「良ければアルバムでも見ますか?アキくんの小さな頃の写真が入ってますよ。」
吉井君達が料理を作りに行ってからしばらく後、玲さんがそんなことを言う。
吉井君の小さな頃の写真か・・・。
私も興味あるかも。
「え?いいんですか?」
「面白そうだぜ。」
「では、持ってきますね。少し待っていてください。」
玲さんが出ていき、少ししてアルバムを手に戻ってくる。
「こちらが、アキくんが2歳の頃のお風呂の写真です。」
「わー、可愛いです!」
「愛くるしい顔をしておるな。」
「そしてこちらがアキくんが4歳の頃のお風呂の写真ですね。」
「風呂の中で寝てるんだな。」
「あどけない寝顔だね~。」
「吉井君、お風呂が気持ちよかったのかな?」
「さらにこちらがアキくんが7歳の頃のお風呂の写真で、」
「アキも少しがっしりしてきてるわね。」
「成長が見てとれるぜ。」
「こちらがアキくんが10歳の頃のお風呂の写真です。」
「待った姉さん!なんでさっきからお風呂の写真ばっかなの!?そのアルバムは中身どうなってるの!?」
お風呂の写真を次々出す玲さんに耐えかねたのか、台所から吉井君の声が聞こえてくる。
そりゃあ恥ずかしいよね・・・。
料理中じゃなければ止めにきてたと思うよ。
「そして、これが昨夜のアキくんのお風呂の写真です。」
「「・・・・・・(ゴクリ)」」
・・・・・・昨夜?
「放して雄二!もう料理なんてどうでもいい!このフライパンであのバカ姉の頭をカチ割ってやるんだ!」
さすがに吉井君も我慢の限界だったようで、台所から叫び声とバタバタと音が聞こえてくる。
坂本君が抑えてるみたいだけど。
・・・でも、今の吉井君のお風呂姿、ちょっと興味あるような、見ない方がいいような・・・。
ちなみに、結局、美波ちゃんと姫路ちゃん、あと魔理沙は見てたよ。
美波ちゃんと姫路ちゃんはともかく、魔理沙はちょっと意外かも。
怖いもの見たさみたいな感じなのかな?
見なかった私、正邪ちゃん、お空、あと木下君は普通の写真を見せてもらってたよ。
「おい皆。夕飯が出来たぞ。」
そんなこんなで時間が経ち、夕食が完成したみたい。
えーと、確かこれはパエリアだったかな?
「ほえ~、美味しそうだね~!」
「うん、早く食べたくなるよ!」
「そ、そうね・・・(ポッ)」
「お、美味しそうです・・・(ポッ)」
「食欲をそそられるぜ・・・(ポッ)」
「ねえ、なんで美波、姫路さん、魔理沙は僕を見て顔を赤くしてるのかな?」
「まあまあ吉井、私や古明地は見てないから落ち着けって。」
うんうん。
まあでも、他の写真は見たけどね。
「まったく、アキくんの声がこちらまで聞こえていましたよ。もっと落ち着きを持つべきですね。」
「それは姉さんが原因だからね!?」
「どうやらカルシウムが足りていないようですね。皆さん、ムール貝の殻はこちらにお入れ下さい。」
「殻だけ!?僕の夕食、殻だけなの!?これって苛めだよね!?」
吉井君のパエリアの皿をのけて空の皿を置き、貝の殻をここに入れるようにと言う玲さん。
・・・流石に可哀想になってきたかも。
「姉さん・・・。もしかして、僕のこと、嫌いなの・・・?」
吉井君がちょっぴり涙目で玲さんに尋ねる。
「心外です。私がアキくんのことを嫌う訳がないじゃないですか。むしろその逆です。」
「・・・逆?逆ってことは・・・。」
「はい、私はアキくんを愛しています。」
おお~、堂々と愛してると言えるくらいなんだね!
