古明地こいしとFクラス   作:こいし金二

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第四十一話「四日目!」

 

 

強化合宿も4日目。

明日は帰るだけだから、今日が実質的な最終日だね。

朝食の時間だけど、吉井君と坂本君はものすごく眠そうに目をこすりつつぼやいている。

昨日私と魔理沙、あと姫路ちゃんが帰ったあとに何かやらかして夜通し指導を受けたのかな?

 

「気合いさえ入れば目が覚めると思うんだが、全然気合いが入らな・・・ふおおおおっ!」

 

なになに!?

坂本君がいきなり叫んで覚醒したんだけど!?

よく見たら坂本君はなにか持ってる。

あれは・・・写真?

 

「ムッツリーニ、今お主が見せたのは何なのじゃ?えらく興奮しているように見えたが・・・。」

 

「・・・魔法の写真。」

 

魔法の写真?

なんだろ、私も見たい!

 

「あはは、雄二も単純だなあ。そんな写真一枚で気合いが入るなんてこと、あるはずなふおおおおっ!!」

 

入ってるじゃん。

吉井君の後ろから覗き見させてもらうと、どうやら昨日撮った写真を現像したものみたい。

浴衣姿の私に魔理沙、木下君に姫路ちゃんが、すごい色っぽく写ってる。

自分で言うのもどうかとは思うけど、私もすごく可愛いな。

ムッツリーニ君、凄いよ!

 

「・・・それと、綺麗に撮れたので印刷してみた。」

 

「放して秀吉!このバカの頭をカチ割ってやるんだ!」

 

「落ち着くのじゃ明久!よく撮れておるではないか!」

 

ムッツリーニ君が取り出したもう1枚の写真には、セーラー服を着た吉井君の姿。

それを見て、ムッツリーニ君の頭をカチ割ろうとする吉井君を木下君が羽交い締めにしてる。

どこから入手したんだろうとか、いつ着たんだろうとか、本人に気づかれずにどこから撮影したんだろうとか突っ込みたいことがたくさんあるけど、なんか突っ込んだら負けな気がするんだよね。

 

「驚いたぞムッツリーニ。まさかここまですごい写真を撮るとは。」

 

目に光を取り戻した坂本君が、ムッツリーニ君に労いの言葉をかける。

普段あんまり女の子に興味を示さない坂本君でさえこんな反応だし、かなり期待出来そうだよね。

 

「よし、これを全男子に回せ。」

 

坂本君が写真の裏にパクるのを禁止するよう字を書き、近くにいた須川君に渡す。

須川君は疑問符を浮かべながら写真を受け取って、

 

「ふおおおおっ!」

 

覚醒したね。

でも、こんな風に全員が覚醒してたら、怪しまれないかな?

まあいっか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから私達は、最後の決戦に向けて補充テストを受けたり、作戦を考えたりと、頑張ってた。

もちろん私もね。

そしてついに、運命の時間がやってくる。

 

「いよいよ、この時が来たな。」

 

坂本君がしゃべり始める。

もう、この時間には監視の先生もおらず布陣についてるから、いるのは協力者だけだ。

 

「もはや言葉はいらねえ!理想郷を目指し、進むぞ!」

 

「「「おうっ!」」」

 

最後の戦いが、幕を開けた。

さて、私も頑張らないとね。

私と魔理沙は、吉井君と行動するように言われてる。

鉄人先生への唯一の切り札である吉井君を、無事に送り届けるためだよ。

 

 

 

 

 

 

 

「うむむ、我に集団で来るでない!鬱陶しいわ!」

 

「落ち着け布都!防衛陣を敷いているこの状況での太乙真火は味方の被害が大きい!」

 

「行け!物部と蘇我を圧殺しろ!」

 

まず最初に戦場となっているはずの2階広間。

Cクラスが協力してくれていれば、ここで戦いが行われるはずだけど、無事にやってるね。

見たところ、攻撃側が優勢みたい。

 

「Cクラスのみんな!協力してくれたんだね!」

 

「ったりめぇだ!あんなモン見せられて、男がおめおめと帰れるかってんだ!」

 

「ここは俺達に任せやがれや!てめぇらこそしくじんじゃねぇぞ!」

 

すごい、口調が少しおかしいけどノリがいいね。

 

「通す訳にはいかないんです!」

 

「いいや、あいつらは通させてもらう!」

 

おかげでこの戦場はスルーすることができた。

後ろは振り返らず、前だけを見て走る。

先の試召戦争では敵だった相手が、今は味方になってるのは、なんか嬉しいね。

階段を降り、次は大食堂。

ここでも勝負が繰り広げられてたなら、賭けには勝てるはず!

