「誰か、いるな・・・。」
「ちょっと私が確認してくるね。」
正邪ちゃんにそう言って、中にこっそり入っていく。
「・・・よし、誰もいないな。お前達は文房具と座布団をやれ。俺はちゃぶ台をやる。」
・・・いけないことしてるね。
人の文房具やちゃぶ台に手を出そうとするなんて、制裁が必要かな?
「ねーねー、そこで何してるのかな?」
「「「うわっ!?」」」
私に気づいていなかったみたいで、振り返って驚くBクラスの3人。
「人の私物や設備に手を出すのはいけないんだよ?わかってる?何してたか言わないなら、このまま補習室行く?」
「ほ、補習室は嫌だっ!」
「残念だけど、逃がさないからな?」
逃げ出した一人を正邪ちゃんが投げる。
正邪ちゃん合気道とか得意だから、高校生男子くらいならあっさり投げられるんだよね。
「ぐわっ!」
「さて、このまま私と古明地に痛めつけられた後、先生呼んで補習室行きになるか、おとなしくたくらみを話すか選ぶんだな。」
「わ、わかった、話す!代表にFクラスの文房具やちゃぶ台壊して補充試験を妨害しろと言われたんだ!」
「・・・なるほどな。一応聞くが、お前らに罪の意識ってものはないのか?」
「お、俺達だってやりたくはなかったんだ!代表の根本に脅されただけなんだ!」
「ほんとは古明地さんに従いたかったんだ!」
お姉ちゃん?
とりあえず、根本君はねじ曲がった性格だとよくわかったよ。
注意しておかないといけないね。
「それで、脅されただけだから俺達は悪くない、とでも言いたいのか?」
「い、いや、そんなつもりは・・・。」
「古明地、どうする?」
「私?私としては、一人だけ逃がして、もう二度とこんなことしないようにと伝えさせるのがいいんじゃないかな?」
「お前・・・なかなかエグいことを考えるんだな・・・。」
あれ?
正邪ちゃんがひいてる。
私が言った通りにすると、地獄の補習を逃れるために多分醜い争いが始まるだろうから、エグいかもしれないけどね。
この3人が友人だった場合、その後の友情にヒビが入るかもしれないけど、そんなの私しーらないっと!
「・・・よし、じゃあそうするか。おいお前ら、一人だけ逃がしてやる。ちなみに、とっとと決めないと他のFクラスの人達も来るから強制的に全員補習室だぞ?」
正邪ちゃんも人のこと言えないんじゃないかな・・・?
今、ものすごいゲス顔してるし。
ちなみに、結局3人は争ったあげく、決まる前に坂本君達が帰ってきたから、全員補習室送りになったよ。
「ところで坂本君はどこ行ってたの?」
「ちょっと協定を結びに屋上にな。」
「協定?」
「どんな内容なんだ?」
「そんな面倒なことじゃない。4時までに決着がつかなかったら、戦況をそのままにして続きは明日午前9時に持ち込み。その間は試召戦争に関わる一切の行為を禁止する、だ。」
うーん・・・、なんで根本君はそんな協定を結んだんだろう・・・?
なんか、絶対裏があるはずなんだよね・・・。
「こちらとしても戦力の要である姫路と稗田にとって有利だからな。」
「でも、なんでそんな協定を結んだんだろう?」
「わからんが、俺達がいない間に補充試験を妨害するためだけじゃないのかもしれないな。」
協定について会話していると、Fクラスの伝令が教室に飛び込んでくる。
「大変だ!霧雨とBクラスの虎丸が相討ちになり、島田が人質にとられた!」
魔理沙、やられちゃったのか・・・。
しかも美波ちゃんが人質?
