古明地こいしとFクラス   作:こいし金二

33 / 76
明久サイドですが、ちょっと時間が戻ります。
2日目開始時点からです。


第三十三話「決勝戦!sideA」

 

 

学園祭の2日目。

召喚大会の決勝戦のため、僕と雄二は会場に向かっていた。

結局、昨日は徹夜したけど、みんなの厚意で寝かせてもらえたのは助かった。

眠いまま勝負したら負けそうだもんね。

相手は古明地さんとそのお姉さんだし。

 

「来たか。会場から入場の掛け声が来たら入場だ。それまで待機していろ。」

 

会場に着いた僕達を待っていたのは易者先生だ。

本名はババァですら知らないらしいから、みんな易者先生って呼んでいる謎の多い先生である。

 

「しかし、まさかお前達が決勝戦に上がるとはな。正々堂々ではないとはいえ、驚いたぞ。教師の立場上、どちらかに肩入れすることは出来ないが、期待はしている。だがテーブルの件はあとで説教だ。」

 

と、先生がそんなことを言ってくる。

説教のほうはなしにしてくれたらなあ・・・。

常夏コンビの一件の後、僕と雄二と魔理沙で応接間とかからテーブルを(無断で)借りて使ってたんだよね。

そのまま会話していると、入場の掛け声が聞こえてくる。

易者先生によると、最初は古明地さん達みたいだから、僕達は2番目みたいだね。

 

『さてさてご来場の皆さん!長らくお待たせいたしました!これより試験召喚システムによる召喚大会の決勝戦を行いまーーすっ!実況は私、保坂実里が担当いたします!最初の登場となるのは、2ーB所属、古明地さとりさんと、2ーF所属、古明地こいしさんです!皆様、盛大な拍手でお出迎え下さい!』

 

聞こえてくる大きな歓声。

さすがは古明地さん達だ。

 

『さて、このペアですが、名前からわかる通り、姉妹です!FクラスとBクラスと、クラスこそ違いますが、姉妹の絆は随一!完璧なコンビネーションを見せつけ、四回戦で三年生コンビにすら白星をおさめています!しかもどちらも可愛い!才色兼備とは、まさにこのことではないでしょうか!』

 

保坂さんによる解説を聞きながら、僕達の入場の番を待つ。

 

『そんな彼女達の相手となるのは、2ーF所属、坂本雄二さんと、同じく2ーF所属、吉井明久さんです!皆様、盛大な拍手でお出迎え下さい!』

 

・・・と、今だね。

名前を呼ばれたため、入場する。

古明地さん達程ではないけど、かなりの歓声が僕達にも浴びせられる。

・・・あ、美波や姫路さんをはじめとしたFクラスメンバーがいる。

見に来てくれたようだ。

 

『さて、このペア、なんとどちらも学年最下位クラスであるFクラス所属でありながら、ここまで進んできました!先程の古明地こいしさんと合わせ、4人中3人がFクラス所属となります!いやー、これはFクラスの認識を改めないといけないかもしれませんねー!』

 

そんな保坂さんによる言葉。

嬉しいことを言ってくれるね。

教室改修でないもうひとつの目的として、姫路さんのお父さんに、Fクラスにも召喚大会で優勝出来るほどの生徒がいるのを示すというのがある。

姫路さんいわく、決勝戦には見に来るらしいからね。

今の発言は、いい印象を与えたはずだ。

 

『さて、ルールについてですが・・・』

 

保坂さんが観客に対してルールの説明をしてる間に、言葉を交わす。

僕達はいまさら聞く必要なんてないからね。

 

「驚きました。まさか翔子さんを破って、あなた達が決勝に残るとは思いませんでしたから。・・・ですが、二人ともやけに血走った目をしてますね。どうしたのですか?」

 

そんな古明地さんのお姉さんの言葉。

だって、僕達は死んでも勝たないといけないからね!

 

「自分の胸に手を当てて考えてくれ!誰のせいだと思ってやがる!」

 

「ふむ、しかし霧島雄二さん、翔子さんと行くのの何が悪いのでしょうか?」

 

「悪いし俺は坂本雄二だ!婿入りさせんじゃねえ!」

 

まったく、雄二もそろそろ観念すればいいのに。

僕からすれば、代わってほしいくらいだ。

 

「坂本君はわかるけど、吉井君はどういう理由なの?」

 

「だって、優勝出来なければ、僕は博麗さんの手によって殺されるからね!」

 

Aクラスで常夏コンビを制裁した時の彼女の姿、2回戦での殺気を考えるに、払わなかったら間違いなく僕は無事では済まない。

だから、勝たないといけないのさ!

