放課後。
正式に双方の和解という形で戦争も終了したんだけど、私と魔理沙は教室に残ってた。
坂本君とムッツリーニ君、あと木下君もいるけど、なんでもムッツリーニ君が昨日の交渉の音声を残してたらしく、吉井君が美春ちゃんに何を言ったのか聞けるみたい。
確かにそれは興味あるよね。
特に魔理沙は食いついてたもん。
準備が出来たら再生するみたいだし、それまでとある準備をしながら待ってるよ。
「はぁ、酷い目にあった・・・あれ、雄二達は何してるの?」
そうしてたら、吉井君が帰ってきた。
ムッツリーニ君の準備も終わりそうだし、あらかじめ作成してたメールを送信して・・・と。
これで良しだね。
「おお、明久か。今からムッツリーニが面白いものを聞かせてくれるらしいからな。明久もどうだ?」
「・・・面白さは保証する。」
坂本君とムッツリーニ君が誘う。
私達全員、楽しそうだからね。
「そうなの?そんな面白いなら、僕も聞いてみようかな。」
私達の笑顔の真意に気づかず、聞く体制をとる吉井君。
流れ始める。
『・・・なんですか?美春になんか言いたいことでもあるんですか?』
『うん、一つだけ。清水さんの誤解を解いておきたいんだ。』
『誤解?お姉様と付き合っているのが演技というのなら既に知っていますけど?』
「ちょちょちょっと!なんて物を再生してくれてるのさ!?冗談じゃない!早く止め」
「秀吉。」
「了解じゃ。」
木下君が動いて、吉井君を羽交い締めにする。
『いや、そうじゃなくて・・・。その・・・美波の魅力を知っているのはキミだけじゃないってこと。』
「くっ!は、放してよ秀吉!これだけは本当にダメなんだ!」
「ふっふっふ。そうはいかんのじゃ。」
『何を言ってるんですかっ!いつもお姉様に悪口ばっかり言って、女の子として大切に扱おうともしないで!』
『うん、清水さんの言う通り、確かにお姫様みたいに扱ってるわけじゃない。男友達に接するみたいに雑な態度になってるかもしれない。けどね・・・。』
「わーっ!わーっ!聞くなーっ!流すなーっ!」
「五月蝿いな、少し黙ってろ。」
「むぐっ!?んむーっ!!」
声をあげてかき消そうとした吉井君の口を坂本君が手でふさぐ。
『けど、なんですか?』
『・・・けど、僕にとって美波は、ありのままの自分で話ができて、一緒に遊んでいると楽しくて、たまに見せるちょっとした仕草が可愛い、とても魅力的な・・・女の子だよ。』
・・・・・・・・・思ってたのよりすごく直球だ・・・!
私に言われたわけでもないのに、なんかちょっとドキドキしてくるかも・・・!
他の4人も驚いたような表情してる。
恥ずか死しそうな吉井君だけど、かっこよかったと思うよ!
これならきっと・・・。
「・・・っ!(ダッ)」
その時、急にムッツリーニ君が険しい顔をして廊下に出ていく。
「なんだ!?どうしたムッツリーニ?」
「・・・油断した。」
戻ってきたムッツリーニ君が苦々しい顔してそう呟く。
「んむ?まさか廊下に誰かおったのかの?」
「・・・今のを立ち聞きされたかもしれない。」
「あら、それはまた・・・。(棒)」
「ムッツリーニ!あいては誰!?」
「・・・多分、張本人。」
「そうか、聞かれちまったか。すまん明久、まさかこれほどのものだとは思わなかった。」
「すまぬ明久。」
「・・・すまなかった。」
「悪かったのぜ。」
「ごめんね吉井君。(棒)」
頭を下げる私達だけど、私の持ってる携帯の画面には送信完了の画面が表示されてる。
宛先は美波ちゃんで、送信時間はついさっき。
件名は『今すぐ教室に来て。そして廊下で中の会話をこっそり聞いててね』、本文はなし。
吉井君には悪いけど、見てられなかったから・・・ね。
今度さりげなくなにかおごってあげようかな?
「まあ、聞かれてしまったものはしょうがないけど・・・。悪いと思ってるなら美波との仲直りの手伝いをしてよ。あれ以来ずっと険悪なままなんだから。」
「大丈夫だよ!その必要はないはずだから!」
「・・・・・・?」
吉井君が不思議そうな顔してるけど、私はしっかりやったし、安心していいよ!
