立花響は特殊な転生者   作:龍蟹

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ツヴァイウィング事件

この世界に転生してからおよそ13年位した頃。

今日はとってもビッグな(?)イベントがある。

それは…『ツヴァイウィングライブ』

『天羽奏』と『風鳴翼』によるボーカルユニットで絶大な人気を誇っている(ちょっと大袈裟すぎたかな?)。

そして今日この日がそのボーカルユニットがライブを行うという日である。

私はこの世界での親友である『小日向未来』と共にそのライブを見る約束をして未来を待っているのだが…。

 

「…未来、遅いなぁ。」

 

いくら待っても未来はやって来ない。

まさか忘れて…いや、未来に限ってそれは無い。

未来はちゃんと私との約束を守ってくれるし、時間には必ず来る娘だ。

そう思っていると電話がかかってきた。

画面を見れば未来からの電話だったためすぐに出た。

 

「もしもし?」

『あ、響?』

「うん、そうだよ。」

『あのね、ちょっと行けなくなっちゃって。』

「……………………え?」

 

未来からの唐突な発言に私は一瞬だけ思考が停止した。

 

『(ぜ、絶対ショック受けてる…)え、えっとね盛岡の叔母さんが怪我をして…その…お父さんが今から車を出すって……。』

「………そう……なんだ…。」

『えっと…本当にゴメンね。』

「………うん。」

 

そう言って私は電話を切り、その場で蹲ってしまう。

周りから心配する声が聞こえるが私はそれよりも未来が来れなくなったことに落ち込んでしまっている。

未来とツヴァイウィングのライブが見れないのは本当に残念だ。

しかし、ここで落ち込んでいても仕方ないのですぐさま立ち上がりライブ会場へと向かった。

 

_____________________

 

 

会場に着きしばらく待つとライブが始まる。

今、天羽奏と風鳴翼の歌っている曲は「逆光のフリューゲル」と呼ばれる曲。

やはりというか、ツヴァイウィングの歌う曲はどれも素晴らしい。

前回の世界でもアイドルに関する事をやっていた為、少しだけその良さもわかっている。

私は少しだけ気持ちが昂って思わず曲を口ずさむ。

…未来も来れたらよかったのだが家庭の都合ならしょうがない。

そう思っていると…。

 

―――キィィィィィィィィィィィィ……―――

 

「!?」

 

異変を感じた。

私はそれにすぐさま気づき、その場から離れ人目のない所まで行く。

そして、それは起こった。

 

ドカーーーーーン!!

 

会場で爆発が起きて私がそっちに視線を向ければその爆発した所からノイズがわんさかと現れた。

やっぱりかと私は思い、すぐさま右手を左腰側に差し入れ、右腰だめに構え直す。

そして腰辺りにベルト、『オルタリング』が現れる。いや、正確には実体化と言った方がいいかもしれない。

そして左手を左腰だめに構え、右手を手刀のような形にしてゆっくりと前方に突き出していき、右腕を伸ばしきったところで私は戦士へと変わる言葉を大声で言った。

 

 

「変身!」

 

 

それと同時に両手で勢いよくオルタリングの両側のスイッチを叩く。

オルタリングから強い光が放たれ私の身体を包む。

そして私は一瞬にして戦士『アギト』への変身を完了させた。

 

私が4回目の人生の時に手に入れた力。

火のエル『プロメス』が人々に与えた超能力。

誰にでも存在する力なのだが、その力に目覚める人は極僅か。

 

私は走り出しら人に襲いかかろうとしたノイズに蹴りを叩き込む。

 

「ハァッ!」

 

蹴られたノイズは瞬く間に炭へと変わって散っていく。

私がノイズを倒した所を周りにいた人達は驚くが、それどころでは無いと思ったのかすぐさま逃げていく。

ノイズは標的を私に変え、突撃してくる。

私は慌てずにオルタリングの左側のスイッチを叩く。

賢者の石の左側にある秘石『ドラゴンズアイ』が青く発光し、左腕と上半身が青い装甲へと変化する。

これがスピードと俊敏性、ジャンプに特化した形態『ストームフォーム』。

 

私は賢者の石から出たストームフォームの専用武器『ストームハルバード』を取り出しノイズをなぎ倒して行く。

ふと、何処からか歌が聞こえてきたのでそちらに視線を向けると天羽奏と風鳴翼が変わったインナーと装甲を纏ってノイズを倒していた。

天羽奏はチラチラとこちらを見て話し掛けようとするがノイズによる猛攻でそれどころじゃ無かった。

 

