俺達の可愛い弟。
俺より10個以上も年下に生まれた弟。
他にも沢山弟も妹も居るのに誰よりも特別なのはきっと何処か俺達とは異質な所があるからだろう。
そんな弟がおねだりをしてきたら断ることなんて有り得ないだろ?
■■■
「クラッカーにぃ」
自分の職務室で仕事をしていれば、コンコンと控えめなノックともに聞こえてきたのは可愛い弟の声だった。
「ジェラティーナ?...入れ」
何故、ここにジェラティーナが居るのか?と疑問に思いながら促すと恐る恐ると言ったように部屋の中へと入ってきた。
「珍しいな、ジェラティーナがここに来るなんて....」
20番目のジェラティーナはケーキアイランドと自分の島以外からは滅多に出てくることはない。
俺達が呼ぶか、仕事とかの用事があれば、ジェラティーナも来るが。
「....クラッカーにぃにお願いがあって、」
「なんだ?」
まさかのジェラティーナの言葉に即答したのはしょうがないだろう。
昔からジェラティーナに何かをねだられる事なんて片手で数えきれるぐらいしか聞いたことがない。
そんな可愛い弟のおねだりを聞かないなんてあり得るわけがないだろう。
「クラッカーにぃの作るジャムが欲しい」
「ジャム?」
思っていたおねだりとは違った内容に思わず呆然としてしまう。
いや、可愛い弟のおねだりなのだから絶対に叶えるが、なんでいきなりジャムなんだ....?
「この前、自分でビスケットを作ったんだ」
「ジェラティーナが?」
「....それでクラッカーにぃが作るビスケットみたいな味にならなかった。」
だからクラッカーにぃが作るジャムをつけたら同じ味になるかもしれないと思った。
その言葉に心を撃ち抜かれてしまったのはしょうがないだろう。
まさかそんなことを言われるなんて思いもしなかったのだから。
「もちろん、ジェラティーナのお願いだからな。」
そう言って仕舞ってあったジャム瓶を取りだし、ジェラティーナに渡す。
それを嬉しそうに顔を珍しく綻ばせたジェラティーナがジャム瓶を開ける。
「んっ....美味しい」
開けたジャム瓶の中に入っているジャムを指で掬って食べたジェラティーナに身体が熱くなる。
そして次の瞬間、更に身体が熱くなった。
「わっ!?」
ジャム瓶を閉めようとしたジェラティーナが足を滑らせ、転んだ。
駆け寄ろうとして俺は思わず立ち止まってしまった。
閉めていなかった瓶からジャムが飛び出し、ジェラティーナの身体にまんべんなく掛かっている。
「...ベトベト」
自分に掛かったジャムをペロリと舐めとるジェラティーナの口からは真っ赤な舌がちらりと見える。
まるでご褒美のようなジェラティーナに身体を熱くさせながら笑った。
「美味そうだな」
俺の言葉にキョトンとしているジェラティーナをまた欲しくなってしまった。