翌日。
「おっはよ~!」
「おう、古明地か。おはようだな。調子はどうだ?」
教室に入って、挨拶すると、正邪ちゃんが調子を聞いてくる。
「うん、しっかり寝たし大丈夫だよ!そういや坂本君は?」
普段、こういう時にははやく来ているのに、姿が見えないから気になったんだよね。
なにかあったのかな?
「坂本と吉井なら、徹夜で勉強してたから、少し眠らせて欲しいらしくてな。今は屋上で寝てる。」
「ほ、ほんとに徹夜したんだ・・・。」
私、昨日も普段通りに11時に寝たんだけど・・・。
まあお姉ちゃんも健康は大事って言ってたし、間違ってはいないはずだよ!
「そういうこいしはどうなんだぜ?」
話していたら、横から魔理沙が聞いてきた。
「ま・・・まあ、それなりに勉強したよ!」
ほんとは1時間くらいしかやってないんだけど、そのまま言うのは恥ずかしいし、ごまかそっと。
「それなり、ねえ・・・。」
あ、正邪ちゃん信じてない。
ものすごく疑わしげな視線を感じるよ。
「こいしがこう言う時って、大抵ウソなんだぜ。」
魔理沙にもバレてる。
まあ魔理沙とはそこそこ長い付き合いだしね・・・。
「と、ところで、喫茶店の準備はどうなってるの?」
このまま話を続けたくなかったので、ちょっと強引にでも話を変える。
喫茶店がどうなったか知りたいのは本当の気持ちだもんね。
「特に問題なく進んでるぜ。このまま行けば、開店時刻までには準備は終わるはずなんだぜ。」
お、それは安心だね。
とはいっても、私だけサボっているのは嫌だから、そのまま手伝う。
そして、開店、接客、料理運びなどをこなしているうちに、あっという間にその時刻は近づいてたよ。
「じゃあ私、そろそろ行ってくるね!」
「頑張ってね、こいしちゃん!応援してるよ!」
「精一杯頑張ってきなさい!・・・まあ、アキにも同じことをいうつもりなんだけどね。」
「あはは、まあそうだよね!」
私の声に、お空と美波ちゃんがそう言ってくれる。
同じクラスの人同士が戦うんだもんね。
そりゃ片方だけ応援なんてできないよね。
「・・・いいシャッターチャンスをた『お姉ちゃん撮ったらカメラ壊すよ?』無情すぎる・・・!」
当たり前だよね?
お姉ちゃんを盗撮するなんて、許せないもん。
「こいし、出来れば接戦で頼むんだぜ!」
「古明地、いい試合を見せてくれ!」
「善処する!」
魔理沙と正邪ちゃんのそんな言葉。
うーん、接戦ね・・・。
それで負けちゃったら元も子もないし、気にしない方がいいかな?
「頑張ってきてくださいね。私が教えたこと、生かしてくださいね。」
「わっ、私も応援してます!吉井君達もですけど・・・。」
「うん、頑張ってくるよ!」
阿求ちゃんと姫路ちゃんの応援も、ありがたいよ。
阿求ちゃんには、昨日少し日本史教えてもらったし。
みんなの応援をうけとめ、教室を出る。
お姉ちゃんは、すでに待っていた。
「こいし、調子は問題ない?」
「うん、元気だよ!勝とうね、お姉ちゃん!」
「ええ、そうね。決勝はたくさんの人が来ると思うけど、怯んじゃダメよ。」
確かに、決勝はたくさん人がいそうだよね・・・。
外部の人も召喚獣システムがどのようなものかを確かめるため、見に来てるって学園長も言ってたはずだし。
よーし、頑張るよ!
改めて意気込みつつ、会場前まで歩く。
「2人とも、来たね。会場から、入場の掛け声が聞こえてきたら入場だから、それまでここで待機しててよ。」
着いたら、河城先生が手招きしてた。
なるほど、ここで待ってればいいんだね!
「しかし2人とも凄いよね~。四回戦では三年生コンビを打ち破るし、準決勝や三回戦も、学年トップクラスの相手に勝ってるわけだし。」
「ありがとうございます。入場の掛け声が来るのはどの程度後でしょうか?」
「んーと、大体十分といったとこかな。」
そんな風に、河城先生も交えた3人で話しながら待つ。
そして。
『さてさてご来場の皆さん!長らくお待たせいたしました!これより試験召喚システムによる召喚大会の決勝戦を行いまーーすっ!実況は私、保坂実里が担当いたします!最初の登場となるのは、2ーB所属、古明地さとりさんと、2ーF所属、古明地こいしさんです!皆様、盛大な拍手でお出迎え下さい!』
「ほら、出番だよ。頑張っておいで。」
『うおーーーーっ!』
私達が入場すると、たくさんの拍手と声援が迎えてくれる。
んー、やっぱりちょっと緊張するな。
『さて、このペアですが、名前からわかる通り、姉妹です!FクラスとBクラスと、クラスこそ違いますが、姉妹の絆は随一!完璧なコンビネーションを見せつけ、四回戦で三年生コンビにすら白星をおさめています!しかもどちらも可愛い!才色兼備とは、まさにこのことではないでしょうか!』
才色兼備なんて・・・、保坂さん、お姉ちゃんにいいこと言うね!
