しばらくはこの様なペ―スになると思います。
申し訳ございません。
追記 リメイク版を投稿しました。是非ご閲覧ください。
ヴェルドラの残留した魔素は鬼の憎悪に反応しカリュブディスによく似た魔物を生み出そうとしていた。
そして魔素が鬼の体を核として急激に集まってきた。
「グアアアア!!!」
という叫びが依代となった鬼の最後の声だった。その後すぐに鬼の体が急速に変化していった。
そして魔物は生まれた。
その魔物の姿は一言で言えば「人型のカリュブディス」と言えた。
その体を覆うのは水色で硬質感のある鱗だ。顔はカリュブディスに似て巨大な一つ目と口があるのみだ。ただし翼はなく、その代わりに鋭い棘のある尻尾が生えている。
腕は肘より先が異様に太くなっている。鱗が密集して太く、硬くなっているのだ。
そんな魔物が突如として走りだしたのだ。
その一蹴りで地面が割れた。
そしてその「厄災」は依代となった鬼の思いに引きずられ炭治郎達のもとに向かっていった・・・
一方その頃炭治郎達は、町に向かっている最中だった。
だが楽しそうな雰囲気は皆無だった。炭治郎達もあの厄災の気配を感じていたのだ。
「なんだ、この気配は⁉」
と炭治郎が言い終えたところで、すぐ近くの地面がはぜた。
人型カリュブディスがついに炭治郎達に追いついてしまったのだ。
炭治郎と伊之助はこの時すでに刀をかまえていた。
「ひっひいいい!なんだよ!なんなんだよ!あの水色の鬼は⁉」
善逸が怯えた声で叫んだ。
その直後自分の横で、ギャイン ド---ンという金属同士がぶつかり合う様な嫌な音に続いて何かがぶつかり合う様な音がした。
善逸が振り返った事でその音の正体はすぐに分かった。炭治郎と伊之助がその水色の鬼にぶっ飛ばされて森の中に消えていったのだ。
音で、かまえていた刀にあたったようだ、という事は分かったがそれでもかなりの重傷のはずだ。
そしてその鬼はその一つ目を善逸に向けた。
「死ぬ」と瞬間的に悟ったが善逸はそのあまりの恐怖によって体が動かなかった。動けなかった。
善逸はその瞳を閉じた。この現実から少しでも目を背ける為に・・・
しかしながらその後、善逸の思っていたような事は起きなかった。
キイイィン、という甲高い音がその場に響く。
そしてその音に続き
「やれやれ。なぜワシが少しいなかっただけでこんな事になっておるのかのう?」
という老人のような声が聞こえその目を開けた。
そこには驚きの光景があった。
なんと炭治郎と伊之助が反応すら出来なかった攻撃を、たった一人の老人が刀で受け止めていたのだ。
そこで善逸の意識は途絶えた・・・
時は少し遡る。
ハクロウはヴェルドラ達の寝泊まりのできる場所を探していた。
既に洞窟などは見つけていたのだがこんな場所であの二人が満足するはずがない、ともう少しましな場所を探しいていたのだ。
だが山奥ということもあり、いい場所はなかなか見つからなかった。
「あの御二人を残してきて良かったのであろうか・・・何か問題を起こしていないと思いたいものじゃがのう」
ハクロウとて残していくことはまずいと思っていたのだが、連れて行くのもどうかと思ったのだ。しかしこの判断をすぐハクロウは後悔することになる。
(なんじゃ?一気に視界が広く・・・。ま、まさか!)
視界が一気に広がる。これは「魔力感知」が作動したことを意味する。
そしてもう一つだが、「魔力感知」というのは魔素がなければ意味のないスキルだ。
何せ大気中の魔素を感知する能力だからだ。そんな訳でこの世界では作動すること自体おかしい。それが指し示すこととは魔素が多量に放出されたことを意味するからだ。
これは明らかな異常事態。
そんな中ハクロウは
「ワシの判断は間違いじゃったわ!」
と叫び、すぐさまその魔物を追って走っていった。
ハクロウには、この世界であんな魔物を放ったらとんでもない被害が出てしまうのが容易に想像出来た。
何故ならば、魔力感知によりその魔物の強さをランクでいうのなら特Aクラスの中でも上位に位置すると見抜いてからだ。そうしてその魔物に追いついた時に人型のカリュブディスが金髪の少年に突進をしようとしているのを見たのだ。
そして、人型カリュブディスの体が、金髪の少年に触れるまでの一瞬の時間で、その少年の前に滑り込み、攻撃を防いだのだ。
「やれやれ。なぜワシが少しいなかっただけでこんな事になっておるのかのう」
そう自然に愚痴をこぼしてしまったがこれは不可抗力というものだろう。
その時後ろの少年がドサッと倒れる音が聞こえた。
「さて。後ろの少年の為にも、さっさと貴様を倒すことにしようかの」
ハクロウはそう言って、消えた。
次の瞬間、その人型カリュブディスは、「
あっけなさすぎるように思うかもしれないが、実はかなり危なかったのだ。
「貴様が巨大でなくて良かったわい。流石にカリュブディス程デカくては、ワシの「八重桜 八華閃」も技の規模的に通用せぬからな」
ハクロウはそう言ってその刀を鞘に戻した。
事実、今のハクロウでもカリュブディスを単体で撃破することは難しい。技の規模的に通用しないのだ。
そして首にかけていたマフラーを額に巻き付け角を隠した後、金髪の少年の頬をぺちぺちと叩く。
「お主。奴は倒したぞ。そろそろ起きよ。」
すると金髪の少年は
「うっう~ん。爺さんだれ・・・あっ!!!炭治郎・・・伊之助・・・炭治郎と伊之助はどこだよ!爺さん!!!」
と朦朧としていた記憶が蘇ってくるように叫んだ。
「いやワシはお主一人しか見ておらぬぞ」
ハクロウは応えた。
そうすると金髪の少年はその場から飛び起き
「炭治郎‼炭治郎!!!伊之助‼伊之助!!!」
と叫びながら森の中に走っていった...