「さて、中華喫茶に決まったわけだが、料理がうまい奴はいるか?」
「俺は飲茶や胡麻団子はできるから引き受けるよ。」
言い出しっぺなだけあり、須川君には自信があるみたいだね。
「・・・・・・(スック)」
あれ、ムッツリーニ君も?
なんか、意外だね。
「あれ、ムッツリーニ、料理なんて出来るの?」
「・・・・・・紳士のたしなみ。」
紳士のたしなみ?
中華料理が紳士のたしなみというのは聞いたことがないけどね。
もしかして、チャイナドレス目的に中華料理店通っていたら、見よう見まねで出来るようになったのかな?
「なるほどな。なら、厨房は須川と土屋を中心にしよう。次は、厨房で料理を担当する厨房班と、客の注文を取るホール班を決めるぞ。厨房班を希望するなら須川の方へ、ホール班を希望するなら私の方に来てくれ。」
んー、私はどうしようかなー?
一応、料理はそこそこ出来るんだけど、お姉ちゃんのごはんが美味しくて、あまり作らないからね。
・・・よーし、ホールにしよーっと!
「お空はどうするの?私はホール班だよ。」
「んー、私もホールにする!」
お空もホールにするみたい。
でも、注文を忘れちゃったりしないか不安だな。
・・・ま、いっか!
「うぅ・・・、厨房かホールか悩める皆さんが羨ましいですぅ・・・。」
横では姫路ちゃんがしょぼくれてた。
・・・確かに、料理が料理だもんね。
姫路ちゃんには悪いけど、殺人料理出したら客いなくなっちゃうし・・・。
「大丈夫だよ姫路さん!姫路さんはホールに向いているし、見た目もいいから華がでるよ!」
そんな姫路ちゃんに吉井君がフォローする。
お、男らしいね~!
姫路ちゃんも嬉しそうにしてる。
「アキ?なら、ウチはどうすればいいと思うかしら?」
「美波の料理の腕がわからないからなんとも言えないけど、やりたい方をやればいいんじゃないかな?そっちの方が楽しいからね。」
「そういうこと聞いてるんじゃないのに・・・。」
吉井君、そこはホール班だよと答えるべきところだよ。
美波ちゃんは結局ホールにしたみたい。
「私は厨房班にしましょう。」
「お?阿求、料理が出来たのか?」
「まあ、それなりに・・・というか、本で過去に読んだ知識とレシピをたよりに作るくらいですが・・・。」
「なら、ホールをやった方がいいと思うんだぜ。可愛いんだからな。」
「可愛いなんて、ありがとうございます。では、ホールにしましょうかね。」
阿求ちゃんと魔理沙が後ろで話してる。
ふたりともホールにするみたいだし、Fクラス女子は全員ホールみたい。
「・・・こいしちゃん、この後、時間ある?」
「あるけど、どうしたの?」
「・・・ちょっとした相談があるのよ。」
「うん、わかったよ。」
そんなことを考えてたら、美波ちゃんが相談があるみたい。
でも、美波ちゃんの相談ってなにかな?
「・・・あれ?古明地さんも呼ばれたの?」
「吉井君もなんだ。うん、私もだよ。」
言われた場所には吉井君や木下君もいたけど、どうしたのかな?
「・・・アキもこいしちゃんも、ありがとね。実は、相談は学祭のことで、多分アキが一番適任なんだけど、坂本を学祭に引っ張りだせないかな?」
「うーん、雄二は興味ないものにはとことん興味がないし、厳しいんじゃないかな?」
だよね。
今日の態度から、坂本君は学祭に興味がないのはわかるし。
「でも・・・アキと坂本って、仲がいいでしょ?それも・・・ちょっと愛が芽生えるくらいに・・・。」
「もう僕お婿に行けないっ!」
冗談・・・だよね。
うん、さすがに美波ちゃんも思ってないよね。
「でも、仲がいいのは事実よね?」
「誰があんな赤ゴリラと!それなら、断然秀吉がいいよ!」
「あ、明久よ、すまぬがおぬしの気持ちには答えられそうにないぞい。ほら、歳の差とかもあるからのう。」
違うよね。
歳の差問題じゃないよね・・・。
「そっか・・・。じゃあ、こいしちゃんや木下はどう?」
「んー、吉井君が無理なら私も厳しいと思うよ。」
「ワシも厳しいと思うぞい。」
愛はともかく、一番仲がいいのは吉井君だもんね。
友達か疑わしくなる時も多いけど。
「そっか・・・。これ、本人には言わないで欲しいと言われているけど、事情が事情だから話すわ。言いふらしちゃダメよ。」
「う、うん。わかったよ。」
美波ちゃんが真面目な調子だけど、それだけ大変なことってことだよね。
「実は、瑞希のことなんだけど・・・、あの娘、転校しちゃうかもしれないの。」
「・・・え?」
転校?
