古明地こいしとFクラス   作:こいし金二

39 / 76
評価がほしい。
求:感想か評価
出:ヘビボ勇敢最遅ダンゴロ@ポイントマックス
···嘘です。
出せますけど嘘ですただポケモン交換風にしただけです。



第三十九話「交渉!」

 

 

「そういえば、昨日工藤さんに『脱衣所にまだ見つかってないカメラがある』って言われたんだよね。」

 

強化合宿も3日目。

クラスごとでまとめられ、朝食を食べていると、吉井君がそんなことを言い出した。

見つかってないカメラ?

 

「怪しいよね。それを知ってるってことは、やっぱり犯人じゃないかな?」

 

「いや、それならわざわざ怪しまれるようなことを言うとは思えないのじゃ。」

 

吉井君の言葉に反論する木下君。

でも逆に、犯人候補から外れるためにあえて自身に不利になるようなことを言うという方法もあるからね。

まあ今回に関しては、残っているカメラなんて知りようがないことだし・・・いや、魔理沙ならわかるかも。

隠してあるもの探すの上手いからね。

 

「・・・やっぱり、覗くしかないかぁ。」

 

「・・・いや、あれから少し考えたんだがAクラスに関してはどうにかできるかもしれないのぜ。」

 

吉井君の呟きに魔理沙が反応する。

どういうこ・・・あ、わかったかも。

 

「・・・ほう?その方法とは?」

 

「霊夢に協力を頼むんだぜ。あいつのことだ、報酬をキッチリ出せばやってくれるはずなんだぜ。」

 

確かに霊夢さんなら、報酬を出せばさほど事情を話さなくてもやってくれそうだね。

工藤さんと同じAクラスである霊夢さんなら、何もおかしなところなく火傷確認出来そうだし。

Bクラスもお姉ちゃんに相談すれば確認してくれるかもしれないけど、お姉ちゃんには脅迫のことを知られたくないもん。

だから私に禁断症状出ちゃってるけど、解決するまでお姉ちゃんと会わないようにしてる。

 

「そういうことなら頼む。工藤が犯人か否かわかるだけでも重要だからな。だが、報酬はどうするんだ?明久が出せばいいのか?」

 

「また僕に出させようっていうの!?嫌だよ!学園祭の時、もっのすごく怖かったんだから!」

 

「心配はいらないのぜ。私が持ってるこの焼肉食べ放題引換券を使うつもりなんだぜ。」

 

確かに、それなら霊夢さんも引き受けてくれそう。

霊夢さんは冬眠前の熊みたいに、一度に栄養をたくさん取るために、自分が金を出さない場合、だいたい15~20人分くらい食べるから食べ放題とはもっとも相性がいいし。

霊夢さんの場合、肉が焼けるの待てなくてまれに生で食べ出すけど・・・。

 

「・・・そうなると、Aクラスは解決だな。」

 

「うん。あとは覗きを成功させるだけだね。雄二、作戦はあるの?」

 

「ああ。昨日の敗因は戦力差だ。だから今回はさらに戦力を増やすため、他クラスの協力を仰ごうと思う。」

 

そう作戦を説明する坂本君。

でも、普段のやり方とは違うような・・・?

普段の坂本君はカルタゴのハンニバルのような、相手の予想を超える奇抜な作戦で勝つのに。

吉井君も疑問を感じたみたいで、坂本君にその旨を言ってる。

 

「もちろん理由はある。女である古明地と霧雨はともかく、覗きは立派な犯罪だ。今はまだ未遂で終わってるからいいが、成功すれば真犯人が見つからない限りなんらかの処罰はあるだろう。」

 

まあ、そうだよね。

警察沙汰になっても不思議じゃないもん。

 

「それを避けるためのメンバー増員だ。人が増えれば、覗きに参加したメンバーの記憶も難しくなる。」

 

「でも、阿求ちゃんは瞬間記憶能力持ってるし、私達Fクラスの顔はバレてるよ?」

 

それで吉井君に呼び出しがかかった訳だし。

 

「大丈夫だ。召喚システムで世界的に有名な進学校である文月学園でこんな不祥事が起きた場合、学園側はキッチリ全員処分するか、ひた隠しにするしか選べない。現在顔が割れているFクラスのみを罰した場合、ただでさえ批判を受けてるクラス間の格差について、さらに強めることになりかねんしな。それに、稗田だって一人だ。戦場の全てを確認出来る訳がない。」

