古明地こいしとFクラス   作:こいし金二

70 / 76
ついにストック完全に切れました。
最近頑張ってポケきらも書いてるので次以降は投稿遅れそうです。



第七十話「3-A戦!」

 

 

 

3ーEと3ーFの試合は延長戦でも勝負がつかず、私達の不戦勝が決定。

そして、いよいよ準決勝だね。

 

「確か、相手は3ーAだっけ?」

 

「ああ。あの常夏コンビがいるクラスだ。」

 

あと、あの夢幻姉妹もね。

肝試しで対決したばっかなのに。

 

「んむ?ということは、2ーAは負けたということじゃな?」

 

「そうなるな。」

 

「負けたって、霧島さんがいるのに?」

 

「霊夢もいるのにか?」

 

「まあ、そうなるな。」

 

霊夢さんとか早苗ちゃんとか天子さんがいるし、私も2ーAかなって思ってたんだけどね。

 

「ちなみに、2ーAが勝ち上がってきてたらどんな作戦を考えていたの?」

 

「久保と博麗を懐柔して11VS7で勝負するつもりだった。」

 

「え?確かにそれが出来たら楽だとは思うけど、博麗さんはともかく久保君はそんな汚いことに手を貸すかな?」

 

「・・・そうか。そう思っていられるのなら、そのままの方が幸せなんだろうな。」

 

どうか、吉井君にはそのままでいてほしいかな。

 

「それで坂本君、3ーA戦には作戦があるの?」

 

「ああ。とはいっても翔子や久保がいる2ーAが負けるとは思ってなかったからな。作戦なんてほとんどないんだが・・・」

 

そうはいっても坂本君のことだし、なにか考えてるよね。

 

「・・・奴等の召喚獣を殺そうと思う。」

 

「・・・酷い作戦だぜ。」

 

なるほどね。

実にわかりやすくシンプルな作戦だけど、ものすごいクズな作戦だね。

 

「わかった。乱闘に持ち込むんだね?」

 

「・・・誰を狙えばいい?」

 

「何故お主らは躊躇いもなく受け入れることが出来るのじゃ・・・。」

 

乗り気な2人を見て木下君が呆れてる。

 

「いや、別に乱闘じゃなくてもいい。直接攻撃以外にもダメージを与える方法はあるからな。」

 

「そっか。タックルしたり、デッドボールしたりでもいいものね。」

 

「・・・振りきったバットを投げつけてもいい。」

 

「ああ。理解が早くてなによりだ。」

 

「お主らは真性の外道じゃな!」

 

「目的の為なら手段を選ばないっていう気持ちはわかるんだけどね・・・。」

 

もともと坂本君達はスポーツマンシップという言葉とは最も縁遠いし。

 

「でも、そんな戦法とったら相手に卑怯だとか汚いとか言われそうだぜ。」

 

「チッチッチッ。わかってないなぁ。」

 

「ああ。どうやら霧雨には俺達のスポーツマンシップが伝わってないらしい。」

 

「・・・理解不足。」

 

「・・・何が言いたいんだぜ?」

 

魔理沙にそんなことを言う3人。

ちなみに私もわかってないよ。

 

「いいかい、魔理沙?」

 

「「「卑怯汚いは敗者の戯言!」」」

 

「「最低すぎるぜっ(でしょ)!」」

 

つい突っ込んじゃった。

 

「んむ?じゃが、戦闘不能にしたからといって、野球の点が入るわけではないのではないかの?」

 

そもそもワシらの点数ではたいした攻撃力にならぬのではないかの、と言葉を続ける木下君。

確かに言われてみればそうだよね。

点数を削ってピッチャーの球やバッターのバットの威力を減らし、点をとりやすくするというならわかるんだけど。

 

「確かに秀吉が言う通りだが、3年には持ち物検査はなかった。だからそのモチベーションの差を使う。まあ見てろ。」

 

・・・よくわかんないや。

まあ、いざ実行する時にわかるよね!