 

「・・・メだ、かなわ・・・」

 

「・・・護をた・・・」

 

「やった!戦いが行われてるみたいだ!」

 

「待て!様子がおかしいぞ!」

 

安堵する吉井君を坂本君が諌める。

 

「・・・ここは通さない。」

 

「ええ。ここは私達が守りますよ。」

 

扉を開けて、中に入るとそこでは戦いが行われてた。

さっきとは違って、防衛側が圧倒的に優勢。

見たところ・・・Aクラスの姿はない。

Bクラス男子は首席の霧島さんと、実質首席の阿求ちゃんに蹂躙されちゃってる様子だ。

 

「・・・雄二。浮気は許さない。」

 

「くっ、根本バリアー!」

 

「さ、坂本!?せっかくの協力者に、それはあんまりじゃないか!?」

 

坂本君が盾にした、Bクラス代表である根本の召喚獣すら一撃で斬り伏せられる。

うーん、根本が倒されたのはどうでもいいけど、この戦況はまずいね。

 

「明久よ。どうしてお主はここまで覗きに拘るのじゃ?失礼かもしれんが、これを達成しても、お主のレッテルは大して変わらんと思うぞい。それに、お主はやられれば痛く苦しいはずじゃ。何故、そこまで諦めないのじゃ?」

 

この戦況をどうするか考えてたところ、横から木下君の質問が聞こえてくる。

確かに、苦労に対して、リターンは少ないと思うよね。

 

「確かに、最初は僕の名誉の為だったよ。でもね秀吉、それに向かって努力したり、仲間が増えて、その仲間を失いながら前に進んだりしているうちに、僕は本当の気持ちに気づいたんだ。世間がどう思うかなんて関係ない!僕は自分の気持ちに正直でありたいんだ!純粋に、心から己の欲望のために女湯を覗きたいんだ!」

 

「お主は何を言ってるのじゃ!?」

 

どう答えるかと思ったら、ね。

でも、なんかかっこよく聞こえなくもない・・・かな?

 

「・・・よく、わかりました。吉井君、覚悟をしてく『君の想い、確かに聞きとった!』誰ですか!?」

 

呆れと怒りがこもった阿求ちゃんの言葉を遮り、何者かが声をあげる。

声がした方を見ると・・・

 

「吉井君!君の想いは確かにこの僕が聞きとったよ!すまない、準備はしていたが、踏ん切りがつかなくてね。だが、君の言葉を聞いて、気持ちが固まったよ。ただ今からAクラス男子総勢22名、吉井明久の覗きに力を貸そう!」

 

「お主ら自分が何を言ってるのか、わかってるのかの!?」

 

久保君を先頭に、Aクラスの男子っぽい人達がずらりと並んでる。

そして、久保君の合図とともに、一斉に召喚を行い、戦いを始める。

一人一人がさっきの根本より点数が高いため、戦況は一気に逆転・・・とはいかなかったけど、五分五分くらいにはなった。

 

「ありがとう久保君!」

 

「なに、気にすることはないよ。僕も、君の言葉の通り、気持ちに正直でいようと思っただけだからね。」

 

まあ、その気持ちが吉井君にとっては問題なんだけどね。

私には腐った趣味はないし。

とにかく、私達は戦場を駆け抜ける。

 

「やはり、来ましたか。あなた達にはもう一度、社会のルールを説く必要がありそうですね。」

 

次は高橋先生率いる部隊。

昨日見てわかったけど、高橋先生の召喚獣はものすごく強い。

多分この中で一番扱いに慣れている吉井君ですら瞬殺したもんね。

見えないレベルの攻撃速度だったし、多分吉井君が阿求ちゃんくらいの点数を持ってても厳しいんじゃないかな。

 

「アウェイクン!」

 

だから、私達は戦わない方法を選ぶ。

坂本君が召喚大会で得た腕輪には、教師の立ち合いなしにフィールドを生成できる効果がある。

点数は消費するし科目はランダムだけど・・・。

 

