古明地こいしとFクラス   作:こいし金二

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第二十五話「三回戦!」

 

 

 

「こいし、もうそろそろ大会の時間じゃないのぜ?」

 

客が戻ってから、ずっとチャイナドレスで接客してたから、時間がわかってなかったけど、いつの間にか時間になってるね。

魔理沙に言われなかったら気づかなかったかも。

 

「あ、魔理沙、ありがと~!じゃあ、行ってくるね~!」

 

じゃあ、行ってこよっと!

さっき、お姉ちゃんと待ち合わせるのは大会の会場って決めてるから、まっすぐ会場に向かう。

すでに待ってたお姉ちゃんに声をかけて、早速あがるよ!

対戦相手は誰なのかな?

 

「・・・あ、こいしちゃんとさとりさんじゃないですか!」

 

「ああ、こいし、さっきぶりね。」

 

そこで待っていたのは、早苗ちゃんと天子さんだったね。

 

「早苗さん、ひさしぶりですね。」

 

「さっきぶり!天子さん、今度こそ負けないよ~!」

 

前回の戦争では負けちゃったけど、二回も負けたくないもんね!

 

「・・・ところでお姉ちゃん、科目はなに?」

 

「・・・それくらいは調べておきなさいよ。現代文よ。」

 

・・・え、現代文?

 

「それでは、お互い召喚獣を出してください。」

 

「「サモン!」」

 

早苗ちゃんと天子さんが、召喚獣を呼び出す。

点数は・・・

 

『Aクラス 東風谷早苗 現代文 181点 and Aクラス 比名那居天子 現代文 322点』

 

「天子さん、今回のテストはいつもより取れたんですよ!」

 

「それでもBクラスの平均程度でしょ・・・。早苗は現代文だけ点数良くないわよね・・・。」

 

「うう・・・、採点する先生は常識に囚われすぎなんですよ!」

 

召喚獣、出したくないな・・・。

 

「こいし、あなたの現代文の点数が低いのは知ってるわよ。でも、私がフォローするから大丈夫よ。」

 

お姉ちゃん・・・!

 

「わかった、じゃあ出すよ!」

 

「「サモン!」」

 

お姉ちゃんと同時に、召喚獣を呼び出す。

 

『Fクラス 古明地こいし 現代文 37点 and Bクラス 古明地さとり 現代文 499点』

 

「・・・こいし、さすがにもっと取りなさい。」

 

「ごめんなさい、お姉ちゃん・・・。」

 

お姉ちゃんとの点数差は、約13.4倍。

現代文は苦手だけど、前回のはさらに取れなかったんだよね・・・。

 

「そういえば、こいしちゃんも現代文苦手でしたね。」

 

「でも早苗、姉の方は腕輪持ちだから注意しておいた方がいいわよ。」

 

「はい!私はこいしちゃんを先に倒すので、天子さんはさとりさんの足止めをお願いしますね!」

 

「まあいいけど、早く倒してよ?」

 

どうやら、私の相手は早苗ちゃんみたい。

点数比4.8倍、吉井君の気持ちがわかる気がするな・・・。

 

「こいし、勝とうと思わなくてもいいから、やられないでね。」

 

「わかった!」

 

観察処分者の吉井君ほどじゃないけど、私もある程度は操作できるからね!

それに、早苗ちゃんの召喚獣は基本的に素手だから、リーチはこっちが有利だし!

 

「では、行きますよ!」

 

早苗ちゃんがこっちに早速拳を叩きこもうとしてくる。

 

「おっとっと・・・、これはまともに受けちゃダメみたい・・・。」

 

それに対し、私は武器である触手のようなもので受けようとするけど、点数が低い私の召喚獣はいつもより打たれ弱くて、あっさりと押しきられちゃう。

受けた瞬間に気づいたから、後ろに飛んで勢いを軽減してどうにかなったけど、これは判断をミスすると簡単にやられちゃうなあ・・・。

 

「まだまだ行きますよ!」

 

そんな私の思いなんてお構いなしに早苗ちゃんがどんどん攻めてくる。

素手の召喚獣は、相手の武器を防ぐ方法がものすごいシビアだし、攻撃も武器を持つ召喚獣より威力は低いけど、身軽な分スピードと手数に優れてるから、受けられない今の状況だとやりづらかったねやっぱ。

早苗ちゃんの拳を頑張って回避しながら、ちらりとお姉ちゃん達の方を見てみる。

 

「あんたはそんなもんなの?これなら点数が同じだったら私の圧勝よね!」

 

「・・・言ってなさい。ですが、奢りは身を滅ぼすことになりますよ?」

 

どうやら、お姉ちゃんと天子さんはいまのところ互角に戦っているみたい。

・・・互角?

