古明地こいしとFクラス   作:こいし金二

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第三十一話「決勝戦開始!」

 

 

 

翌日。

 

「おっはよ~!」

 

「おう、古明地か。おはようだな。調子はどうだ?」

 

教室に入って、挨拶すると、正邪ちゃんが調子を聞いてくる。

 

「うん、しっかり寝たし大丈夫だよ!そういや坂本君は?」

 

普段、こういう時にははやく来ているのに、姿が見えないから気になったんだよね。

なにかあったのかな?

 

「坂本と吉井なら、徹夜で勉強してたから、少し眠らせて欲しいらしくてな。今は屋上で寝てる。」

 

「ほ、ほんとに徹夜したんだ・・・。」

 

私、昨日も普段通りに11時に寝たんだけど・・・。

まあお姉ちゃんも健康は大事って言ってたし、間違ってはいないはずだよ!

 

「そういうこいしはどうなんだぜ?」

 

話していたら、横から魔理沙が聞いてきた。

 

「ま・・・まあ、それなりに勉強したよ!」

 

ほんとは1時間くらいしかやってないんだけど、そのまま言うのは恥ずかしいし、ごまかそっと。

 

「それなり、ねえ・・・。」

 

あ、正邪ちゃん信じてない。

ものすごく疑わしげな視線を感じるよ。

 

「こいしがこう言う時って、大抵ウソなんだぜ。」

 

魔理沙にもバレてる。

まあ魔理沙とはそこそこ長い付き合いだしね・・・。

 

「と、ところで、喫茶店の準備はどうなってるの?」

 

このまま話を続けたくなかったので、ちょっと強引にでも話を変える。

喫茶店がどうなったか知りたいのは本当の気持ちだもんね。

 

「特に問題なく進んでるぜ。このまま行けば、開店時刻までには準備は終わるはずなんだぜ。」

 

お、それは安心だね。

とはいっても、私だけサボっているのは嫌だから、そのまま手伝う。

そして、開店、接客、料理運びなどをこなしているうちに、あっという間にその時刻は近づいてたよ。

 

「じゃあ私、そろそろ行ってくるね!」

 

「頑張ってね、こいしちゃん!応援してるよ!」

 

「精一杯頑張ってきなさい!・・・まあ、アキにも同じことをいうつもりなんだけどね。」

 

「あはは、まあそうだよね!」

 

私の声に、お空と美波ちゃんがそう言ってくれる。

同じクラスの人同士が戦うんだもんね。

そりゃ片方だけ応援なんてできないよね。

 

「・・・いいシャッターチャンスをた『お姉ちゃん撮ったらカメラ壊すよ?』無情すぎる・・・!」

 

当たり前だよね?

お姉ちゃんを盗撮するなんて、許せないもん。

 

「こいし、出来れば接戦で頼むんだぜ!」

 

「古明地、いい試合を見せてくれ!」

 

「善処する!」

 

魔理沙と正邪ちゃんのそんな言葉。

うーん、接戦ね・・・。

それで負けちゃったら元も子もないし、気にしない方がいいかな?

 

「頑張ってきてくださいね。私が教えたこと、生かしてくださいね。」

 

「わっ、私も応援してます!吉井君達もですけど・・・。」

 

「うん、頑張ってくるよ!」

 

阿求ちゃんと姫路ちゃんの応援も、ありがたいよ。

阿求ちゃんには、昨日少し日本史教えてもらったし。

みんなの応援をうけとめ、教室を出る。

お姉ちゃんは、すでに待っていた。

 

「こいし、調子は問題ない?」

 

「うん、元気だよ!勝とうね、お姉ちゃん!」

 

「ええ、そうね。決勝はたくさんの人が来ると思うけど、怯んじゃダメよ。」

 

確かに、決勝はたくさん人がいそうだよね・・・。

外部の人も召喚獣システムがどのようなものかを確かめるため、見に来てるって学園長も言ってたはずだし。

よーし、頑張るよ!

改めて意気込みつつ、会場前まで歩く。

 

「2人とも、来たね。会場から、入場の掛け声が聞こえてきたら入場だから、それまでここで待機しててよ。」

 

着いたら、河城先生が手招きしてた。

なるほど、ここで待ってればいいんだね!

 

「しかし2人とも凄いよね~。四回戦では三年生コンビを打ち破るし、準決勝や三回戦も、学年トップクラスの相手に勝ってるわけだし。」

 

「ありがとうございます。入場の掛け声が来るのはどの程度後でしょうか?」

 

「んーと、大体十分といったとこかな。」

 

そんな風に、河城先生も交えた3人で話しながら待つ。

そして。

 

『さてさてご来場の皆さん!長らくお待たせいたしました!これより試験召喚システムによる召喚大会の決勝戦を行いまーーすっ!実況は私、保坂実里が担当いたします!最初の登場となるのは、2ーB所属、古明地さとりさんと、2ーF所属、古明地こいしさんです!皆様、盛大な拍手でお出迎え下さい!』

 

「ほら、出番だよ。頑張っておいで。」

 

『うおーーーーっ!』

 

私達が入場すると、たくさんの拍手と声援が迎えてくれる。

んー、やっぱりちょっと緊張するな。

 

『さて、このペアですが、名前からわかる通り、姉妹です!FクラスとBクラスと、クラスこそ違いますが、姉妹の絆は随一!完璧なコンビネーションを見せつけ、四回戦で三年生コンビにすら白星をおさめています!しかもどちらも可愛い!才色兼備とは、まさにこのことではないでしょうか!』

 

才色兼備なんて・・・、保坂さん、お姉ちゃんにいいこと言うね!

