ティガレックス亜種とイビルジョー、そして2匹のアイルーは渓流へとやってきた。渓流のアイルー村を目指している道中でふとティガレックスはアイルーに尋ねた。
「そういえば、お前の名前聞いてなかったけど何て言うんだ?」
「僕の名前はシンバルっていうニャ!でも、こっちの子の名前はわかんないニャ」
「まだ生後間もないだろうし、しょうが無いよ。今度君が考えてあげれば?」
「そうするニャ!お二人にも考えて欲しいニャ!」
「いいよー」
「後でな」
イビルジョーとティガレックス亜種、そしてアイルー達は意気揚々と会話しながら渓流への道程を歩いていた。
「しっかしなんか静かだな」
ティガレックス亜種が奇妙な静けさに疑問を覚える。普通なら闊歩している草食獣の1匹や2匹と出会ってもおかしくは無いのに渓流に入ってからというもの、生き物という生き物に出会っていない。そこにティガレックス亜種は疑問を覚えたのだ。そんな思案をしているうちに
「着いたニャ!」
一行は渓流のアイルー村へとたどり着いた。目の前には閉じられた巨大な門がそびえ立っている。
「おーい!誰かいませんかにゃーー?」
シンバルが門に向かって大きな声で呼びかけるが返事は無い。ただ、門の向こう側から多くのアイルー達の悲鳴が聞こえている。
「開かないみたいだねー」
イビルジョーが呑気にブルファンゴを食べながら言う。
「食べ歩きは行儀悪いだろ」
「あ、ごめ」
ティガレックス亜種に指摘されイビルジョーはブルファンゴを丸呑みする。
そんなやりとりをしつつも門がいっこうに開かれる様子は無い。
「あ!もしかしたら門が壊れてるのかもしれない!」
イビルジョーがぽんと手を叩く、その考えにティガレックス亜種もなるほど、と頷いた。
「じゃあぶっ壊すか」
「そだねー」
ティガレックス亜種が大きく息を吸い、イビルジョーの口から赤黒い霧が出始めたところで、
「すすすすストオォォォォォップにゃーーーー!!!」
門の向こう側から栗毛色のアイルーが大慌てで出てきた。
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・・・・・・・・・
栗毛色のアイルーにシンバルが大慌てで説明すると、なんとか誤解は解けたようで、4匹は村の広場に案内された。そこで4匹がおとなしく座っているとかなり年老いた紫色のアイルーが杖をつきながらゆっくりと歩いてきた。
「わしが、渓流のアイルー村の村長アイルーじゃ」
最早猫背どころかエビのように丸まった腰をさらに曲げてお辞儀をする村長アイルーに対して
「急な訪問した上に騒がせてしまって申し訳ないニャ」
「みゅー」
ぺこりと丁寧なお辞儀をするシンバルと申し訳なさそうにするチビアイルー。その横では
「ねえねえ!渓流のガーグァって美味しいの?!」
「ひぃ!いや、あの」
イビルジョーが怯える村のアイルーを質問攻めにし、
「つかれたー・・・ねみぃ・・・zzz」
ティガレックス亜種は最早此処が自分の酢であるかのようなダラケぶりを見せていた。
村長アイルーに案内された4人は今までの経緯を説明した。
「なるほどのう・・・大変だったみたいじゃな。」
「でもこの二人のおかげでここまで来ることが出来たニャ」
「ミューミュー」
「それはそれは・・お二方、同族を助けていただいてありがとうですじゃ」
「おかまいなくぅ」
「それよりおなか空いたー」
和気藹々と会話をしていたところで1匹のアイルーが血相を変えて広場に飛び込んできた。
「大変だニャ~!!」
「どうしたのじゃ」
「ロアルドロスの奴がレウス夫妻の巣へ向かっていったにゃ~!!」
「なんじゃと!」
飛び込んできたアイルーの報告に村長アイルーは血相を変える。周りのアイルー達もザワザワとし始める
「なんだ?」
「さあ?」
ティガレックス亜種とイビルジョーが首をかしげていると、村長がため息をつきながら事の経緯を説明した。
「実は最近、荒くれ者のロアルドロスが渓流に住み着いたのじゃ」
「ふーん」
ティガレックス亜種は興味なさげだ。
「奴は渓流の生物を食い荒らし、我が物顔で渓流を闊歩しているのじゃ」
村長アイルーは深刻そうな顔で話を続ける。
「そのロアルドロスより強い奴はいないの?」
「この渓流をまとめているジンオウガ殿ならば奴を軽く凌駕できるのじゃが、今は霊峰へ出向いていて不在なのじゃ」
「なるほどねー」
イビルジョーが質問をするが、これに対して村長アイルーは難しそうな顔で返す。そこではっとしたように村長アイルーはティガレックス亜種に向き直る。
「お願いですじゃ!奴を狩猟してほしいですじゃ!わしらでは太刀打ちできんのですじゃ!」
「ええ~」
あからさまに嫌そうな顔をするティガレックス亜種。しかし、村長アイルーの話はともらない。
「レウス夫妻には何度も世話になっているのじゃ。ここで何もせずにはいられないのじゃ!」
「やってあげなよ黒ティガー」
「めんどいな~」
イビルジョーに薦められても面倒臭そうにするティガレックス亜種。あからさまにやりたくないというオーラを出している。
「ああ、お礼としては何じゃが、倒してくれたロアルドロスはこちらで調理して振る舞わせてもらうのじゃ。ロアルドロスの刺身はなんとも言えない味わいで・・・」
「ってあれ?ティガレックス殿はどこへ行ったんじゃ?」
村長が見ると、先程までいちゃ所にティガレックス亜種の姿は無かった。
「調理って効いた瞬間出て行ったよ」
イビルジョーが小さな手で出口の方を指す
「なんと・・・」
「黒ティガは飯に釣られやすいからね~」
「では宴の準備でもするかの。皆の者、宴の用意じゃ。イビルジョー殿少し手伝ってはくれまいか?」
「いいよ~」
村長アイルーは唖然としていたが、すぐに切り替え、アイルー達に指示を出した。
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