 

「・・・??」

 

古明地さんが不思議そうな表情をしている。

 

「というわけで、俺達は死んでも勝たなけりゃいけねえ!そんくらいの意気込みでいかねえと、勝てそうにねえからな!」

 

「いい心掛けですね。こいし、油断してはダメよ。」

 

「うん。吉井君も、普段の成績は悪いけど、本気だした時は凄いと思うし。それに、坂本君の策も恐ろしいもんね。味方だと頼もしいけど、敵に回すとかなり怖いものだよ。」

 

「本当です。私達Bクラスに勝ったのも、彼の作戦があったからでしょうしね。ですが、今回はどんな作戦を見せてくれるのか、楽しみでもあります。」

 

そんなことを言う古明地さんのお姉さん。

でも、残念ながら?今回は策はなにもない。

 

「策?そんなもんはねえ。俺達は今回は正々堂々と戦う。」

 

「その割には自信満々ですね。徹夜でもされたのでしょうか。」

 

「「ああ!死んでも勝つ覚悟だからな!!」」

 

決勝戦の科目は、僕がほとんど唯一得意な日本史。

つまり、僕が唯一、古明地さん達のような成績優秀者に太刀打ちできるもの。

 

『さあ!それでは説明も終わりましたことですし、始めるとしましょうか!』

 

と、話している間に保坂さんによる、観客に対しての説明が終わったみたいだ。

 

「さて、4人とも。科目は日本史なので、私が立会人をつとめます。後悔がないよう、全力で頑張ってくださいね。では、召喚を行って下さい。」

 

豊郷耳先生が、召喚の合図をする。

いよいよだね。

 

「「「サモン!」」」

 

4人が同時に召喚獣を呼び出す。

沸き上がる歓声。

そして、点数が表示される。

 

『Bクラス 古明地さとり 日本史 324点 and Fクラス 古明地こいし 日本史 287点』

 

VS

 

『Fクラス 坂本雄二 日本史 288点 and Fクラス 吉井明久 日本史 276点』

 

よしっ!

頑張ったかいもあって、点数差はそこまでない!

これなら、たとえ木刀でも真っ正面から戦えるはず!

それに、雄二もかなりの点数を持っている。

Aクラス戦で53点を叩き出した彼とはまるで別人のようだ。

 

「さて、両者出揃いました!それでは、文月学園召喚大会決勝戦、スタートでっす!!」

 

そして、保坂さんによって決勝戦の火蓋が切って落とされる。

開幕と同時に、古明地さんの召喚獣は、雄二の方へ向かっていく。

なら、そちらは雄二に任せ、僕はお姉さんの方を狙う!

 

「・・・私が狙いなのですね。」

 

お姉さんの召喚獣は何も持ってないように見える。

雄二のようなメリケンサックなのか、東風谷さんのようなタイプなのかはわからない。

でも、木刀でも持っている僕の方が、リーチ的には有利なはずだ!

 

「・・・とでも考えているのでしょうか。浅はかですね。」

 

・・・・・・ッ!

お姉さんのその言葉が聞こえて来た瞬間、嫌な予感に襲われ、全力で右に飛ぶ。

すると、僕の召喚獣のすぐ左をハート型の弾幕が掠めていった。

・・・危なかった。

僕の点数がいつものレベルだったら直撃していたかもしれない。

 

「かわしますか。なかなかやりますね。」

 

「まさか、遠距離攻撃を持ってるなんてね・・・。」

 

予想してなかった。

 

「だったら、距離をつめる!」

 

お姉さんの召喚獣が遠距離攻撃主体なら、近接タイプは距離をつめるのが最適解だ。

普段やってる格闘ゲームとかでもそうしてるしね。

木刀を構え、ふたたび突っ込ませる。

弾幕も、来るとわかっていれば防御できる!

 

「やはり、そう来ますか。」

 

でも、それはお姉さんも読めていたようで、弾幕を放ちつつ後ろに下がられ、距離をなかなかつめることが出来ない。

だったら、多少無理矢理にでも距離をつめに行く!

弾幕をはじくのでなく、勢いを殺さずにかわす方法に切り替える。

精密な召喚獣の操作技術が必要だし、タイミングもシビアだけど、観察処分者として召喚獣の操作に慣れている僕なら行ける!

 

「・・・驚きました。失礼ながら、ここまでやれるとは思っていませんでしたから。」

 

全ての弾をかわし、お姉さんに接近戦を仕掛けることができる。

そしてそのまま一発を叩き込み、点数を減らす。

 

『Bクラス 古明地さとり 日本史 261点 VS Fクラス 吉井明久 日本史 276点』

 

よし、逆転した!

お姉さんは驚いた様子を見せたけど、簡単なことさ!

 

「・・・前に、友達が言ってたんだ。」

 

「・・・・・・?」

 

「好きな人のためなら頑張れるってね。」

 

「・・・・・なるほど。誰とは聞きませんが、普段からそれだけ頑張れば、バカと言われることもないでしょうに。」

 

それはちょっと無理かな・・・。

今回は姫路さんのためというのと、自身の命のためという理由があったからね。

 

「とはいえ、私も負ける気はありませんよ。」

 

その言葉と同時に、僕が降り下ろした木刀を回避し、足で踏みつけてくる。

さっきの一撃で点数では勝っているけど、お姉さんの召喚獣の質量があるせいで、武器を動かすことが出来ない。

そのままゼロ距離で放たれた弾幕。

やむなく木刀を手放し、後ろに飛び退いて回避するが、木刀を奪われてしまった。

しまった!

