「「起きて!」」
ぼんやりとした霞のかかった頭に、若い女の声が響く。
何のアニメだ?
しかしながら、そのサウンドは臨場感に溢れていた。
部屋の安いパソコンでは出せない。
まるで、リアルな肉声のような。
女の声というか、リアルな肉声なんて扉越しの母親の声だけしか、ここ何年も聞いていなかった現実を思い出す。
はっ、笑える。死ねよ俺。
ついに幻聴が聴こえるようになったのかと思いながら、目をうっすらと開けると、目の前に美少女がいた。
いや、美少女達だ。
ショートの銀髪の女、美人系のスラリとした女、ロリ、猫耳をつけたレイヤー女子。
全てが、モデル級に可愛く全員がセンターを貼れるような。
燃えるような赤い幻想的な森を背景に、そんな美しい天使達に囲まれている。
風景も女もまるで現実離れした美しさだが、リアルだ。
森の新緑の香りが胸を満たし、目の前のこれは夢では無く現実なんだと教えてくれる。
しかも、なぜかその美少女達が心配そうに、俺を見つめているような気がするのだ。
まさかな?
「う、うーん。」
なんだこれ。
あぁ!もしかして俺は死んだのか?
つまり目の前の少女達は天使だろうとそう考えれば納得がいく。
天国に来てしまったか。。
「ダスト!」「御主人様」「お前様」「師匠」
語りかけてくる美少女達。
自意識過剰だけど、まるで自分に語りかけてきてるように思える。
ダストとは誰の事だろうか。
しかしながら、他には誰もいないようだ。
状況が分からない。
確かなのは、美少女達の泣きそうな安堵したような、そんな視線を一心に浴びているという事だけ。
転生した?いや、重要な事を見失うな。
考えるな 感じろ
自分の気持ちに正直に向き合え
くそ気持ちええ。
よし、今日から俺はダストだ。
湧き上がる感情に身を委ねた結果、もう少しだけ夢の続きを見るべきだというクソみたいな結論に辿り着いた。
騙してはいないし、お互いに勘違いなら誰も傷つかないだろと言い訳をして、秒で保身に走っているのが俺らしい。
気がつけば
ぎゅっと手を握られていた。
すべすべとした細い指先に。
コイシちゃんに、コイシちゃん?
「大丈夫だ、心配はいらない。」
なぜか言葉が自然と出た。酔っ払いの酔ってないくらいにアテにならないが。
ズキリと頭が痛む。
まるで暴れ馬に轢かれたような。
馬?
「うっ・・・。」
「ダスト、痛いの痛いの飛んでいけーだよ。」
突然、銀髪の女に、反対の手で優しく頭を撫で撫でされた。
痛みがしゅわしゅわと消えていく。
全く科学的では無いが痛みが消えていく。
以前にもこんな事があったような気がする。懐かしい。
なにか、なにか思いだしそうだ。
さっき馬に轢かれた。
思い出せ。何があった。
目を閉じて、先程の眼前に迫る衝突風景を少しずつ思い出す。すらりとした何かが凄い勢いで迫ってくる。しなやかな美脚だった。あの美脚は、ハクレン!
ありがとうございます。
くそっ、駄馬ハクレンとニアミスして危うく天国へ逝きかけたのか。
そうだ!そういう事だったのか。
彼女達の献身が、男をお約束の記憶喪失という呪縛から救った。
手を差し伸べてくれた銀髪の女に抱きつく。
「コ、コイシちゃーん。」
うおぉぉっ、完全復活っ!
記憶が戻ってきた。
豚野郎ダストが異世界へ帰ってきた。
まさか本当にダストだったとはな。
とはいえ、もう少しマシな名前は無かったのか過去の俺よ。勇者「あああ」より、マシだが。
やはり天使だったな。
そこは間違いない。
感謝します。神々よ、この現状に。
何をしていたっけ?
そういえば、途中だったな。
「さて、俺にはやるべき事が残っている。今日、最後の仕事をしよう。」
「ダスト!」「御主人様」「お前様」「師匠」
ふらふらと美少女の介抱を振り切って、立ち上がる。ここは天国だ。
しかしながら、俺はやらなければならない事が残っているんだ!
