殺すなら、死ぬまで殺せ、鬼殺隊   作:茨月

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はじめまして。茨月と申します。
鬼滅の刃のアニメをイッキ見してから、勢いで書いてしまいました。
と、いうより投稿が初めてすぎて使い方がよく分からん。


壱殺

血飛沫が舞う。

肉片が舞う。

骨片舞う。

暗く闇が深い夜の森の中で少しだけ木々の開いた場所で無数に何かが煌めく。

斬撃。それこそ夜の森が光っていると見間違えるほどに。

斬撃が迸る度に赤く染まった液体が拡散する。血霧と思わせるほどに霧散していく。

森の中には血に塗れた刀を持った男が1人。

その男に向かって森の奥から複数の異形が飛びかかる。

多勢に無勢。そんな言葉が浮かび出す。

森にいる獣とは違う、普通の生き物では出せない速度で襲いかかる。

しかしながら、そんな光景でも男は気にしない。

それらを視線だけで一瞬追い、次には腕を振るう。

それだけで舞う。

 

「お、お前は一体なんだァ!」

「塵が。死ね」

 

次に異形から向かってくるのは恐れ。

そしてそれに返ってくるのは、殺意の返答。

憎悪、怨念、憤怒が込められた昏い声。

その声が聞こえると同時に腕が振るわれる。そして腕を振るう度に異形は分断される。

腕を。脚を。胴体を。そして首を。

切断され地面に落ちた身体はそこから灰へとなり、散っていく。

 

「く、くそが!」

 

他の異形はそれを見て、逃走に図ろうとするが男は逃さない。瞬時に先程と同様に灰と化していく。

それを確認した男はその場から去ろうとする。

日が差し始める。

森は夜明けを迎え、光は男を照らし出す。

光に染るその姿は返り血をほとんど浴びておらず、刀を背に負っている。とある隊服に白いマントを羽織った出で立ちで顔には怨霊系の口面で覆っている。

差してきた日光に目を細めてていると肩に鴉が止まり、口を開いた。

 

「任務完了ー。任務完了ー。次ー、東北。次ー、東北」

 

そのまま静かに喋り出す。

その鴉は、鎹鴉。伝令係として重宝されている。

男は慣れているからか、喋る鴉に驚かずその司令を聞くと指定された土地へ行こうとその場から離れる。

朝日がさす残された場所には破壊痕が残されたばかりだった。

 

 

 

鬼。

それは昔からある御伽噺の存在ではなく、実際に存在する異形。

人を喰らい、尋常ではない身体能力を有し、時には妖術のごとき技を繰り出しをする太陽の下で生きれない何度下しても再生する不死の化け物。

夜な夜な人を喰らい人の人生を破壊していく。

無論、人々は大人しく食べられる訳にはいかない。

ただ、闇夜に怯えるだけではなく、明けの光を迎えるために抗う者達もいる。

それが鬼殺隊である。

数百名からなり、政府非公認ではあるがそのルーツは永きに渡る。

陽の光を浴び、蓄えるとされる鋼を使い武器とかした日輪刀を携えて鬼を滅殺する。それが、鬼の弱点となる日光以外で唯一の滅ぼし方として。

 

先程の男もその所属になる。また、鎹鴉も各鬼殺隊員あてがわれている。

そして時代は大正時代。短い間に起きる数々の起こりがある激動の時代である。

大正時代にこの鬼と鬼殺隊の関係は大きくうごくことになる。

 

 

 

場所は変わって、日本東北部のある村。

鎹鴉による連絡から、その村の近くの山に鬼が潜んでいるとの事。実際に現地へ向かった隊士の数名が消息を立ち、それ以上の情報が上がらず、犠牲も出せないとのとこで、彼が派遣された。

先日の異形、鬼は珍しく群れて統制のとれた行動する習性を持っていた。普通の鬼は力強いせいか、単独で行動するパターンが多い。また、人を喰うだけでなく、鬼同士も共喰いも起こす。

普段は、そういうことに慣れているであろう隊士達はそれに対応しきれず男が対処する順番になることになった。

今回も同じような条件で次は彼が遣わされることとなる。

 

 

 

山の頂上に登ると山を1つ越えたその中腹に村があった。

パッと見50人規模当たりの村だろう。

よく見ると昼間の仕事をしている人が複数見かけられた。

村に入ると、男に気付いた村人が近寄ってくる。

村人は男が気味が悪いのだろう、少し怪訝な顔をしながら聞いてきた。

 