「干渉、ですか。やってくれましたね・・・。」

 

召喚フィールドがぶつかってしまうと、互いが互いのフィールドを消してしまう。

フィールドがなくなれば召喚獣は実体化出来ないから、この場の全員の召喚獣が消滅したね。

この隙に、脇を駆け抜ける。

召喚獣さえいなければ、高橋先生はただの女性だもん。

 

「くっ、4人通してしまいましたが、これ以上はさせません!」

 

でも、先生がフィールドを消去したことで、坂本君のフィールドのみが残り、召喚獣は再び実体化する。

さすが高橋先生、判断が早いね。

点数を消費する関係上、坂本君のはそう簡単にオンオフができない。

だから、実質的に、ここから先は私、吉井君、ムッツリーニ君、魔理沙の4人で戦うしかなくなったね。

高橋先生はそう簡単に倒せないと思うし。

 

「止まれ。」

 

「ボクも女の子だからね。ここを通す訳にはいかないんだ。」

 

廊下で待っていたのは大島先生と工藤さん。

1日目に先生の点数を見てるし、工藤さんもムッツリーニ君ほどじゃないけど、点数が高い。

大丈夫かな?

 

「・・・ここは俺が引き受ける。行け。」

 

「でも、ムッツリーニ君一人でこの2人って・・・。」

 

「・・・いいから行け。俺のことは心配ない。」

 

そこまで言うなら、この場はムッツリーニ君に任せようかな。

 

「わかった!任せるよムッツリーニ!理想郷でまた会おう!」

 

ムッツリーニ君以外の3人でダッシュする。

・・・でも気のせいかな、初日よりかなり前にいたような・・・?

少し、嫌な予感する。

 

「あんた達、止まりなさい。」

 

「ここは通す訳にはいきませんよ!」

 

「・・・こいし、あとで事情をみっちり聞かせてもらいますよ。」

 

そう思ったのは間違いじゃなかったみたいで、目の前には霊夢さんと早苗ちゃん、そしてお姉ちゃんが立ってる。

・・・どうしよ。

でも、とりあえずお姉ちゃんに私の目的を悟られるわけにはいかないな。

 

「・・・しょうがない。吉井!お前だけでも抜けるんだ!」

 

「・・・わかった!僕は鉄人を倒す!」

 

「あ、こら、待ちなさい!」

 

「「サモン!」」

 

吉井君を止めようとする霊夢さんの気を引くために、私と魔理沙で召喚獣を出す。

フィールドは・・・数学だね。

・・・数学?

私達の学年の数学教師は河城先生だけど、昨日というか今朝も居なかったような・・・?

あと、フィールドだけで先生がいないのも気になるな。

まあでも、そのへんを考えててもしょうがないよね。

 

「・・・わかったわ。あんた達の挑戦、受けてやるわよ。あんた達が勝ったら、私は手を引くわ。」

 

「お、お姉ちゃん!?」

 

早苗ちゃんが驚いてる。

 

「魔理沙は理由もなくこんなことに加担するような人間じゃないし、それはこいしも同じよ。早苗もそれは知ってるでしょ。それにさとりも姉なんだからわかるはずよ。」

 

「まあ、そうですが・・・。」

 

「これは勘だけど、あんた達・・・少なくとも私が部屋にいった時にいたメンバーは覗きに目的があるんでしょ。例えば・・・お尻に火傷の痕がある、初日の盗撮の真犯人を見つけるとか、ね。」

 

すごい、大体合ってる。

 

「・・・さすがお姉ちゃんだけど、でも何でこいしちゃんや魔理沙さんが?」

 

「そこまでは知らないわよ。その真犯人になんか脅迫でもされてるんじゃないの。」

 

適当な感じで言う霊夢さんだけど、それも正解だよ。

やっぱりすごいね霊夢さん。

 

「・・・まあ、今はいいでしょう。こいしの考えも読みとることが出来ませんし。」

 

お姉ちゃんが呟く。

なんで読みとることが出来ないのかはわかんないけど、良かったかな。

とにかく、今は3人を倒さなければならないね。

 

『Aクラス 博麗霊夢 数学 421点 and Aクラス 東風谷早苗 数学 375点 and Bクラス 古明地さとり 数学 361点』

 