確かに、これは衝撃的なことだね・・・。
「ええ、それが・・・ってアキ?」
「む、いかん。明久が処理落ちしかけとるぞい。」
「アキ!不測の事態に弱すぎるのよ!起きなさい!」
固まってふらふらしてる吉井君を揺らす美波ちゃん。
よっぽど衝撃的だったんだね・・・。
「秀吉・・・、僕がグラ○ドラインに行っても、好きでいてくれるかい・・・?」
どうしてこうなったんだろう。
たまに、吉井君の思考回路がわからないや。
ワ○ピースと姫路ちゃんの転校ってつながらないよね・・・。
「起きなさいっ!(ボコッ)」
「・・・はっ!?姫路さんが転校って、いったいどういうことなのさ!」
よしいくんは しょうきに もどった!
でも、それは私も聞きたいからね。
「このままじゃ、瑞希は転校しちゃうかもしれないのよ。」
「このまま?なら、確定じゃないの?」
「じゃが島田。その姫路の転校の話と、さっきの雄二の件が全くつながっておらんぞ。」
だよね。
どういうことなんだろ?
「それがそうでもないのよ。だって、瑞希の転校の理由が『Fクラスの環境』なんだから。」
あー、なるほどね・・・。
姫路ちゃんは本来Aクラスにいるはずなのに、体調不良による途中退出のせいでここにいるわけだもんね。
劣悪な設備、ライバル心など発生しえないレベルのクラスメイト、すきま風など酷い教室。
クラスメイトには阿求ちゃんいるけど、彼女も本来はAクラスだったもんね。
学年首席だったし。
「だから、学園祭を成功させて設備をどうにかしたいのじゃな。」
「そういうことよ。それに、瑞希って体が弱いでしょ?」
「そういうことなら任せて!きっちり雄二をたきつけてやるよ!」
さっきと違ってやる気充分だね。
そのまま電話をかける吉井君。
「あ、もしもし雄二?ちょっと話が・・・・・・え?雄二今何してるの?ゆ、雄二!?もしもし!?もしもーし!・・・・・・切れちゃった。」
「・・・何があったの?」
「よくわからないけど、『見つかっちまった』とか、『鞄を頼む』とか言ってたよ。」
・・・指名手配犯かなにかなのかな?
「大方、霧島翔子から逃げ回っているのじゃろう。アレはああ見えて異性には滅法弱いからの。」
「そうなると、坂本と連絡をとるのは難しいわね・・・。」
逃げ回っているなら携帯で連絡しようとしても出ないもんね。
そうなると、校内を探すしかないのかな?
「いや、これは考えようによってはチャンスだ。」
チャンス?
「アキ、どういうこと?」
「雄二を喫茶店に引っ張り出すには丁度いい状況なんだよ、うん。ちょっと3人とも協力してくれるかな?」
「うん、私は構わないよ!」
「それはいいけど・・・、坂本の居場所は分かっているの?」
「大丈夫。相手の考えが読めるのは、何も雄二だけじゃない。」
「何か考えがあるようじゃな。」
「うん。とりあえず、古明地さんは僕についてきてほしい。で、秀吉と美波は・・・・・・。」
「で、坂本君はここにいるって言いたいの?」
私と吉井君は、吉井君が予想した場所に来たけど・・・。
そこには『女子更衣室』って書かれてる。
うん、明らかに男子がいる場所じゃないよね。
「うん。きっとここに雄二がいるよ。」
・・・わけがわからないよ。
「とりあえず、一応説明してね。」
「うん。今、雄二は霧島さんから逃げ回るために隠れているでしょ?なら、霧島さんにみつからない場所に隠れなければいけないわけだよ。」
・・・わけがわからないよ。(二回目)
「だったら、男子更衣室とか、女子がいないところじゃないと思うんだけどな。」
「いや、雄二はきっとその逆をとるはずなんだ。」
「・・・ま、いっか!でもね吉井君。」
「な、何?」
「もし、お姉ちゃんがこの中で着替えていたとして、もしそれを吉井君が見た場合、一生を暗闇の中で過ごす覚悟はある?」
「・・・い、いやだなあ古明地さん、冗談にしても怖いなー。」
冗談じゃないけどね。
「でも、きっとここに雄二はいるよ。じゃ、入ろうか。」
吉井君が女子更衣室の扉を開ける。
いつでもできるように、私もついていこーっと。
「やあ雄二、奇遇だね。」
「・・・どういう奇遇があれば、女子更衣室で鉢合わせをするか教えてくれ。」
うわー、本当にいたよ。
私が女子更衣室に入ったときに見たのは、その大きな体を小さくして、ロッカーの隅に隠れてる坂本君の姿だった。
「坂本君、自分がやってることは、一応わかってはいるんだよね?」
今は誰もいないから、先生につきだす気はないけどね。
友達が性犯罪者として捕まるのは気分良くないもん。
「まあまあ古明地さん、雄二がバカなのはいつものことだから大目にみてやってよ。」
「このうえなく屈辱的だが、今だけは否定できねえ・・・。」
まあ、わかっているならよかった。
「でも二人とも、誰も来ないうちに出たほうがい『ガチャッ』あっ、お姉ちゃんだ!わーい!」
「こいし、離れなさ・・・こいし、ここは女子更衣室よね?」
「うん、女子更衣室だよ。」
「・・・なんか、私には、この場にふさわしくないものが見えるのだけど、どういうこと?私、幻覚が見えてるの?」
「ううん、お姉ちゃんはなんもおかしくないよ。」
入ってきたのはお姉ちゃんだね。
おかしいのはお姉ちゃんじゃなくて前の二人だから大丈夫だよ!