 

なるほど、そういうことね。

坂本君、こういうこと考えさせるとすごい。

 

「さっすが雄二、ずる賢いね。で、どのクラスから協力を頼むの?」

 

吉井君が質問する。

相手はDEFクラスにくわえ、Aクラスの一部やAクラス以上の力を持つ阿求ちゃんに先生がいるからね。

万全を期すならA~Cクラスくらいは仲間にしたいかな。

 

「知略に富んでいると言え。もちろんAクラスからだ。」

 

今後というか今日の方針が決まったところで、私達は朝食を食べるのを再開した。

朝ごはん食べないと調子出ないもん。

 

 

 

 

 

「Aクラスなら久保を説得するのが妥当だろうな。ということで頼むぞ明久。」

 

その後の自習時間。

昨日と同じようにAクラスと合同だよ。

 

「・・・(コクン)」

 

「適任じゃな。」

 

「別に構わないけど、どうして僕なの?」

 

久保君への説得役が一瞬で吉井君に決定した。

吉井君の質問に対し、昨日の考えが確信に変わっていた私は苦笑いしながら目をそらすことしかできないな・・・。

 

「・・・ま、まあお前がこの中で久保に一番好かれているからな・・・。」

 

「あ、なんだ。そういうことね。」

 

「ただし、いざとなったらこれを使え。」

 

珍しく歯切れが悪い坂本君が吉井君に渡したのは、スタンガン(20万ボルト)。

『どうして同じ学校の生徒にお願いをしに行くだけなのにスタンガンを持たされるのか、僕にはさっぱりわからない。』と思っていそうな表情をしている吉井君は、是非そのままでいてほしいな。

 

「そ、それじゃ行ってくるね。」

 

釈然としない様子ながら、頼みに行く吉井君。

3分ほどした後、戻ってきた。

 

「ごめん。ダメだったよ。」

 

「そうか。まあ無事で何よりだ。」

 

事情が事情だからか、坂本君がきれいな坂本君になってる。

映画版なのかな?

 

「しかし、そうなると他のクラスとの交渉を迅速に進めないといけないな。」

 

「それはそうだけど、今は授業中だよ?」

 

「それはわかっている。だが、全クラスに交渉をするなら休み時間だけでは全然足りないからな。なんとかして抜け出そうと思う。」

 

どうやら坂本君は抜け出したいみたい。

でも、自習時間とはいっても鉄人先生が監視してるから並大抵のことじゃないと思うんだけどね。

今だって勉強してるふりしておかないと、注意されてるはずだよ。

 

「ところで、霧雨と古明地はどうする?」

 

「私はやめておくのぜ。霊夢と早いこと交渉しておきたいし、私が行っても邪魔になりそうだからな。」

 

「私はついていってもいいかな?」

 

正直、いなくなったのを気づかれた時に誤魔化しきれない気がするもん。

それに、吉井君達についていった方が楽しそうだし!

鉄人先生のスキを見計らうため、こっそりて様子をうかがう。

 

「こーら、また悪巧みしてるでしょ?」

 

そうしてたら、美波ちゃんが怪しく思ったようで、私達に声をかけてくる。

その悪巧みというワードに、ピクリと反応する鉄人先生。

 

「もう今更問題を起こすなとは言わないけど、覗かれる方の気持ちにもなってみなさいよ。風呂場ではまわりと比べられるし、寄せて上げることも出来ないし・・・。Fクラスで同じくらいなのって、魔理沙と正邪くらいしかいないじゃない・・・。」

 

「あの美波、それって特定の部位を見られるのを嫌がってるだけに聞こえるんだけど・・・。」

 

「そこで私の名前を出さないで欲しいのぜ!美波よりはある!」

 

美波ちゃんの気持ちはわかるけどね。

私は平均くらいだけど、お空や姫路ちゃんには圧倒されちゃうし。

ちなみに、魔理沙も正邪ちゃんも、美波ちゃんよりはあるよ。

そんなことを思ってると、坂本君が吉井君に美波ちゃんを遠ざけるように指示を出してる。

 

「そういえば美波、さっき須川が話があるって言ってたよ。」

 

「須川がウチに?まあ、休み時間にでも聞いてみるわ。」

 

「え~・・・っと、それじゃ困るというか・・・。」

 