 

 

 

 

 

 

 

「ストライク!バッターアウト!」

 

「ごめん坂本、あれは打てないわ・・・。」

 

「気にすんな。相手は3年のAクラスだからな。」

 

さすが相手は腐っても3ーAというだけあって、球速もコントロールもかなりレベル高いね。

この回の化学は美波ちゃんの得意科目でもないし、撃てないのはしょうがないかなって。

ちなみに、この試合はラフプレイ前提の打線。

トップバッターの美波ちゃんは普通に打ってもらってるけど、2番の須川君、3番の吉井君は可能ならラフプレイすることになってる。

 

「サモン。」

 

その須川君が召喚獣を呼び出す。

 

『Aクラス 夏川俊平 化学 244点 VS Fクラス 須川亮 化学 59点』

 

相手のバッテリーは常夏コンビ。

多分、吉井君達が相手ってことでわざわざ出てきたんだろうね。

 

「59点とはまた、ずいぶん貧相な点数だな。」

 

マウンド横に立つ坊主が須川君の点数を見て、馬鹿にしたように言う。

相変わらず、他人を馬鹿にした態度が好きだよね。

それに対し須川君は特に反応を見せることもなく、黙ってバットを構えさせる。

Fクラスなだけあって、バカにされることに耐性ついてる感じかな?

 

「けっ、言い返す勇気もねえのか。腰抜けめ。」

 

坊主がつまらなさそうに鼻をならし、ボールを投げる。

投げられたボールはストライクゾーンど真ん中を通り、モヒカンがキャッチ。

 

「ストライク!」

 

「どうした?ど真ん中だぜ?」

 

ニヤニヤと下卑た笑みを浮かべる坊主だけど、須川君はなにも言わない。

反応しないのがつまらないようで、そのまま2球目を投げてくる。

 

「ストライク!」

 

さっきとほぼ同じ球。

須川君はバットを振らず、冷静にボールを見極めようとしてるね。

 

「これで三振は2人目だな。」

 

そんなことを言いつつ、3球目を投げてくる。

さっきまでとなんら変わらないモーションと軌道で、さっきまでより数段遅い球が投げられる。

タイミングをずらされたからか、バットを振れず棒立ち状態の須川君。

ボールはストライクゾーンど真ん中に入ってるし、これは三振だね・・・。

 

「ストライク!バッターアウト!」

 

これでランナーなしの2アウト。

よろしくないね。

 

「おいおい、せっかく緩い球を投げてやったんだ。ちゃんと打てよな?」

 

わざと挑発するように言う坊主だけど・・・この体育祭の準備を全部やらされたこと、根に持ってるのかな?

自分達から言い出したことなのにね。

 

「どうだった?」

 

ベンチに戻る須川君に、吉井君が小声で話しかける。

私も5番バッターだし、次の回あたりで当たりそうだし聞いとこっかな。

 

「ダメだ。全くみつからない。」

 

「そっか・・・。」

 

「どこを探しても、この前のエロい着物姿の先輩とチェックポイントの美人な先輩姉妹がみつからない。」

 

「それはそれでありがたい情報だよ。」

 

・・・・・・。

まあでも、いたら私多分狙われてたし、いい情報といえばいい情報なのかな?

吉井君が打席に立つ。

 

「吉井か。テメェを打ち取って3アウトにしてやる。」

 

「そう簡単には負けませんよ変川先輩。」

 

「待て。今俺の名前と変態という単語を混ぜて斬新な名字を作らなかったか。」

 

「あ、すいません変態先輩。」

 

「変態で統一しろって訳じゃねえっ!夏川で統一しろって言ってんだよ!」

 

「あ、すいません。どうにも紛らわしくて。」

 

「どこがだよ!夏川と変態って、共通点文字数くらいじゃねえか!」

 

「まあまあ落ち着いてくださいよ夏川変態。」

 

「響きが似てるからって今度は先輩と変態を間違えるんじゃねえーっ!!」

 

吉井君の挑発?で熱くなる坊主。

多分普通にしゃべってるだけなんだろうけどね。

 

「テメェ、吉井明久・・・!絶対に殺す・・・!」

 