「あんた、妙な服きてんな。ウチの村になんか用かい?」

「とある用で来ている。この村の中心の者はどこだ?」

「あん?中心の者?あぁ、村長の事か。あっちの通りの奥の家だよ。」

「そうか」

 

言葉数少なに確認をすると、そちらの方へ足を向ける。

 

「あ、おーい!さっき似たような服来た女性が来たんだがお仲間かい?」

 

村人が思い出したのだろう、村長の家へ向かう男の背に声をかける。

男は立ち止まることなくそのまま奥へ向かって行った。

 

「しっかしさっきの女性や今までと違いおっかねぇもんだなぁ…」

 

村長の家の前に行くと、先程村人が言ったように女性が老人と話していた。

近づくとこちらに気付いて顔を向けてくる。

 

「こんにちは。これから任務ですか?あれ?以前どこかで…?」

 

任務帰りだろうか、少しくたびれた様子でこちらに向かってくる。

近づいてこちらの顔を認識すると、どこかでお会いしたか、と聞いてくる。

こちらとしても会った記憶はない。

 

「あ、申し遅れました。私は胡蝶しのぶと申します。階級は...」

「どうでもいい。それよりお前が村長か?」

 

会話を断ち切り、その隣の人物に話しかける。

笑顔で挨拶をしていた胡蝶しのぶの顔が固まり、村長と思われる老人はこのやり取りに不安を覚えた。

 

「え、えぇ。私がこの村を先導しております。」

「そうか、ここ辺りで行方不明者が出たと情報を受け取っている。何か心当たりは?」

 

行方不明者と聞いて、胡蝶しのぶがピクリと反応する。

 

「い、いえ。そのようなことは…。もしかしてあなた様方はお役人様でしょうか?」

「そのようなものだ」

 

隣で話を聞いていた胡蝶しのぶが固まったままの笑顔でこちらに顔を向けてくる。

それを無視して話を続ける。

 

「それより空きはあるか?しばらくここで調査を行う」

「は、はぁ。分かりました。しかしながら、空きとなる建物が小屋しかなく、さらにそれほど良くなくてひとつしかないのです。そちらのお嬢さんもご一緒なられると言うのでしたらご一緒になりますが、大丈夫でしょうか?」

 

言外に年も行かぬ女子と少しの期間とはいえ同じ屋根の下で過ごすのはどうなんだ?と、聞いてくる。

すると、横から胡蝶しのぶが入ってくる。

 

「いえ、お気持ちは有難いですが行方不明者が出ているとなれば、そんなこと気にしている余裕はありません。」

 

笑顔でそう言われては村長も納得するしかないだろう。

分かりました、と言い空いている小屋まで案内してくれた。

 

 

 

小屋に着くと、村長は何かあったら先程の屋敷までお尋ね下さいと言い残し去っていった。

残されたのは2人。荷物を置くとすぐに手持ち無沙汰になった。

すると胡蝶しのぶは男に近づく。

 

「改めまして、胡蝶しのぶと申します。あなたのお名前をお聞かせくださいますか?」

「…神座無慙だ。」

 

名前だけ。それだけを告げると神座無慙は小屋から出ようとする。

慌てて胡蝶しのぶが声をかけてくる。

 

「ち、ちょっと待ってください。どこへ行かれるんですか?」

「鬼狩りだ」

 

 

 

森の中で鬼の痕跡をさがす。

獣とは全く違う存在であるから、獣以外の痕跡は知識があれば見分けはつく。

だが、日中でも木々に遮られて森の中は鬱蒼と暗く鬼が活動してるとも限らないので、緊張は抜けない。

胡蝶しのぶもまだ森の中で活動するのは慣れていないのか、前を行く神座無慙に着いていくので精一杯で呼吸が乱れている。

 

「はぁ、はぁ、はぁ……」

 

神座無慙が鬼狩りと言って探索を始めてから数時間は経つ。その間、神座無慙は1回も休憩を挟むことはなかった。

 

「...おい」

 

そんな胡蝶しのぶを見兼ねたのか声をかける。

 

「もう邪魔だ。先に戻っていろ」

「なっ!?」

 

