古明地こいしとFクラス   作:こいし金二

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アニポケ5話見ててサトシとゴウがカビゴンをダイマックスと勘違いしたとこで思ったんですが、サトシさんあなたカビゴン手持ちにいましたよね。
てか自然発生した粒子纏ってキョダイマックスってガラル魔境すぎません?


第七十三話「教師戦1回!」

 

 

 

体育祭のプログラムのひとつだけど、私達にとってはとても大事な召喚野球大会の決勝戦。

教師チームという強敵に打ち勝つため、私達は打順を決めていた。

ちなみに、私は9番。

地学だからね!

私の前には坂本君。

 

「雄二は8番でよかったの?」

 

「・・・・・・俺は日本史も地学も取れてるからな。」

 

吉井君の問いかけに対し、ムスッとした表情で不機嫌そうに答える坂本君。

 

「まったく・・・。雄二が怒るのも仕方ないとは思うけどさ、それとこれとは話が別なんだから。」

 

「坂本君の気持ちもわかるけどね、今は切り替えないとだよ?」

 

フォローの為に私と吉井君で坂本君をなだめる。

すると、姫路ちゃんが私と吉井君の裾をチョイチョイと引っ張る。

どうしたのかな?

 

「あの、2人とも。仕方ないって、2人は坂本君が怒られたのはおかしいと、そう思いますか?」

 

坂本君に聞こえないくらいの大きさで、そんな質問をしてくる姫路ちゃん。

 

「まぁ、話を聞く限りは雄二が怒るのも仕方ないような・・・。」

 

「うん、私も。」

 

普段は翔子ちゃんの味方だけどね。

 

「坂本君もああやっていきなり翔子ちゃんに言われて、売り言葉に買い言葉だったとは思います。だから、全部が全部坂本君が悪いとは言いませんけど・・・。でも、後で冷静になったら、きちんと翔子ちゃんに謝ってほしいです。そうでないと翔子ちゃんが可哀想ですから。」

 

どうやら、姫路ちゃんは翔子ちゃんの味方みたい。

うーん、私としては坂本君の気持ちもよくわかるんだけどね。

 

「これより生徒・教師交流野球決勝戦を始めます。皆さん、整列してください。」

 

そんな話をしてたら、審判の先生によるコールが。

出場する全員が並ぶ。

 

「プレイボール!」

 

「「「おねっしゃーっす!!」」」

 

一斉に頭を下げて、私達は守備位置に移動する。

私達は後攻だから、まずは守備から。

トップバッターは・・・風見先生だね。

 

「野球・・・ね。何年ぶりかしら。サモン。」

 

風見先生が召喚獣を出す。

 

『生物教師 風見幽香 生物 683点 VS Fクラス 吉井明久 生物 57点』

 

予想はしていたけど、やはり圧倒的な点数。

なんとなく風見先生の召喚獣ってパワーがありそうな気がするし、当たったら場外まで飛んでいきそうな気が・・・。

坂本君が指示を出し、吉井君が投げる。

風見先生もやはり野球は慣れていないみたいで、バットを振らずに様子見してきた。

 

「ストライク!」

 

ストライクゾーンに入ってたため、これで1ストライク。

続いて、ストライクゾーンから外れた球で様子を伺う吉井君。

風見先生はピクッと反応したけど、振らずに堪えてた。

 

「ボール!」

 

これで1ストライク、1ボール。

そろそろ振ってきそうだし、このへんが勝負どころだよね。

投げる吉井君。

 

「「「って、すっぽぬけてんじゃねえかーっ!!」」」

 

よりによってこのタイミングですっぽぬけるの!?

 

「・・・あら、撃ちやすい球を投げてくれるのね。」

 

その言葉とともに、全力でバットを振りかぶる風見先生。

バットが当たったそのボールは、さっきの全力の姫路ちゃんの3倍くらいの速度で、吉井君の召喚獣の頭のすぐ横を掠めて水平に飛んでいく。

ピッチャー返しのような感じで高さはなかったからホームランにはならなかったけど、今のが直撃してたら吉井君何十人分の威力があったのかな・・・?

ギリギリダメージは発生してなかったけど、吉井君も恐怖の表情浮かべてる。

 

「やっぱり難しいわね。わざとではないわよ。」

 

風見先生が一塁を通過し、二塁とのちょうどまん中に来たあたりで外野の守備が捕球する。

二塁は間に合わないと判断し、サードの私に送球してきたから受けとる。

ノーアウト二塁、あんまりよくない状況かな。

 

「次は僕ですか。サモン。」

 

次は若い男の声。

普段私達が教わってる先生とは別の現代文の寺井先生・・・だったはず!

曖昧だけど!

 

『現代文教師 寺井伸介 生物 209点 VS Fクラス 吉井明久 生物 57点』

 

文系の先生だからか、Aクラスの平均くらいの点数。

とにかく吉井君、もうすっぽぬけないよう注意してよ?

低めの速球を投げる吉井君。

 

「ほっ・・・と。」

 

カン、と鈍い音が響き、ボールは低い軌道でも勢い良く一塁、二塁間を抜けていく。

 

「ちゃんと捉えたと思ったんですけど、やっぱり生身でやるのとは違いますね。」

 

一塁ベースでそんなことをいいながら苦笑いを浮かべてる寺井先生。

なるほど、野球の経験者だったのね。

私の側の三塁では風見先生が共感するような表情をしてる。

これでノーアウト一塁三塁。

そして3番バッターは・・・。

 

「宜しくお願いします。」

 

学年主任の高橋先生。

普段のスーツ姿じゃないから、少し雰囲気が柔らかい気がする。

 

「お手柔らかに、吉井君。サモン。」

 

普段、私達Fクラスが高橋先生と話すような機会は皆無だし、確かにこういうイベントは交流を深めるのにはいいのか・・・えっ?

