古明地こいしとFクラス   作:こいし金二

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今回明久視点。


第十七話「収拾!SideA」

 

 

現在、僕は悪魔に追われています。

 

「いたぞ!吉井だ!引っ捕らえて処刑しろ!」

 

「B隊は回り込み、C隊はこのまま追いかけて挟み撃ちにするんだぜ!」

 

「「「了解っ!」」」

 

「サーチアンド・・・」

 

「「「デス!」」」

 

後ろから聞こえてくる、全てを奪おうとする悪魔達の声。

悪魔理沙が部隊を編成して、僕を追い詰めようとしている。

まったく、僕がイケメンでラブレターをもらったからといって、そんなに嫉妬しないで欲しいよね。

これから貰えるかわからないんだから、一人でゆっくり読ませて欲しいものだよ。

・・・やだな、泣いてなんかいないよ?

 

「・・・吉井、見つけたぞ。」

 

「うわっ、正邪!?」

 

目から出た塩水を拭いながら走っていたら、目の前に正邪が出てきた。

いきなりだから結構びっくりしたよ。

 

「まあ落ち着け。私はお前に協力しようと思ってな。」

 

「・・・協力?」

 

さっき、僕のこと脅迫していたような気がするんだけどな・・・。

 

「少し考え直してな。お前もこのまま全員に捕まって手紙を取られるのは嫌だろ?」

 

確かにそうだね。

理由はわからないけど、味方がいた方が安心だ。

 

「うん、わかったよ。ありがとね。」

 

「気にすんな。・・・これも、手紙を平和的に見るためだからな。」

 

「ん?正邪、なんか言った?」

 

「いや、何も言ってないぞ?それより、逃げなくていいのか?」

 

正邪の言葉で振り返ると、確かに悪魔達が迫っていた。

 

「いたぞ!吉井だ!正邪も一緒にいるぞ!」

 

「・・・げっ。行こう、正邪!」

 

「おう、そうだな!」

 

僕と正邪は走り出す。

悪魔達から逃げ切り、幸せをつかむために。

 

「・・・その言い方だと、私とお前がそういう感じだと聞こえるからやめてくれ。」

 

「あ、ごめん。」

 

「吉井!観念して手紙を出しやがれ!」

 

「げ、前からも来た。」

 

このままだとはさまれちゃうから、やむなく近くの空き教室に逃げ込む。

なにか、なにかこの状況を打開できるものは・・・あった!

 

「正邪!これを入り口の上にひっかけるんだ!」

 

「おう、任せとけ。」

 

あとはタイミングを待つだけ・・・

 

「観念しやが『今だ、正邪!引っ張って!』うおっ!?」

 

全員が入った瞬間、僕と正邪で、さっきかけたゴールネットをひっぱる。

狙い通り、ネットにつつまれる五人。

 

「端の奴から出て吉井を引っ捕らえろ!」

 

「ああ、だがこのネット、濡れているから体に張り付いて・・・。」

 

それでもすぐに脱出しようとする悪魔達。

でも、僕がこれだけで終わるなんて思わないでほしいね!

 

「正邪は離れて!」

 

「おう!」

 

正邪が離れたことを確認し、僕は秘密兵器を取り出す。

 

「お、お前まさか!やめろ!」

 

「さらばだ!来世では悔い改めるんだよ!」

 

僕が取り出したのは、ムッツリーニから借りていたスタンガン。

これを、濡れたネットにつつまれたクラスメイトに、スイッチをONにして投げつける!

 

「「「ぎゃあああああっ!」」」

 

バチバチバチッ!と激しい音に焦げ臭い臭い。

そして、気絶するクラスメイト達。

よし、まずは5人だ!

 

「うわぁ、お前、容赦ないな。」

 

正邪がちょっとひいてるけど、こうでもしないとこの悪魔達は抑えられないしね。

 

「よし、今のうちに行こう!」

 

僕達はこのまま出る。

絶対に、この聖書を悪魔に奪わせはしないよ!

 

 

 

 

 

 

 

「やあお前ら、調子はどうだ?」

 

「!?・・・ああ、正邪か。吉井を殺る気は充分だ。吉井を見なかったか?」

 

「ああ、見たぞ。場所を教えてやろうか?」

 

「頼む。」

 

「・・・お前らの、後ろだ。」

 

「だらっしゃあああぁっ!」

 

「「「うわああああっ!」」」

 

正邪がクラスメイトの注意をひきつけている間に、僕は本棚を倒す。

ずしいいいんと大きな音をたてて倒れる本棚と、その下敷きになるクラスメイト達。

よし、これでまた無力化できたね!

 

「人の恋路を邪魔するからそうなるんだよ!さらばだ!」

 

「おのれ吉井!裏切り者め!」

 

「絶対に許早苗!」

 

「正邪さん、もっとやってください!」

 

「覚えていろ!お前の幸せは絶対にぶち壊す!」

 

「・・・本当に、歪んだクラスメイト達だなあ・・・。」

 

なんかMな人いたし。

 

「吉井、そこのモップで出入り口封鎖した方がいいぞ。」

 

「確かにそうだね。ありがと、正邪。助かるよおおおーっ!?」

 

危なっ!

