コンテスト難しい。
「ね、ねえ・・・。あの角、怪しくない・・・?」
「そ、そうだな・・・。何か出てきそうだよな・・・。」
ムッツリーニ君が設置したモニターから、最初に突入したBクラスらしい男女ペアのカメラからの音声や映像が流れてくる。
まずはBクラスのチェックポイントを目指すんだけど、夜の江戸時代の街並みのような作りになってる。
演出のために光が抑えられてるそこは、こういうの苦手でもない私でもスリルあるかな。
「そ、それじゃ俺が先に行くから。」
「う、うん・・・。」
カメラが見るからに怪しい曲がり角を中心に映す。
緊張しながらも歩みを進めていく2人。
こっちも何が来るか緊張しながら見ていると、カメラはその先の道を映し出しただけだった。
私達が安心した時。
「「ぎゃぁあああーっ!!」」
「「「きゃぁあああーっ!!」」」
カメラの向こうから悲鳴が響き、それを聞いた美波ちゃんと姫路ちゃん、あと小鈴ちゃんと早苗ちゃんが悲鳴をあげてた。
「・・・失格。」
ムッツリーニ君が言う通り、モニターのメーターは失格ラインをはるかに越えたラインを示してる。
というか・・・。
「小鈴ちゃんと早苗ちゃん、お化け苦手だったの?」
「ええ、文献見るのとかは大丈夫なんですけど、驚かされる感じなのは苦手で・・・。」
「私もです・・・。妖怪はいいんですけど、こういうのに弱くて・・・。」
「安心しなさい早苗、私が守るわよ。」
「天子さん・・・!」
「天子さんってそういうの大丈夫な人なんだ~。」
「ももももちろんよ!ここここんな子供だましのものに私が怖がる道理なんてにゃいわ!」
そういう天子さんの手は震えてるけど・・・・・・そこは言わないでおいてあげるのが優しさだよね。
でも、さっきは何がいたのかな?
カメラの死角から来たせいで悲鳴しか聞こえなかったのもあって、正体がわかんない。
これじゃ恐怖が助長されるだけだよね・・・。
次のペアも、向こうが驚かすタイミングをずらしてきたことであっさり失格に。
まあでも、呟きから口裂け女や化け提灯が来ることはわかったけどね。
「最初の角で2組失格だと、こちらの士気に関わってくるな・・・。勝敗はどうでもいいとはいえ、やられっぱなしは気に食わねぇ。よし、順番を変更しFクラスペアを2組投入する!」
坂本君がここで恐怖とは無縁そうなFクラス男子のペアを投入することに。
確かに悲鳴はあげなさそうだし、進んでいけばどんな仕掛けがあるかわかるようになるから進みやすくなるもんね。
まず突入したのは須川君と朝倉君のペア。
さっきまでのペア達と違って、曲がり角もずんずんと進んでく。
まあ、そっちの方がおどかすタイミングもつかみづらいし見てる方も怖くないけどね。
そして、曲がり角を曲がったところでカメラが壁の様子を映す!
そこには血まみれの生首が!
「「「きゃぁあああーっ!!」」」
そしてそのまま後ろを振り返ると、そこには耳まで口が裂けた女性が!
「「「きゃぁあああーっ!!きゃぁあああーっ!!」」」
画面を見てる美波ちゃん達が、どっから声出してるのかなって思うような音量で悲鳴をあげる。
だけど・・・。
「おっ、こっちの口裂け女、ちょっと口が大きいけど美人じゃないか?」
「いやいや、こっちの方が血を洗い流せば美人なはずだ。首から下がないから、スタイルはわかんねえけどな。」
当の2人は冷静・・・というかどっちか美人かで討論する余裕まである。
まあ・・・・・・あれくらいの光景はよく見るし、美波ちゃんも四十四話で吉井君の腕をあれより酷いグロ画像にしてるのに・・・って四十四話ってなんだろ?
続いて出てきたのは化け提灯。
いきなりセットのなかに紛れ込ませてた召喚獣が姿を表すとはいい演出だね。
「おっ、これはさわれねぇな。」
「召喚獣なら触れるんじゃねえか?サモンっと。」
こちらも平然とした様子の2人。
ゾンビにつかまれてバタバタしてる化け提灯がちょっとシュールだ。
「そういえばお主、肝試しは極力男女ペアだと言っておらんかったかの?」
「だいたいそうなるようにはしたんだがな・・・。俺達Fクラスは男の割合が多いうえ、女子同士で組む奴らも多かったからな。」
そんな坂本君の言葉。
まあお姉ちゃんが男に誘われて肝試しなんて、相手の男は冥界送りしないといけないし当然だよね!
「あー、畜生。なんで俺が須川なんかと・・・!」
「お前がモテないから悪いんだろ。」
こっちの会話を知ってか知らずか、ペアをぼやいてる2人。
まあ、せっかくこういうイベントがあったのに、相方が男なら不満抱いて当然だよね。
「何だと須川・・・?お前だって朝から20人くらいに声かけて全滅していただろうが!」
「ち、違う!あれは別に断られたわけじゃない!向こうの事情があっただけなんだ!モテないわけじゃない!」
「俺だってそうだ!向こうに事情があっただけなんだ!モテないわけじゃない!」
・・・・・・ん?