「ふむ・・・。・・・はあ。霧島翔子から逃げるためだからといって、女子更衣室に入っていいわけがないでしょう・・・。」
「ぼ、僕は雄二を連れていこうとしただけで、やましい気持ちはないんだ!」
「・・・嘘ではないようですが、理由があっても男子が女子更衣室に入るのはダメということ、わかっていますか?」
「ご、ごめんなさい!」
「・・・まあ、私も被害自体は無いですし、見なかったことにしてあげるのでとっとと去りなさい。」
「「ありがとうございます!」」
お姉ちゃん優しい!
さすがお姉ちゃんだよ!
ここをダッシュで出ていく2人。
「・・・で、こいし。いい加減に離れなさい。」
「やーだー!今誰もいないしこのままでもいいじゃーん!」
「・・・はあ。誰か来るかもしれないのに。」
そう言いつつも、無理に引き剥がそうとしないお姉ちゃん。
やっぱり大好き!
「ところでこいし、Fクラスは何をやることに決まったの?」
「中華喫茶だよ!お姉ちゃんにも来てほしいな。」
「・・・まあ、時間があれば行くわよ。」
「やったー!楽しみにしてるね!お姉ちゃん達Bクラスは何をやるの?」
「私達は焼きそばの出店よ。」
おー、焼きそばかー!
お姉ちゃんの料理はどれも美味しいからワクワクだよ!
「・・・で、こいしは戻らなくていいの?ここに来たのも、クラスのことだったんでしょ?私も着替えなくちゃいけないし・・・。」
「あ、そうだね。じゃあまたね、お姉ちゃん!」
「あれ、坂本君と吉井君は戻ってないの?」
教室にいたのは・・・木下君と美波ちゃんだけだね。
どこいったんだろ?
「ああ、あいつらなら一回戻ってきとったが、今は学長室に行ってるぞい。」
ふーん、そうだったん・・・ん?
学長室って何したの二人とも・・・あ、覗き容疑かな。
「もしかして、覗き容疑で捕まったの?」
「覗き?何のことじゃ?あの二人はFクラスの教室の改善を要求しに行っているぞい。」
「アキ、覗きをするなんて、これは制裁が必要そうね・・・。」
・・・あっ。
・・・吉井君に罪がない・・・訳じゃないけど、美波ちゃんが考えてるのとはちょっと違うし、止められないかな?
「ただいまー!ババァと話をつけ肘の関節があらぬ方向に曲がってて折れそうに痛いいいぃ!!」
・・・あっ。
なんて最悪なタイミング・・・。
「アーキー?覗きなんてするこの悪い目はこれかしらー?」
「ちょっ!?美波、平然とチョキをかまそうとするなんて危ないじゃないか!」
「美波ちゃんストップ、一回落ち着いてー!」
~少女説明中~
「理解はしたけど、坂本は何やってんのよ・・・。」
「まあまあ、雄二がバカなのはいつものことだから、大目にみてやってよ。」
「当たってたとはいえ、アキのその思考もおかしいでしょ!」
だよね。
たまに吉井君、実は天才なんじゃないかと錯覚しちゃうようなことはあるけど。
「ところで、坂本君はどうしたの?」
「雄二?雄二ならほら、そこに・・・。」
そこ?
・・・あっ。
「ぐわっ、翔子!まだ追ってきてたのか!」
「・・・浮気は許さない。お仕置きが必要。」
「待て、浮気なんてしてなぎゃあああああっ!(バチッ、ズルズルズル)」
「「「・・・・・・。」」」
そこには、霧島さんにスタンガンで気絶させられて首根っこ掴まれて引きずられる坂本君の姿があった。
「・・・これは、今日は無理そうじゃな。」
「・・・うん、そうだね。」
結局、その日は話を聞けなかったよ。
でもまあ、坂本君も学祭に協力してくれるみたいだし、まあいいか!
いかがでしたか?
さとり様はすごい。