古明地こいしとFクラス   作:こいし金二

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第二十八話「準決勝!」

 

 

 

 

「・・・さて、これから準決勝な訳だけど・・・なんでその格好なの?」

 

四回戦が終わって1時間後、準決勝の時間が来たからやってきたけど、お姉ちゃんは困惑と呆れが1:4くらいの割合な表情をしてる。

喫茶店から直接来ただけなんだけどな。

 

「・・・いや、私が言いたいのはなんで制服に着替えずにチャイナドレスで来たのかってことよ?」

 

「えー、でも可愛いでしょ?」

 

「・・・こいしに一般常識を求めた私がバカだったみたいね。」

 

チャイナドレス、可愛いと思うんだけどな~。

 

「まあいいから会場向かうわよ。」

 

「はーい。」

 

お姉ちゃんと一緒に会場に入る。

四回戦と同じ・・・いや、それ以上に観客がいるね。

対戦相手も今から入場するところだけど、対戦表見てるから相手誰だかはもう知ってるよ。

 

「こいし、点数はどれくらい?」

 

「んー、確か220点くらいだったかな・・・?」

 

保健体育は別に得意でも苦手でもないんだよね。

お姉ちゃんが私の点数を確認している間に、対戦相手の二人が入場してくる。

出てきたのは阿求ちゃんと本居さん。

なんというか、四回戦で当たらなくてよかったよ。

 

「あら、次はこいしさんでしたか。お手柔らかにお願いします。」

 

「よろしくね!あと古文の時は助かったよ~!」

 

阿求ちゃんに教えてもらったおかげで古文の点数とれたからね。

 

「じゃあ、始めよ!」

 

「「「サモン!!」」」

 

四人が召喚獣を呼び出す。

えっと、みんなの点数はどれくらいかな・・・?

 

『Aクラス 本居小鈴 保健体育 278点 and Fクラス 稗田阿求 保健体育 364点』

 

『Bクラス 古明地さとり 保健体育 447点 and Fクラス 古明地こいし 保健体育 223点』

 

んー、どうだろこれ?

点数では勝ってるけど、そこまでの差じゃないし・・・。

銃での遠距離攻撃は辛いから、距離をつめようかな。

 

「お姉ちゃん!援護お願い!」

 

「わかったわ。」

 

恐らく阿求ちゃんの弾は威力は低いけど高速連射できるんだと思う。

放置していると危険そうだから、先に倒したいよね。

400点を超えてないから多分武器も変わらないし。

 

「ですが、させませんよ!小鈴!」

 

「わかってる!」

 

でも、そううまくはいかず、間に割り込んできた本居さんと戦うことになる。

お姉ちゃんの援護も、阿求ちゃんの攻撃のせいで無くなっちゃう。

私と本居さん、お姉ちゃんと阿求ちゃんと、1対1のかたちがふたつになる。

でも、本居さんの武器は普通の剣だから読みやすいは読みやすいけどね。

降り下ろされた刀を横から弾いて軌道を反らす。

そのまま踏みつけて武器を動かせないように封じ、こちらの攻撃を打ち込む。

本居さんは武器を諦めて後ろに飛んで回避したけど、武器をどうにかすることはできた。

でも、このあたりの判断のはやさはさすがAクラスだね。

 

「マズイな・・・。」

 

武器を失ったことによる、本居さんの焦りの呟きが聞こえてくる。

私の武器は直接くっついてるから同じことがおこる心配はないけど、気持ちはわかる。

まあ、だからといって手加減とかはしないけどね。

攻める。

 

「・・・ここね。」

 

えっ?

その言葉を疑問に思う間もなく、私の召喚獣が大きく体勢を崩す。

何が起きたのかわからなかったから注意して見てみると、どうやら本居さんの回し蹴りが私の召喚獣の足をとらえたみたい。

体勢を立て直す間に本居さんは剣を再度拾い上げ、横凪ぎに打ち込んでくる。

マズイ!

とっさにガードはしたけど、不充分だったために吹き飛ぶ私の召喚獣。

 

「チャンスよ阿求!」

 

「任せて小鈴!」

 

「・・・ッ!こいし!頭を守って!」

 

吹き飛ぶ私の召喚獣に、阿求ちゃんが銃を撃つ。

お姉ちゃんの直前の警告で、頭だけは守れたけど、弾が私に当たる。

 

『Aクラス 本居小鈴 保健体育 186点 VS Fクラス 古明地こいし 保健体育 65点』

 

「・・・仕方無いです、心花『カメラシャイローズ』。」

 

お姉ちゃんが、私に対するさらなる追撃を防ぐために、腕輪の力を使う。

本居さんは残念ながら射程圏外だけど、阿求ちゃんにたくさんのハートの弾が襲う。

本居さんが私のところに来るまでには、私は体勢を立て直せる。

これで阿求ちゃんを倒せれば、1対2のかたちを作れる・・・

 

「と思っているかもしれませんが、そううまくはいきませんよ。」

 

えっ?

