「どうじゃ?我の日本史と、あの娘の生物による、理系文系両方で攻める作戦は?」
「むむむ・・・、化学か物理ならお空がかえりうちにできたんだけどな・・・。」
「もちろん、こちらも負けるつもりはありませんから、ねっ!」
「わわっ!危ないっ!」
しかけられた足払いをジャンプして回避する。
「今じゃ!」
でも、空中で身動きがとれない私に対し、物部さんが皿を投げてくる。
「とりゃっ!」
「皿って我以外に投げ返せたのかああああーっ!」
でも、正邪ちゃんがキャッチして、物部さんに投げ返した。
今までの消耗とあわせて、点数が1ケタになったね。
「よし、これでとどめだっ!」
「我が破れるなんて、嘘じゃああああっ!」
点数が大きく減って動きが鈍った物部さんの召喚獣を、正邪ちゃんの刀がばっさりと切り裂く。
『Dクラス 物部布都 日本史 0点』
「戦死者は補習ゥ!」
「い、嫌じゃ!補習室なぞ行きとうない!」
「こらこら布都。負けたのだから素直に受け入れなさい。ついでに、しっかり教育してもらいなさい。」
「嫌じゃあああっ!太子様、助けてえええ!」
「助けませんよ。」
点数がなくなった物部さんが補習室につれていかれた。
よしっ!
「よし、これで2対1だな!」
「マズイですね!でも私は負けませ・・・あれ?」
「これはこんな使い方もできるんだよ~!」
私の召喚獣の触手が、サマーソルトキックをしてきた美鈴さんの足にからみつき、動きをうまく封じる。
「よし、これでとどめだ!」
「ぐぬぬ・・・!でも、私の負けですね、参りました。」
私の触手を切らないように、今度は突きでとどめをさす正邪ちゃん。
物部さんと違い、美鈴さんは潔く補習室に連れていかれた。
「さて、あっちはどうなってるのかな?」
『・・・ピンポンパンポーン。風見幽香先生、風見幽香先生、吉井君が体育館裏でお待ちです。』
あら?
この放送なんだろ?
幽香先生は今生物の立会人をやってる先生だね。
『なんでも、育てていた花を水をやりわすれてひとつのこらず枯らしてしまったため、僕にお仕置きがてら花を綺麗に咲かせるコツを教えてほしいとのことだそうです。』
・・・・・・。
吉井君、御愁傷様。
生物の風見幽香先生は、普段はニコニコとしてて優しい先生なんだけど、お花を傷つけた人に対しては鉄人が可愛く見えるほどの折檻をかますんだよ・・・。
それに、花の育て方のコツを聞くと、だいたい10時間コースでみっちりと教えてくれるから、畏怖と尊敬も込められて『四季のフラワーマスター』なんて言われてたりするんだよね。
「・・・あら。それはしっかりとO☆HA☆NA☆SHIする必要があるわね。水をやりわすれるなんて、花に対する接し方が間違っているから直させないといけないわ。傘取ってこないといけないわね。」
うわぁ・・・。
ここからでも、春なのにひんやりとした空気を感じるよ・・・。
「吉井、あんた男だよ・・・!クラスのために風見先生に喧嘩を売るなんて・・・!」
「身命を賭して活路を切り開いた吉井隊長に続けーっ!」
「アキ、大丈夫かしら・・・?」
「十中八九、2日くらいは寝込むじゃろうな。」
むこうからはそんな声が聞こえてくる。
「あ、あれ?私の召喚獣が消えちゃいましたよ・・・。」
「マズイ!リリー・ホワイトさんを守りながら撤退しろーっ!」
どうやら、その娘はリリー・ホワイトさんっていうみたいだね。
でも生物のフィールドを展開していた幽香先生がO☆HA☆NA☆SHIをするために消えちゃったから、召喚獣を展開できなくなっちゃったみたい。
吉井君の命が危険にさらされてる以外は問題がなくなったね。
どうやらリリーさんは生物以外はダメみたいだし。
「・・・もう姫路ちゃんの補充試験は終わったかな?今回阿求ちゃんは参加しないけど、作戦はもうすぐだよね。」
阿求ちゃんは体が弱くて一度にたくさんテストを受けられないけど、成績は学年トップだからね。
今回は補充試験に徹してもらうことにしたみたい。
さっきの物部さん達も、阿求ちゃんがいたら2秒でかたがついたと思うけど、阿求ちゃんがみんなの前に姿をあらわしてたら、今回の作戦が破綻してた可能性があるからね。
・・・と、準備ができたみたいだね。
それじゃあ、私もこっそり行きますか~!
下校中の生徒にまぎれてDクラスの代表に近づいていく。
まだこちらにも気づいてないみたいだし、吉井君もいる。
それに、立会人となる古文の先生も付近にいるからしかけられる!