いきなり飛んできた文房具。

なんとか回避したけど、あともう少し遅かったらと思うとぞっとする。

壁に刺さってるし。

 

「・・・動かなければ、楽にしてやれたのに。」

 

「さらっと何言ってるんだよムッツリーニ!」

 

「おいおい、私まで巻き込むとはどういうつもりだ?」

 

「・・・必要な、犠牲だ。」

 

僕にカッターを投げてきたのはやっぱり、元友人で、現在は敵のムッツリーニだった。

しょうがない、ラブレターのためにも眠ってもらうよ!

 

「とりあえず覚悟、ムッツリー『・・・次はカッター』やっぱり話し合おう。」

 

やっぱり友達に暴力なんてダメだよね。

 

「ムッツリーニ、そっちの欲求は?」

 

「やはり、吉井の手紙を奪うことなのか?」

 

「・・・そんなんじゃない。こちらの要求は・・・。」

 

あれ?

手紙を奪う気ないのかな?もしかしてムッツリーニも『・・・グロテスク。』悪魔だったよ畜生!

僕はこれほどどうにもならない交渉をしたことがない。

でもなんとかし『・・・交渉決裂。』ようとする前にダメじゃん!

しょうがない、殺るしかない!

 

「・・・動くな。」

 

「イヤだよ!」

 

飛んでくる文房具を必死に回避する。

 

「うわ、しまった!」

 

だけど、正邪が回避の際にバランスを崩してこけてしまう。

 

「・・・・・・青!(ブシャアアア)」

 

「おい、見るんじゃない!」

 

正邪がこけた時、パンツが見えたのか、鼻血を盛大に吹いて倒れるムッツリーニ。

倒れてもなお、僕を殺ろうとしたのかピクピク動いていたけど、やがて動かなくなった。

・・・勝った、第三部完。

 

「と、とにかく行こう!」

 

「私にとっては不本意だがな・・・。」

 

血まみれのムッツリーニを背に、僕と正邪はむかう。

 

「ところで、吉井はどこで手紙を見るつもりなんだ?」

 

「んー、特に決めてないかな。」

 

「屋上とかどうだ?」

 

「いいねそれ!」

 

確かに屋上なら良さそうだ!

いいアイデアだよ正邪!

早速、屋上へ行こう!

・・・と、その前にムッツリーニの死体から武器をとっておこうっと!

 

 

 

 

 

 

 

「おっと、ここを通りたいなら手紙を置いていくんだぜ。」

 

「魔理沙、そこをどいてくれない?」

 

屋上へ向かう道の途中。

僕の前に立ち塞がったのは魔理沙だった。

 

「それは無理な相談なんだぜ。通りたいなら力づくでどかすんだな。」

 

「でも、2対1で、魔理沙が勝てると思うの?」

 

「いいや、2対2だぜ。サモン、須川!」

 

「いや、俺は召喚獣じゃないんだけどな。」

 

魔理沙の声であらわれたのは異端審問会会長の須川君だった。

手には木刀を持っている。

 

「吉井、俺はお前の幸せを許さない。この木刀は剣道部から借りてきた。さあ、覚悟しろ。」

 

「くっ・・・!卑怯な・・・!」

 

「いや吉井、お前死体から武器を取ってなかったか?」

 

・・・あ、そうだった!

 

「なら正邪は魔理沙をお願い!僕は須川君を殺る!さあ、この武器の山葵にしてあげるよ!」

 

そういいつつ、僕はムッツリーニから取った武器を取り出す。

どうだ須川君!僕だって爪切り装備しているから丸腰じゃないよ!

・・・ん?

 

「「「吉井・・・・・・。」」」

 

みんなのバカを見るような目が物凄く辛いです。

 

「くっ、いいさ!これでやってやる!覚悟!」

 

「いや爪切り使わない方が強いだろ!」

 

「吉井、お前こそ覚悟しろ!」

 

それぞれの考えを持つ四人が、今ぶつかりあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・まさか、本当に爪切りで勝てるとはね・・・。」

 

勝てちゃった。

深爪になって地面に倒れ伏す須川君。

その横に転がっている木刀。

 

「く、くそ・・・!吉井、お前の幸せだけは許さねえ・・・!」

 

「こっちも魔理沙は終わったぞ。」

 

「正邪!無事だったんだね!」

 

「まあな。」

 

よし、これで邪魔する人達もいなくなったはずだし、屋上に向かおう!

 

 

 

 

 

「正邪、あとは頼むぞ・・・。吉井の手紙を見届け、私に教えてくれ・・・ガクッ。」




いかがでしたか?
正邪と魔理沙は策士であった。
次からは文化祭編です。

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