次に私は、オルタリングの右側のスイッチを叩き右側のドラゴンズアイが発光し別の形態へと変える。

左腕は元に戻り、代わりに右腕と上半身が赤い装甲へと変わる。

これはパワーと感覚に優れた形態『フレイムフォーム』。

また、賢者の石から出たフレイムフォームの専用武器『フレイムセイバー』を取り出し、ノイズを斬って行く。

 

「くっ…そぉ!」

「ぐっ…。」

 

天羽奏と風鳴翼はノイズの多さに苦戦していた。

倒したと思えば次のノイズが来て、倒したと思えばまた別のノイズが来るの繰り返しで二人に疲れが見えている。

 

(……しょうが無い。)

 

私は少しだけため息をつくと余り人には使いたくない力を発動させた。

 

「うおっ!?」

「な、なんだ!?」

 

胸の中心にあるワイズマンモノリスが発光すると天羽奏と風鳴翼の周りに服を着た怪物が現れる。

その怪物の名は『アナザーアギト』

その名の通り(?)その怪物は『アギトを歪ませたモノ』である。

元々は仲間の一人が変身していた戦士だったけどこれは違う。

と言うのも、まだ私がアギトとして暮らしていた世界で『タイムジャッカー』と呼ばれる集団が私(と言うよりアギト)のアナザーライダー(らしい)を生み出してその際、アギトの力を奪われアナザーアギトに埋め込むとまんまアギトへと変わった。

その時に偽アギトは他の人たちをアナザーアギトへと変えた。

その能力がそのまま今のアギトに反映されている。

……余計な物まで反映しなくていい。

 

現れたアナザーアギト達はそのまま拳でノイズを殴りつける。

元の素体が人間だからなのかパワーもスピードも全員バラバラ。

…一応強化はされてるんだけどね。

……待って、ギルスまで混ざってるんだけど、何故?Why?

 

「!フッ!」

 

私がギルスまでいる事に呆気に取られているとノイズがその隙をついてくる。

しかし、私は問題無く躱し、今度はオルタリングの両側のスイッチを叩く。

両側のドラゴンズアイが発光し、右腕はそのままに、上半身の装甲は元に戻り、左腕はまた青い装甲へと変わる。

 

『三位一体の戦士』と呼ばれるこの形態は『トリニティフォーム』と呼ばれる形態。

『超越肉体の金』のグランドフォーム、『超越精神の青』のストームフォーム、『超越感覚の赤』のフレイムフォームの三つの形態を合わせもった形態。

賢者の石からストームフォームハルバードをもう一度取り出し、右腕にフレイムセイバー、左にストームハルバードを構えてノイズを殲滅する。

段々とノイズが減っていき、同時にアナザーアギトを少しずつ撤退させる。

 

(後は…。)

 

私は逃げ遅れがいないか周囲を確認する。

私としては既に逃げていて欲しいと願うが、そう簡単にはいかなかった。

 

(!?子供が!)

 

視線の先には母親を見失ったのか子供が泣いていた。

今までノイズに襲われなかったのは奇跡と言うべきだろう。

私は天羽奏と風鳴翼に見つからないように瓦礫の影に隠れ、変身を解く。

 

「大丈夫?立てる?」

 

私はすぐさま子供の元に駆け寄り、背中をさする。

周りにノイズがいないのを確認して子供を連れてその場から離れようとした。

この時私は、変身を解かなければよかった事とこの後の行動に後悔する。

 

バキィッ!

 

そんな、何かが折れるような音が響き渡り、私はそちらに視線を向ける。

 

「な!?」

 

視線を向ければ天羽奏の持つ槍が折れ、こちらへと飛んできた。

よく見れば天羽奏の纏っている装甲も所々ボロボロになっていた。

私は避ければ良いのにもかかわらず、咄嗟のことに思わず子供を庇ってしまった。

その結果。

 

ザシュッ!

 

「カハッ……ア…。」

 

飛んできた槍の破片は私の胸に刺さり、そのままその場に倒れてしまった。

子供が私のこと呼んでいるのが聞こえたのか天羽奏は目を丸くしてこちらに駆け寄る。

 

「おい!死ぬな!」

 

天羽奏は私を抱えると必死に呼び掛ける。

周りを見ればノイズがまだいる。

風鳴翼はこちらに気を取られているのかノイズにやや押され気味だった。

このままだと本当に死ぬのかもしれない。

と思ったその時だった。

辺りが緑色の光で包まれる。

同時に緑色の雷が周囲にいたノイズを一匹残らず殲滅した。

 

「な、何だったんだ……?」

(今のは……もしかして…。)

 

天羽奏と風鳴翼は困惑するが私にはそれを行ったのが誰だか分かった。

もしかして、あの子(・・・)が近くにいるのだろうか…。

何はともあれ…。

 

「よかっ……た……。」

「!?お、おい!」

 

天羽奏の呼び掛けと共にわたしの意識は暗転した。

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