「霧雨、数学は400付近だったはずだぞ!その虎丸って何者なんだ?」
「もう補習室いきましたが、腕輪を持ってレーザー撃つ召喚獣です!」
「ぐっ・・・!大事な戦力のひとりが欠けちまったか・・・!しかもレーザーなんて規格外だろ・・・!」
「いやまあ、魔理沙もレーザー撃ってたけどね。」
「それより今は島田の救出だ。古明地、行くぞ!」
「うん、美波ちゃんを助けよう。」
人質って、またベタな卑怯だよね。
立ち上がろうとすると、ふたたび伝令。
「島田は救出したぞ!Bクラスも教室に押し込めている!」
・・・と、私達が行く必要もなかったね。
そのまま時計をみてみると現在3時45分。
もうすぐ協定の時間だね。
そのまま私達は教室にいて、4時になったあたりで吉井君達が戻ってくる。
「ただいま~!島田さんも『美波でしょ?アキ?』あ、そうだったね、美波も救出してきたし、Bクラスも教室に押し込んでるよ!」
「おう、ご苦労だった。とりあえず明久、現在の戦況と島田の呼び方が変わったいきさつについて詳しく報告してくれ。」
「前者はともかく後者は嫌だよっ!なんで雄二なんかに言わなくちゃなんないのさ!」
私も気になるけど、まあいっか。
本人達に無理に聞くのも悪いしね。
「冗談だ。普通に戦況だけを聞かせてくれ。」
「うん、了解。まずね・・・。」
吉井君の報告によると、魔理沙がやられ、美波ちゃんと姫路ちゃんがだいぶ数学の点数を消費したみたい。
阿求ちゃんはまだあるみたいだけど、明日以降、数学でやるのは厳しいかな・・・。
あと、お姉ちゃんとお燐がまだ出てきてないのが気になる。
お姉ちゃんの得意科目は現代文と生物、お燐の得意科目は生物だから、その先生達も注意しないといけないかな?
「・・・・・・(トントン)」
「お?どうした?ムッツリーニ?」
「・・・・・・Cクラスに戦争を始めようとする動きがある。」
「・・・チッ。あいつら、漁夫の利を狙いにきたか。・・・ならCクラスと協定を結ぶか。Dクラスあたりを攻めこませると脅せばやる気もなくなるだろ。」
坂本君らしいね。
でも、これってBクラスとのとりきめに反してないかな?
「・・・待ってください坂本君。」
「お?どうしたんだ?稗田?」
「恐らく、これはBクラスの罠でしょう。私の記憶では、根本君と、Cクラス代表の小山さんはつきあっていたはずです。」
「な!?それは本当か!?」
「あはは稗田さん、冗談がうまいね。あんなブサイクで卑怯で人間として最低な根本君なんかに、そんな美人な彼女ができるわけがないじゃないか。」
「あまり人のプライベートをばらすのは好きじゃないんですが、小山さんは『卑怯というのは勝つために手段をつくすということだから私はいいと思うわよ。』と以前言っていましたし、この話はまず間違いなく本当なんですよね・・・。」
「嘘だっ!そんなんで彼女ができるなら、僕にも今ごろ彼女の2人や3人くらいいてもおかしくないはずなんだっ!」
「いや、2人や3人はダメだろ。二股は人間として最悪だぞ。」
慟哭する吉井君に正邪ちゃんが突っ込む。
・・・・・・でも、姫路ちゃんと美波ちゃんがいるし、あながち間違ってないんだけどね。
「あ、そういやお前に好意を持ってる奴が俺の知り合いでいたな。確か、久保・・・」
「えっ?ほんと?」
吉井君が嬉しそうにしてる。
「・・・利光だったかな。」
「・・・・・・もう僕お婿にいけない。」
天国から地獄へという言葉がこれほど似合うのを私は見たことなかったな。
「安心しろ。半分冗談だ。」
「ちょっと!半分ってなにさ!」
「さて、Cクラスのが罠とわかった訳だが、どうしたものかな。」
「罠だとしても、このままだと多分ほんとに攻めてくるだろうしね~。」
「逆にあえて罠にひっかかって、私達を狩りにきた根本の奴を返り討ちにするというのはどうだ?」
「それはかなり厳しいだろうな。今日消耗させられた数学でやられれば勝ち目は薄い。稗田は確かに点数が残っているが、虎丸の時みたいに、稗田に対抗できる奴が残っていたとしたらほぼ詰みだ。」
「ちょっと雄二!それより残りの半分のことを説明してよ!」
「明久、今は大事な作戦考えてるんだから、邪魔すんな。」
「僕にとってはこっちの方が大事だよっ!」
「まあ、Cクラスの方はおもいついたんだがな。今日はもう遅いから明日実行する。あと古明地と霊路地は少し残ってくれ。」
うん?
なんだろう?
「うにゅ?いいけど、どーしたの?」
「私も構わないけど、なにか用なのかな?もしかして告白とかかな~?」
「古明地。冗談でもやめてくれ。まわりを見てみろ。」
えーと、カッターを持ったFクラス生徒17人、ちゃぶ台を持った生徒4人、スタンガン持った生徒2人、脱いだ靴下を持った生徒2人だね。
・・・・・・ごめん、ちょっとこのクラスが理解できないや。
「・・・ということだ。」
「うん、わからないけどわかったよ。」
私としてもからかった結果坂本君がかえらぬ人になるのは望んでないからね。
とりあえず、それで話を聞いたけど、確かにこれは聞けてよかったかな。
よーし、明日も頑張るぞー!
いかがでしたか?
正邪は合気道ができます。