古明地こいしとFクラス   作:こいし金二

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第二章『文化祭!』
第十八話「学園祭準備!」


 

 

 

「お姉ちゃん、本当にいい天気だね~!こんな天気だと、つい外で遊びたくならない?」

 

今日もいい天気だね~!

雲ひとつなく晴れ渡る空、温かい日差し、葉っぱだけになった桜。

こういう日は、テンションが上がるよ!

・・・普段ならね。

 

「こいし、今は外の天気を気にするんじゃなくて仕事をしなさい。」

 

私やお姉ちゃん、その他は文月学園の文化祭実行委員だ。

・・・正直、自分でひきうけたとはいえめんどくさいな。

お姉ちゃんがいたからやってるけど、お姉ちゃんと話したり抱きついたりするチャンスあんまりないし。

 

「・・・ここじゃなくても、学校で抱きつくのはダメよ。」

 

「・・・・・・( ;∀;)」

 

あれ、おかしいな?

無意識のうちに塩水が目から流れてるよ?

 

「泣いてないで仕事をしっかりこなしなさい。」

 

むー、お姉ちゃんが鬼だ。

 

「・・・まあ、もし、あんたが仕事を真剣にやったらだけど、私と召喚大会にで『やる!』・・・じゃ、頑張りなさい。」

 

召喚大会。

その名の通り、召喚獣を使ったトーナメント制のバトルで、優勝すると賞品として商品券とかが貰えるんだよね。

それに、クラスが違うから普段はお姉ちゃんと肩を並べて戦うことができないけど、この大会ならできるからね!

 

「お姉ちゃんと一緒に戦える~♪楽しみだな~♪・・・あ、お姉ちゃん、仕事終わったよ!」

 

「・・・相変わらず、やる気だした時のあんたは凄いわね。」

 

そんな嬉しいことが待ってるんなら、仕事もはかどっちゃうよ!

 

 

 

 

 

 

 

「・・・あれ?みんながいない。どこ行ったのかな?」

 

十分後、私は仕事を終えてクラスに戻ったんだけど、なんかクラスの人数が少ないな・・・?

姫路ちゃん、美波ちゃん、阿求ちゃん、木下君、お空しかいない。

男子全員と二人の女子がいな『わしは男じゃ!』木下君、こう言うときに勘が鋭いのは一般的に女性の特徴だよ?

 

「・・・あー、外、外見ればわかるわよ。」

 

美波ちゃんが、なんか言いづらそうにいう。

なにかあったのかな?

言われて外を見てみる。

 

「よっしゃ吉井!次は撃ってやるぜ!」

 

「もちろん撃たせるつもりはないよ!僕の魔球で三振になるがいい!」

 

「私も早く撃ちたいから正邪は早くヒットを撃つんだぜ。」

 

「・・・野球?」

 

野球・・・だよね。

何故か、Fクラスのほとんどの人達が野球やってる。

・・・楽しそう!

 

「楽しそうだから、私も行ってくる!」

 

きびすをかえし、外に出ようとする私。

でも、何故か、木下君に手を押さえられた。

 

「悪いことは言わないからやめておくのじゃ。もう一度外を見てみるべきなのじゃ。」

 

「・・・・・・あ。ありがとね、木下君。」

 

言われて外を見てみる。

そこでは野球ではなく鬼ごっこが行われているね。

・・・鬼が鉄人だけど。

楽しい遊戯というより、もはやデスゲームだよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・さて、これから文化祭の出し物について話し合う。まずは議事録進行ならびに実行委員を一人任命する。そいつに全権を委任するから、あとは任せた。」

 

頭にたんこぶがある坂本君が言う。

やる気ないね~。

 

「で、その実行委員だが、古明地は頼めるか?」

 

「私?私は忙しいから無理かな。」

 

実行委員と召喚大会があるからね。

それに、お姉ちゃんと文化祭まわる時間も確保しないといけないからね~。

 

「そうか、じゃあ島田はどうだ?」

 