VS

 

『Fクラス 古明地こいし 数学 271点 VS Fクラス 霧雨魔理沙 数学 408点』

 

うーん、霊夢さんと魔理沙が腕輪持ちみたいだけど・・・。

でも霊夢さんと魔理沙の戦いは、Aクラス戦の時に負けてるんだよね・・・。

 

「大丈夫だぜ、こいし。あの時は使えなかったが、霊夢を倒せる策はあるんだぜ。」

 

小声で魔理沙が言ってくる。

 

「霊夢!私の技を受けてみるんだぜ!恋符『マスタースパーク』!」

 

「・・・あんたそれ、前回やられたじゃないの。二重け『チャリチャリーン』お金の音!(シュババッ!)」

 

「ちょっとお姉ちゃん!?」

 

魔理沙が、前回も使ったマスタースパーク?を放つと同時にポケットから500円玉を2枚取り出し、霊夢さんの方へ1枚、その場に1枚落とす。

前回もやった反射行動を取ろうとした霊夢さんの意識は完全にそっちへ向き、結果的に魔理沙のレーザーは霊夢さんの召戦争を貫いた。

えー・・・・・・。

 

『Aクラス 博麗霊夢 数学 0点』

 

それで霊夢さんの召戦争は戦闘不能。

でも・・・

 

「「「・・・・・・」」」

 

味方であるはずの私も含め、全員が魔理沙をジト目で見てる。

 

「・・・すまないな霊夢。例え卑怯だ根本だと言われようが、私は勝たなければいけなかったんだぜ。」

 

「・・・・・・まあいいわ。1000円は私のものになったし、そこまで怒らないわよ。」

 

「さ、さすがは霊夢だな!人間が出来てるぜ!」

 

「魔理沙、合宿が終わったら、5000であんたの悪いものを祓ってあげるわ。来なかったら・・・わかるわよね?」

 

「・・・・・・ハイ。」

 

霊夢さん、やっぱり怒ってた。

まあでも、霊夢さんの巫女業は真面目にやってるから詐欺でもないんだけどね。

 

「しょうがないから、早苗とさとりに後は任せたわよ。」

 

「わかったよお姉ちゃん!」

 

「いいのでしょうかこれで・・・。」

 

燃える早苗ちゃんと、困惑気味のお姉ちゃん。

 

「・・・とりあえず今はこの場の戦いだ!行くぜ!」

 

魔理沙が箒を構えて召喚獣を走らせる。

狙いはお姉ちゃんみたい。

 

「ふむ、そう来ますか。私の召喚獣はハートの弾幕で武器はない、だからあえて近接戦を仕掛ける。狙いは悪くないと思います。」

 

・・・・・・そういうことか!

お姉ちゃんの狙いはわかった。

 

「ですが、私も黙ってやられはしませんよ。」

 

「ナ、ナイフだと!?」

 

魔理沙が振りかぶった箒は、お姉ちゃんが手に持つ2本のナイフで止められる。

よく見たら、お姉ちゃんはあの黒い腕輪をしてる。

さっきマスタースパーク?で点数を消費してるし、魔理沙の箒は木。

それに箒は近接用の武器じゃないもんね。

 

「では、今度はこちらから行かせて貰いましょう。」

 

「うぉっ!とっとっ、と・・・!」

 

お姉ちゃんが2本のナイフを使いこなし、魔理沙に攻撃を加えていく。

魔理沙も箒で防ごうと奮闘するけど、手数が多いせいで防ぎきれてない。

・・・と、魔理沙の方を気にしてる場合じゃないね。

私も早苗ちゃんをなんとかしないと。

早苗ちゃんの拳をかわしたり私の武器で防いだりして攻撃の機会を待つ。

前回戦った時は現代文だったから点数差が酷かったけど、今回はまだマシだしね。

でも、どうしようかな。

こっちから攻められそうなチャンスはないし、魔理沙の方も放置してたら多分負けちゃう。

 

「・・・こちらは終わった。そっちはどうなった。」

 

打開策を考えながら戦ってたら、ムッツリーニ君がやってくる。

どうやら、先生と工藤さんに勝ったみたいだね。

 

「吉井君は鉄人先生と戦ってるはずだけど、今私達はお姉ちゃんと早苗ちゃんに止められてるって状況だよ。」

 

