古明地こいしとFクラス   作:こいし金二

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第七話「Bクラス戦前半!」

 

 

 

「み、皆さん、本当に大丈夫ですか・・・?」

 

あのあと、気絶した4人を教室に運び込んだら、なんとか目をさましてくれた。

吉井君と坂本君は本日2回目の三途の川を渡りかけたみたいだけど、さっき怒られてた鎌の女の人が寝てたから戻ってこれたみたい。

・・・・・・死神だよね、それ。

 

「ああ。心配するな。さっきの地獄と比べたら・・・(ガタガタブルブル)」

 

「雄二の言う通りだよ。風見先生が見せた地獄に比べたら、全部食べてもへっちゃらだよ(ガタガタガタガタ)」

 

「私も大丈夫だぜ・・・。」

 

「・・・問題なし。」

 

吉井君と坂本君、足が生まれたての小鹿みたいにふるえてるけど、幽香先生はものすごくトラウマになっちゃったみたいだね・・・。

 

「うむ、ところで坂本よ、何故Bクラスなのじゃ?」

 

「・・・ああ、そうだったな。正直に言おう。俺達Fクラスがまともにぶつかったら逆立ちしたってAクラスには勝てない。」

 

その言葉に、昨日聞いた私以外がきょとんとした表情をする。

 

「そうなると、ウチらの目標はBクラスに変更なの?」

 

「いや、Aクラスだ。・・・まあ聞け。あと古明地は鉛筆構えるな。」

 

ざわざわしだしたみんなを坂本君がおさえて説明をはじめる。

 

「俺達FクラスがAクラスに勝てない理由は平均点の違いだ。姫路、稗田は高いが他はアレだからな。個々が強いだけではあっさりと押し負けてしまう。だから、一騎討ちに持ち込むつもりだ。」

 

「・・・わかりました。つまり、要求をのまなければBクラスにAクラスを攻めさせ、消耗させた直後に攻めこむと脅すわけですね。Bクラスも、Fクラスと設備を交換するよりはAクラスに攻めこむ方が得ですからね。」

 

「なんで得なの?」

 

「おい明久、試召戦争で下位クラスが負けたらどうなるか知ってるか?」

 

「・・・・・・うん、知ってるよ。」

 

絶対知らないよね・・・。

 

「設備が1クラス分落とされるわけだ。この場合、BクラスはCクラス相当になるな。Fクラス相当になるより明らかにマシというわけになるな。」

 

わかってない様子の吉井君のために正邪ちゃんが補足説明する。

だから、もし勝ってもBクラスとの設備入れ換えはしないみたい。

なら、いいかな?

 

「だが坂本、一騎討ちで勝てるのか?多分稗田や姫路はなんらかの対策をされると思うぞ。」

 

姫路ちゃんはAクラス代表の霧島さんに総合点数で負けちゃうし、阿求ちゃんは英語が苦手だから、そこをつかれたら負けちゃうんじゃないかな。

 

「大丈夫だ。勝つための策はある。心配するな。ともかく、今はBクラスだ。」

 

「それもそうだな。確かにそこに勝たないとダメなんだぜ。」

 

「ほらお空、次も頑張ろ?」

 

「うん、私頑張るよ!」

 

お空はさっきの昼休み、いっしょにいなかったけど、今の話は聞いてたみたい。

鳥頭だからちょっと不安があるけど・・・。

 

「よしじゃあ明久、さっそくBクラスに宣戦布告してきてくれ。」

 

「断る!雄二が行けばいいじゃないか!僕は本日3回目の三途の川を見るなんてごめんだね!」

 

「大丈夫だ。大事な大使を傷つけるような奴がBクラスにいるわけがない。」

 

「Dクラスの時もそう言って騙したじゃないか!」

 

不毛だな・・・。

Bクラスにはお姉ちゃんがいるし、私が行ってこようかな?

 

「よしじゃあジャンケンで決めよう。心理戦ありで行こうじゃないか。」

 

「わかった。それなら僕は・・・」

 

「待って?私とお空が行ってきてもいい?」

 

「え、古明地さん?」

 

「大丈夫だよ。優しいお姉ちゃんがいるんだから!ほらお空、行こ!」

 

「うん!」

 

「・・・まあ、姉がいるというのならあまり酷い目には、あわな・・・・・・、いや、どうなんだろうか?」

 

「む?何故わしを見るのじゃ?」

 

なんか坂本君が言ってるけど、まあいっか!

行ってこよ~っと!

 

「じゃあ行ってくるね~!」

 

「あっ、ちょっと待て・・・」

 

お姉ちゃんに会える、お姉ちゃんに会える~!

学校で会うのはクラス分けの時以来だな~!

スキップ気味に廊下を移動し、Bクラスの扉を開ける。

 

「やっほー!お姉ちゃん、いる~?」

 

「・・・えっ、こいし?なんでここにいるの?」

 

「えへへ、お姉ちゃんだ~。」

 

「ひゃっ!?ちょっとこいし、急に抱きつくのはやめなさい!」

 

「お姉ちゃんすりすり~!」

 

「私もいるよ~!お燐もいる?」

 

「ああ、お空ね。お燐ならいるけど、まずはこいしを引き剥がしてくれないかしら・・・。」

 

「というかこいしちゃん、確か私達、用があって来たんだよね?」

 

・・・あっ、そうだった!

