人生は1回限りだから楽しいのだ   作:獅子喰

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キンジ君の受難は死んだところで治らないのである。


始まりは唐突に
遠山キンジが遠山キンジを始めます


 眠りにつく。今亡き妻と友人(仲間)たちのもとへ旅立つのだ。過去を振り返れば若かりし頃の思い出がよみがえる。当時の妻は周りの人が思う以上の傍若無人ぶりを発揮する小さな悪魔のような女性だった。そんな妻との出会いから始まった波乱万丈な日々は己からありとあらゆる平穏な日常を奪い去っていったが、それを補って余りある出会いと経験を促してくれた。

 彼女との出会いがなかったら。

 

―――伝説の怪盗の末裔には出会わなかっただろう。

―――救国の聖女に末裔がいたとは知らなかっただろう。

―――吸血鬼の存在はお伽噺の中だけで実在していると思わなかっただろう。

―――それから、それから…

 

「――――――ああ、兄に拳銃を向けることも…なかっただろうなぁ」

 ほかにもたくさんの思い出(悪夢)があった気がするが、振り返れそうにない。

 眠いのだ。どうしようもないほどに。どうにもせっかちな妻と友人(仲間)たちに呼ばれているような気がしてならない。もう少しくらいゆっくりと迎えに来てもいいと思うのだが…。

 

「まぁ、こっちのほうが俺たちらしいか」

「なによ、なんか文句でもあったのかしら?」

「いいや、文句なんかないさ。待たせて悪かったな、アリア(・・・)

 こうして遠山キンジの人生は幕を下ろした。

 

 

――――はずだった。

物語の主人公なんていうものはどうしようもないこと(事件)に巻き込まれて必死になって解決して、それでみんなが幸せになったら…、ほら、ハッピーエンドだ。主人公はヒロインと結婚して人生イージーモードに突入。今度は我が子が主人公の代わりにハードモードな人生を背負っていく。元・主人公である親は子の背中を押して応援してるだけ。なんとも身勝手な話である。

 

「それが自分に適用されるだなんて普通は思わないよね」

「さっきから何をぶつぶつ言ってんだよ…入学式くらいはきちんとしておけよな」

「どうしたんだ?急に立ち止まって…」

「あー、うん。ごめん、何でもないよ。父さん(・・・)。あと別に入学式だからってきちんとしてなきゃいけない理由はないぞ…」

 

 そも、事の始まりは、前の人生でアリアが迎えに来た時である。彼女は事もあろうことに、俺にもう一度人生をやり直して来いと、天国だか地獄だかよくわからない空間から蹴り落としたのだ。それはそれは可憐で、愛らしく、美しい微笑みをうかべて。

 なんとも情けない始まり方ではあるが、蹴り落としを受けた俺はもう一度母親から生まれなおした。

 人生2回目の遠山キンジ爆誕の瞬間である。

 正直、目的もなく生まれなおしたので何をすれば良いのかわからない俺は、とりあえずヒステリアモードが誰にもバレないように過ごすことを至上命題として人生を繰り返すことに決めた。

 そんな俺は今現在、神奈川武偵中学校へ向かっている最中である。父親(・・)()と。

 正直に言いたい。なんで父親は生きているのか(別に前回も死んでいるわけではなかったが)。なぜ弟がロスアラモスではなく日本にいるのか。しかしそんなことを言えば、俺の頭がおかしくなったのだと病院に連れていかれることだろう。俺が生まれなおしたこの世界では、父親はマキリと戦ったが対卒の症状も出さずに勝利をおさめた後になぜかアメリカにわたりジーサードとジーフォースである後に金三とかなめになる二人を連れて帰ってきたのである。

ついでに言うのであれば、今日の入学式にかなめはついてきていない。彼女は現在小学校でお勉強中である。

 

―――この世界でどうしろっていうんだ、アリア…!!

 

当時、二人が来た時の俺の心境はこの言葉に尽きる。本当にどうすればよいのだろう。

 




数年前までハーメルンで活動しておりました、獅子喰と申します。
学生生活や就職活動にも一区切りがついたので、戻ってまいりました。
何度か名を変えて緋弾のアリアの作品を投稿していたため、似通った文脈の作品もあるかもしれません。決して盗作などは行っておりませんのでご安心ください。

次の話からは本文量も増やしていきたいと思っております。
久しぶりの投稿ということもあり、とても緊張しております。
皆様の感想をお待ちしております。
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