古明地こいしとFクラス   作:こいし金二

26 / 76
第二十六話「犯行!」

 

 

 

 

「ねえ古明地さん、飲茶の材料が足りなくなったから、取りに行くの手伝ってくれないかな?」

 

喫茶店の仕事をしていると、吉井君に、飲茶の材料を取ってくるのを手伝って欲しいってたのまれた。

 

「うん、いいよ~。」

 

断る理由もないし、協力はするよ~。

でも、なんで私なのかな?

 

「ありがとう。ちょっと一人では多かったからね・・・。」

 

・・・まあいっか!

吉井君と二人で、材料を置いてある空き教室に向かう。

えーと、確か4袋だよね。

 

「じゃあ古明地さん、僕は3つ持つから、古明地さんは1つ『おい、お前ら。』・・・ん?」

 

3つの袋を担ぎ上げようとする吉井君だったけど、知らない声が後ろから聞こえてきたため、吉井君と私は振り返る。

そこにいたのは、知らない男子3人だけど・・・なんだか嫌な感じがするな。

 

「お前らが・・・吉井明久と古明地こいしか?」

 

「うん、まあそうだけど・・・、申し訳ないけどここは部外者立ち入り禁止なんだよね。悪いんだけど、出てもらっていいかな?」

 

吉井君が、立ち入り禁止なことを伝える。

 

「んなことは今重要じゃねーんだよ。あんたらにお願いがあってな。」

 

「・・・お願い?」

 

でも、その3人は従う気はまったくないみたい。

 

「ああ、お前ら二人とも召喚獣大会勝ち進んでるみたいだが、負けてくんねえかな。」

 

「「・・・は?」」

 

吉井君も私も、わけのわからない要求に声が漏れる。

制服も違うから他高の生徒なのは確定的だし、なんでなんだろう?

外部の人達には、大会の結果なんて関係がないはずなんだけど・・・。

 

「・・・なんで?」

 

「んなもん教える義理はねえよ。お前らはただ、黙って負けらぁいいんだよ。」

 

吉井君が一応理由を尋ねたけど、男達は答える様子を見せない。

ずいぶんと、勝手な話だね。

 

「私達が断ればどうするつもりなのかな?」

 

「ちょっと辛い目にあってもらうだけだぜ?まあ、俺らとしては、それもありだけどな!」

 

「「ギャハハハハ!!」」

 

・・・うっわあ。

この人達、あれだなあ。

 

「・・・古明地さん、下がってて。」

 

吉井君が前に出る。

男らしいけど・・・、3対1じゃ大丈夫かな?

 

「あ?テメエ、痛い目見たいのか?」

 

吉井君の動きを見て、殺気だつ3人。

・・・うん、吉井君一人に任せるんじゃなくて、私もやらないとね。

殴りあいとかみたいな喧嘩は苦手だけど、一応護身用アイテムみたいなものはあるし。

それにお姉ちゃんに害を及ぼそうとする男をアレするためのものとかのもあるしね。

 

「おいお前ら、行くぎゃあ!(バチッ!)」

 

「おい大和、どうしうぎゃああ!(バチィッ!)」

 

とりあえず、吉井君に気をとられている相手のうちの二人を小型スタンガンで気絶させる。

もう一人も気絶させようと思ったけど、吉井君が取り押さえてたからやめておかないとね。

聞きたいこともあるし。

 

「・・・で、誰の差し金なのかな?」

 

「ひっ!?し、しらねえよ!」

 

他校の生徒にとっては、誰が優勝しようが関係ないはずだからね。

誰かに指示されたんだとは思うんだけど・・・、素直に教えてくれないみたい。

 

「シラをきっても、いいことないよ?」

 

「ほ、本当に知らないんだ!匿名でメールが来たから、誰の計画かはわからないんだ!」

 

なおも尋ねてみるけど、どうやらほんとに知らないみたい。

でも、誰なんだろ?