とにかく、これで一件落着だね!
「さて、私は阿求ちゃんの家にいかないとね。」
ほんとなら昨日行きたかったんだけど、昨日の時点ではまだ騒動の真っ最中だったし、阿求ちゃんに責任や心配を感じてほしくなかったからね。
ちなみに魔理沙は、美波ちゃんと話をしに行ってる。
今回がはじめてじゃないし、一回家に行って適当に果物を持って行く。
使いの人に名前と阿求ちゃんのお見舞いにきたことを伝えると、案内してくれる。
・・・でもやっぱり、何回見ても慣れないな・・・。
稗田家は奈良時代からの由緒正しい家柄なだけあって、純和風のお屋敷もものすごく大きくて広いんだよね。
阿求ちゃんはそんな家筋の一人娘ってだけあってかなり家も厳しいし。
考えながら連れられ5分ほど歩くと、ようやく阿求ちゃんの部屋まで到着。
「失礼します。次期当主様、お見舞いにきたという友人様を連れて参りました。」
「ありがとう、下がっていいわ。」
「わかりました次期当主様。」
下がる使いの人。
思ってたより阿求ちゃんは元気そうに見える。
「いつもお見舞いに来てくれてありがとうございます。」
「やっぱり相変わらず凄い家だよね・・・。」
「まあ、知っての通り、稗田家は歴史が長い家ですから・・・。それで、私が休んでいる間なにかありましたか?」
「うん、結構大変なことがあってね・・・。」
私は昨日の朝の美波ちゃんと吉井君のキスから始まった一件について、ざっと話してく。
阿求ちゃんは興味深そうに話を聞いてくれたけど・・・時おり悲しそうな表情を見せるのが気になる。
「・・・どうしたの阿求ちゃん?なんか悲しそうだけど・・・。」
「いえ、組分け試験もですが、そういう大事な時に限って体調を崩してしまう自分が嫌になりまして・・・。」
「あー・・・。でも、身体が弱いのはうまれつきなんでしょ?」
以前阿求ちゃん本人から聞いた話だけど、稗田家は代々、瞬間記憶能力を持つ代わりに病弱で、寿命も短いらしいんだよね。
いつもは特になにもない日だったから、あんまり気にしたことはなかったけど・・・。
「・・・だとしても、です。大事な時に体調を崩して、迷惑をかけてしまう。そういうことがあるたび、自分が嫌でたまらなくなるんです。今回だってそうですし・・・。」
「・・・それは違うと思うよ。」
「・・・え?」
「今回阿求ちゃんが休んだことを責めた人なんていないはずだし、迷惑かけられただなんて思ってないよ。Fクラスの人達はバカでもそこまで人間的に腐った人はいないしね。」
もちろん、私だってそんなこと微塵も思ってない。
「そもそも、今日の戦争に負けてたとして、阿求ちゃんは肝心な日に休んだ戦犯じゃなくて、自分の力が及ばないところで設備が格下げされた人なんだから。それに、普段から頑張ってるじゃん。」
「そういうもの、なんでしょうか・・・?」
「そういうものだよ。というか迷惑かけてもいいんだよ。異端審問会なんてもんがあるくらいだしね・・・。」
「確かに、あれはおかしいですものね・・・。」
クラスメイトが一丸となること自体は悪いことじゃないけど、その内容が、ね・・・。
世界中どこを探してもあんなクラスはないと思うよ・・・。
「・・・でも、少し元気が出ました。ありがとうございます。」
「それならよかったよ!」
阿求ちゃんも元気そうだし、あんま遅くなるわけにもいかないから、その後30分くらい話して帰ることに。
昨日は38度5分まで熱上がったけど、今日の昼くらいに平熱まで下がったみたいだし、明日には登校できるみたい。
帰る前に、阿求ちゃんが読むことが許されてないけど隠れて読んでる、こっそり持ってきたまん○タイムきららを渡して、私は帰る。
帰りも使いの人に連れられて歩く。
阿求ちゃん、明日来られるといいな。
いかがでしたか?
こいしちゃんの策略で美波は聞いてしまいました。
ちなみにこいしちゃんがお見舞いに行っている間に美波と魔理沙は仲直りしたそうです。