この世の全てを美少女に!   作:縛炎

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98 家

 

 目覚めると、良い匂いがした。

 女性の甘い匂い。

 

 コイシちゃんに、腕枕をされていた。ここまでは日常。

 いつもと違うのは、自分に抱きついている存在がいる。胸は無いが、柔らかな身体。

 エルフだ。

 

 昨夜は、村長宅から村長夫妻を追い出してエルフ達を詰め込んだが、それでも入りきらなくて借りている空家にもエルフを泊めて、野宿を回避したのだったなと思い出す。

 

 エルフの長い耳を触る。

 

「ひゃん。」

 

 ふむ。良い声で鳴きよるわ。

 くすぐったそうに、身を捩るエルフが可愛い。名前は何だっけ?

 沢山増えたから、ちょっと思い出せない。

 

 ちなみに、僕はギンギンである。

 でも性的な衝動より、充足感の方が強い。フルチャージされたみたいな?

 ドクドクと全身に血が巡っているのを感じる。

 

 男の娘モードになると、恋愛対象が男になる。もちろん美少女もイケるが、何というか肉欲より友情が強い。

 変な気分だ。

 ぼんやりと天井を眺めた後、コイシちゃんの寝顔を見ようとしたら目が合った。

 

「おはよ。ダスト君。」

 

「コイシちゃーん。」

 

 やっぱり、女の子もいいな。

 朝から百合百合する。

 僕は男だけど。

 

 

 

「皆、起きるのじゃー。朝御飯の時間なのじゃ。」

 

 いつの間にか二度寝していたのにロリに叩き起こされた。

 小さき足裏でぐりぐりと踏まれる。

 起きるよーまったく。

 それに、さも自分が料理をしたような口ぶりだが、村の女将さん達が作ってるのに。

 

「ふぁぁ。もう少し寝たい。」

 

「駄目なのじゃ。」

 

「師匠、おはようですにゃ。」

「御主人様、おはようっす。」

 

「おはよー。」

 

 のそのそと起きて、食事にありつく。

 昨夜の肉料理が余ったからか、サンドイッチになって出て来た。

 これがなかなかに美味い。

 

 クール美女のサラとポニーと目が合ったので、アイテムバッグから果実を取り出すと、桃の芳香が立ち上った。

 

「今朝は、桃をあげる。」

 

「「ありがとう。」」

 

 蕩けるような顔で嬉しそうに受け取ってくれた。

 

 なんか朝からエロいなこの姉妹は。

 

 

 

「それで、お前様よ。エルフの住む場所はどうするのじゃ。村に家を建てるのかの。」

 

「師匠、各地に10人ずつ派遣するのはどうですにゃ。」

 

「それについては既に決まっている。エルフは森の住人。赤の森に、家を建てる以外に正解はないね。」

 

 おっと、コイシちゃんに口元を拭かれた。汚れてたらしい、ありがとう。

 

「ならば大工の家に行くのじゃ。」

 

 

 

 そんな訳で、村の大工の家に来たのだが、返ってきたのは思わぬ拒絶。

 大きな仕事のチャンスなのに。

 

「そりゃ無理だ、お嬢様たち。あの森にはデスバードがいるから家を建てても直ぐに壊されちまう。それにメルルの木は建材にならねえからあそこに作るのも一苦労だ。」

 

「僕が、お礼にいい事してあげても?」

 

 何故か性的誘惑に出たダスト君に大工は戸惑う。

 大工はただの冴えないおじさんだが、この女?のストライクゾーンは広いようだ。

 大工はダスト君の顔を見つめてしばらく己の欲望と葛藤したが、力なく諦め悲しそうに吐き捨てる。

 

「うぐっ。出来ないんだよ。立派な白い材木は切り倒すと理由は分からないけど数日で駄目になりやがる。赤の森は大工泣かせなんだ。建材になるならメルカーナの村は巨大な材木市場で都会になっている。」

 

「そうなんだ、残念。」

 

 そっとダスト君は目を伏せた。出来ないんならご褒美は無しねと。

 くるりとターン。

 ここには用が無くなったとばかりに無能な大工の元をたち去る。

 

 

「おじさんも残念だよお!」

 

 帰り際になにか魂の叫びが聞こえた。

 

 

 しかし困ったな。

 どうしよう。

 

「とりあえず、一度帰宅で。」

 

 喫茶店に行って作戦会議したいが、寂れた農村にそんな洒落たモノは無い。

 食事屋はあるにはあるのだが、農業の合間にやってるだけなので、いつ開いているのかも分からない寂れっぷり。

 

 無いものは作るしかないのだ。

 

 

「師匠、どうぞですにゃ。」

 

「ピンクありがとう。」

 

 果実ジュースをカリスマバーテンダーの猫娘ピンクに作って貰い、空家を古民家カフェに見立てて作戦会議を再開した。

 

「さて、森に家を建てるのは決定事項だけど、何かアイデアのある人はいるかな?」

 

 ダスト君はいつものように仲間に丸投げする。出来ない事はアウトソーシングすればいい。

 

 こくこくと無心になり喉を鳴らす。

 果実ジュース美味ぇ。

 

 美味しいね。

 答えを待っているが、困った事になかなか返事が無い。

 

 焦らしすぎだぞ☆

 

「無いのじゃ。森守から貰ったメモにも赤の木は建材にならないと書いてあるのじゃ。大工が集まって夢を見た時代もあるそうなのじゃが結果はご覧の通り。」

 

 他には?

 

 建設的な意見が聞きたいんだけど。

 

 リリイもっと考えて。

 諦めたらそこで試合終了だよ。

 なんて自分を棚にあげてメンバーを見るが顔色は冴えない。

 

 え?手詰まりなの。

 静まる会議。

 

 ズズズッとジュースを飲む音だけが支配する。

 時よ止まれ!

 

 

 

 そんな静寂を破ったのは、頼れる女コイシちゃんだった。

 まさに女神。

 

「ダスト君。この世界の知識だけでは多分出来ないよ。だから、ヒントは日本の知識にあると思うんだよ。大丈夫、ダストなら出来るよ。」

 

「ありがとう、コイシちゃーん。」

 

 ふむ。

 そう言われればそうなのかもしれない。

 抱きついて、撫で撫でされながら思考を整理していく。思考の海の底から解決策をサルベージするんだ。

 

 解決出来るのは主人公である僕だけ。

 

 解決すべき問題は、デスバードとメルルの木の2点。

 体内に棲むバブルスライムで、何でも消化してしまうデスバードはまさに害獣だ。ネズミのように質が悪い。

 ネズミといえば高床式倉庫!!そういえば小学校でそんな事を習った覚えがある。あの太った鳥は高く飛べないはずだ。問題の一つはこれでクリアだ。

 

 なんだイケるんじゃないか!

 

 後は建材にならないメルルの木。

 使わないという選択肢は、多分無いのだが絶望的なまでに日持ちしない。

 おそらく活かしたまま建材にする必要があるのだろう。例えば挿し木のように。

 

 しかし、そんな超技術なんて日本にも無かった。

 假屋崎さんでもたぶん不可能だ。

 

 どうすればいいんだ。

 

 そのまま夜になり、もくもくと食事を食べたが考え事をするあまり、あまり味は覚えていない。

 

 

 もう夢のお告げに頼るしかないかと、コイシちゃんに抱きついて夜はふける。

 

 女神様、宿無しエルフをお救いください。

 

 

主人公は誰がいい?

  • 豚野郎 ダスト
  • 美少女 ダストちゃん
  • 男の娘 ダスト君
  • 美男  Dust
  • でぶ女 D

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