私の自慢のお姉ちゃんなんだから!

 

『そんな彼女達の相手となるのは、2ーF所属、坂本雄二さんと、同じく2ーF所属、吉井明久さんです!皆様、盛大な拍手でお出迎え下さい!』

 

入ってくる2人に対し、同じように、歓声と拍手が響く。

私達の時より、ちょっと少ない・・・かな?

 

『さて、このペア、なんとどちらも学年最下位クラスであるFクラス所属でありながら、ここまで進んできました!先程の古明地こいしさんと合わせ、4人中3人がFクラス所属となります!いやー、これはFクラスの認識を改めないといけないかもしれませんねー!』

 

嬉しいこと言ってくれるね。

姫路ちゃんのお父さんが聞いていたら、Fクラスのイメージアップに繋がると思うし。

 

『さて、ルールについてですが・・・』

 

保坂さんが観客に対してルールの説明をしてる間に、言葉を交わす。

 

「驚きました。まさか翔子さんを破って、あなた達が決勝に残るとは思いませんでしたから。・・・ですが、二人ともやけに血走った目をしてますね。どうしたのですか?」

 

「自分の胸に手を当てて考えてくれ!誰のせいだと思ってやがる!」

 

「ふむ、しかし霧島雄二さん、翔子さんと行くのの何が悪いのでしょうか?」

 

「悪いし俺は坂本雄二だ!婿入りさせんじゃねえ!」

 

「坂本君はわかるけど、吉井君はどういう理由なの?」

 

「だって、優勝出来なければ、僕は博麗さんの手によって殺されるからね!」

 

「・・・??」

 

よくわからないや。

なんで霊夢さん?

 

「というわけで、俺達は死んでも勝たなけりゃいけねえ!そんくらいの意気込みでいかねえと、勝てそうにねえからな!」

 

「いい心掛けですね。こいし、油断してはダメよ。」

 

「うん。吉井君も、普段の成績は悪いけど、本気だした時は凄いと思うし。」

 

よく、運動バカとか野球バカとか言われるけど、それは誉め言葉だしね。

吉井君も、そういう一面を持ってると思う。

 

「それに、坂本君の策も恐ろしいもんね。味方だと頼もしいけど、敵に回すとかなり怖いものだよ。」

 

「本当です。私達Bクラスに勝ったのも、彼の作戦があったからでしょうしね。ですが、今回はどんな作戦を見せてくれるのか、楽しみでもあります。」

 

「策?そんなもんはねえ。俺達は今回は正々堂々と戦う。」

 

「その割には自信満々ですね。徹夜でもされたのでしょうか。」

 

「「ああ!死んでも勝つ覚悟だからな!!」」

 

気迫を感じるよ。

絶対に勝つというか、DEAD or ALIVEというか・・・。

まあ、でも負ける気はないんだけどね。

 

『さあ!それでは説明も終わりましたことですし、始めるとしましょうか!』

 

と、話している間に保坂さんが、観客に対しての説明が終わったみたい。

 

「さて、4人とも。科目は日本史なので、私が立会人をつとめます。後悔がないよう、全力で頑張ってくださいね。では、召喚を行って下さい。」

 

神子先生が召喚の合図を出す。

さて、召喚しないとね!

 

「「「サモン!」」」

 

四人が同時に召喚する。

それで出てくる召喚獣は、やっぱり外部の人には珍しいみたいで、歓声があがる。

・・・さて、Dクラス戦の時は140点くらいだった吉井君だけど、どこまで上がってるのかな?

それぞれの召喚獣の点数が出てくる。

 

『Bクラス 古明地さとり 日本史 324点 and Fクラス 古明地こいし 日本史 287点』

 

VS

 

『Fクラス 坂本雄二 日本史 288点 and Fクラス 吉井明久 日本史 276点』

 

えっ?

吉井君が予想以上に凄い・・・。

バカだバカだと言われてたけど、本気になればやるね・・・。

普段からこれだけやれてれば、吉井君をバカだと言う人もいなくなると思うんだけどな。

 

「さて、両者出揃いました!それでは、文月学園召喚大会決勝戦、スタートでっす!!」

 

そして、保坂さんによって決勝戦の火蓋が切って落とされる。

さあ吉井君坂本君、勝つのは私達だよ!

 

 

 

 

 




いかがでしたか?
決勝戦がついに開始。
どっちが勝つかはわかりません。

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