何を言って・・・

 

「「無傷・・・!?」」

 

お姉ちゃんの攻撃が終わった後、そこには傷一つない阿求ちゃんがいた。

でも、放たれた時に動かなかったから、回避したわけではないはず・・・。

もしかして・・・

 

「全弾撃ち落としたの・・・?」

 

「いいえ、自分に当たる弾だけです。」

 

平然と言う阿求ちゃんに、お姉ちゃんも私も驚く。

いくら拡散するといっても、まさか完全に防げるとはね・・・。

でも、おかげで体勢を立て直すのは間に合った。

さっきは武器を封じた油断からやられちゃったけど、次は油断しないよ。

同じような足払いも警戒しつつ、ギリギリのところで回避し、わずかずつ、しかし確実にダメージを蓄積させてく。

一撃当たったら多分やられちゃうし、かなり厳しいね。

 

「小鈴、攻撃が必要以上に大振りになってるわよ。落ち着いて。」

 

「ああ・・・ごめん。ありがと。」

 

点差が縮まったことによる焦りが生まれていたのか、攻撃の隙が大きくなっていたけど、阿求ちゃんが落ち着かせてもとに戻る。

私的には大振りな方が攻撃しやすかったからよかったんだけどね。

阿求ちゃんとお姉ちゃんの方も互角みたい。

驚きながらも回避はしていたから、点差もほとんどないしね。

・・・いや、互角じゃなさそう。

だんだんお姉ちゃんが優勢になってきている。

 

「その銃、連射性能等は高いみたいですが、重さもかなりのものみたいですね。点数が下がり、動きにくくなってきたはずです。」

 

「見抜かれていましたか・・・。」

 

自分の武器を扱えなくなることはないけど、武器の性能は召喚獣の点数に比例するかのように変わる。

お姉ちゃんは武器がないけど、阿求ちゃんは両手銃というだけあって、質量も大きいんだよね。

しかも今回は400点に達してないから、武器を変えることも出来ないし。

 

「では終わらせましょう・・・。心花『カメラシャイローズ』。」

 

お姉ちゃんの弾を阿求ちゃんが撃ち落としたタイミングで、お姉ちゃんが再び腕輪の力を使う。

 

「もう1回やっても同じことで(カチカチッ)・・・・・・嘘、弾切れ!?」

 

さっきと同じように撃ち落とそうとした阿求ちゃんだけど、どうやら弾切れが起こったみたいで、驚きの表情を浮かべている。

あの様子から考えるに、そもそも弾切れがあるのを知らなかったということだよね。

 

「・・・!ごめん小鈴、あとはお願い・・・。」

 

銃を構えていた体勢からの回避は間に合わず、弾幕が阿求ちゃんに多数hitする。

さすがに耐えきることはできずに、阿求ちゃんは倒れる。

 

『Fクラス 稗田阿求 保健体育 0点 VS Bクラス 古明地さとり 保健体育 112点』

 

「阿求!私がやるしか・・・。」

 

これで2対1。

点差もちまちま攻撃していたおかげで、だいぶ縮まってるし、油断しなければ行ける!

お姉ちゃんと目線を交わし、作戦を伝える。

そして、あえて体勢を崩し、隙を生み出す。

もし私を攻撃しようとすると、お姉ちゃんの弾が直撃するような位置に行くように。

弾は私の武器と私の召喚獣の体で隠れるような軌道になってる。

 

「くっ、しまっ・・・!」

 

本居さんも気づいたようだけど、それはひっかかった後。

私が攻撃されると同時に、お姉ちゃんの弾が本居さんの召喚獣の頭に当たる。

倒れたのは同時。

・・・ほんとは紙一重でかわすようにしたんだけど、失敗しちゃった。

まあ、お姉ちゃんがいるから勝ちだしいっか!

 

『Aクラス 本居小鈴 保健体育 0点 VS Fクラス 古明地こいし 保健体育 0点』

 

「そこまで!優勝最有力候補であった稗田・本居ペアを破り、決勝への切符を手にしたのは、古明地姉妹ペアだぁ~!」

 

実況の人・・・かはわからないけど、その人が私とお姉ちゃんの勝利を告げてくれる。

危なかったけど、なんとかなってよかったよ!

 

「・・・お疲れ、こいし。」

 

「うん、お疲れさま、お姉ちゃん!」

 

お姉ちゃんと言葉を交わす。

決勝戦は明日だし、今日はこれで終わりだね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・じゃあこいし、喫茶店頑張りなさいよ。」

 

「うん、お姉ちゃんも頑張ってね!」

 

お姉ちゃんと別れて私のクラスに向かう。

・・・でもせっかくだし、おやつ食べてから行こうっと!

進路をちょっと変えて、Fクラスの教室じゃなくて控室的な場所に向かう。

そういえばさっき、ここで絡まれたんだっけ。

まあ、2回も同じことはおこらな『おい、お前Fクラスの女か?』フラグって怖い。

 

「ん?そうだけど、どうしたの?」

 

「おいお前ら、連れてくぞ。」

 

えっ?

何が起こってるかわからないうちに腕をつかまれ、つれていかれる。

・・・三人の男達に私一人でも勝てないし、しょうがないから抵抗しない。

腕をつかまれてるのは不快だけどね・・・。

 




いかがでしたか?
このコンビと当たったのが4回戦だったら2秒でやられてたでしょうね。

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