「なんでよ?」

 

「彼はすっごく真剣な顔をしてたから、よっぽど大事な話なんだよきっと。」

 

「ええっ!?それってまさか・・・!」

 

顔を赤くする美波ちゃん。

旅先でそういうのは多いみたいだし、そう思ってもおかしくないよね。

 

「今すぐ伝えたいって言ってたから、すぐにでも行かないと可哀想だよ。」

 

さらに押す吉井君。

多分吉井君は美波ちゃんの顔が赤くなった理由を全く理解してないんじゃないかな。

 

「アキは・・・それでいいの・・・?」

 

ほら、美波ちゃんも責めるような、どこか寂しそうな目で見てる。

 

「え?それで良いもなにも『だからっ!アンタは、ウチがその、須川とゴニョゴニョ・・・』ごめん、よく聞こえないんだけど・・・。」

 

「ああもうっ!要するに、ウチが誰かに告白されたらどう思うかって聞いてるのよ!」

 

「悪戯だと思う。」

 

「はぁ・・・。シャツについた返り血って、落とすの大変なのよね・・・。」

 

「いきなり返り血の心配!?僕の出血は決定事項なの!?」

 

ここでそう言っちゃうあたり、ほんと鈍感だよね吉井君は。

美波ちゃんがそう思うのもおかしくないよ。

美波ちゃんスタイルいいし美人だし、告白されても全然おかしくないと思うけどね。

私は素直に祝福できると思うよ。

 

「まあまあ美波ちゃん、吉井君はきっとどこかに行くはずがないって油断してるんだよ。ここらでひとつ、焦らせてみるのも手じゃない?」

 

とりあえずこのままだと美波ちゃんを遠ざけられなさそうだし吉井君が血の海に沈みそうだから、そう言っておく。

実際、吉井君は美波ちゃんを恋愛対象というよりは、気のおけない友達みたいに見てるところあるしね。

 

「そうね。見てなさいアキっ!ウチだって、結構モテるんだから!」

 

捨てセリフのように言って、須川君の方に向かってく美波ちゃん。

 

「島田。そんなに血相を変えてどうした。」

 

「西村先生、ウチは須川に用事があるんです。すぐに終わりますから。」

 

「そうか。だがその剣幕だと、お前が須川を血の海に沈めないか心配なんだが。」

 

あ、途中で鉄人先生に捕まってる。

とにかくいまのうちだね。

鉄人先生の注意がそれているうちに、そ~っと、音をたてないよう慎重に扉を開けて脱出する。

扉を閉める直前に、美波ちゃんの怒りの声が聞こえてきたけど、それは吉井君にむけてのものだし、まあいっか!

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱり監視の先生はいるな。」

 

見つからないように慎重に歩くこと数分。

DクラスとEクラスの合同自習会場の部屋の前に辿り着いた私達は、扉をわずかに開けて中の様子をうかがっていた。

残念なことに、ここの監視を担当してる豊郷耳先生は出入り口の前にいるから、こっそり侵入するのは厳しいな。

 

「して、どうするのじゃ?このままでは交渉を進められんが。」

 

「簡単だ。一人が囮となって、教師を引き付ければいい。(チラッ)」

 

「断る。」

 

囮といいながら吉井君をチラ見した坂本君に対し、言われる前に先手を打って断る吉井君。

まあ、Dクラスへの宣戦布告の時みたいに、大抵は吉井君がやることになるもんね。

 

「やれやれ。それじゃ、ゲームで決めないか?」

 

「ゲームって何?」

 

「古今東西ゲームだ。」

 

「・・・わかったよ。」

 

古今東西ゲームか~。

私は隠れることなら出来るけど走るのはあまり得意じゃないし、選ばれたくはないかな。

誰かが追われてるところで注意をひきつけて隠れるとかならいいんだけどね。

 

「坂本雄二から始まる、古今東西ゲーム!!」

 

「「「イェーイ!」」」

 

「【A】から始まる英単語っ!」

 

「へっ?」

 

パンパン!

 

「【Apple】(坂本君)」

 

パンパン!

 

「【Angel】(私)」

 

パンパン!

 

「僕のっ・・・負けだッ・・・!(吉井君)」

 

えー、ひとつもないの・・・?