お姉ちゃんに会って忘れてた!

お空に言われて思い出したけど私達、宣戦布告に来たんだった!

 

「ん?お空にこいしちゃん、どうしてここにいるのかな?にゃはは。」

 

今こっちに来たのが火焔猫燐、通称お燐。

お姉ちゃんの一番の親友で、私やお空とも仲がいいんだよね~!

 

「やっほーお燐!実は、私達、伝えなきゃいけないことがあるの。代表さんはいる?」

 

「代表?一応そこにいるけど、なにか用なの?」

 

お姉ちゃんが指差した方向を見る。

すると、なんか男の子達がいっせいに目をそらしたけど、どうしたのかな?

 

「よし、じゃあ言うよ。しっかり聞いててね。2ーFの古明地こいしです。私達FクラスはBクラスに対し、明日の午後から試召戦争を申し込みます。」

 

「「「なにっ!?」」」

 

私が言った瞬間、空気が変わった。

ピリついた感じに。

吉井君がDクラスで言った時もそうだったのかな?

 

「生意気な!この身の程知らず達に教えてやれ!」

 

「「おうっ!」」

 

一部の人達が私達に殴りかかってきた!

衝撃にそなえ、目をつぶる。

でも、いつまでたっても衝撃が来ない。

 

「お待ちなさい。こいしは私の大事な妹です。手を出そうというのなら、私がトラウマを植えつけてあげますよ。」

 

「お姉ちゃん!」

 

「にゃは、もちろんあたいも黙ってないよ?」

 

「お燐!」

 

「さて、やるのですか?」

 

「ぐっ・・・!」

 

根元君とやらが悔しそうに歯噛みする。

 

「あ、こいし、根元じゃなくて根本ですよ。覚える価値があるかはともかくですが。」

 

「あっ、そうなの?」

 

お姉ちゃんは、他人の表情や声のトーンなどを読みとって、目の前の人が何を考えているかを知ることができる。

やっぱりお姉ちゃんはすごいんだよ!

 

「あと、こいしに一応言っておくけど、もし私と戦う時に手加減とか自害とかしたら、この学校にいる間は口をきかないことにするし、あんたの恥ずかしい秘密をいくつかばらすわよ。嫌なら全力でやりなさい。私もそっちの方が嬉しいわ。」

 

・・・見透かされてたみたい。

お姉ちゃんが補習室送りになるのは嫌だったし、もし補習室送りになったら私も行っていっしょにやろうとしてたのに。

大好きなお姉ちゃんに口をきいてもらえなくなるとか、1日で死んじゃうよ!

 

「お空・・・は大丈夫そうね。」

 

「にゃはは、敵を応援するってのもなんだか変だけど、頑張るんだよ!」

 

「うん!お姉ちゃんもお燐も頑張ってね!」

 

「私達、頑張るよ!」

 

宣戦布告もしたし、さっそく頑張らないとね!

よーし、やるぞー!

 

 

 

 

 

 

 

 

というわけで翌日午後。

全員、しっかりと補充試験を終え、準備はできたよ!

 

「さて、まずはテストご苦労様だった。午後からBクラスとの試召戦争だがやる気は充分か?」

 

「「「おおーっ!!」」」

 

「今回の戦闘は敵を教室に押し込むことが重要になる。その為、開戦直後の渡り廊下戦は絶対に負けるわけにはいかない。だから、前線部隊は稗田に指揮をとってもらう。」

 

「は、はい、頑張ります!」

 

「「「うおおおおっ!」」」

 

「目指すはシステムデスクだ!行くぞ!」

 

「「「おおーっ!」」」

 

坂本君の号令で、みんなのやる気が膨れ上がる。

ちなみに私は阿求ちゃんひきいる前線部隊だよ~!

 

「み、みなさん、待ってくださーい!」

 

「私も、もうちょっとゆっくりにしてくださらないと・・・」

 

でも、みんな姫路ちゃんと阿求ちゃん置いていっちゃダメだよ~!

今回の作戦は渡り廊下戦を勝つのが最大の目的らしいね。

阿求ちゃん以外は理系な人達が多いし、相手は文系が多いみたいだから、理系科目で一気に攻めこむんだって。

そのためにFクラス50人中40人をここに突っ込んでいるんだって聞いたよ。

姫路ちゃんや阿求ちゃん以外にも、私、お空、魔理沙と強い人いるから、絶対負けられないね!

 

「いたぞ!Bクラスだ!サーチアンド!」

 

「「「デス!!」」」

 

デス!じゃないでしょ・・・。

でも私も頑張るよ!