純真な目をした男は、痛む頭を押さえながら始まりのエルフAに近付く。
そして、手を伸ばす。
「な、何?人間?」
「エルフよ、これから行うのは奇跡の開放。この世に定着するために最後のオペを行う。俺に、全てを任せてくれないか。」
優しく微笑む。
「う、うん?」
純真な瞳をした豚野郎は、戸惑うエルフに握手を求めるかのように手を差し伸べる。
しかしながら豚野郎の伸びた手は、握手に応じようとした少女をすり抜け、さらに前に。
「ひっ!」
美少女エルフは、防御体勢を取ろうとするが、ダストは悲しげに言い放つ。
「もう遅い。ここは、既に俺の領域だ。故に逃げる事など出来ぬ。量産型貧乳エルフよ、豊かに豊かになるが良い。我が思いを受け取れいっ!」
狙い違わず小さな蕾を陵辱し登頂する。さらに攻撃の手は緩まない。
「うらうらうらっ!羞恥心を掻き立てろ、それこそが最後の鍵だ。完成せよ、エルフぅぅ。」
「いやぁああ。」
コンプしたエルフAシリーズを交換しますか?
「来たっ!YES、返事はもちろんYESだっ!」
ぶひぶひと鼻を鳴らして宣言っ!エルフよ、この異世界に定着せよ。
乙女の恥辱をトリガーに、真価は発揮する。真価により生まれた吸引力は、まさにブラックホール。量産型少女のエルフAシリーズ達が、引きずられるように、ダストの右手に集まってきた。
木々に捕まって抵抗する娘もいる。だが、無駄だ。妖精の靴が、すっぽ抜けて、右手の前方にあるなにかに吸い込まれる。そして、耐えきれなくなった分身が、折れた枝とともに、引き摺り込まれる。
一つになれ。
エルフAシリーズを全員を吸い込みおわったブラックホールは、眩い閃光に包まれる。
「いゃ?いゃぁあーーっ!」
名前:エルフA
特記:進化可能(1/12)
12人コンプリート
おめでとうございます。
真価発揮ーーーー
『
進化前:エルフA✕12
↓
大成功
↓
名前:セシル
種族:エルフ(美少女)
特徴:長く尖った耳。白磁のような肌。
異能:精霊魔法[R]、美人確定遺伝子[SSR]、長寿[R]
制約:森の誓い
呪い:性欲減退、筋力上限
装備:森の服[R]→森のドレス[SR]
異世界にエルフが生まれた。
ファンタジーの原点。
始まりにして終わりの種族。
美しさを集めた至高の存在、森の守人。
ダストは、掴んだ。その右手に、完璧なる美乳を。ふにゅ。
まさしく至高。
ははっ、最高だぜ、こいつは。
血が集まる。
滾れ。血よ、滾れ。カーニバルだ。わっしょい、わっしょいと、お祭り男の血が騒ぐ。SSRの金看板を手に入れた。
我(ワレ)、夢を掴む者也。
「いやぁぁぁ。」
豊かになれ。
そんな強いダストの願いが顕現し、錬金術の材料になるレッドリーフが生まれた。資源の無い森が、豊かに生まれ変わる。
「許せ。」
スカーフェイスの男は、涙目のエルフに詫びる。もっとスマートなやり方もあったが、欲望に忠実になってしまった。
「ここからは、スマートに行こう。必要な事とはいえレイプまがいなプレイは、ここでお終いだ。」
「師匠、何をするんですにゃ?」
猫娘ピンクの質問に、ニヤリと笑って応える。言葉などいらぬ、行動で示す。
ダストは馬娘を見た。
「ハクレン、サラ、ポニー。フルコンプ確かに受け取った。後は、俺の仕事だ。行くぜ、エルフよ!」
決意を込めて、森に散り散りに逃げたエルフシリーズを覚醒させるため進みだす。
男の後ろ姿は、広い背中。
右手の燐光は揺らめいている。
「全員。俺が、スマートに女にしてやる。」
主人公は誰がいい?
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豚野郎 ダスト
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美少女 ダストちゃん
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男の娘 ダスト君
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美男 Dust
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でぶ女 D