邪魔だと言われて胡蝶しのぶが声をあげる。実際に息が上がっており、鬼と遭遇した場合対処は出来ないであろう。

しかし、そう言われたことが悔しいのかはんろんする。

 

「私はまだやれます!これくらいで舐めないでください!」

「その程度で力尽きる貴様で何が出来る」

 

断言される。確かにその通りだ。

何も言えずに俯くしかない。

悔しさで嘆いていると、足元が異様に暗い気がする。いや、実際に暗いのだ。

顔を上げ辺りを見渡すと直ぐに理由がわかった。日が暮れ始めているのだ。既に太陽の半分ほどが隠れ始めている。

ここからは人間と代わり鬼の時間だ。

そういえば、先程の村では藤の花の香りがしなかった。

藤の花は鬼の弱点とはなり得ない。しかし、鬼は藤の花の香りを嫌い近づくことが出来ないとされている。なので鬼が嫌うものとして鬼避けとして扱われている。

藤の花の香りがしないということは、鬼が村に襲いにかかることが出来るということである。

その事実に気づいた胡蝶しのぶは神座無慙に声をかける。

 

「神座さん、もう日が暮れます。直ぐに村に戻らないと」

 

声をかけても、神座無慙は止まらない。

制止を促すようにしても無視するように森の奥へ進んでいく。

 

「なっ、待ってください!このままだと村の人達が鬼に襲われてしまいます!鬼避けの藤の花もなかったんですよ!」

 

それでも前へ進む。まるで誰もいない、誰にも話しかけられてもいないかのように。

 

「待ってください!村の人達がどうなっても構わないんです……」

「なぜ、村へ戻らなければならない?」

「なぜって村が鬼に襲われるかもしれないんですよ!守らないと!」

 

「なぜ俺が村を守らなければならない?」

 

「は……?」

 

絶句。脳が内容を拒絶する。

なんと言ったのだ、この男は。

なぜ村を守らなければならない?村を守る気はないのか。

私達は鬼殺隊であろう?鬼を倒し、鬼から人々を守る。それを守らない?

 

「俺は鬼を殺すだけだ」

 

気づけば前を向いて進んでいた彼がこちらを向いていた。

こちらを見るその瞳は憎悪と憤怒に染まり、私はただそこに居るだけと認識させられる。

気が付けば元来た道を走っていた。

幸い初日だからだろうか比較的人が通りやすい場所を中心に歩いていたので簡単に戻れそうだ。

直ぐに村には辿り着いた。

急いで村人の様子を見たが鬼に襲われているというわけでもなく、また、血の匂いもしなかった。しかし、まだ夜は始まったばかりだ。

あの男が村へ戻ってくるという選択肢はあの様子では無いだろう。

ならば、私だけで守らなければならない。

そう考えると不安で押し潰されそうになる。

 

「大丈夫……。私ならやれる……だって姉さんの妹なんだから……。」

 

私なら出来る。

そう覚悟を決めて一日目の夜を迎える。

だが、その夜は何も無かった。村の中を巡回しても村人は全員寝静まっているのか昼間とは違う雰囲気を醸し出している。

そうして明け方、もう大丈夫だろうと判断して小屋に戻り仮眠をとろうと横になった。

山を歩き回ったせいか直ぐに睡魔が襲いかかり、それに抗う間もなく意識は落ちていった。

 

 

 

意識が落ちてから少しだった頃だろうか、小屋の戸口が開かれる。

その音に反応したのか胡蝶しのぶは目を覚ます。

 

「(...鬼!)」

 

そう思ってそっと刀に手を添える。

薄暗い中目を少しだけ開けて確認すれば、先程からほとんど時間は経っていないようにも感じる。そして、音が出た原因を見れば神座がこちらに向かってくるのが分かった。

一挙一動に注意していると、そのまま壁際に座り背を壁に預けると動かなくなった。

 

「(もしかして寝た?)」

 

それ以外は考えられないだろう。

そう思うと鬼と疑っていた緊張がとけ、再び眠りへと誘われ始め、そこには寝息を立てている二人の姿があった。

 




〜大正コソコソ噂〜
しのぶ「神座無慙は「かむくらむざん」と読みますね。なんでも、彼のモチーフ先からとったとか。また、彼は甲の階級に当たりますよー」
無慙「次回、『この男、無慙無愧』」
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