個人的には、わざわざ営業妨害してきた常夏コンビの二人が怪しいと思うんだけどね。

 

「古明地さん、この人達どうする?」

 

「ほんとに知らないみたいだし、放してあげていいんじゃないかな。・・・まあ、お姉ちゃんを狙っていたら、骨二、三十本折ってたとこだけど。(ボソッ)」

 

「?古明地さん、どうしたの?」

 

「別に何でもないよ~。」

 

吉井君が退く。

取り押さえられてた男は、気絶していた二人を起こし、逃げていった。

 

「ありがとね、吉井君。」

 

「い、いやこっちこそありがとう!」

 

実際、吉井君がいなかったら、スタンガン当てられなかったと思うしね。

そんな話をしつつ、吉井君と教室に戻る。

・・・そういえば、次の科目と対戦相手は誰なのかな?

三回戦では、確認してないところにいきなり現代文だったせいで、焦っちゃったし。

わかっているのといないのでは心のあり方が変わってくるもんね。

えーっと、次は古文で、相手は・・・。

 

(・・・なるほどね。)

 

トーナメント表に書かれていた名前は、微妙に見覚えがある人達。

やっぱり、さっきの人達はそういうことなのかな。

まあ、とりあえず今は喫茶店の仕事だね!

古文なら、阿求ちゃんに教えてもらったおかげでだいぶ取れたし。

 

 

 

 

 

 

「げえっ!?お前らかよっ!?」

 

1時間後。

私とお姉ちゃんは、四回戦の相手である・・・えーっと、名前なんだっけ、とにかく坊主とモヒカンと対峙していた。

・・・あ、そうだ!確か夏川と常村だね!

・・・どっちがどっちか忘れちゃったけど。

 

「おっと、ここでやって来ました古明地姉妹コンビ!姉妹だけあって抜群のチームワークをみせつけ、ここまで進んできました!彼女達ははたして三年生コンビに勝てるのでしょうか!?」

 

・・・あ、そっか。

そういえば四回戦からは公開試合なんだったね。

 

「・・・こいし、この二人が、営業妨害してきたって人?」

 

「うん、そうだよ~。」

 

「・・・なるほどね。確かに、この二人は心が腐っているわね。ゾンビという方が正しいかもしれないわ。」

 

「おいお前ら!さっきから丸聞こえなんだよ!」

 

お姉ちゃんと話していると、坊主の方が口を挟んでくる。

 

「・・・なんですか?ゾンビの分際で話しかけないで貰えませんか?というか今すぐ心だけでなく体まで腐り落ちてこの場から消えてくださるとありがたいのですが。・・・あ、臭うので寄らないでいただけます?体に毒です。」

 

「「て、てめえっ!何言いやがるっ!?てか臭くねえよっ!!」」

 

普段のお姉ちゃんらしくない強烈な罵倒に激昂する二人。

相手の考えていることを読み取れるお姉ちゃん、相手が言われたくないことをピンポイントで突けるから、本気を出すと口喧嘩はものすごく強いんだよね。

でも、直接的な恨みはないはずなのに、なんでこんなに言葉の刃が鋭かったんだろ?

 

「・・・口論はその辺にしておけ。始めるぞ。準備はできているのか?」

 

激化していく言い争いを止めたのは、立会人である易者先生の声だった。

易者先生もまた、謎が多い先生なんだよね~。

本名知らないし。

 

「おう。」

 

「できてるよ~。」

 

易者先生に返事を返すモヒカンと私。

 

「お?お前ら、やけに自信があるじゃねえか。」

 

「へっ、どうせ二年、しかも片方Fクラスだから大したことねえだろうけどな!」

 

むー、ちょっとカチンときたよ。

 

「・・・こいし、絶対に勝ちましょう。」

 

「うん、そうだね。」

 

こんな二人には負けたくないよね。

 

「では、召喚獣を出すんだ。」

 

「「おう!サモン!」」

 

常夏コンビが召喚獣を呼び出す。

点数は・・・っと。

 

『Aクラス 夏川俊平 古文 227点 and Aクラス 常村勇作 古文 234点』

 

なるほど、言うだけはあるみたい。

装備も一般的な盾と剣だし。

 

「どうした?ビビっちまったのか?」

 

「まあFクラスの奴にとってはなかなか見られない点数だろうしな!」

 

得意気に挑発してくる常夏コンビ。

自信満々だね。

 

