古明地こいしとFクラス   作:こいし金二

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今回は2回戦。


第二十三話「想起『テリブルスーヴニール』!」

 

 

「・・・こいし、遅いわよ。」

 

「ごめんねお姉ちゃん、クラスでちょっと問題あって遅くなっちゃった。」

 

お姉ちゃんと合流する。

次に余裕ができた時、お姉ちゃんのBクラスにも行きたいな。

焼きそば楽しみだな~!

 

「・・・まったく、焼きそば食べたいなら、わざわざ来なくても私が作ってあげるのに。」

 

・・・・・・!!?

 

「お姉ちゃん大好き!!」

 

「ひゃっ!?だ、だからだきつかないでって言ってるでしょ!」

 

引き剥がされちゃった。

残念。

でもまあ、今は大会に集中しないと!

 

 

 

 

 

 

「・・・げっ、お前らかよ!」

 

二回戦の対戦相手は、えーと・・・誰だっけ?

・・・あ、そうだ!藤○君だ!

 

「・・・こいし、彼は根本よ。」

 

あれ、そうだっけ?

姫路ちゃんからラブレター奪ったクズで女装趣味ということしか覚えてないや!

覚える価値ないし!

 

「ところで、隣の人は誰?」

 

「えーと・・・、確か小山さんだったわね。Cクラスの代表で、根本の彼女だったはずだわ。」

 

へー、あの人が小山さんなんだ。

・・・男を見る目がないみたいだね。

 

「・・・男を見る目が無いって可哀想だよね。」

 

「ちょっと失礼ね!」

 

あ、声に出ちゃったみたい。

 

「と、とりあえずとっとと勝負を始め『待ちなさい。』・・・なんだよ。」

 

話が良くない方向に進んでいきそうなことを察したのか、根本がとっとと勝負を開始しようとしたが、お姉ちゃんはそれを止める。

 

「さて根本、この際だから改めて言わせてもらいますが、あなたのふるまいはクラス代表として、あまりにもふさわしくないものです。あの戦いの時もそうです。あの日のあと、何故あそこまで怒っていたかこいしから聞きました。」

 

「・・・そ、それが何だと言うんだよ。」

 

「・・・反省はしないのですね。それなら、私はBクラスの一員としてではなく、古明地こいしの姉としてあなたに怒りをぶつけます。ああいう手口は、私が最も嫌うものです。・・・小山さん。」

 

「・・・なに?」

 

「実は私、このようなものをたまたま持っていまして。そこにいる根本の晴れ姿が映っていますよ。」

 

お姉ちゃんは懐から本を取り出す。

・・・ってあれ、もしかして。

 

「!!?待て古明地!止めろ!反省するから!」

 

お姉ちゃんが取り出したのは、『生まれ変わった私を見て!』というタイトルの写真集。

中には、根本の女装写真がたくさん。

若干禍々しいオーラを感じるそれを、どうするのかな?

 

「・・・今更遅いですよ。さあ、ここからが本番です。トラウマを呼び起こす恐怖の記憶で眠りなさい。・・・小山さん。これを見たいのなら、負けを宣誓してもらえませんか?」

 

「古明地ッ!お前は鬼か!?」

 

うわー、相当エグいね、これ。

このままだと、根本には黒歴史を彼女に見られて試合にも負けるっていう最悪の展開が待ち受けることになる。

 

「・・・わかったわ。私達の負けよ。」

 

「話がわかりますね。ではこちらを。」

 

小山さんが受諾し、お姉ちゃんが写真集を渡す。

お姉ちゃんを無理矢理に止めようとした根本を、美波ちゃんに教わった関節技で制裁しつつ、小山さんが写真集を眺めるのを確認する。

根本の叫びと、小山さんが写真集をぱらぱらとめくる音だけが聞こえる。

 

「ということで、私達の勝利でいいよね?」

 

「・・・あ、はい!勝者は古明地姉妹ペアです!」

 

その写真集がどんなものか気になるのか、小山さんの手元をじっと見つめてた先生に声をかけると、我にかえった様子の先生が勝利を宣言してくれた。

うん、これで2回戦突破だね。

根本を放して、私とお姉ちゃんはこの場を去る。

 

「・・・別れましょう。」

 

「ま、待ってくれ優香!これには事情があったんだ!」

 

・・・後ろから聞こえてきた声はしーらないっと!

 

 

 

 

 

 

 

「・・・さて、戦いがすぐに終わったから、少し時間が余ったわけだけど、Fクラスに行ってみてもいい?」

 

「もちろんだよ!たくさんサービスするね!」

 

お姉ちゃんが来てくれるなら、最高のおもてなしをしないと!

お姉ちゃんを連れて、Fクラスに戻る。

 

「・・・もしかして、あまり繁盛してないの?」

 

「いや、さっきまでは人がもっといたと思うんだけど・・・。」

 

さっき大会にいた時より、明らかにお客さんの姿が減ってる。

何かあったのかな?