みたところ、近衛部隊もほとんどいないみたいだし、チャンスだ!
「新井先生!Fクラス吉井明久、Dクラス代表に古典で・・・」
「Dクラス玉野、受けます!」
「なっ!?」
「Fクラス古明地こいし、Dクラス代表に・・・」
「Dクラス直木、受けます!」
「むむむ、やっぱりダメか・・・。」
「残念だったな。二人とも。さすがにFクラスの生徒が近づいたら近衛部隊は来るに決まってるじゃないか。」
『Dクラス 直木美紀 古典 107点 VS Fクラス 古明地こいし 古典 73点』
ちょっとこれは厳しいかな・・・。
「でも、やるしかないよね!あともう少しなんだし!」
「でも、その点数ならどちらにしても無理だっただろうな。」
『Dクラス 玉野美紀 古典 101点 VS Fクラス 吉井明久 古典 37点』
・・・うん、言い返せないね。
「だろうね。僕には無理だと思うよ。だから姫路さん、お願いね♪」
「「は?」」
まあ、普通わかんないよね。
「あ、あの、すみません・・・。」
「え、あ、姫路さん、どうしたの?Aクラスはここを通らないはずだけど・・・。」
「あの、違うんです、Fクラス姫路瑞希、Dクラスクラス代表平賀君に現国勝負を申し込みます。」
「はぁ、どうも、よろしくおねがいしま・・・あれ?」
「サ、サモンです。」
『Fクラス 姫路瑞希 現代国語 339点 VS Dクラス 平賀源二 現代国語 129点』
「あの、えっと、ごめんなさい!」
姫路ちゃんが平賀君の召喚獣を一太刀でまっぷたつにする。
これにて、Dクラス戦は決着をむかえた。
「・・・・・・ふぅ。まさか、姫路さんがFクラスにいるとは、予想すらしてなかったよ。完敗だ。」
斬られてから1分ほど平賀君は立ち尽くしていたが、我にかえってそんなことを言ってくる。
「実は、もっと凄い隠し玉もあったんだけどな。」
あ、坂本君だ。
阿求ちゃんのことだね。
今回のことで相手は他に強大なメンバーがいないか調べるだろうし、阿求ちゃんのことを隠す必要はないと思ったんだろうね。
「あ、その、さっきはすみませんでした・・・。」
「いや、あやまる必要はない。物部やリリーがいるし、そもそもFクラスはDクラスより点数低いからFクラスなんかに負けるはずはないとなめてたせいで、下調べをしてなかったのも悪いし、何よりこれは勝負だ。」
「とりあえず、やったね!」
せっかくだから坂本君と握手する。
「古明地、物部との日本史ではよくやってくれたな。お前がいたからこの勝利があったと言えるだろう。」
「坂本君も、いい作戦だったよ!元神童の力はだてじゃないね!」
「それも、お前らの力があってこそだからな。」
「坂本君が私達の力を信じてくれたからだよ。」
こういうの、いいよね~。
「雄二、僕とも勝利の握手しようよ!・・・あれ?なんで手首を押さえるのかな?」
「押さえるに・・・決まってるだろうが!」
「ぬぐぐ・・・!雄二、生物ではよくやってくれたな!お前がいたからこの犠牲があったと言えるんだぞ!」
「お前もいい働きをしてくれたじゃないか。観察処分者は伊達じゃないな。」
「その時だって、雄二の力があったからじゃないか!」
「教師達がお前のバカさを信じてたからだろうが!」
こういうの、醜いよね~。
そして、カランと音をたてて落ちる包丁。
「・・・ふぅ。みんなでなにかをやり遂げるって素晴らしいね。」
・・・吉井君、やっぱりバカだね。
この状況、逃れられないでしょ・・・。
「僕、仲間との達成感がこんなにいいものだなんて、今まで知らな関節が折れるように痛いいぃっ!」
「今、何をしようとした。」
「も、もちろん、喜びを分かち合うための握手を手首がもげるほどに痛いぃっ!」
「おーい、誰かペンチを持ってきてくれー。」
「わ、わかった!僕が悪かったから生爪を剥がそうとするのはやめてください!」
まあ、当然だよね。
いやまあ、吉井君の状況も同情に値するけど。
「とにかく、ルールにのっとって教室をあけわたそう。ただ今日は時間も遅いし明日でいいか?」
平賀君がどこか悲しげな雰囲気を出しながら言ってくる。
まあ、そうだよね。
勝って英雄扱いでもてはやされるのが代表なら、負けて戦犯として責められるのも代表。
負けちゃった平賀君は、この先辛いんだろうなあ・・・。
「いや、その必要はない。」
だけど、坂本君はそんなことを言った。
いかがでしたか?
原作どおりの展開。
まあこの戦力ならDクラスはね。