私の自慢のお姉ちゃんなんだから!
『そんな彼女達の相手となるのは、2ーF所属、坂本雄二さんと、同じく2ーF所属、吉井明久さんです!皆様、盛大な拍手でお出迎え下さい!』
入ってくる2人に対し、同じように、歓声と拍手が響く。
私達の時より、ちょっと少ない・・・かな?
『さて、このペア、なんとどちらも学年最下位クラスであるFクラス所属でありながら、ここまで進んできました!先程の古明地こいしさんと合わせ、4人中3人がFクラス所属となります!いやー、これはFクラスの認識を改めないといけないかもしれませんねー!』
嬉しいこと言ってくれるね。
姫路ちゃんのお父さんが聞いていたら、Fクラスのイメージアップに繋がると思うし。
『さて、ルールについてですが・・・』
保坂さんが観客に対してルールの説明をしてる間に、言葉を交わす。
「驚きました。まさか翔子さんを破って、あなた達が決勝に残るとは思いませんでしたから。・・・ですが、二人ともやけに血走った目をしてますね。どうしたのですか?」
「自分の胸に手を当てて考えてくれ!誰のせいだと思ってやがる!」
「ふむ、しかし霧島雄二さん、翔子さんと行くのの何が悪いのでしょうか?」
「悪いし俺は坂本雄二だ!婿入りさせんじゃねえ!」
「坂本君はわかるけど、吉井君はどういう理由なの?」
「だって、優勝出来なければ、僕は博麗さんの手によって殺されるからね!」
「・・・??」
よくわからないや。
なんで霊夢さん?
「というわけで、俺達は死んでも勝たなけりゃいけねえ!そんくらいの意気込みでいかねえと、勝てそうにねえからな!」
「いい心掛けですね。こいし、油断してはダメよ。」
「うん。吉井君も、普段の成績は悪いけど、本気だした時は凄いと思うし。」
よく、運動バカとか野球バカとか言われるけど、それは誉め言葉だしね。
吉井君も、そういう一面を持ってると思う。
「それに、坂本君の策も恐ろしいもんね。味方だと頼もしいけど、敵に回すとかなり怖いものだよ。」
「本当です。私達Bクラスに勝ったのも、彼の作戦があったからでしょうしね。ですが、今回はどんな作戦を見せてくれるのか、楽しみでもあります。」
「策?そんなもんはねえ。俺達は今回は正々堂々と戦う。」
「その割には自信満々ですね。徹夜でもされたのでしょうか。」
「「ああ!死んでも勝つ覚悟だからな!!」」
気迫を感じるよ。
絶対に勝つというか、DEAD or ALIVEというか・・・。
まあ、でも負ける気はないんだけどね。
『さあ!それでは説明も終わりましたことですし、始めるとしましょうか!』
と、話している間に保坂さんが、観客に対しての説明が終わったみたい。
「さて、4人とも。科目は日本史なので、私が立会人をつとめます。後悔がないよう、全力で頑張ってくださいね。では、召喚を行って下さい。」
神子先生が召喚の合図を出す。
さて、召喚しないとね!
「「「サモン!」」」
四人が同時に召喚する。
それで出てくる召喚獣は、やっぱり外部の人には珍しいみたいで、歓声があがる。
・・・さて、Dクラス戦の時は140点くらいだった吉井君だけど、どこまで上がってるのかな?
それぞれの召喚獣の点数が出てくる。
『Bクラス 古明地さとり 日本史 324点 and Fクラス 古明地こいし 日本史 287点』
VS
『Fクラス 坂本雄二 日本史 288点 and Fクラス 吉井明久 日本史 276点』
えっ?
吉井君が予想以上に凄い・・・。
バカだバカだと言われてたけど、本気になればやるね・・・。
普段からこれだけやれてれば、吉井君をバカだと言う人もいなくなると思うんだけどな。
「さて、両者出揃いました!それでは、文月学園召喚大会決勝戦、スタートでっす!!」
そして、保坂さんによって決勝戦の火蓋が切って落とされる。
さあ吉井君坂本君、勝つのは私達だよ!
いかがでしたか?
決勝戦がついに開始。
どっちが勝つかはわかりません。