「ウチ?ウチもちょっと、召喚大会で忙しいから無理ね・・・。魔理沙はどう?」

 

「私はやる気がないんだぜ。それに、なんとなく忙しくなりそうな気がするんだぜ。」

 

「忙しくなりそうな気がするってまた斬新な断り文句だな・・・。なら・・・、正邪しかいないのか・・・。」

 

なんかすごく嫌そう。

正邪ちゃんはまれに天邪鬼だから、こういうの向かなさそうだもんね。

親友に言う言葉としてはアレだけど、お空は鳥頭だから、多分自分でだした指示や出された意見を忘れちゃいそうだし。

 

「雄二、姫路さんや稗田さんはどう?」

 

「その二人には無理だな。多分全員の意見を真摯に聞いているうちにタイムアップになる。」

 

「あ、あの、それに私も美波ちゃんと召喚大会に出るので・・・。」

 

「私も、小鈴と出ることが決定しているので、少し厳しいですね・・・。推薦してくださることはありがたいことですが・・・。」

 

「あ、そうなの?それならごめんね。」

 

結構出る人が多いな~。

私とお姉ちゃんのペアだけじゃなくて、阿求ちゃんと本居さんのペア、美波ちゃんと姫路ちゃんのペアと、3人いるみたいだしね。

さっきの魔理沙のアレは多分、霊夢さんに強制的にとかなのかな?

 

「私は一応やるからには真面目にやるつもりだぞ?」

 

「・・・なら、正邪頼む。」

 

「よし、任せてくれ。だが、黒板に書く役を一人決めたい。」

 

正邪ちゃんは、黒板に書かせる人が欲しいみたい。

 

「なら、とりあえず、誰にやらせたいか、適当に3人程書いてくれ。俺は寝る・・・・・・zzz。」

 

坂本君寝ちゃった。

 

「そうか。それなら・・・」

 

①吉井

②明久

③アキ

 

「この中から決めてくれ。全員バカだけどな。」

 

「ちょっと、それ全部僕じゃないか!それに、さらっとバカ呼ばわりするなんて君はバカだ!」

 

正邪ちゃんは吉井君にやらせたいみたいだ。

多分、面白がってるよあれ。

 

「じゃあ投票を取るぞー。・・・・・・・・・えーと、①が41票、②が7票、③が1票だな。よし、吉井に決まったから頼むぞ。」

 

ちなみに、私は②に投票をしたよ!

寝てる坂本君以外は全員投票をしたみたいだね。

不平を言っても無駄だと悟ったのか、上がっていく吉井君。

 

「とりあえず、意見がある人は手をあげてくれ。」

 

そう言われて、何人かが手をあげる。

よかった、やる気がある人はいるみたいだね。

 

「じゃあ、ムッツリーニ。」

 

「(スック)・・・写真館。」

 

・・・ムッツリーニ君が言う写真館って、なんか嫌な予感がするのは私だけかな?

 

「よし、じゃあ吉井、書いてくれ。」

 

「わかったよ。」

 

【① 写真館『秘密の覗き部屋』】

 

・・・・・・待って、その名前は危ない匂いしかしないよ吉井君。

 

「じゃあ、次進藤。」

 

いや、正邪ちゃんも突っ込もうよ。

 

「メイド喫茶・・・はありふれているだろうし、ウェディング喫茶を提案したいかな。」

 

「ウェディング喫茶?それはどういうものなんだ?」

 

「やることは普通の喫茶店と変わらないけど、店員がウェディングドレスを着ているというものだよ。」

 

「ほー、なかなか面白そうだな。」

 

ウェディングドレスね・・・。

私が着るのもいいけど、お姉ちゃんが着ているのも見たいな。

まあ、もし、お姉ちゃんが誰か男とつきあうなら、そいつを抹殺したうえで、どんな男かを確かめないといけないけどね。

 

「じゃ、吉井、書いてくれ。」

 

「へいへい。」

 

【② ウェディング喫茶『人生の墓場』】

 

・・・・・・待って、吉井君結婚をそう考えているの?

