完成されたエルフの美少女達を侍らせる黒髪の乙女ダストちゃんは御満悦だ。
奇跡は成った!
「エルフ祭りじゃい。さすが私。これでこのくそつまらない異世界もファンタジーとして胸を張れるだろう。」
「「「はい。お姉さま」」」
女、女、女。
我が夢ここに成就せり。
エルフの秘境の住人達が、異世界で産声を上げた。
エルフっていいよね。
男なんて汚れた存在はこの森に存在しない。生物的なオスである森守の親子はハクレンにより昏倒させられており、赤の森は現在なんと美少女率が驚異の100%!
「エルフ48の完成だな。はーはっはっ。」
ダストちゃんは調子に乗っていた。
それはもう。
エルフは多分48人ぐらいいる。そして全員が綺麗なので何かゲシュタルト崩壊しそうな絵面であった。
美少女コンテストを開くか?しかし、優勝者は私だから、準優勝を決めるための戦いが始まる事になるだろう。少し困ったな。
そんな己に酔った暴君を諌めたのは、年の功ロリババア、リリイ。
「ところでお前様よ、こんなに無計画に愛人を増やして今夜の宿はどうするつもりじゃ?」
「ん?金ならあるけど。そんなの全員が宿に泊まれば良いだけだろ。」
ニヤケ顔すら洗練された妖艶な美しさに昇華されるダストちゃんに、ため息をつき現実を指摘するリリイ。
「はぁ、よく思い出すのじゃ。メルカーナの村には宿なんて無かったじゃろ。」
「うっ、そういえば。この寂れた村は、金だけでは解決出来なかった。不味いぞ、リリイ。日暮れまで時間が無いっ。どうすれば良い?教えてくれっ。」
このままでは寒空の中、ホームレス48が生まれる!?
ここに来て、順調すぎた幸せ美少女エルフ計画に暗雲が立ち込めた。
ダストちゃんの顔が、さあーっと青ざめる。おバカなだけなのだが、まるで世界を憂いているか如く見えるのが、この女。情けない姿すら、守りたくなるような庇護欲を掻き立てるチートな美貌をしている。
しかしながら男なら秒殺できるが同性には完全に効かないようで、リリイはそれを悪い顔で突き放す。
「妾が認めたのは豚野郎ダストじゃ。残念ながら、このままでは知恵は貸せぬのう。」
「ぐっ。」
いきなり窮地に立たされたダストちゃん。この女は、助けてよコイシちゃんとすがりつく。
コイシちゃんはいつだって優しい。聖母のように答えてくれるはずだ。
自信有りげなコイシちゃんと目が合い、ダストちゃんの青ざめた顔に希望の光りがさした。
「大丈夫だよ。ゆっくり考えよ?1年くらいなら待てるよ。」
ぺかーっとした笑顔で応えてくれたコイシちゃん。
くっ、まるで役に立たない。
表情豊かになったねぇ。だけど違うんだ。ここに来て種族の壁を感じる。
ピンクゥ、助けてよ。ちらりと見るが
「リリイさん、師匠にはきっと素晴らしいお考えが有るはずですにゃ。」
返ってきたのは全幅の信頼。
ねぇから、困ってんだよっ。これがイエスマンの弊害なのか。
残るは、馬娘達。
「ぽりぽり」
人参食ってるな。
興味、興味持とうよ。お願いだから。
オー人事だよ全く。
そんな困り果てたダストちゃんの袖口をクイクイっと引っ張ったのは、エルフのナタリー。
「あの、お姉さま。私達なら野宿でも構いません。一緒に星空を見ながら眠りましょう。」
健気だね。
でも亜人になってしまったので、自然の厳しい環境では生きていけないだろう。そんな事をすれば翌朝には半数が体調を崩すのは目に見えている。
「ありがとう。だけどそれは駄目だ。自然は厳しいんだ。心配しなくていい、何とかするから。」
「そうなのですか?」
見栄を張ってしまったものの、しかしながらアイデアなどない。
どうすればいいんだ。
この時、ダストちゃんは既にリリイ・アーハイムの術中にハマっていた。
冷静になれば、いくつか方法はあるのだがリリイに追い詰められているので考える余裕が無い。
結論に至る前に、助け舟を出したのはリリイ。まぁ考える時間を与えず誘導されているだけなのだが。
「お前様よ。方法は有る。」
「そっそうか、教えてくれ。」
安堵するダストちゃんは罠にハマる。エルフの問題をどう解決するかから、どうリリイの要求を叶えるかに思考をシフトさせられた。
「しかしながら、妾は、種無しには協力できんのう。誠に残念なのじゃ。あぁ、協力したいのじゃ。」
「ぐっ。」
リリイは、豚野郎に戻れと暗に要求してきたが、これは困った。
なぜなら、パパンと2回顔を叩けば豚野郎ダストに戻れるのだが、その場合エルフとの鬼ごっこが再開されてしまう。
悲しい事に、豚野郎ダストはエルフの支持率を獲得出来ていない。
エルフ桃源郷は女だけなのか。
受け入れられないならば、いっその事、エルフ全員を蔦で拘束してから豚野郎に戻るか?
いや、駄目だ。
それは違うだろ、強引なのは良くない。
良くないが何もしなければホームレス48という悲惨な未来は確定してしまう。
困ったぞ。
でも、男になりつつ、エルフに拒絶されないなんて都合の良い方法は無いし。
ん?いや、あるな。
「リリイ、男になれば力を貸してくれるのか?」
「当然じゃ。」
そわそわしてくるリリイが可愛い。豚野郎をご所望とか趣味が悪すぎだぞ。
しかしながら、ここは第3の選択を選ぶ。
パンッ!と起こした奇跡は一回だけ。
ごめんねリリイ
「初めまして、ダスト君だよ。」
「え?お前様、何も変わってないのじゃが。」
困惑するリリイに、ダスト君は爽やかな顔で不都合な真実を告げる。
「リリイ、僕は女に見えるかもしれないけど、ついてる男だ!」
嫌な顔をされた。
あっ、これは信じていないな。
しかし噂に惑わされず、すぐに己の目で確かめるのが、リリイ・アーハイム。
真剣な顔になり真実を確かめる。
なんと彼女は、恐る恐るダスト君に近付き、その股間を触った。
好奇心から禁断の
くにゅっ。
「「ひゃっ!」」
2人の叫び声は一つになった。
柔らかなる男神は、ロリババアに真実を証明した。
ティンティーーン
「お前様よ、ついてくるのじゃ。」
「う、うん。」
顔を赤らめた気まずそうな2人を先頭に、ダスト君一行は、赤の森を後にしたのだった。
主人公は誰がいい?
(3) 豚野郎 ダスト
(3) 美少女 ダストちゃん
(2→4) 男の娘 ダスト君
これが…世界の意思なのか
主人公は誰がいい?
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豚野郎 ダスト
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美少女 ダストちゃん
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男の娘 ダスト君
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美男 Dust
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でぶ女 D