今の言い争いでメーターが失格ラインを越えたような・・・。
「・・・失格。」
「あいつらは何をやってるんだ・・・。」
「・・・まあ、ここまで進めたのはいいのではないでしょうか。」
仕掛けで悲鳴はあげなかったものの、言い争いで失格になるFクラス2人。
まあでも、仕事は不充分ながらもしてくれてるよね。
そうしてもう1組のFクラスペアがその先に進み、仕掛けの全貌を明らかに。
何が来るとわかってても悲鳴をあげちゃった人達もいるけど、点数の高い人達も進めてる。
そして、Fクラスペアの2人がチェックポイントに到達。
そこで待っていたのは化学の布施先生と3年生。
ここでは純粋な点数勝負になるからね。
相手の点数は300点ちょい。
操作技術に1年の差があり、点数も5倍くらいの召喚獣に2秒でやられるFクラスの2人。
こればっかりは仕方ないかな。
「だが、これでチェックポイントまでの道のりはわかった。皆、ここは一気に勝負を決めるぞ!今の連中に対抗出来そうな点数のペアは突入してくれ!」
坂本君が待機してるみんなに声をかける。
「「「俺達に任せとけっ!」」」
「お前らは戦える点数じゃないだろ!?」
何故か一番最初に自信満々に立ち上がったのはFクラスのみんな。
自分の点数理解してないの?
「よしっ!Bクラス制覇!」
「やったね真一君!」
Fクラスの2人が秒殺されてから7組が突入し、そのうち5組がギリギリな悲鳴をあげつつもチェックポイントにたどりつくことに成功。
今回のルールだとチェックポイントの人は入れ替わることもないし、補充試験もナシ。
だから、こうやって点数を徐々に削っていけば勝てるって感じだね。
「はぁ・・・。良かったです・・・。これでBクラスには行かなくていいんですよね・・・?」
心底安心した様子の姫路ちゃん。
姫路ちゃんが言う通り、一度クリアしたクラスは次からは飛ばしてもいいことになってるから、次はDクラスに行くことになるんだよね。
ちなみに姫路ちゃんは一縷の望みをかけて順番を最後の方に設定してる。
当然順番になる前にクリアされたら終わるから、参加しなくて済むからね。
「それじゃあ、引き続き俺達はDクラスに向かうぞ。」
「頑張ろうね、真一君。」
「怖くなったらいつでも言えよ真美。俺が守ってやるからな。」
「うん、ありがとう。頼りにしてるからね真一君。」
「「「チ・・・ッ!」」」
モニターから聞こえてきた会話を聞き、教室の各地から舌打ちが聞こえてくる。
BとかCクラスによるものかな?
えっ?Fクラスじゃないのって?
「坂本、次は俺に行かせろ。奴等に本当の敵はF2年にいることを教えてやる。」
「まあ待て近藤。ここは『安心確実仲間殺し』の異名を持つ俺、武藤啓太の出番だろ?」
「いやいや。『逆恨み凄惨します』がキャッチコピーのこの俺、原田信孝に任せとくべきだ。」
Fクラスは舌打ちだけじゃなくて行動しようとするからね・・・。
「おいおいお前ら・・・。とにかく落ち着けよ。」
さすがに見かねたようで、坂本君がみんなを諌める。
「そういうのはクラス全員でやるべきだ。」
知ってた。
まあ、今はダメだけどね。
ところで、Dクラスはどんな仕掛けがあるんだろ?
大きさはBクラスの3分の1くらいしかないから、あんま大がかりなものは無理だと思うけど・・・。
「きゃぁあああっ!!」
「え!?どうした真美!?なにかあったのか!?」
「な、なにかヌメっとしたものが首筋に・・・!」
そう思ってた矢先、いきなり女の子の方が悲鳴をあげる。
え、なにごと?
「何が起きたの・・・?」
カメラにはなにも映ってなかった。
だから何が起きたのかもわかんなかったけど・・・。
「恐らくですが、直接接触でしょうね。」
「だと思います。召喚獣は陽動で、本命はコンニャクかなにかによる触覚での驚かしでしょうか。」
お姉ちゃんと阿求ちゃんによる分析で理解する。
あー、確かにいきなりそれは辛そう・・・。
「くそっ、向こうもバカじゃないな。驚かす方法を視角から触覚に変えて、ついていきづらくさせてやがる。」
「しかも見えないから、カメラで予習するのも難しいですからね。新校舎の教室の中では狭いDクラスをうまく使っていますね。」
「それならこっちだって手を打ってやろうじゃねぇか。Fクラス部隊第二陣、出撃準備だ!」
「「「おうっ!」」」
気合いの入った返事が、4組8名のFクラスメンバーから返ってくる。
・・・この時の8人がまさかあんなことになるなんて、私達は思ってもなかったけどね。
「・・・こいし、不吉なナレーションはやめなさい。」
「大丈夫、冗談だから。」
お姉ちゃんに心の中読まれたのか突っ込まれる。
まあ、お化け屋敷でそう恐ろしいことはないとは思うけどね。
いかがでしたか?
フラグって怖いですよね。
ポケきらの投稿はまだ先になりそうです。