 

「Fクラス風情が勝負を挑んだこと、後悔させてやる!サモン!」

 

「私達だってできるんだぜ!サモン!」

 

『Bクラス 武藤修平 数学 164点 VS Fクラス 霧雨魔理沙 数学 374点』

 

「げえっ!?なんだその点数は!?」

 

「Fクラスなめないでほしいんだぜ!」

 

『Fクラス 鬼人正邪 数学 241点 VS Bクラス 新川恭一 数学 184点』

 

『Fクラス 島田美波 数学 216点 VS Bクラス 萩生響 数学 197点』

 

まわりにも点数が見えてきた。

みんな、いい感じみたいだね。

 

「よしっ、私もサモン!」

 

『Fクラス 古明地こいし 数学 163点 VS Bクラス 有田重信 169点』

 

私の相手はだいたい同じくらいみたいだね。

 

「くたばれっ!」

 

「・・・後ろだよ?」

 

「なっ!?」

 

突撃してきたBクラスの人のうしろにまわりこみ、私の武器をつきさす。

うん、簡単だね!

相手はまだ操作に慣れてないのか、あっさりと刺され沈んでいった。

 

『Fクラス 古明地こいし 数学 163点 VS Bクラス 有田重信 0点』

 

「戦士者は補習ーッ!」

 

魔理沙ちゃん正邪ちゃんが倒した3人がつれてかれた。

でも、Fクラスの人達も2人か。

 

「お、お待たせしました・・・サモン!」

 

「私も、なんとかたどり着きました・・・!サモン!」

 

お、阿求ちゃんと姫路ちゃんが来てくれたみたい!

二人ともぜえはあ言ってるけど、召喚獣が召喚される。

 

「来たぞ!姫路に稗田だ!」

 

『Fクラス 稗田阿求 数学 334点』

 

『Fクラス 姫路瑞希 数学 417点』

 

「マズいぞ!姫路の奴、腕輪持ちだ!」

 

「ごめんなさい!これも勝負ですからっ!」

 

「左に飛べーっ!」

 

姫路ちゃんの謝罪と同時に腕輪が光り、そこから熱線が放たれる。

それは、退治していた二人のうち、逃げ遅れた片方の召喚獣を丸焦げにした。

 

「ごめんなさいっ!」

 

残ったもう一人の召喚獣もその武器で切り裂き、一瞬で決着がつく。

 

「姫路に2人やられたぞ!」

 

「ならばここは私が引き受けます!サモン!」

 

「虎丸、姫路相手に一人で大丈夫なのか!?」

 

「大丈夫ですよ!私も、数学は出来るんです。」

 

『Fクラス 姫路瑞希 数学 397点 VS Bクラス 虎丸星 数学 421点』

 

「「「なにっ!?」」」

 

まさかBクラスにもいたとはね・・・。

 

「毘沙門天の威光、その身に刻みなさい!」

 

「レーザー、ですか!?」

 

姫路ちゃんが言うように、虎丸さんの攻撃はレーザーだった。

姫路ちゃんの熱線に比べて太いね。

姫路ちゃんはなんとか回避したけど、その射線上にいた3人のFクラスの人達が一気に蒸発しちゃってる。

 

「くっ、これはきついですね・・・!でも、負けません!」

 

姫路ちゃんは放たれるレーザーを回避させながら、虎丸さんに近づいていく。

 

「残念ですが、そこは射線上です!」

 

「えっ?・・・きゃあっ!」

 

虎丸さんの持つものから放たれたレーザーはぐにゃりと曲がって、姫路ちゃんの召喚獣を直撃する。

 

「ここは私に任せろ!レーザーにはレーザーだぜ!」

 

「ま、魔理沙ちゃん!?」

 

「あなたもレーザーを?」

 

「ああ、見せてやるぜ!マスタースパーク!」

 

魔理沙の掛け声とともに、武器として持ってる箒からレーザーが放たれる。

二本のレーザーはぶつかりあい、ちょうど中間でせめぎあう。

 

「むむむ、なかなかやりますね・・・!ですが、私は負けませんよ!」

 

「それはこっちのセリフだぜ!」

 

『Bクラス 虎丸星 数学 348点 VS Fクラス 霧雨魔理沙 数学 352点』

 

互いに消耗したからか、かなりいい勝負になりそうだね。

負けないでよ、魔理沙?

 

「みなさん、私がしんがりをつとめるのでここは退いてください!」

 

Bクラスが引いていくね。

よし、これなら行ける!

 

「待て古明地。なんだか嫌な予感がする。教室に戻るぞ。Bクラス代表は根本恭二だから、なにか卑怯なことをやりそうな気がする。」

 

私も追撃しようとしたんだけど、なにか感じたのか、正邪ちゃんが言ってくる。

確かに、卑怯そうな男だったし、噂も聞くもんね。

 

「うーん、わかった、そうだね!」

 

正邪ちゃんはあまのじゃくなところもあるけど、こういう時、味方を不利にするような嘘はつかないからね!

確かに、私とお空をボコボコにしようとした根本君が何かやってくるのはありそうだし。

そのため、私達はこっそりと教室へ戻る。

すると、中からFクラスのものではない声が聞こえてきた。

 




いかがでしたか?
こいしちゃん達がいることで運命は変わります。

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