「一人の異性として。」
「最後の一言は冗談だよね!?それならむしろ嫌いでいてくれた方が嬉しいんだけど!?」
さすがに冗談だとは思うけどね。
まあ・・・私もお姉ちゃんのこととっても大好きだから、あまり言えないけど。
「日本の諺に、こういうのがありますよね。バカな子程可愛いと。」
「明久、諦めろ。世界でこの人ほどお前を愛している人はいないぞ。」
「それって僕が世界一バカだって思われてるってこと言いたいの!?」
「う、ウチだってアキのことを世界一バカだって思ってるんだから!」
「わ、私だってそうです!」
「やめてあげて!吉井君のライフはもう0だから!」
言葉による袋叩きにあってる吉井君はかなり可哀想なことになってる。
今の状況、バー○ーカーソウルみたい。
「とにかく、覚めないうちに頂きましょう。」
「「「頂きまーす!!」」」
玲さんの言葉で、みんなでいただきますをする。
なんというか普段塩と水が主食な吉井君とは思えないくらいに上手で美味しい!
みんなも美味しいって好評みたいだね。
美波ちゃんは料理の腕のプライドが打ち砕かれたかのような表情してるけど。
姫路ちゃんも複雑そうな表情してる。
「上手に出来ていますね。アキくんが知っているものと違う材料を用意したのにいつも通りなのは残念ですが。」
「偉そうに言うなぁ。姉さんは料理からっきしなくせに。」
さっき吉井君に材料渡したあたりでわかってたけど、玲さんは料理はダメらしい。
どれくらいなのかはわかんないけどね。
ちなみに、私は目玉焼きまでなら作れるレベルだよ。
「そう見くびってもらっては困ります。姉さんだって、海外で成長していたのですから。」
「おっ?どう変わったの?」
「胸がEカップになりました。」
「アンタに恥じらいの概念はないのか!?料理関係ないし!」
突っ込む吉井君。
ものすっごい羨ましそうな目してる美波ちゃんと鼻を押さえてるムッツリーニ君が印象的だね。
「勿論料理だって勉強しましたよ。ついに、海栗とタワシの区別がつくようになりました。」
「僕としては、いままで区別出来なかったことが驚きだよ・・・。」
・・・料理以前の問題?
お米をとぐ時、砥石や洗剤使おうとする鉄板ボケみたいなことをやっちゃいそうな予感がするな・・・。
何故か坂本君が「羨ましい・・・。」って呟いてたのが気になったけどね。
「ところで皆さん。うちの愚弟の学校生活はどんな感じでしょうか?例えば、成績や異性関係など。」
後半が強調されてたけど、そこを聞きたいのかな?
でも、吉井君に無断で不利益になるようなことはしゃべらない方がいいよね。
さっき減点とかされてたし・・・。
美波ちゃんとキスしたことを言ったら、吉井君下手すると死の危険がありそうなんだよね。
「んー、吉井君最近成績も少し伸びてきたと思いますよ。」
「え、ええ。ウチもそう思うわ。」
「今日も(は)授業中頑張っていたと思うぜ。」
「そうですか。それで、異性関係の方は?」
「私はよくわからないかな。」
「私もだぜ。」
「私もわからないです・・・異性関係は。」
「ウチも・・・異性関係は。」
異性関係はと強調する美波ちゃんと姫路ちゃん。
でもまあ、久保君のことを言うわけにもいかないもんね・・・。
あなたの弟さん、学年次席の男の子に恋愛的な意味で好意を持たれて、抱き枕カバーの柄にされてますよなんて、言われたらちょっと引くよね。
「そうですか・・・。では、秀吉くんは何かご存知でしょうか?」
「そうじゃな・・・。何か、となると『秀吉、あーん。』んむ?あーん、じゃ。」
何か言われる前に木下君にフォークを差し出してセリフを中断させる吉井君。
玲さんは食べ物が口に入ってる間にしゃべるのを良しとしないみたいで、木下君が飲み込んでからもう1回尋ねた。
「それで秀吉くん、さっきの話を」
「秀吉、あーん。」
「あーん、じゃ。」
もぎゅもぎゅ。
「秀吉くん、お話を」
「秀吉、あーん。」
「あーん、じゃ。」
もぎゅもぎゅ。
「秀吉く」
「秀吉、あーん。」
「あーん、じゃ。」
ごきゅぼきゅ。
・・・あれ?
「ふぬあぁぁあっ!肘の間接が!逆方向向いて次世代型の人間になってるよ!」
玲さん、躊躇いなく吉井君の肘間接を逆方向に曲げたよ・・・。
「それで、秀吉くんはなにか知っていますか?」
しかものたうつ吉井君を完全無視。
美波ちゃんより怖いよ。
「そうじゃな・・・。本人が何も言わぬなら、ワシが言うわけにもいかぬじゃろ。」
「わかりました。あとでアキくんからぼっきり聞き出すことにします。」
「それがいいじゃろ。」
「待った姉さん!ぼっきりって何!?普通そこはじっくりとかゆっくりだよね!?」
ぼっきりだと、吉井君骨持ってかれそう。
木下君、具体的なことは言わなかったけど何かあったのが明白な言い方だったしね。
「明日の夕食は魚にしようかな・・・。」って呟いてるけど、骨折対策のつもりなのかな?
