Little Monster Fantasy 作:こんがり肉
フルチャージLv3
スタミナ急速回復Lv3
潜伏Lv2
貫通弾・竜の一矢強化Lv1
しゃがみ移動速度UPLv1
鬱蒼と茂る森の奥。大きく開けたその場所に大きな畑を持つ家があった。
土地の広さに反して、家はこじんまりとした普通の一軒屋だが、その敷地には家よりも大きい竜たちが放し飼いにされていた。
そんな光景を当然のように眺めながら一人の老人が傍で伏せる竜の体をそっと撫ぜた。
彼ら?いや、彼女ら?性別は今も良く分からないが、この竜たちと出会ったのは私がまだ若かったころだ。
子供の頃に夢見た冒険者になり、世界の彼方此方へと旅に出て、大きな財と名声を成す。そんな夢を捨てて、今は亡き両親から譲られた畑仕事に汗を流し、出来た作物を収穫したある日のことだ。
籠に入ったキュピックの重みを感じながら家へと戻ると、影になっている場所に変な動物が丸まっていた。
狼よりも大きいが、熊よりは小さい。全身が黒みがかったような藍色の毛並みをしている。顔らしき部分には鳥のような嘴のような尖がりがあり、印象としては鳥っぽい。
前足だと思われる場所には鳥のような翼っぽいものがついている。だが、鳥にしては後ろ脚もあり、四足歩行で移動するようなその奇妙な姿。その獣から感じられる威圧感のような雰囲気に魔物という存在が脳裏を過ぎった。
魔物の多くは人に害をなす生物であり、その多くが肉食―つまり人間を襲ってその肉を食らおうとする。口元からちらりと見える鋭い牙は、この生物が肉食だということを示していた。
辺りを見回してもオレ以外の住人はまだ畑仕事をしているのか、それともこの生物を見て早々に家に逃げたのか、誰もいなかった。ゴクリと唾を飲み込んで、恐らくは眠っている魔物?を起こさないように慎重に家に入ろうとした。
―――グルルルゥ
家の扉まであと少しというところで、唸り声と共に魔物が寝転がしていた体を起こした。犬がするようにグッと体を伸ばして起き上がると、しっかりと開いたその目がオレの方を向いた。目を細めた魔物が姿勢を低くして唸りながら、尻尾を地面にペシンペシンと叩きつける。
「落ち着け…口に合わないだろうけど、これをあげるから」
威嚇する魔物の注意を引くために、背負った籠から先ほど採ったばかりのキュピックを取りだして見せる。肉食らしき魔物を相手に野菜しか持ってない不幸を嘆きながら、敷き布を広げてキュピックを置いた。
刺激を与えないように魔物を見ながらゆっくり下がると、警戒しながらも近寄ってきて確かめるように鼻先で何度か突っつき始めた。
「お肉じゃないのは我慢してくれ…甘くて美味しいから」
祈るように小声で呟きながら家の戸に手を伸ばす。なるべく音をたてないように開けるが、静かなこの場ではちょっとした音でも大きく聞こえる。
扉の開く音に反応した魔物がキュピックを咥えながら顔を向けた。シャクシャクと消えていくそれを見ながらもなんとか家の中に入り、ゆっくりと戸を閉めていく。あともう少し―――――
――その時だ。
黒い風のような何かが戸が閉まる前に入り込みドアに手をかけるオレにぶつかってきた。お腹にぶつかった何かは赤い光を残像のように残しながら後ろに回り込むように消えていく。急いで立ち上がりながら振り返ると、先ほどまで外にいた魔物が、犬が座るかのように玄関に座り此方を見ていた。その目はオレと背負っている籠の両方に向けられており、先ほどは地面を叩いていた尻尾が左右に微かに振られている。
籠に手を伸ばしキュピックを取りだすと、魔物の視線がそれに向いたのが分かった。左に動かすと左に、右に動かすと右に動く。そっと床に置いて手を離すと瞬時に咥えて食べ始めた。襲われなくて良かった。そう思いながら新たなキュピックを取りだしては床に置く。パクっと一口で食べてお代わりを催促するその姿はもう犬にしか見えない。
「……もっと味わってくれよな」
先ほどの恐怖感が薄れて、なんだかペットを飼ったかのように感じつつキュピックを置こうとすると、オレの手から直接キュピックを奪い取って食べた。それに満足したかのようにキュルルォと一鳴きすると家主がいない部屋の中へと消えていった。
「はぁ…助かったのはいいけど、どうしよう、マジで」
出会ったときの恐怖感はもうない。あれなら熊の方が何倍も恐ろしい。だが、魔物が家に居着きそうなのはちょっと問題だ。無理に追い出すわけにもいかず、村の人や村長にどう言ったらいいのか。部屋の片隅で毛繕いをしている魔物の姿に溜息を吐く。とりあえず、明日になったら村長のところに行ってみよう。
キュピック
茄子の形をしたリンゴ味の野菜。田舎では安くて甘い果実のような感覚で食べられるので人気。育てやすく農作初心者御用達の野菜。転生日本人が食べたりすると困惑間違いなし。
クロっぽい魔物
モンスターハンターに出てくるとある竜(幼)
刃翼が発達していない(柔らかめな相手なら斬れる)、尻尾の尾棘も発達していない(柔らかめな相手なら刺さる)と、まだまだ発展途上の幼―――ここから先は血で汚れていて見れない。