古明地こいしとFクラス   作:こいし金二

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第二十七話「犯行!sideA」

 

 

 

 

「さて明久、そろそろ行くぞ。」

 

古明地さんと材料取りに行ってから働いていると、いつのまにか大会の時間が迫ってたみたいだ。

 

「そういや雄二、次の作戦はなにか考えてるの?」

 

「まあな。トーナメント表見りゃ、誰と戦うことになりそうか大体予想つく。」

 

「ちなみに、その雄二の予想では次の対戦相手は誰なのさ?」

 

「まあ、それに関しては直接見たほうが速えだろうな。」

 

確かに、今雄二に聞かなくても、戦いはもうすぐ開始だ。

会場行ってから見ればいいよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・あら、今回の相手はアキと坂本なのね。」

 

「吉井君と坂本君が相手なんですね。ですが手加減はしません!」

 

そこにいたのは、姫路さんと美波のペアだった。

それと観客達もいる。

そういえば、二人も召喚大会、出てたんだっけ。

でもね姫路さん、僕の召喚獣はフィードバックがあるから、科目によっては本気で行かれると死にかねないんだ。

 

「姫路さん、出来ればお手柔らかにしてくれるとありがたいな~なんて・・・」

 

「ところで姫路、島田。お前達は明久が誰とペアチケットで幸せになりに行くか知っているか?」

 

「「えっ!?誰(なんですか)!?まさか坂本(君)!?」」

 

雄二の言葉に同時に反応する二人。

僕としては、何故そこで雄二の名前が出てくるか、小一時間ほど問いつめたいところだ。

 

「いや、島田・・・」

 

「えっ、アキ、まさかウチと・・・!」

 

「の妹だ。」

 

「殺すわ。」

 

まずい、雄二の事実無根の発言のせいで美波が殺気だってる。

 

「吉井君、小学生に手を出すのは犯罪なんですよ?」

 

「ちょっと雄二!何しちゃってくれてるのさ!美波なんか今すぐにでもこっちに来て僕に拳を叩き込もうとしてるじゃないか!」

 

「美波ちゃん、落ち着いて下さい。」

 

どうやって惨劇を回避しようかと考えていると、姫路さんが美波を止めてくれる。

ああ姫路さん!

僕は君の優しさを信じていたよ!

 

「召喚獣でお仕置きすればいいんですよ。そうすれば私もいっしょにやれますから!」

 

かと思ったら笑顔で死刑宣告。

最近姫路さんの考えが読めない。

 

「そうね。瑞希の言う通りだわ。アキ、覚悟しなさい!サモン!」

 

「吉井君、おしおきですっ!サモン!」

 

二人が召喚獣を呼び出す。

 

『Fクラス 姫路瑞季 古文 399点 and Fクラス 島田美波 古文 6点』

 

「っ!?古文!?数学のはずじゃ・・・!」

 

「残念だが、お前らに渡した科目表は偽物だ。島田が古文が大の苦手なのは知っているからな。」

 

「くっ・・・!卑怯ねアンタ・・・。」

 

美波が悔しそうにしているが、6点の召喚獣なんて、はっきり言っていないも同然だよ!

 

「「サモン!」」

 

僕らも召喚獣を呼び出す。

さあ、行くよ!

 

『Fクラス 坂本雄二 古文 211点 and Fクラス 吉井明久 古文 9点』

 

「・・・・・・・・・明久。」

 

「・・・・・・正直、すまなかったと思ってる。」

 

すごくいたたまれない雰囲気だ。

さっきまで召喚獣の登場で盛り上がっていた会場もシーンとしてるし。

 

「アキ!おしおきよ!」

 

そんでもって二人とも僕の方へ向かってくるの!?

9点の召喚獣に対して、6点の召喚獣と399点の召喚獣が襲いかかる。

ねえこれいじめだよね!?

雄二も見てないで助けてよっ!

というか雄二の方が点数高いんだから雄二が姫路さんと戦ってよっ!

 

「・・・明久、キツいだろうがそのまま武器を抑え込め。俺が奇襲をかける。」

 

助けを求めると、そんな返事が小声で返ってくる。

・・・そういうことね。

なら、一瞬の痛みを我慢して押さえ込む!

姫路さんの召喚獣が剣を引き戻そうとするタイミングで召喚獣を飛びつかせる。

ぐうっ!引き戻す動作でも攻撃力が高いっ!

 

「雄二ッ!」

 

でもこの一瞬の痛みを耐えきれば、雄二が倒してくれる!

さあ、あとは僕を巻き込まないようにして・・・

 

「アホか、そんなこと考慮したら威力が落ちるだろうが。」

 

ドンッ!

雄二の言葉とともに、姫路さんの召喚獣と僕のに叩き込まれる拳。

ぐほっ・・・。

し、死ぬほど痛い・・・。

 

「瑞季っ!」

 

「余所見とは余裕だな。」

 

姫路さんの召喚獣に気をとられていた美波に、雄二の攻撃が叩き込まれる。

姫路さんですら耐えられなかった一撃だ。

結果は見なくてもわかる。

というか、痛みで意識が飛びそうなため見えなくなってきた。

 

「え・・・っと・・・。姦計をめぐらせ、味方ごと敵を倒した坂本君の勝利です!」

 

先生の戸惑ったような声を最後に、僕は痛みで気を失った。

 

 

 

 

 

しばらくして僕が目覚めたあとは、秀吉、ムッツリーニ、僕の3人で食事をとるため学祭を回っていた。

胡麻団子は美味しいけどお腹はあまり膨れないし。

 

「む?あれはBクラスのようじゃな。」

 

秀吉が指差した方には行列がある。

焼きそばの美味しそうなにおいがこっちに来てて食欲が増す。

 

「並ばない?」

 

「・・・・・・賛成。」

 

「そうじゃの。」

 

他の二人からも賛成を得られたため、並ぶ。

数分待つと、僕らの順番が回ってきた。

 

「注文はどうしますか?」

 

「じゃあ焼きそば3つで。」

 

店員に注文をして、待つ。

すると、焼きそばを作りながら、彼女は話しかけてきた。

 

「・・・妹は、クラスでうまくやれていますか?」

 

・・・妹?

誰のことなんだろう?

 

「妹とは、誰のことなのじゃ?」

 

秀吉も疑問に思ったようで、彼女に質問する。

 

「失礼、そちらの二人とは初対面でしたね。私は古明地さとり、こいしの姉です。」

 

古明地さんのお姉さんだったのか。

 

「というか、そこの吉井明久とは会っているのですが、忘れていたのですね。」

 

言われて思い出した。

雄二を探すために女子更衣室に行った時に会ったんだった・・・。

その節は助かりました。

まあそれはともかく、古明地さんのお姉さんに、思った通りに答える。

 

「・・・そうですか。いい友達を持ったのですね。焼きそば、できましたよ。」

 

それで伝わったのか、彼女は安心したような笑みを浮かべ、焼きそばを渡してくれる。

焼きそばは期待通り美味しかった。

 




いかがでしたか?
さとり様は結構妹思いです。

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