「そういえばアキくん、姉さんは明日からしばらく帰りが遅くなるので、夕飯は用意しなくても大丈夫ですよ。」
吉井君が嬉しそうにしてる。
「これでしばらくは姉さんの圧力から解放される・・・!」って顔してる。
「アキくん、嬉しそうですね?」
「うぇ!?そ、そんなことないよ!せっかく帰ってきた姉さんの帰りが遅いなんて淋しいナー。」
「英語で言ってみて下さい。」
「Happy!」
「・・・・・・(パァン)」
「あ、痛っ!姉さっ・・・食事中にビンタはっ・・・。」
吉井君、そこはHappyはダメでしょ・・・。
食事中にビンタはどうかとは思うけど、玲さんが怒るのも当然だよ?
「そろそろお勉強を始めましょうか?」
「そうだね。いつものように勉強を始めようか!」
(主に吉井君の身体に)一波乱あった夕食のあと、私達は目的であった勉強会をはじめようとしてた。
ていうか吉井君、今回がはじめてだよね?
玲さんがいるからだとは思うけど。
「皆さんでお勉強ですか。それなら昨日、部屋を掃除していたらいいものを見つけました。今持ってきますね。」
玲さんがリビングを出て、すぐに戻ってくる。
手に持っているのは、本かな?
タイトルは・・・。
『女子大生 魅惑の大胆写真集』
「アキくんの部屋で見つけました。」
「僕のトップシークレットがぁーっ!!」
・・・こういう時、どう反応したらいいんだろ。
異性の友人のそういう本を、お姉さんが持ってくるなんて経験、当然はじめてだもん。
「というか姉さん、あれだけ部屋に入るなって言ったのに僕の部屋に入ったね!」
「昨日、アキくんが入ってほしいって言ったではないですか。」
「あのときの着替えはこれが目的か!」
何があったんだろ、すごく気になる。
「良ければ保体の教科書にどうぞ。」
「じ、じゃあ、使わせて貰おうかな・・・。」
「わ、私も・・・。」
「姫路さんも美波も見ようとしないで!お願いだから!」
私はそういう本持ってないからわかんないけど、異性にそういう本見られるのはそりゃあ嫌だよね・・・。
「アキくんのベットの下にあった他の参考書も確認しましたが、どうやらアキくんは胸が大きくポニーテールの女の子を重点的に学習しているようですね。」
「やめて姉さん!言い方を変えても僕の嗜好をばらしてるのは変わりないから!」
胸が大きくて、ポニーテール・・・。
姫路ちゃんと美波ちゃんの特徴が万々って感じなのかな。
「そうですか・・・。んしょ・・・っと。」
姫路ちゃんがわかりやすすぎるね。
絶対あれポニーテールにするつもりだよ・・・。
「みっ、瑞希っ!どうして急に髪をまとめ始めるのよっ!?」
「べ、別に深い意味はありませんよ?ただ、お勉強の邪魔になるかと思って。」
「それならウチがやってあげるわっ!お団子でいいわよねっ!」
「美波ちゃん、意地悪です・・・。」
姫路ちゃんと違って、求められてる部分がどうしようもない美波ちゃんが、姫路ちゃんの背後にまわってお団子に髪をまとめてる。
お団子姫路ちゃん、なかなか新鮮かも。
「お勉強なら、宜しければ私が見て差し上げましょうか?」
「え?お姉さんが、ですか?」
玲さんの提案に姫路ちゃんが目を丸くしてる。
私も、さっきまでの行動を見てるから同じ思いだよ。
「はい。日本ではなくアメリカのボストンにある学校ではありますが、大学の教育課程を昨年修了しました。多少はお力になれるかと。」
ボストンの大学・・・?
そこってもしかして、あの世界的に有名な・・・!