 

「いらっしゃいませ!・・・あっ、こいしちゃんとさとりちゃん!試合は勝てたの?」

 

ドアを開けて入ると、お空が私達に寄ってきた。

 

「うん、勝てたよ!・・・ところで、いつからこんなに人すくなくなったかわかる?」

 

「んー、こいしちゃんが出てすぐ、いきなりお客さんが少なくなったんだよねー。徐々にじゃなくて、ほんとに突然減った感じだよ。」

 

お空によると、なんの前触れもなく減ったみたい。

どういうことなんだろ?

 

「そういえば、さとりちゃんは注文、どうするの?」

 

「では私は、飲茶と胡麻団子でお願いします。」

 

「わかった!伝えてくるね!」

 

お空が元気に厨房に向かっていく。

間違えないといいな。

 

「・・・あっ!ピンクの優しいお姉さんです!」

 

「きゃっ!・・・ああ、葉月ちゃんですか。」

 

お空を見ていたら、いきなり小学生くらいの女の子がお姉ちゃんにかけよってきて抱きついた。

お姉ちゃんもびっくりしてたけど、知ってる娘だったみたい。

 

「ピンクの優しいお姉さん、ひさしぶりですっ!ここには何しにきたですか?」

 

「私ですか?私は普通に食べに来ただけですよ。妹のこいしのクラスなので。」

 

「ピンクの優しいお姉さん、妹がいたですか?」

 

「ええ。隣にいますよ。」

 

「緑のお姉さん、ピンクの優しいお姉さんの妹だったですか?葉月は島田葉月、小学5年生ですっ!」

 

「私は古明地こいしだよ。よろしくね~。」

 

元気のいい自己紹介されたから、私も挨拶を返さないとね。

 

「緑のお姉さん、ピンクの優しいお姉さん、バカななお兄ちゃんを見てないですか?葉月、バカなお兄ちゃんを探しているです。」

 

バカなお兄ちゃん、ね・・・。

うーん、絞れないような気がするな・・・。

 

「名前はわからないの?」

 

「あうぅ・・・、それがわからないのです・・・。」

 

名前がわからないということは、実の兄じゃないのかな?

 

「うーん・・・、他になんか特徴はない?」

 

「えーっと・・・、すっごくバカなお兄ちゃんだったです!」

 

・・・うん、多分わかっちゃったよ。

ごめんね吉井君。

 

「んー、今は大会に行ってるから、多分もうすぐ戻ってくるんじゃないかな・・・?」

 

「じゃあここで待つです!緑のお姉さん、ピンクの優しいお姉さん、ありがとうございました!」

 

お礼を言って、葉月ちゃんは座ってた席に戻ってく。

入れ替わりのように、お空が胡麻団子と飲茶を持ってくる。

 

「おまたせ!胡麻団子と飲茶だよ!」

 

「ありがとう、ではいただくわね。・・・あら、美味しいじゃない。」

 

やった!

お姉ちゃんが認めてくれた!

 

「でも、なおさら客がいない謎が深まるわね・・・。こいし、なにか心当たりはないの?」

 

「えーっと、2回戦の前に営業妨害目的のクレーマーが来たのはあったけど、制裁はしたからもうやってないと思うんだけどね・・・。」

 

「制裁?何を・・・いや、やっぱり言わなくていいわ。」

 

心を読んだのかな?

でも、あれだけやられてまだ妨害続けるかな・・・?

考えてると、魔理沙が戻ってきて、客の少なさに驚いていたから、軽く説明しておく。

すると、魔理沙がとある案を出してくれた。

 

「それなら、いい案があるぜ!チャイナドレスを着て客寄せをすれば、千客万来間違いなしなんだぜ!」

 

「チャイナドレス?そんなもの、ないんじ『・・・ここに。』ムッツリーニ君、私達が着ているの、見たかったの?」

 

「・・・違う、宣伝のためだ。」

 

チャイナドレスという単語に反応したのか、ムッツリーニ君がチャイナドレスを持ってやってきた。

相変わらずだけど、こういうことになるとムッツリーニ君はものすごくハイスペックになるよね~。

 

「じゃあ、早速着てみるね!」

 

いいだしっぺの魔理沙と、ついでに今いるお空と阿求ちゃん、あと私は奥で着替えてくる。

戻ってきてみんなの前に立ったら、ムッツリーニ君が「・・・感無量」とか言って鼻血を出して倒れたり、美波ちゃんに胸元見られながらものすごい悔しそうにされたりと色んな反応があったけど、少なくとも似合わない訳じゃないみたい。

よかった。

 

「じゃあ、早速宣伝してくるよ!お姉ちゃん、好きなだけゆっくりしていってね!」

 

「あ、私も行くよ!」

 

早速宣伝に行くと、戻ってきた時にはお客さんがたくさん来ていたよ!

よかった、効果はあったみたい!

このあとも頑張らないとね!




いかがでしたか?
根本振られたザマア。
さて明久サイドはどう出るのか。

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