古明地こいしとFクラス   作:こいし金二

66 / 76
そろそろストックがなくなってきた。
本当に。



第六十六話「復讐!」

 

 

 

「だから、どうしてお前らはそこまで単純なんだ・・・・・・。」

 

そして、私達は補習室の床に正座させられ(椅子すら使わせてもらえなかった)、鉄人先生の監修のもと、ひたすら補習の問題集をやらされていた。

強襲に加わらなかった美波ちゃん、姫路ちゃん、木下君、お空はEクラスで授業を受けてるから、この場は私と魔理沙と正邪ちゃん以外全員男子(阿求ちゃんは法事で欠席だって)。

 

「くそっ、汚ぇ・・・。俺達のお宝をうばってボコったあげく、今度は職員室で召喚獣を用意して待ち伏せだなんて・・・。あんなの教師がやることじゃねえ・・・!」

 

「まったくだよ。正々堂々男らしく正面から襲撃に来た僕達を、卑劣にも待ち伏せて召喚獣だなんて、教師の風上にもおけないよね。」

 

「吉井、坂本。無駄口を叩く余裕があるお前らにプレゼントだ。」

 

「「げっ!」」

 

2人の前に、ドンと問題集が積まれる。

・・・2人とも終わるのかな?

 

「酷いっ!このチンパンジー、人間じゃないっ!」

 

「さてはこのチンパンジー、俺達を家に帰らせないつもりだな!?」

 

「そういえば、お前らは夏休みの課題もまだだったな。提出が遅れている分の利子だ。1週間遅れるごとに1冊追加してやる。」

 

「「うぎいぃぃーっ!!」」

 

そりゃあ、わざわざチンパンジーなんて言えば怒るよね・・・。

こういうのは黙ってればいいのに。

 

「まったく、吉井も坂本もバカだな。チンパンジーに逆らうなんて。」

 

「まったくだ。俺達みたいに黙ってチンパンジーの言うことに従っていればいいものを。」

 

「無駄な抵抗をするからチンパンジーに目をつけられるんだ。」

 

他の人達がそんなことを言うけど・・・。

 

「そういえばお前らも課題提出がまだだったな。安心しろ、全員平等に利子をくれてやる。」

 

「「「うぎいぃぃーっ!!」」」

 

「私何も言ってないのぜ!」

 

既に課題を提出してる私と正邪ちゃん以外の全員に更に1冊積まれる。

そりゃチンパンジーって言ってるからね・・・。

ちなみに、私と正邪ちゃんはお姉ちゃんや早苗ちゃんと一緒に夏休み前半に宿題会やって終わらせたよ。

あれもなかなか楽しかったなぁ。

 

「おのれ鉄人・・・!絶対に復讐しちゃる・・・!」

 

「あの野郎、今に見てやがれ・・・!」

 

「・・・この恨み、忘れない。」

 

「月のない夜道には気をつけろってもんだ・・・!」

 

「みてろ、そのうち靴に画鋲を仕込んでやる・・・!」

 

「それなら俺は、鉄人同性愛者説を学校中に流してやる・・・!」

 

「さらに1冊追加だ。」

 

「「「うぎいぃぃーっ!!」」」

 

そんなこと言えばそりゃそうなるよね。

何も言ってない私、正邪ちゃん、魔理沙とその他の問題集の数はもう倍くらい差があるよ。

 

「まったく、そんなに体力が有り余ってるならば運動で発散しろ。幸いにも近々体育祭があるからな。」

 

そういえば、2学期始まってすぐに体育祭があるんだったね。

 

「さて、俺はお前らが暴れた職員室の後始末をしてくる。脱走したら・・・地獄を見せてやる。」

 

不穏な一言を残し、鍵をかけて出ていく鉄人先生。

鍵をかけてる以上、脱出のしようがないよね。

 

「そうか、そういやもうすぐ体育祭だな。体育祭ってことは・・・アレがあるな。」

 

坂本君がニヤリと笑みを浮かべる。

 

「そうだね、アレがあるね。」

 

それに反応する吉井君も、同じような笑みを浮かべている。

 