 

「これで、武器は失いましたね。私は剣に慣れていませんし、こうしておきましょう。」

 

そう言うとお姉さんは僕の木刀を蹴り飛ばし、雄二と古明地さんが戦っている方向とは逆側の遠くに飛ばしてしまう。

取りに行けないことはないかもしれない位置だが、弾幕がかなり危険だ。

でも、木刀が無いとキツいのも確かなんだよね。

 

「くっ・・・。どうする・・・。」

 

「迷っている暇はありませんよ。」

 

どちらにしても、あまり時間をかけられない。

チラリと横目で向こうの戦いの様子を確認したところ、雄二が劣勢だ。

逆転する可能性はあるが、このまま雄二が負ければ武器を失った状態での2対1になってしまう。

そうなれば、負けは確実だ。

 

「・・・仕方ない!」

 

だったら木刀を取りに行く!

召喚獣を蹴られた木刀の方へ走らせる。

 

「やはりですか。」

 

予想していたのか、走る僕の召喚獣目がけて弾幕を放つお姉さん。

軌道を変えつつ弾幕を避けて走らせるが、もう少しのところで弾幕が左肩にヒットしてしまう。

 

「ぐぅっ!!」

 

フィードバックで、僕自身にもダメージが入る。

まるで、肩に熱された金属が当てられたかのようだ。

 

『Bクラス 古明地さとり 日本史 261点 and Fクラス 吉井明久 日本史 128点』

 

一発当たっただけなのにこの点数の減り。

動きを止めたら蜂の巣にされるため、フィードバックを根性で我慢し、回避を続け、木刀をつかむ。

そのまま勢いを殺さず走り抜けて、弾幕を回避する。

もし、勢いを僅かでも落としていたら、弾幕が直撃していたかもしれない。

 

「・・・取り返されましたか。失敗ですね。」

 

「そう簡単に負けてたまるか!」

 

とはいっても、遠距離で不利なのは変わらない。

それに、さっき当たったせいで、肩に火傷のような痛みが残っている。

その痛みを無理矢理意識の外に追い出し、僕はふたたび接近戦を仕掛けにいく。

弾幕を撃ちつつ距離をとろうとしても先程のようになると判断したのか、お姉さんは弾幕を撃つだけで動かない。

先程のように攻撃するとまた木刀を奪われかねないため、突きと横凪ぎを中心に攻撃していく。

 

「・・・多少のダメージは覚悟しましょうか。」

 

でも、僕が放った攻撃をお姉さんは素手で受け止め、刀身を両手でつかむ。

木刀では斬れないし刀身をつかんでもダメージを受けることはない。

点数で勝るから、武器を奪おうとしたのだろう。

でも、2回も同じ手は食らわない!

 

「だらっしゃああああぁっ!」

 

だから、僕はあえて手を放し、無防備となっていたお姉さんの顔に、渾身の右ストレートをかます。

 

「きゃっ!」

 

フィードバックがあるのは僕だけだけど、反射的に声が出たのだろう。

衝撃で手を放し、後ろにのけぞるお姉さんの召喚獣。

チャンスだ!

僕はふたたび木刀を握り、急所である首めがけて突きだす。

 

「・・・くっ!危ないところでした・・・!」

 

でも、その一撃は本当にギリギリのところで止められる。

とはいえ、お姉さんは片手、しかも不安定な体勢。

それに対し、僕は両手かつ安定した体勢。

点数は低いけど、このまま押すっ!

 

「いっけええええぇぇっ!」

 

「くっ、ダメでしたか・・・!」

 

その結果、僕の木刀は、お姉さんの喉元を貫いた。

よっしゃあ!

 

『Bクラス 古明地さとり 日本史 0点 VS Fクラス 吉井明久 日本史 128点』

 

「・・・っと、ここでもう一方も勝負がついたようです!結果はどうなったのでしょうか!?」

 

実況の保坂さんの声が聞こえる。

ついさっき、雄二が負けたというのが聞こえて来たから、これで1対1になるね。

 

「・・・なんと、古明地姉妹の姉、古明地さとりさんを破り、立っていたのは吉井明久さんですっ!これで両チームともに1人!点数は同じくらいですが、はたしてどちらが勝つのでしょうか!?」

 

雄二はしっかりと点数を削っておいてくれたみたいだ。

この勝負、絶対に勝つ!

そして、生き残るんだ!




いかがでしたか?
大穴、明久が勝利しました。
次回、ついに決着!
こいしちゃんVS明久!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。