 

「で、でもムッツリーニも出来ないよね!?」

 

ムッツリーニ君も囮役に引き込まんとする吉井君。

 

「・・・そんなことはない。」

 

でも、それに対するムッツリーニ君のセリフは意外なものだね。

まあ、それが普通なんだけど。

 

「じゃあ、行くぞ。古今東西ゲーム!!【A】から始まる英単語!」

 

パンパン!

 

「【April】(坂本君)」

 

パンパン!

 

「・・・【AV】(ムッツリーニ君)」

 

「はいちょっと待って。」

 

吉井君によるストップが入る。

まあAVは英単語ではないもんね。

AudioやAdultならともかく。

 

「なんだ?ちゃんとAから始まっていただろう。」

 

「それはそうだけど・・・。」

 

「だろ?続けるぞ。」

 

吉井君の物言いは却下された。

 

パンパン!

 

「【Action】(坂本君)」

 

パンパン!

 

「・・・【Akihisa】(ムッツリーニ君)」

 

「はいストップ。今僕の名前を言ったよね。いつの間に僕の名前は英単語になったのかな?」

 

「《名詞》バカの意。またはそれに値する人物の総称。~fulで形容詞。」

 

「何!?そうやって本当に載ってるかのような説明はやめてよ!?」

 

「《例文》He is so akihisaful.(彼はこのうえなく愚かな人物だ。)」

 

坂本君、それっぽいね。

本当にありそう。

 

「とにかく、固有名詞や略語は禁止だからね!」

 

「わかったわかった。次行くぞ。」

 

吉井君の物言いは再び却下され、続行される。

 

パンパン!

 

「【Arrive】(坂本君)」

 

パンパン!

 

「・・・【Amen】・・・ボ(ムッツリーニ君)」

 

「今小さい声でボって言ったよね!?今のは明らかにアメンボだよね!?」

 

パンパン!

 

「【Agent】(坂本君)」

 

パンパン!

 

「・・・【Aー●△●◇※★⁉】(ムッツリーニ君)」

 

「今思いつかなかったから早口で言ってそれっぽく誤魔化したよね!?ねえ!?」

 

吉井君の抗議はガン無視されてる。

 

「ふう。勝負がつかないな。これくらいでいいだろう。」

 

「・・・(コクリ)」

 

「納得いかない!どうしてムッツリーニへの判定はそんなに甘いのさ!」

 

あ、ちょっと吉井君!

そんなに大声出したら!

 

「(ガラッ)誰ですか!自習時間に出歩いているのは!」

 

ほら、豊郷耳先生にバレちゃった。

 

「あ、やば。雄二・・・っていない!くっそぉ、やっぱり僕がこの役目になるのかぁ!」

 

私達は即座に隠れたから、出遅れた吉井君だけが豊郷耳先生のターゲットになる。

猛ダッシュして逃走する吉井君と、それを追う先生。

とりあえずこれで監視の先生の目はなくなった訳だけど・・・交渉の場に女子である私がいてもね。

 

「じゃ、私は吉井君の手助けをしてくるから、あとは任せるね~。」

 

隠れるのには自信があるから、吉井君を追う先生からある程度離れた場所で注意をひきつけて、吉井君が撒きやすくするつもりだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあ・・・はぁ・・・大変だった・・・!途中から大島先生も出てきて・・・。」

 

あのあと、私の協力もあって吉井君は先生を振り切れたよ。

その間に無事にD、Eクラスとの交渉は終わったみたい。

で、私達はB、Cクラスのところまで来てた。

 

「おお明久、お陰で交渉は成功したぞ。もう1回、よろしくな。」

 

「今度は勝って回避してやる!ここまでに考えてきたんだからな!」

 

お、吉井君が自信満々だ。

 

「ほう?見せてもらおうか。古今東西ゲーム!【O】から始まる英単語!」

 

パンパン!

 

「【オーガスト(August)】!(吉井君)」

 

「吉井!何故授業中に出歩いているのだ!」

 

「すいません!色々事情があるんです!」

 

易者先生は意外に足が速いってことがわかったよ。

吉井君、私も手伝うから頑張ってね。

 

 

 

 

 

 

 

 

まあ、そこでは振り切ったけど、結局Fクラスの会場に戻った際、鉄人先生に捕まってみんなそろってお説教と課題、あとげんこつを貰ったんだけどね。




いかがでしたか?
相変わらず明久は貧乏くじ。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。