テンペストの鬼殺業   作:とあるスライム好き

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牛太郎の「ぎゅう」の字が違います。
すいません。漢字辞典で一応調べたんですが、見つからず文字変換でも出てきませんでした。(修正済み)
あとヴェルドラの【確率操作】の能力を少しばかり改変しています。
更にこの話、「鬼滅の刃 十一巻」を読んでない(この話を読んでるってことは多分知っていると思う)と分かりにくいかもなので、ちょっと説明を。

ヴェルドラから別れた天元達は急いで炭治郎達のもとに加勢にかけつけます。
(この時すでに炭治郎は痣の発現に成功し、禰豆子も鬼化の進んだ状態になっておりますが今はもとに戻っています。何故、書かなかったのかというと、原作の大幅コピーに問われそうだったからです)
しかし、相手の鬼の強さに苦戦している状況です。

追記 リメイク版を投稿しました。是非ご閲覧ください。


第二十五話 剣鬼 ハクロウ

(クククッ)

 

 妓夫太郎は密かに心の中でほくそ笑む。

 

(威勢のいいこと言って結局は、こいつらも俺達には勝てねえんだよなあ)

 

 今、彼に必死の猛攻を仕掛けている柱の男は既に猛毒を受け、死亡は最早時間の問題。

 ついでにその柱と共に攻撃を繰り返している痣つきのガキも堕姫の攻撃で既に死にかけ。

 そこまで考え今度は妹である堕姫の方を向き戦況を確認した。

 堕姫が相手してる金髪と猪頭は、攻撃を与えるどころか近づくこともできず防戦一方。

 

 (このままいきゃあ、長くなっても後、数分で戦いも終わるなあ。まあ久しぶりに楽しめたし良しとするか)

 

 決着をつけよう。

 そう考えた妓夫太郎の目にも、その人影は映った。

 

 (ん?まだ逃げてねえ奴がいたのか?しかもジジイだとぉ。腰でも抜けて動けなかったのかあ?ククッ、まあどうでもいいか)

 

 

 この時少しでも、その瞳に映った老人を警戒していればもしかしたら彼の運命は違ったのかもしれない。

 だがしかしそれはあくまで「たられば」の話。

 意味のない話なのだ。

 時をまいて戻すなんて、彼らには出来はしないのだから・・・

 そしてその過ちが今、彼に牙をむく。

 

 仕切り直しだ、とばかりにもう一度柱の男(天元)痣のガキ(炭治郎)に視線を向けた時、彼は少し景色に違和感を覚えた。

 

 (なんだ?なんか景色が傾いて・・・)

 

 次に瞬間彼の耳に響てきた、ゴトリ という音が何の音か理解するのに少しの時間を要した。

 その証拠に

 

 「は?」

 

 という間の抜けた声を出してしまった。

 だが、彼はその体を貫く激しい痛みで状況を理解した。

 首を切られたのだということを。

 それとともに響いたのは

 

「ぎゃアあぁぁアあ!!!!!????俺のッ!俺の首があぁアア!!!」

 

 という空気を揺らす様な絶叫だった。

 

 

 ハクロウが炭治郎達の戦闘場所についたのはヴェルドラが地下空間についてからかなり経ってからのようだった。

 なぜそう考えたのかと言えばヴェルドラが向かった先にいた気配(天元)がまるで蟷螂の様な男(妓夫太郎)と戦闘を開始していたからだ。

更には善逸達は白髪の女(堕姫)を相手に防戦一方という厳しい状況に追いやられていた。

 その気配の持ち主は服装は全く違うのだが、どことなくソウエイを彷彿とさせる忍者のような気配をまとい、全身にきらびやかな宝石や黄金を装着していたがそれらは装着者自身の血によって赤黒く染まっていたり攻撃をうけたのかひび割れており、とても無事とは言い難い状況だった。

 我妻少年や伊之助少年も同様に体中に刃物によるものと思われる傷ができていて、竃門少年に至っては正にどうやって動いているのか分からぬ程の深い傷が肩から心の臓まで伸びていた。

 常人であれば確実に即死しているであろうという、その傷の衝撃はかなりのものだった、がしかしハクロウがもっとも目を奪われたのは、周りに倒れる、腕や足を欠損した戦いに巻き込まれたであろう一般人達だった。