「ぼ、ボストンの大学だと・・・!?それってまさか、世界に名高いハーバード・・・」
「よくご存知ですね。その通りです。」
「「「えぇぇっ!?」」」
驚き・・・。
玲さん、頭すごくいいんだね・・・。
天才ってどこか変わった人間が多いって言うけど、玲さんも多分その類なのかな。
というかお姉さんがそんなに勉強出来るのに・・・吉井君ドンマイ。
「なるほど、出がらしか・・・。」
「雄二、その言葉の真意を聞かせてくれないかな?」
坂本君も似たこと思ったみたい。
失礼かもだけど、2人合わせたら平均的になりそう。
「そういうことならお願いしたいぜ。私達ではどうにもできない本場の英語とか教えて貰えそうだからな。」
「・・・心強い。」
「わかりました。では、まずは英語からですね。」
結局、この日は10時くらいまで玲さんの講義を聞いてから解散になったよ。
帰りが遅くなっちゃったけど、お姉ちゃんには夕食待ってる時に連絡してたから問題はナシ。
翌日の放課後。
「さあ、今日も成績を上げるために楽しく勉強会をしよう!」
昨日事情を知ったから理由はわかるけど、それでも違和感があるなぁ・・・。
「お前、キャラ崩壊してないか?」
「なんとでもいってよ、今の僕にはそんな余裕がないんだから。」
その様子だと、また減点食らったのかな?
「今、減点はどれくらいなんだ?」
「確か、合計で340点。もうかなり厳しいんだよね。」
えーと、確か普段の吉井君というか、強化合宿の時に見た吉井君の総合科目は800点くらいだったから、1150点くらいになるのね。
この点数は、確かEクラス中堅位だから、吉井君が必死になるのもわかるよ。
「まあ、その程度ならなんとかなるだろ。お前の場合、伸びしろがあり暗記系科目である世界史が狙い目だな。日本史もお前の得意科目だから行けるだろうしな。」
「世界史か・・・。」
「それに、今回のテスト作成は世界史が田中、日本史が豊郷耳だ。今のお前にはちょうどいいだろ。」
確かに、2人とも問題がやさしめだもんね。
田中先生は問題が全体的に解きやすいし、豊郷耳先生はやさしめな問題の中にちょくちょく難しい問題を混ぜるタイプだから400点とかは取りにくいけど、それなりの点数は取りやすいんだよね。
まあ、一問目から愚直に考えていくと壊滅するんだけど・・・。
「今日も吉井君の家で勉強会をするのですか?今日、私は予定無いので、良ければ一緒によろしいですか?」
「それは構わないけど、僕の家?うーん・・・。今日は姉さんがいないからそれでもいいんだけど、今日は雄二の家でやろうよ。」
「あら、吉井君にお姉さんがいたんですね。」
「そっか、稗田さんは昨日いなかったから知らないか。」
吉井君が阿求ちゃんに説明する。
まあ、ここで隠しても私が教えるつもりだったしね。
「それで、雄二の家でいいよね?」
「・・・まあ、昨日無理矢理押し掛けたようなもんだしな。幸いお袋も温泉旅行でいないし、いいだろう。」
今のセリフ、ちょっと気になるかも。
昨日、玲さんの存在を隠そうとした吉井君と重なるんだよね。
「それじゃ、僕はいつものメンバーを誘ってくるよ。」
吉井君が私達を誘いに来る。
もちろん、私は参加するよ!
結局、今日はお燐と勉強するらしいお空、図書館から勉強に必要な本を借りにいく魔理沙以外全員参加することになったみたい。
てか魔理沙、またパチュリーさんの私立紅魔大図書館から無断で借りるつもりだよね?
程々にしないと、いつか警察沙汰になりそうで心配だよ・・・。
「さて、着いたぞ。」
学校から15分くらい歩いた後。
私達は坂本君の家である集合住宅の一室に立ってた。
ここが坂本君の家なのか~。
「でも今更だけど、こんな大勢で押しかけちゃってよかったの?」
「ああ。親父は仕事だし、お袋は温泉旅行に行っていて留守だからな。」
あれ、坂本君が少し晴れやかな感じする。
そのまま、坂本君が鍵を開けてドアを開き、私達を招き入れる。
「・・・・・・・・・!(ぷちぷちぷちぷち)」
・・・んん?
なんか、居間にひたすら無言で一心不乱に、包装とかに使われるあのぷちぷちを潰してる人がいるんだけど・・・。
しかも潰し終わったものと思われる量が、10分や20分のものじゃない。
「・・・(バタン)」
無言で扉を閉める坂本君。
・・・もしかしなくても、あれって坂本君のお母さん?
