Little Monster Fantasy 作:こんがり肉
串焼きを食べた後もちょこちょこ屋台で食べ物を買いながら歩いていると大きな建物が見えてきた。冒険者っぽい人が出入りしているから、あれが冒険者ギルドのはずだ。
人についていく形で中に入ってみると冒険者らしき人が何人も集まっていた。カウンターには綺麗な女性が座っており、冒険者が列を作っている。上にはプレートがつけられていて対応する窓口が作られているようだ。
【依頼受付】【依頼報告】【冒険者登録(眷属獣登録】
とりあえず、冒険者登録のカウンターへと向かう。
「冒険者ギルドへようこそ、冒険者登録はまずこちらの紙に登録情報を記入してください。必、がついた場所は必ずご記入ください。それ以外は空欄でも構いません。代筆が必要であれば言っていただければ私の方で記入させていただきます」
説明を聞きながら紙を上から下まで眺めてみた。名前に年齢、出身地に得意な武器や魔法使用の有無、犯罪歴など。とりあえず必マークのついた場所を全部埋めて受付嬢に渡した。
「はい、では記入された情報でギルドカードを発行しますので少々お待ちください」
そうして、奥の扉へと消えていった受付嬢は数分後に一枚のカードを持って戻ってきた。
「最後に記入した情報に偽造がないか確認しますので、此方の水晶に手をおいてください」
受付嬢がカウンターに青い水晶玉を置きどうぞ、と離れた。やましいことなど何もないので水晶玉に手を置くが、何の変化も見られない。
「はい、ありがとうございます。では、こちらがギルドカードになります。貴方のランクはFになります。依頼達成数と内容を吟味して昇格を行っていきますので頑張って下さい。また、注意事項はこの紙に書いてありますので、必ず一読ください」
受け取った紙を見てみると、依頼は必ずギルドを通して受けること。冒険者同士の争いは自己責任なこと。一月に4回程度は依頼を達成すること、などが書かれている。
「この一月に4回の依頼達成ができないとどうなるんですか?」
「冒険者の資格無しとしてギルドカードが失効してしまいますのでご注意ください。受けた依頼が長期な場合などはそれも考慮に入れますのでご安心ください」
「なるほど、分かりました。あとここで眷属獣の登録ができると聞いたんですが」
できますよ、と受付嬢が先ほどとは違う紙を取りだして目の前に置いた。
魔物の名前や種族、どこで出会ったのか、気性、食べ物などの記入欄がある。種族については町の入口で言われたことが気になったので聞いてみた。
「見ることができるのは、我々ギルド関係者と領主様、街の門衛たちだけです。ギルドカードなどの読み取りは専用の魔道具が必要になりますので、他の方には見ることができません」
それならとサラサラと内容を記入して受付嬢に渡した。
「はい、確認させて頂きます。――――――えっ、り、りゅぅ!?」
驚いた受付嬢が自分の手で口を塞ぐ。やがて、ワザとらしい咳を何回かして集まった目線を誤魔化す。
「申し訳ございません、咽てしまいました。―――――――此方の情報は真実ですか?」
周囲に聞かれないように小声で話す受付嬢に頷いて返す。
「はい…。では、確認のために鑑定魔術を使いますので私についてきてください」
受付嬢の後を追いながら部屋に入ると、すぐに戻りますと部屋を出ていった。
そう間を空けずに片眼鏡の男性とオレンジ色の髪を後ろで束ねる女性が入ってきた。
「遅れて申し訳ない。私はこのギルドの管理を任されてるレグナスという。一応職員の安全のために同席させてもらうよ」
そう言ってソファーに座り込んだ。
「私は魔術師のミラよ。鑑定魔術を使わせてもらうわ。よろしくね」
ナルに目線を合わせた女性が呪文を唱えると、あの時と同じ淡い光がナルに飛んでいき、体染みこむように消えていった。
「―――――はい。間違いありません。飛竜と確認できました」
「そうか。こんなに小さい竜種なんぞ初めてみたわ。幼竜は親が宝のように守っとるからな。あぁ、問題ないから眷属証を発行してきてくれ」
受付嬢が部屋から出た後に触ってもいいか?とレグナスが聞いてきたので、ナルが良いならと目を向けた。
唸り声のようなものをあげていたが、やがて許したのか尻尾をレグナスへと向けた。頭は触らせたくないらしい。
レグナスが苦笑しながらも尻尾に触れるとおぉと感動したように声を漏らした。便乗するようにミラも手を伸ばして尻尾に触った。
「いやぁ、中々良い手触りだな。良い体験をしたよ。これは礼だと思ってくれ」
懐から金貨を1枚取りだしたレグナスがオレの手に握らせてきた。突然の大金に驚いたが、レグナスは気にするなと背を向けた。
「幼竜に触るなどSランクの冒険者でもそういまい」
そう言いながらレグナスとミラが部屋を出ていき、入れ違いで受付嬢が戻ってくる。
「これが眷属証になります。これがあれば町中にも眷属獣を入れることができますが、何かが起きた時の責任は貴方が取ることになりますのでご注意ください」
受け取って確認してみるがギルドカードのようなカードでこれといった特徴はない。カードを大事に仕舞ってから部屋を出た。
さて、これからどうするか。とりあえず冒険者らしく依頼の一つでも受けてみようか。ナルに目を向けると眠そうに欠伸をしているが、まだ日は高く夜までは時間がある。
人が減った掲示板に向かうと薬草採取の依頼が残っていたのでそれを取りカウンターに向かった。
鑑定魔術
対象のステータスを術者の視界に投影する魔術。相手の情報を読み取る魔術。
魔力を体表に纏うことで読み取られる情報を減らしたり拒絶できる。また、呪文の飛ぶ速度も遅いため、見てから回避できるなど欠点も多い。
鑑定魔術 → ナル
名称 ナルガクルガ
名付 ナル
種族 飛竜種
耐久 D
魔力 F
筋力 D
敏捷 B
門にいた魔術師やミラにはこのようなものが見えていた。
耐久などのランクはF~EXまで。ナルはまだ幼体なため全体的にランクが低い。
またランクの中でもばらつきはあり、同じBでもA一歩手前のBとCから上がったBでは大きな違いがある。そのあたりの細かい部分が分からないのも鑑定の欠点。