圏外野郎の奮闘記   作:棗 御月

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・投稿主は一応シャンフロ全編を読んで、wikiも見ながら書いてるけど抜けとか間違いはあると思います。感想で優しく指摘してくださると助かります。
・タグにある通り気まま更新です。続きは気が向いたら書きます。

よろしくお願いします。


かくして追われる身になった

 

 辻斬・狂想曲:オンライン。通常幕末と呼ばれるゲームには、十人の『ランカー』と呼ばれる奴がいる。

 

 レイドボスことユラを筆頭とする戦闘お化け集団。チーター相手に素のスペックだけで勝てる変態どもはほとんど固定されていて、十位の串勝を最後に大抵のプレイヤーに周知されているのが彼らだ。イベントで特に狙われて、それでいて成績を残す奴らは真正の化け物なのだろう。

 

 じゃあ、変動が多いとされている十位以下はどうなのかって話なわけなのですよ。

 

「くっそどうしてこうなったぁぁぁぁぁあああああ!!!」

 

「待て皮被り!」

「逃げんな息子隠し!」

「そのブツ置いてけや永遠の魔法使い!」

 

「その不名誉なあだ名をやめろっつーの!」

 

 幕末ランカー、大体十四位。誰が呼んだか通称「仮性野郎」こと抜刀祭というのが、今まさに脱兎のごとく逃げている俺だ。

 特技として極めた超速の抜刀術を駆使して、登る気はなかったとはいえこのランキングまで上り詰めたということで多少有名だったりはする。

 通称の由来? 簡単だよ。

 勿論名が売れてきたら狙われるわけで。抜刀術はもちろん一回繰り出すとどうしても僅かに隙ができるわけで。それを咎められるようになったから対策で大量に刀とか暗器を持つようになったら、鞘に収まっているときが最強とか言われ始めた。不名誉極まりない。

 

 で、今は何をしているかというと。

 

「幼女を抱えて走る変態を断罪天誅!」

「お前がポイント稼いでるのなんか腹立つ天誅!」

 

 幕末で不定期開催されるイベントの真っ最中にして、幼女を抱えて逃走中である。

 大声と共に追いすがる約五名、ついでにそこら中に隠れて様子をうかがっている不意打ち狙いのやつら共で合わせて十五人に向けて仕込みクナイを投げつけた。便乗していただけのやつもやられたみたいだけど天がやれと言ったんだから仕方ないよね!

 

「マジでどうしてこうなった……!」

 

 俺は、こうなる原因となった一週間前のことを振り返るのだった……。

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 仮にもランカーであるはずの俺がそのイベントのことを知ったのは、始まる十数分前だった。シャングリラ・フロンティアの良すぎる動作環境……もとい、抜刀環境に心酔していたせいなのだが。

 幕末も対戦要素のあるゲームの中ではかなりい環境なんだよ。この時代にもなってバグだらけラグだらけのゲームも珍しくない。そんな中でまとも以上に戦える時点で凄いの。ただ、シャンフロに届かなかっただけで。

 

 とまあ、シャンフロで狩りを終えた俺が端末で目の端にイベントの始まりを知ったわけだ。

 

 俺は三位の唯一剣さんと同じでセルフ縛りプレイをしている。すなわち抜刀剣ないしそれに準ずる技縛り、そして刀の銘に桜がある刀縛り。

 で、今回のイベント……『鳴動不可の陰謀』の二位~四位の報酬が¨宵桜¨という紫と桜色の刀だというのだ。

 正直厳しいというか、無理に等しい順位ではある。でもまあ、最悪イベント終了直後に天誅したらよくね? と思って数日ぶりにログインした。

 

「天誅!」

「ほいログイン虐殺……もとい、逆殺天誅。まいどあり」

 

 俺の直感はたぶんユラと争うレベルだぞ。畳の下にいようが関係ないね!

 おーし幕末がキマッてきた。天誅は挨殺。常識。

 

 そんな感じで、適当に潜んでる奴らを斬りつつ裏道を通って個人的にいくつか決めている安地に到着。ちなみにこの世界で言う安地っていうのは奇襲されにくい場所っていうだけで天誅は降ってくるぞ。

 大きな長屋のひとつ、店の前で立ち止まって店主に声をかける。

 

「おやっさん、おひさー」

「てめぇか。久々に顔を見せたかと思えば能天気な顔しやがって」

「商品の酒を一番飲んでるおやっさんに言われたくねぇな?」

 

 幕末では、日本人の奥義:土下座をすることで居候をするか長屋を襲うことでセーブポイントにできる。いつだったかに気まぐれで頭を下げて居候にしてもらったこの酒屋では、俺は自由に寝泊まりができるのだ。

 ちなみに安地の確保という点も含めてこの長屋の用心棒的な事もしてる。俺がインしていてこの部屋を使う時しか守らないけど。

 

「んじゃ、いつも通りちょっとの間は二階にいるから。なんかあったら呼んでな」

「あー……ちょっと待った」

「ん?」

 

 おやっさんが……もとい、幕末のNPCが俺を呼び止めるなんて珍しい。

 それが気になって足を止めたのが運の尽きだったのだろう。インしたのが遅かったこと、ここに来るまでにすれ違い天誅をしていたせいで遅れたことが関係してか「その時間」になってしまっていたのだ。

 

「維新組のお前さんには必要な情報かもしれんな。今、お前さんの部屋には一人の娘っ子を匿っている」

「は?」

 

 まあ、なんだ。

 ある程度の広さがあるエリアの中でたった六つのイベントエリアの内の一つを、大分昔から運良く踏み抜いてるとか思わないじゃん?

 

 というわけで、ある意味生るべくして、主観的には完全に不条理な流れによって、幕末史上最高に難易度の高い『子守りイベント』のメインターゲットと相成ったわけ。

 

 うーん、逆の立場なら確実に狙う相手だわ。

 

 

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