戦いの手は止めず、ムッツリーニ君に状況を説明する。

 

「・・・わかった、加勢する。サモン。」

 

ムッツリーニ君が召喚獣を出す。

これで数的優位にたてたし、行けるかな・・・

 

『Fクラス 土屋康太 数学 27点』

 

・・・って思ったけど、これじゃほぼ変わらないような気がするな。

 

「今です!八坂スマッシュ!」

 

「!!」

 

私がムッツリーニ君の点数を見て落胆したところで生まれた一瞬の隙をつき、早苗ちゃんが八坂スマッシュを放つ。

一撃目が私に入り、高く打ち上げられる。

確か・・・次はジャンプからの地面に叩きつけだったよね。

 

「じゃあ、こうするよ!」

 

Aクラス戦の時、お空が受けてた時を思い出し、場所を推測して攻撃を放つ。

合っていたみたいで、早苗ちゃんの拳と私の武器がぶつかり、音をたてる。

とはいっても、不安定な場所から放った攻撃だし、早苗ちゃんの攻撃に重力も乗ってるから、私の召喚獣は高速で地面に落下していくんだよね。

多分、防衛行動をとっても私の死は免れない。

だったらせめて、一矢報いるよ!

ポケットに入れていた黒い腕輪を素早く腕に装着する。

私の武器である、触手のようなものが細かな粒子となって消え去り、かわりに私の手に弓が生成される。

召喚獣を既に出してる時でも、つけてない時からつけた時に限るけど武器をチェンジ出来るって学園長先生から聞いてたからね。

 

「早苗ちゃん、覚悟だよ!」

 

「弓っ・・・!?」

 

早苗ちゃんの召喚獣だって、あの攻撃を放った後は落ちるしかない。

素早く弓をひいて、上にいる早苗ちゃんの召喚獣めがけて放つ。

さっきの一撃は防いだから、まだ私の召喚獣の点数は200点くらいある。

それだけの一撃が入れば、早苗ちゃんの召喚獣もただではすまない。

まあ、防御行動とってない私の召喚獣も倒されちゃうんだけどね。

あとは魔理沙とムッツリーニ君に任せようかな。

 

『Fクラス 古明地こいし 数学 142点 VS Aクラス 東風谷早苗 数学 0点』

 

・・・って、あれ?

私の召喚獣が死んでない。

 

「・・・間に合った。」

 

ムッツリーニ君が呟く。

私が自身の召喚獣の方を見ると、私の召喚獣をお姫様だっこで支えるムッツリーニ君の召喚獣が。

・・・ってなってればかっこよかったんだけど、実際はムッツリーニ君の召喚獣が私の召喚獣の下に入り、クッションになってた。

そのおかげで落下の衝撃がだいぶ緩和されて、生き残ったみたい。

とにかくムッツリーニ君のおかげで私は生き残ってる。

ムッツリーニ君は犠牲になっちゃったけどね。

ありがとね、ムッツリーニ君。

 

「えいっ!」

 

とにかく、私は召喚獣に弓をつがえさせ、狙いを絞る。

もちろん、狙いは魔理沙を攻めてるお姉ちゃん。

ほんとはお姉ちゃんに攻撃したくはないけど仕方ないよね。

 

「・・・!」

 

放たれた矢はお姉ちゃんめがけて飛んでいくけど、ギリギリのところで当たらない。

うーん、やっぱり真上に射つだけならともかく、狙いを定めるのは難しいな。

 

「・・・今のはこいしね。わざと外したのかしら?」

 

お姉ちゃんがこっちを見て確認するかのように呟く。

お姉ちゃんはそう疑ってるけど、純粋に外しただけなんだけどね。

 

「・・・まあいいわ。魔理沙さん、覚悟です。・・・あと、いい加減本も返して下さい。」

 

「やられるつもりはないぜ!あと、本はまたそのうち、な。」

 

お姉ちゃんが魔理沙を攻め続ける。

でも位置関係がよくないな。

お姉ちゃんと私の直線上に魔理沙がいるような位置をとられてる。

でも弓には銃にも弾幕にもレーザー(星さんのは別だけど)にもない利点があるからね。

今の私が出来るかはわかんないけど、矢を上向きに放つ。

上向きに放たれた矢は重力に引かれ、そのままお姉ちゃんの召喚獣の肩あたりにヒットする。

・・・うん、うまくいったみたい!