「思えばこの5ヶ月・・・いや、1年5ヶ月。色々なことがあったな。男子全員が停学になったり、地獄の補習をさせられたり、酷い設備の教室に押し込められたり、ババァの裸を見せられたり、聖典を没収されたりな。だがこの体育祭、俺達は奴等に復讐出来る!」

 

改めて聞くとほんと酷いなこのクラス。

簡単に言うと、事故に見せかけたラフプレーで怪我をさせるってことだからね・・・。

しかも全部逆恨みだからタチが悪い。

まあお姉ちゃんの写真没収は私もおこだけど。

 

「いいかお前ら!こんなチャンスはまたとない!今までの学園生活で罵倒され、虐げられてきたこの鬱憤、この機に晴らさずしていつ晴らす!全員今は牙を研げ。地に臥し恥辱に耐え、チャンスの為に力を溜めろ。今この時は真に敵を討つ時期じゃない。鬼教師どもに復讐するべき時は体育祭。親睦競技という名の下に、接触事故を装って復讐を果たす。いいか、俺達の狙いは・・・」

 

「「「生徒・教師交流野球だ!」」」

 

男子全員の声がそろい、拳をかかげる。

・・・ほんと酷い。

 

「・・・ねえ正邪ちゃん、魔理沙。」

 

「なんだ?」

 

「どうしたんだぜ?」

 

「仲間って、なんだろうね・・・。」

 

「だな・・・。」

 

「・・・とっとと出たいな。」

 

「それなら、問題集を手分けしないか?3人で別の場所やって写せば、手間も減るだろ。・・・本当はここにいる全員でやろうと言うつもりだったんだけどな。」

 

「「賛成。」」

 

さっきのを見ると、ね・・・。

没収品は取り返したかったけど、復讐したいなんてのは欠片も思ってないもん。

結局私達は1時間くらいで終わらせ、最後の授業だけEクラスで参加することに。

Eクラスはじめて入ったけど、机と椅子での授業って、よく考えたらすごいひさしぶりかも。

ちなみに、男子達は下校時刻までかかったみたい。

 

 

 

 

 

 

 

そして翌日。

 

「「ババァーーっ!!」」

 

私が登校し、教室のドアを開けたら、入れ違いになるように吉井君と坂本君が走っていった。

・・・?

 

「・・・あー、そういうことね。」

 

教室の掲示板に、『今年の親睦野球は召喚獣を用いるものとする。』と書かれた紙が貼られている。

昨日、あれだけ復讐復讐言ってたもんね。

 

「おはようございま・・・あら?今年の親睦野球は召喚獣でやるのですね。」

 

「あ、阿求ちゃんおはよ~!」

 

私が掲示板を見てると、後ろから阿求ちゃんの声。

 

「こいしさん、おはようございます。私、身体が弱いので体育祭は見学でしたけど、これなら参加出来そうですね。」

 

そう言いつつ嬉しそうに笑う阿求ちゃん。

あ、そっか。

召喚獣でやるってことは阿求ちゃんも出来るのか。

 

「でも阿求ちゃん、ルールは知ってるの?」

 

「えっと、実はあまり・・・。良ければ、教えてくれませんか?」

 

「うん、いいよ~。まずはね~・・・」

 

阿求ちゃんにだいたいのルールを教える。

私もそこまで知っているわけじゃないけど、ある程度はわかるからね。

阿求ちゃんは1回聞けば覚えられるし、点数も高いからかなり活躍できそうだもん。

さすがに2塁行くときに1塁経由しないでグラウンドを突っ切ったり、速すぎて前の走者を追い越したりなんていうアホなミスはしないと思うけど、ルールを知っておくのは大事だよね。

途中から正邪ちゃんと魔理沙が加わって、私も知らなかったルールを教えてもらったり、ボールの投げ方やバットの打ち方を実践してみてくれたり。

正邪ちゃんは昔、友達と野球やってたみたいだし。

召喚獣での野球って、どんな感じになるのかな?




いかがでしたか?
姫路ちゃんと違い、阿求ちゃんは少し練習してるため、打つのならできるようになりました。
阿求ちゃんが古文や日本史で投げたら多分迫撃砲くらいの威力になりそう…。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。