殺意に満ちた坊主が振りかぶり、1球目を投げてくる。

さっきと同じようにど真ん中に叩き込まれるボール。

それを吉井君はじっと観察して見送る。

手も足も出ないように見える様子に満足したようにしてもう一球投げてくる坊主。

同じようにど真ん中を通り、ふたたびストライク。

 

「なんだ、ずいぶん静かじゃねえか。」

 

「次に討ち取るために観察してるんですよ。」

 

「けっ、本当のことを言えっての。どうせ手も足も出ねぇんだろ?」

 

その挑発には何も言わず、黙ってバットを構える吉井君。

 

「そんじゃあ、コイツで止めだ。」

 

坊主が第3球を振りかぶり、全力で投げてくる。

その動きに合わせてバットを振る吉井君。

空中を滑るように吉井君の頭をめがけて飛んでくるボールと、交差するようにピッチャーの顔面めがけて放たれる。

互いの全力を込めた一撃は、一瞬の時を経て吸い込まれるように目標に向かっていく。

 

「「って危ねぇーっ!!」」

 

坊主の投げたボールは吉井君のこめかみを、吉井君の投げたバットは坊主の鼻先を掠めて飛んでいく。

 

「「おのれ卑怯なっ!」」

 

「どっちもでしょうが。」

 

美波ちゃんの冷静な突っ込み。

その通りだよね。

 

「ストライク。バッターアウト。」

 

今の吉井君の投擲がスイングと判断されて三振に。

これで3アウト、チェンジだね。

 

「ごめん雄二。今ので警戒させちゃったかもしれない。」

 

「大丈夫だ。今のミスはピッチングで取り返せばいい。」

 

「・・・皆でフォローするから問題ない。」

 

この会話、事情を知らない人からしたら普通の会話だよね。

中身はアレだけど。

木下君や美波ちゃんも呆れてる。

姫路ちゃんはちょっとズレた反応をしてたけど。

警戒は野球用語じゃないよ?

とにかく、次は私達が守備。

私はサードの守備だよ。

 

「お前が吉井か・・・。3年に楯突いたことを後悔させてやる・・・!サモン!」

 

むこうのトップバッターが敵意たっぷりに召喚獣を出す。

こないだの肝試しと体育祭の準備のせいで、吉井君を快く思ってない人が増えてるみたい。

こっからじゃサインは見えないけど、多分坂本君はここは普通にやらせるはず。

ここを勝てたら、さらに点数が高い教師チームだし、どの程度なら勝負できるか確かめたいしね。

 

「ストライク!」

 

予想通り、吉井君は普通に投げる。

相手も初球はさすがに見守った様子。

キャッチャーの坂本君がボールをピッチャーに返し、2球目が投げられる。

 

「アウト!」

 

2球目は相手は当てたけど、当たりどころが悪くボールはあまり飛ばず。

送球が間に合い相手はアウト。

ふむふむ、やっぱり点数が高くても芯をとらえなければ飛ばないんだね。

でもEクラスの時みたいに、同じくらいの点数でも当たりどころによってはホームランも出る。

そこらへんは普通の野球となんら変わらないけど、点数が高い方がいいのも同じだよね。

そして2番バッターは・・・モヒカンみたい。

召喚獣を呼び出す。

 

『Aクラス 常村勇作 化学 223点 VS Fクラス 吉井明久 化学 57点』

 

「さてと。吉井に坂本・・・!溜まりに溜まった屈辱、しっかり利子をつけて返してやる・・・!」

 

怒りのこもった声が聞こえてくる。

でもその屈辱、全部3年のクズコンビの自業自得だよね。

そして吉井君が1球目を投げる。

モヒカンはその球に対して大袈裟なくらいバットを振ったから、まずは1ストライク・・・

 

「っと、手が滑った!」

 

と思ったら、バットの勢いを緩めずに、そのままキャッチャーである坂本君の召喚獣にぶち当てた。

・・・考えることは同じだったってことだね。

 

『Aクラス 常村勇作 化学 223点 VS Fクラス 坂本雄二 化学 109点』

 

相手が先にやってきたなら、わたしも躊躇う必要はないや。

黒の腕輪って使えるのかな?