軌道が直線とは限らないから、味方の頭上を越えて攻撃出来るっていうのが選んだ理由のひとつなんだよね。

 

「・・・くっ。」

 

「隙ありだぜ!マスタースパーク!」

 

私の矢で点数を減らし、動きが鈍ったお姉ちゃんの召喚獣に対し、至近距離で必殺技を放つ魔理沙。

回避は敵わずレーザーは直撃した。

 

『Bクラス 古明地さとり 数学 0点 VS Fクラス 霧雨魔理沙 数学 108点』

 

「よし!勝ちだぜ!」

 

「・・・負けましたか。ナイフの扱いももう少し慣れなければなりませんね。」

 

「私も、八坂スマッシュ決まった後も油断はしないようにしないとですね・・・。」

 

「約束通り、通っていいわよ。」

 

霊夢さんの言葉に甘え、悔しそうなお姉ちゃんと早苗ちゃんを横目に通る。

女湯の前には満身創痍ながらも勝利をもぎ取った様子の吉井君と気絶してる鉄人先生、あとは・・・誰だっけ?

ドリルのツインテールに見覚えはあるんだけど・・・。

 

「・・・あ、古明地さんと魔理沙!どうやら、彼女が脅迫犯みたいだよ。」

 

え、そうだったんだ。

ちょっと失礼して、お尻の火傷の痕の有無を確認させてもらうと、確かにあるね。

・・・うん。

 

「爪に針・・・、歯茎をペンチ・・・。姫路ちゃんの料理強制・・・。」

 

「「古明地さん(こいし)、真顔で何怖いこと言ってるの(のぜ)!?」」

 

おっと、いけないいけない。

お姉ちゃんの秘密を握って脅迫したんだからこれくらい当然だけど、心の声が漏れちゃった。

 

「それより吉井君、よく鉄人先生に勝ったよね!おめでと!」

 

「あ、うん、ありがとう。2体の召喚獣を使ってやっとの勝利だったよ。」

 

「「「いざ、理想郷へ!」」」

 

吉井君と話してたら、むこうで戦っていた男子達がやってくる。

どうやら、勝ったみたい。

これでもう、阻む壁はないってことだよね。

でもなんだろ、なんか良くない予感がするな。

坂本君がみんなの前で感謝の意とかを述べてる時に、こっそりと風呂場の中を覗きこむ。

・・・・・・あっ。

 

「では理想郷へ『みんな、ちょっと待って。』どうした古明地。」

 

「みんな、ここで覗きをしないで引き返した方がいいよ?」

 

「「「今更帰れるか!」」」

 

「ここで実行すれば、絶対に良くないことになっちゃうよ。今ならまだ間に合うよ?ね、だから引き返そ?」

 

「「「断る!」」」

 

私の説得も空しく、進行してくみんな。

あーあ、私は確かに止めたよ?

みんなのために言ったんだけど、受け入れられないならしょうがないか。

せめて、これから起こる惨劇を見ないよう、彼らに背を向けて出てく。

 

「「「割に合わねええぇぇーっ!!!」」」

 

だから言ったのにな。

学園長先生の艶姿なんて、吉井君達男子高校生が見たら良くないって。

まあ、私にとっては吉井君達男子に友達やお姉ちゃんの裸を見られなくて済んだし、脅迫犯も見つけられたし、なんだかんだで楽しかったしハッピーエンドだね!

こうして、強化合宿は幕を閉じたよ。

・・・というか、あの時あっさり通過許可を出してた霊夢さんはこうなるって知ってたみたい。

強化合宿の様子を見るため、河城先生と来てた学園長先生がお風呂に入るのを見てたらしいよ。

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに翌日、男子生徒全員1週間の停学になったけど、私と魔理沙は女子だからお咎めナシ。

阿求ちゃんとかの視線がちょっと痛かったけど、キチンと説明したらわかってくれたよ。

吉井君達には悪い気がするけど、しょうがないよね!




いかがでしたか?
これが魔理沙の霊夢対策。
ちなみに八坂スマッシュを武器で防いでから地面に落下するまでは2秒くらいです。
こいしちゃんの反射神経すげえ。
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