「お姉ちゃん、どうやら私達、ずいぶん弱いと思われてるみたいだね。」

 

「・・・ええ、そうね。心から楽勝だと考えているみたい。」

 

「あ?俺達がお前らみたいなFクラスに負ける訳がねえよ!」

 

「隣の奴は知らねえが、Fクラスの妹はどうせ点数大したことねえだろうしな!」

 

ぎゃはははと下品に笑う常夏コンビ。

なんというか、小物感満載だよね・・・。

まあ、さっきからカチンときてるし、ここらで反撃しようかな。

阿求ちゃんに教えて貰ったから、古文はわりと取れたんだよね。

 

「ねえねえ、じゃあ、そんなバカな私達に負ける二人は何になるの~?」

 

「「は?」」

 

「「サモン!」」

 

お姉ちゃんと召喚獣を呼び出す。

 

『Bクラス 古明地さとり 古文 340点 and Fクラス 古明地こいし 古文 411点』

 

「「なあっ!?」」

 

お姉ちゃんは、生物や現代文程じゃないけど古文は得意だし、私は阿求ちゃんにとことん教わったしね。

あまり2年をなめない方がいいよ?

これでも阿求ちゃんの足元に及ばないわけだし、多分常夏コンビがあと10ペア分いても多分阿求ちゃん勝つよ?

 

「こいしはモヒカンをお願い。私は坊主を殺るから。」

 

「うん、わかった!」

 

「ぐっ・・・!」

 

召喚獣をモヒカンの方に走らせる。

そのまま、私の武器である触手のようなものでアタックするが、剣で防がれる。

3年なだけあって、操作には慣れているみたい。

お返しとばかりに腰めがけて放たれた剣での攻撃を回避し、触手のようなものによる突きを放つ。

それもかわされるけど、これは伸び縮みするし固さも変えられるからね。

ムチのようにして側面から攻撃して突き刺す。

先制攻撃は貰ったよ!

 

「ぐっ!?テメエッ!」

 

その攻撃に、一瞬虚をつかれたような表情をしたけど、すぐに私めがけて剣を突きだしてくる。

攻撃をしていたせいで回避が間に合わず、ちょっとかすっちゃったけど、そこまでのダメージにならなくてよかったよ。

その前に点数を削れてたしね。

 

『Aクラス 常村勇作 古文 168点 VS Fクラス 古明地こいし 古文 397点』

 

「・・・ところで、なんで執拗に営業妨害したの?」

 

召喚獣を戦わせながら、私は気になっていたことを聞いてみる。

 

「・・・特に理由なんてねえよ、お前らFクラスが気に入らなかっただけだ。」

 

「・・・ふーん。気に入らない、ね。」

 

嘘だね。

明らかにわかるよ。

・・・まあ、いいけどね。

どっちにしても、その理由は私の怒りとやる気ゲージをチャージするもんだったし。

 

「・・・じゃあ、そろそろ死んでね。」

 

「・・・なっ!?テメエ、何しやがったんだ!?」

 

腕輪の力を発動させて、私の召喚獣の姿を消す。

相手は腕輪を持っていないし、問題ないね。

やみくもに剣を振り回すけど、もちろん私には当たらない。

方向を変えて読まれないようにしつつ、相手の召喚獣を刺していく。

全身をめった刺しにされた召喚獣は、点数を全て失い、どうと倒れ伏した。

 

「お、おい常村!何やってんだ!」

 

「・・・余所見とは、また余裕なものですね。」

 

相方の敗北に気をとられ、隙が生まれた坊主。

その隙を逃すことなく背中に弾を撃ち込み、お姉ちゃんが倒す。

 

「お~っと、ここで勝負が決まりました!なんと、経験という壁を打ち破り、古明地姉妹コンビが勝利をおさめました~!」

 

実況の声とともに、観客の歓声が聞こえてくる。

やったね!

 

「こいし、やったわね。これで準決勝出場よ。」

 

「うん、お姉ちゃん!いえ~い!(パァン!)」

 

お姉ちゃんと、よろこびのハイタッチをして、退場していく。

ちなみに裏に退場していく時も、私達への歓声は続いてたよ。




いかがでしたか?
常夏コンビはここで退場。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。