 

『学年主任 高橋洋子 生物 807点 VS Fクラス 吉井明久 生物 57点』

 

「「「ぶほぉっ!!」」」

 

守備陣が一斉に吹き出したのがわかる。

というか、なんで担当教師の風見先生よりも点数高いの・・・?

あんな点数で打たれたら、まず間違いなくホームランで3点入るよね。

だから1点取られるけど敬遠の判断を・・・ん?

なんか高橋先生の召喚獣に違和感があるような・・・?

 

「高橋先生。バットの持ち方が逆だな。それだと打ちにくいはずだ。」

 

ベンチの鉄人先生からの指摘で判明。

なるほどね。

姿勢は直ったけど、高橋先生は野球に慣れてないみたい。

なら、勝負に行った方がいいかもね。

坂本君もミットを構え直す。

そして、最初はラインを外して投げる吉井君。

 

「ええと、こうでしたか。」

 

高橋先生は吉井君が投球モーションに入ったのを確認してから、バント狙いのバットの持ち方を変える。

なるほどね、送りバント・・・というかスクイズ狙いか。

風見先生をホームに戻し、確実に1点を確保って感じかな?

 

「ストライク!」

 

バットを振ったためストライクを取られる高橋先生。

とにかく、スクイズか送りバント狙いなら、少し前に出てた方がいいかな?

どうせ次は4番だから敬遠すると思うし、やらせてアウトを増やした方がいいよね。

どっちにしても1点取られるし。

 

「・・・あれ?でもそんな甘い?」

 

そこまで考えて、気づく。

私でも気づいたようなことを教師が気づいてないのかな?

なら多分、相手の狙いは・・・!

 

「プッシュバントか!」

 

気づいても後の祭り。

気づいた時には既に高橋先生は打っていた。

スクイズと違って、プッシュバントはヒット狙いのバント。

転がすのを予想して前に出てた私と吉井君の間をボールは勢い良く抜けていく。

しまった・・・!

 

「任せろっ!」

 

と、ここで天は私達に味方したようで、転がっていったボールはショートの福村君の目の前に。

ミットを身体の前に構え、捕球の体勢をとる福村君。

さっきのでわかったけど風見先生は速度はあんまり速くないみたいで、まだ三塁寄りにいる。

ボールを受け止め、ホームに送球しようとしたところで、

 

「ごぶるぁっ!!」

 

「「「なんだとぉっ!?」」」

 

ボールと一緒に吹っ飛んだ福村君の召喚獣。

・・・えっ、なんでバントで召喚獣ぶっ飛ぶような威力が出てるの!?

 

「高橋先生!あれなら二塁まで行けます!」

 

教師チームの誰かが声をかける。

福村君が吹っ飛んだことで、ボールはセンターに転がってる。

これは行かれちゃう・・・!

 

「二塁ですか。わかりました。」

 

冷静に頷く高橋先生。

そしてその直後。

高橋先生は召喚獣を凄い勢いで走らせ、二塁に向かわせた。

一直線に。

マウンドの上を突っ切って。

 

「「「・・・・・・は?」」」

 

ランナーの風見先生や寺井先生も含めた全員の目が点になる。

 

「・・・・・・バッター、アウト。」

 

審判の先生がアウトを宣言する。

みんな知ってるとは思うけど、野球にはバッターは所定の位置以外を走ってはいけない、一塁を踏まずに二塁を踏んではいけないっていうルールがあるんだけど・・・高橋先生はそういうのを一切知らなかったみたい。

 

「高橋先生・・・。アウトなので、ベンチに戻ってください・・・。」

 

「何故ですか。」

 

「そういうものなんです・・・。」

 

眼鏡の奥の瞳を若干不満そうに歪め、ベンチに戻っていく高橋先生。

というか・・・知らなかったとしても風見先生が一塁を経由して二塁に出てたのは見てたと思うんだけどね・・・。

 

「えっと、はい、タッチアウトっす。坂本。」

 

「え?」

 

一塁と二塁の間で茫然と立ち尽くしていた寺井先生に、いつのまにかボールを拾ってたらしい須川君がアウトを取り、ホームに送球する。

それを見て、同じく三塁とホーム間で立ち尽くしていた風見先生が慌てたようにホームに走り出すけど、ボールがホームにつく方が速い。

須川君のファインプレーのおかげて3アウトでチェンジなんだけど・・・なんだろ、この盛り上がらない気持ち。

・・・ちなみに、吹っ飛んだ福村君の召喚獣は静かに天に召されてたよ。




いかがでしたか?
野球のルールを知らなかった高橋先生。
ちなみに風見先生の召喚獣は特別仕様です。
幽香さんはパワー系なイメージもあり、パワーが高めに設定されています。
ポケモンで言うとドサイドンとかナットレイ(鉢巻)、ヨクバリスなんかと近いかも。
おまけなんですが、風見先生の生物の点数683点のうち、670点程が植物、またはそれに関する動物についてです。

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