「ゆ、雄二・・・?今の、山ほどあるプチプチを潰してた人って・・・。」
「・・・赤の他人だ。」
「多分、あれって坂本の母親だよな・・・。どれだけ長い時間、潰していたんだ・・・?」
「そういう仕事なのかしら・・・。」
みんながそれぞれの反応。
ぷちぷちを潰すのは確かに楽しいけど、あれだけの量潰すのは私には無理かな。
「あー、あれは恐らく、脳に疾患がある精神異常者がなんらかの方法でこの家に入りこんだんだろ。なにせ、俺のお袋は温泉旅行に行っているはずだからな。」
坂本君、苦しいよ~。
普段とは違って、嘘がバレバレ。
珍しいよね。
「・・・あら、もうこんな時間。雄二を送り出したばかりだと思っていたのに。」
・・・どうやら8時間くらいやってたみたい。
「続きはお昼を食べてからにしましょう。」
しかも、まだやるんだ。
「お袋っ!?何してんだっ!?」
さすがに耐えきれなくなった様子の坂本君が部屋に飛び込む。
やっぱり坂本君のお母さんだったみたいだね。
「あら雄二。おかえりなさい。」
「おかえりじゃねえっ!何でいるんだ!?今日は泊まりの温泉旅行だったはずだろっ!?」
「それがねお母さん、日付を間違えちゃったのよ。7月と10月って、パッと見似てるから困るわよねっ。」
「どこがだっ!形どころか字数も合ってないだろっ!」
「もうっ、そうやってまたお母さんを天然ボケ女子大生扱いしてっ。」
「女子大生なんて図々しいわっ!アンタの黄金期は10年以上前に終わっただろっ!」
「あら、雄二のお友達?」
「人の話を聞けぇーっ!」
・・・なんだろ、怒濤の応酬が凄い。
なんていったらいいかわかんないけど、とにかく凄い。
「皆さんいらっしゃい。私は雄二の母親で、雪乃と言います。」
私達に挨拶をする雪乃さん。
というか若いね。
女子大生って言われても、ギリギリ信じられるかも・・・。
みんなもそう思ったみたいで、一様に驚きの表情を浮かべてる。
「とりあえず皆、お袋は置いといて俺の部屋に来てくれ・・・。」
坂本君が疲れたような顔で言いつつ、部屋に案内する。
・・・でも、9人が入るには明らかに狭くない・・・?
「あの、さすがにこの部屋に9人は無理があるのではないでしょうか・・・。」
阿求ちゃんもそう思ったみたいで、坂本君に言う。
「だが、居間だとあのお袋がいるからな・・・。」
「もう、ダメですよ坂本君。お母さんを邪魔物扱いなんてっ。」
「いや、そうは言うが一緒に暮らしていると、あのお袋にはツッコミ所が・・・。」
ピリリリリ!
坂本君の言葉の途中で、美波ちゃんの携帯が鳴る。
1分くらいの短い電話だったし、あまり聞こえなかったけど、Mumって単語が聞こえたしお母さんかな?
と思ってたらそうだったみたいで、どうやらお母さんが今日は家に帰れなくなったんだって。
だから今は美波ちゃんの妹の葉月ちゃん1人らしいから、美波ちゃんは帰るみたい。
「それなら島田、お前の家は構わないか?」
「ウチの家・・・?うん、まあ、いいけど・・・。」
坂本君の提案に、ちょっと困ったような顔しながらも了承する美波ちゃん。
なにか見られたくないものとか、あるのかな?
「じゃ、決まりだな。」
坂本君、嬉しそう。
みんな荷物をまとめて美波ちゃんの家に移動する準備する。
その間に、坂本君が移動することを坂本君のお母さんに伝えに行ってるのが聞こえてくるね。
「お袋、これから移動するからお茶の用意はいいぞ。・・・ところで、そのめんつゆのボトルは何に使うんだ?」
「めんつゆ?・・・あら、お母さんアイスコーヒーだと思ってたわ。」
「お袋・・・。色や匂いで気づけとは言わないから、せめてラベルで気づいてくれ・・・。」
なんだろう、坂本君は家にいる時の方が疲れてる気がするよ。
いかがでしたか?
さすがにストックもなくなってきました。