 

「よそ見とは余裕ですね!」

 

「・・・!しまっ・・・!」

 

見た時間はだいたい1秒くらい。

でも、早苗ちゃんはその隙を逃さずに、左手の拳を叩きこんでくる。

慌てて回避したけど、それはフェイクだったみたいで、右の拳が私に向かってきた!

回避する余裕がなかったから、触手のようなものを束ねて両端を持って受けるけど、勢いを殺しきれず、ダメージをくらっちゃう。

 

『Aクラス 東風谷早苗 現代文 177点 VS Fクラス 古明地こいし 現代文 11点』

 

即死は免れたけど、だいぶ点数を持ってかれちゃった。

この点数だと、下手したらかすっただけでも倒されかねないかも・・・。

 

(どうしよう・・・。このまま早苗ちゃんが倒されちゃうと、2対1になっちゃう・・・。でも、私の点数じゃ早苗ちゃんを長くは足止めできないし・・・。)

 

「・・・こいし。落ち着きなさい。」

 

テンパっちゃってた私に、お姉ちゃんが落ち着くようにと声をかけてくれる。

それで落ち着いた私は、お姉ちゃんが天子さんと早苗ちゃんに見えないように動かした指の動きが目に入る。

・・・ああ、なるほどね。

わかったよお姉ちゃん。

お姉ちゃんを信じて、お姉ちゃんの方に少しづつ移動しながら回避を繰り返す。

そして、少しの時間がたつ。

 

「・・・わっ、きゃっ!」

 

何度目かの攻防で、お姉ちゃんが体勢を崩す。

 

「隙を見せたわね!」

 

その隙を見逃す天子さんではないようで、刀でお姉ちゃんの召喚獣に斬りかかる。

 

「・・・こいし!今よ!」

 

「なっ!?」

 

お姉ちゃんの言葉を聞き、私の方を向く天子さん。

でも、私の狙いは天子さんじゃない。

私の仕事は・・・

 

「むっ、触手による拘束ですか!ですがこいしちゃんからの攻撃手段はないはずです!」

 

早苗ちゃんの動きを封じることだよ!

点数に大きな差がある現状、拘束も長くはもたない。

でも、少しの間、拘束するだけでいい!

 

「心花『カメラシャイローズ』。」

 

天子さんがお姉ちゃんからわずかに意識をそらし、早苗ちゃんの動きが止められた瞬間、お姉ちゃんが腕輪の力を解き放つ。

四方八方に撒き散らされたハートの一撃の威力は低いけど、たくさん当たればそれだけ火力は出る。

そして、天子さんはかなりお姉ちゃんに近い。

とっさに刀で防ぐ天子さんだけど、量が多すぎて当たってしまう。

一度当たると次々と当たっていく。

そして、私が動きを封じていた早苗ちゃんと、ついでに私にもたくさんのハートがヒットしてく。

ハートの射出が終わった時、そこに立っていたのはお姉ちゃんだけで、三体の召喚獣が倒れていた。

 

『Aクラス 東風谷早苗 現代文 0点 and Aクラス 比名那居天子 現代文 0点』

 

『Bクラス 古明地さとり 現代文 377点 and Fクラス 古明地こいし 現代文 0点』

 

「古明地姉妹ペアの勝利ですね。どちらもお疲れ様でした。」

 

先生によって、私達の勝利が告げられる。

なんとかなったね。

 

「ごめんねこいし、あなたまで倒すことになってしまって。」

 

「ううん、大丈夫だよお姉ちゃん。」

 

私が倒れても、お姉ちゃんが残ってるおかげで私達の勝ちだし、召喚獣が倒されても痛みはないからね。

それに、私がもっと点数をとれていればよかったわけだしね。

 

「ごめんなさい、天子さん・・・。私がもっと点数をとれていたなら・・・。」

 

「早苗が悪いんじゃないわ・・・。」

 

対照的に、凹んでいる天子さんと早苗ちゃん。

正直、早苗ちゃんがもっと点数高かったらダメだったかもしれなかったよ。

 

「四回戦もここに集合でいい?」

 

「うん、大丈夫だよ!」

 

お姉ちゃんと待ち合わせ場所を決めて、解散する。

四回戦のあとは、準決勝、決勝となって優勝だから、いまでちょうど半分なはずだね。

よーし、喫茶店のほうもがんばっていこうっと!

 

 




いかがでしたか?
早天コンビはふし幻で好きになりました。

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