているのかもしれないがその全貌はまるで見えない。
ここで目に入るのは、真紅の紅葉に似た葉を纏うメルルの木ぐらい。
森を埋め尽くす狂気の美しさを秘めたこいつだけだ。
つまり、この木だ。
適当に一本の紅い木を指さす。
「その木の樹皮を剥いてくれ。」
「え?何のために。」
「そこにエルフが隠れているからだ。」
首を捻りながら、捻くれた目の若者が、木の上下にナタで切れ込みを入れて皮を剥くと艶々とした真っ白な木肌が見えてきた。
捻くれた青年には何も分からないようだが、ダストは気にせず舐めるように綺麗な木肌を眺める。
「美しい。やはりこれだ!」
手を広げ、感動を露わにするダストの奇行には皆ついていけない空気が漂う。
若干ドン引きなメンバーに対してやれやれだなと言わんばかりに、ため息をついた。
2時間ばかり前に分かっただけなのに、このドヤりよう、鼻息荒くぶひぶひとダストは続ける。
「まだ気付かないか、良いだろう。ソウルマーカーを頼む。」
「私は、道具じゃないのだし。」
文句を言いながらもフェアリーが魔法を唱えると、樹皮を剥いた木肌がキラキラと輝いていた。
魂の輝きを抑えるように、樹皮で護られていたのだ。
「光ったのだし。」
「師匠、木が輝き出したのですにゃ!?」
「どういう事じゃ、まさか擬人化すると。」
「さすが、ダストだよ。」
「この村の人参も美味っす。」
「エルフだ!」
「「エルフ?」」
「刮目して見るがいい。この世界に必要な存在の誕生を。ファンタジーに、ひっそりと寄り添う隣人を紹介する。」
手袋を脱ぐと右手が輝いていた。
男の横顔はキラキラと少年心を取り戻して輝き始める。
俺の異能の意味は、ここにあったと。
「エルフよ
森の気高きエルフよ
世界の神秘を集めし者よ。
今こそ、歩きだせ
その狂うような美しさで
異世界を席巻せよ。
エルフぅぅっ。」
くらえ、この情熱の一撃を
ファンタジー愛を込める。
いっけぇぇ!
動けない木に、全力でぶちかます。
主人公は誰がいい?
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豚野郎 ダスト
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美少女 ダストちゃん
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男の娘 ダスト君
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美男 Dust
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でぶ女 D