美波ちゃんと姫路ちゃんが不満そうな目で見てるよ?

 

「・・・・・・じゃ、次は魔理沙。」

 

正邪ちゃん突っ込むの諦めたね。

 

「それならカジノとかはどうなんだぜ?生きるか死ぬか、とまでは言わないが、そこそこの賭けを他人がやってるのを見るのは楽しいんだぜ。」

 

「じゃ、吉井、しっかり書いてくれ。」

 

「ほいほい。」

 

【③ カジノ『Dead oa Araive』】

 

・・・待って、名前が物騒とかいう以前にスペルがおかしい。

それを言うなら『Dead or Alive』だよね。

 

「・・・・・・もういいや。次、斎藤。」

 

「俺はお化け屋敷をやりたい。怖さがありつつも客を楽しませ、まるで夢を見ているような奇妙な体験をさせられるのが理想だ。」

 

「・・・吉井、お化け屋敷だ。真面目に書け。」

 

「な、なんだか怖いな。」

 

【④ お化け屋敷『夢○国、ディ○・・・』】

 

「「「アウトーッ!」」」

 

さすがにこれは突っ込むよ!

 

「吉井、それ以上書くな。絶対に書くな。」

 

「で、でも正邪が書けって『いいから書くな!』・・・はい。」

 

よかった、どうにかなったよ。

使者がやってきたら洒落にならない。

 

「・・・じゃあ、最後に須川。」

 

「俺は中華喫茶を提案する。」

 

「中華喫茶?店員がチャイナドレスを着るのか?それとも中華料理を出すのか?」

 

「いや、あくまで喫茶店だから、ウーロン茶とか簡単な飲茶を出すだけになるよ。それに、チャイナドレスで客を釣りたい訳じゃない。最近じゃあヨーロピアン文化が中華料理の淘汰が見られるから、その流れを変えようと一石投じてみたいからな。焼け石に水かもしれないが、水滴が石を穿つとも言う。中華料理は古来からあって、料理文化の中心とも言われていて・・・」

 

この後3分ほど語り続ける須川君。

すごい熱だね。

 

「オーケーオーケー、わかったわかった。吉井、いい加減に真面目に書け。」

 

「せ、正邪、なんか怖いよ・・・?」

 

【⑤ 中華喫茶『ヨーロピアン』】

 

・・・・・・もう、何も言わないよ。

吉井君が書いた時、がらがらと扉を開ける音とともに鉄人先生が入ってくる。

 

「どうだ、清涼祭の出し物は決まったか?・・・これが候補だな。」

 

【① 写真館『秘密の覗き部屋』】

【② ウェディング喫茶『人生の墓場』】

【③ カジノ『Dead oa Araive』】

【④ お化け屋敷『夢○国、ディ○』】

【⑤ 中華喫茶『ヨーロピアン』】

 

「・・・補習の時間を倍にしたほうがいいかもしれんな。」

 

「先生!それを書いたのは吉井で、俺達は関係ありません!」

 

「ただ吉井がバカなだけで、俺達に補習は必要ありません!」

 

「全部吉井が悪いんです!」

 

「馬鹿者!みっともない言い訳をするな!」

 

「「「!!!」」」

 

教師として、一人の生徒を生け贄に、自分だけ助かろうとする行為は許せなかったみたい。

一喝に、みんなの背筋が思わず伸びる。

 

「先生は、バカな吉井を選んだ行為がバカだと言っているんだ!」

 

・・・確かにそうだけど、それなの?

いいのかなそれで。

 

「まったくお前らは・・・。少しは真面目にやったらどうだ。稼ぎを出して設備を良くしようという気持ちすらないのか。」

 

「「「!!!」」」

 

その言葉で、さっきみたいにみんながはっとする。

みんなやる気を出したのか、ざわざわし始めるクラス。

なかなかおさまらないから、正邪ちゃんが強引に多数決をとる。

それで・・・多いのは中華喫茶だね。

よ~し、がんばろ~っと!

 




いかがでしたか?
こいしちゃんってチャイナドレス似合いそうですよね。

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