 

「すまないな、坂本。まあでもスポーツに事故はつきものだよな?」

 

「・・・いや、気にすることはない。スポーツに事故はつきものだからな。」

 

故意であんなことしたと認識されたら退場になる。

それを嫌ってか心にもない謝辞を述べるモヒカンに対して、さして気にしてない様子で答える坂本君。

 

「そうか、さすが坂本は心が広いな。」

 

「いやいや、それほどでもないさ。」

 

そのまま、表面上は和やかに会話を続ける2人。

そして坂本君の召喚獣はさっきのバットでこぼしてしまったボールを拾い、ピッチャーに戻すために全力で投げつけた。

・・・間にモヒカンがいたにも関わらず。

 

『Fクラス 坂本雄二 化学 109点 VS Aクラス 常村勇作 化学 191点』

 

ボールがモヒカンの頭にぶつかり、転がる。

坂本君が100点ほど減ったのに対し、モヒカンはせいぜい30点くらい。

バットとボールの威力に差があったのと、その前に攻撃力が減らされたのが影響してるのかな。

 

「すまないな、センパイ。俺はどうにも召喚獣の扱いに慣れてなくてな。けどまぁ、仕方ないよな?スポーツに事故はつきものだもんな?」

 

「く・・・っ!そ、そうだな、これくらい笑って許してやるよ・・・。たいしたダメージでもないしな・・・。」

 

さっきの言葉を返され、こめかみに青筋をうかべるモヒカン。

つかみかかってやりたいけど、審判の前だから堪えてるって感じだね。

 

「君たち、小競り合いはやめなよ?これ以上するならふたりとも退場させるよ?」

 

審判の河城先生が注意し、2人はこれ以上何も言わずに自分達のポジションに戻る。

多分、このあたりで坂本君と吉井君は仕掛けてきそうだけど・・・。

 

「さあ来い、吉井。」

 

モヒカンが体をマウンドに向かって開いた状態で構えてる。

ピッチャーにもキャッチャーにも攻撃しやすい体勢だけど、多分狙いは坂本君。

そして、吉井君がモヒカンの頭めがけてボールを投げ、モヒカンはバットを坂本君めがけて振りきる。

2人の攻撃はそれぞれの目標に対して吸い込まれるように命中した。

 

「デッドボール。」

 

『Aクラス 常村勇作 化学 178点 VS Fクラス 坂本雄二 化学 7点』

 

「明久テメェっ!全然減らせてねえじゃねえか!」

 

「雄二キサマっ!ちゃんと防御しろ!」

 

坂本君が受けたダメージは100点程度なのに対し、モヒカンはせいぜい10点くらい。

これじゃ先にやられちゃうね。

 

「っていうかテメェら、今のはわざとだろ!先輩に向かって良い度胸じゃねぇか!」

 

「何を言ってやがる!そっちが先に仕掛けてきたんだろうが!肝試しに負けたのを根に持ちやがって!器が小せぇぞ先輩!」

 

「んだと!?上等だ!こうなりゃ野球なんて面倒なことやってねぇで、直接・・・!」

 

「望むところだ!元々3年は気に食わなかったんだ、ここらで一発・・・!」

 

ベンチや他の選手からそんな声があがる。

もともと互いにいい感情を抱いてないから、こういったことで火種が燃え上がるのは当然といえば当然だよね。

坂本君の作戦だと、ここで一気に乱闘になだれ込むことになってるから、私も準備。

黒の腕輪を使って、誰に攻撃するのがいいかな・・・?

 

「おやめバカどもっ!」

 

そんな中に、しわがれた声が割って入ってきた。




いかがでしたか?
学園長乱入。
審判は召喚大会で出て以降一切出番がなかったにとり先生にやってもらいました。
まあでも教師戦やれば風見先生も神子先生も出せるはず…。
ここまで来るともう新キャラ出す要素もほぼないので、既存キャラの出番をキープしたい。
Scarlet Ammo Onlineでも途中からかなめがほぼ空気だったので…。(1話で登場したかなめ以外の6人はメインの話あります)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。