 幸いにも死者は出なかった様だが、それはヴェルドラの【確率操作】あってのこと。

 それが無ければ確実に死者が出ていたであろうその光景を見て、ハクロウのある光景がフラッシュバックした。

 その光景とはリムルが魔王となる事を決意した、あのファルムス王国による魔国連邦(テンペスト)での大量虐殺事件だ。

 あの時、自分が敗北してしまったことで無残にも虐殺された魔国連邦(テンペスト)の住人達の姿と今、目の前に広がるこの街の住人達の姿が重なって見えたのだ。

それを見たハクロウの体は自然に動いた。

 倒壊した瓦礫の中に落ちていた包丁を拾い、その刃を蟷螂の様な男の首に向けて振るったのだ。

 そしてその刃はハクロウの極限まで高められた【思考加速】のおかげで果てしなく ゆっくり動き、男の首に切り入り、そのまま、その蟷螂男の首を何の抵抗もなく胴体から切り落とした。

 この間僅かコンマ数秒。

 ハクロウがその「剣鬼」と恐れられた実力を遺憾なく発揮させた結果だった。

 彼の力を表わすかのようにハクロウが今までいた場所の地面はまるで、はぜたかのように吹き飛び、大きな落とし穴の様になっていた。

 そしてハクロウは【思考加速】を解除した。

 それによりハクロウからしたら、止まっているかの様に見えた世界が再び動き出すと同時にゴトリ、という鈍い音を立てて蟷螂男(妓夫太郎)の首が地面に落ちた・・・

 

 「は?」

 

 蟷螂男はその間抜けな声を出すと次の瞬間、自らの首が地に落ちたのを理解したのか空気を震わすような絶叫をあげる。

 

 「ぎゃアあぁぁアあ!!!!!????俺のッ!俺の首があぁアア!!!」

 

 周りの者達が耳を手でふさぐ中で、蟷螂男が頭だけになってもなお叫ぶ事にハクロウは酷く冷静だ。

 

 (ほう、まだ動きよるか。再生能力で言えば豚頭魔王(オーク・ディザスター)をも上回るのう)

 

 その証拠にハクロウはと、少しだけ驚いただけだったのだから。

 そう、ほんの少しだけ驚いた。

 異世界ならば首がなくなろうが動き、再生するものなどあまり珍しくない。

 むしろ強者と言われしものならば持ってない方が珍しいくらいなのだ。

 逆にAランク以下の者達であっても持っている可能性もある。

 シオン配下の紫克衆(ヨミガエリ)がその最たる例。

 故にある程度の強者、いやハクロウの見立てで特Aランクの中でもかなり高位に位置するこの蟷螂男の再生力を見たところでそこまで驚きはしなかったのだ。

 

 しかし、そんな冷静なハクロウと対照的に蟷螂男は今もなお叫んでいた。

 当然だろう。彼にとっては、それは死亡を意味することなのだから。

 我妻少年達は何が起きたのか理解できていない様子で呆然と立ち尽くしていた。

 それでなぜ堕姫に殺されていないのかといえば、その当人も攻撃をすることも忘れ立ち尽くしていたからである。 

 それほどまでに、この出来事は衝撃的だったのだ。

 

 「貴様等の様な下郎には我が友(クロベエ)が造った刀を使うまでもないわ‼」

 

 ハクロウがそう吐き捨てるように言葉を発し、未だにわめき続けるその男の脳天に持っていた包丁を突き刺した。

 しかしそれでもなお死なずに意識があるようだったが流石にその絶叫も終わりをつげた。

 そうして静寂が訪れたこの空間の中で、いきなり現れたハクロウに血まみれの忍者(天元)が驚きつつ、思い出した様に動いた。

 恐らくはこの鬼にトドメをさそうということだったのだろう。

 

 ハクロウが使ったのは瓦礫の中にあったただの包丁だ。

 鬼を殺すことの出来る「日輪刀」ではなく本当にただの包丁なのだ。

 当然そんな物で鬼の首をただ、はねたところで鬼が死ぬことはない。

 更にはこの上弦の陸、牛太郎と堕姫は二人の首が二つとも胴体から切り離された状態にならないと消滅することはないのだ。

 それを思っての天元の行動だったのだが、当の本人のハクロウは慌てることなく落ち着いた様子で告げる

 

 「安心せい。再生はかなわん」

 

 その証拠に蟷螂男は切断面が修復できないようだった。

 不審に思った天元が、傷口をよくよく見てみると、その断面はまるで内部から爆ぜたような跡があった。

 

 (なんだこの傷跡?まるで内側からやられたみたいな感じだ・・・)

 

 天元がそう考えた時、脳天を貫かれおとなしくなっていた牛太郎が、

 

 「クソッ・・・何で再生できねえんだよ・・・なんでッこんな奴が・・・」

 

 先ほどまでの絶叫とは違い、諦めたように呟いた。

 そして、すぐに口が塵となり消え、十数秒後には完全に塵となってこの世を去った・・・




ハクロウはヴェルドラから鬼の殺し方を聞いています。
ただし、日輪刀の存在は知りません。
あと、ハクロウが何故鬼を殺せたのかは、あるアーツが使われています。
何のアーツでしょう?

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