やはり俺の実力至上の青春ラブコメはまちがっていない。   作:ゆっくりblue1

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・・・・たいっへん長らくお待たせしてしまい申し訳ありませんでしたあああああ!!楽しみに待ってくださってる間もご視聴頂きありがとうございます。第14話です。今回もお楽しみ頂けたら幸いです。今後ともよろしくお願いいたします!今回はキャラ崩壊と由比ヶ浜の扱いが特に酷いので由比ヶ浜ファンの方はブラウザバックを推奨します。キャラの扱いに対する批判のコメントは受け付けませんので予めご了承ください。


愚か者の地獄の序章

暑い夏の日差しを俺は避ける為に冷房の効いている船内に逃げる。過去に思い馳せた後、一之瀬も一緒についてきた。もちろん水着は着替えており、動きやすいジャージになっている。船内を巡っていると一之瀬が言った。

 

 

「いやー、それにしても船内は広いねえ」

 

 

一之瀬の言う通り、この豪華客船はかなりの規模を誇っている。地上5階、地下4階となっていて3階が男子のグループ部屋、4階が女子の部屋になっている。内装はきちんと清掃されていてthe・セレブというような豪華さだ。レストランは勿論のこと、屋上のプールにエステやマッサージ、カジノまで完備されている。しかも施設の利用は無料だ。普通なら数十万から数百万円は吹き飛んでもおかしくない。

 

 

「迷子になりそうだがな・・・・ここまで広いと」

 

 

本当に迷子になりそうで怖い。一之瀬は俺の言葉に苦笑する。するとお腹の虫がなった。その音を聞くと一之瀬は顔を赤らめて、俺は思わず笑ってしまう。

 

 

「あはは、泳いで動いたからお腹減ったのかなぁ?・・・・一緒にご飯にしない?八幡君」

 

 

一之瀬はさっきまで結構泳いでいた為、外に連れ出されたがビーチチェアに座って惚けっとしていた付き添いの俺よりは腹は減っているだろう。しかし、俺も腹が空いてきていた為、断ることはせず、頷く。そして適当なレストランに移動しようとした時、声を掛けられた。

 

 

「あら、比企谷君に一之瀬さんではありませんか」

 

 

その声の主のいる方を向くと、坂柳と椎名が一緒にいた。一之瀬は坂柳の存在に若干驚いていた。

 

 

「坂柳さん!?・・・良く豪華客船に乗れたね。体は大丈夫なの?」

 

 

差別している訳ではなく、純粋な驚きと心配で坂柳に聞く一之瀬。その問いに笑って坂柳は答えを返した。

 

 

「豪華客船に乗る程度なら大丈夫なので。と真島先生を説得したんですよ。流石に無人島での宿泊は無理ですがね」

 

 

説得したんだな・・・・確かに無人島での宿泊は環境とかはがらりと変わるから先天性の疾患を抱えてる坂柳には厳しいだろうからな。まぁ、その理由は建前って俺は知っているが。

 

 

2日前ーーーーー

 

 

俺は放課後に坂柳にーーー強制的にーーー呼ばれていた。待ち合わせのカフェで待っていると、坂柳が神室を引き連れてやってきた。なんか、本当に主人と従者みたいだな。神室は坂柳の鞄を持ってるし。2人が椅子に座ると坂柳が口を開いた。

 

 

「待ちましたか?比企谷君」

 

 

「そこまで待ってねえよ」

 

 

そんな俺の返事を聞いて、坂柳は意外そうなものを見る目で見つめてきた。俺は思わず、何だよ。と聞き返した。

 

 

「いえ、比企谷君なら、『待たされた』位は言いそうだったので」

 

 

「俺の印象はお前の中でどんだけ失礼なの?先天性の疾患を抱えてるお前にそんなこと言うほど俺は腐ってないからね?」

 

 

坂柳のペースなら仕方ないと思ってるので10分位待たされても別に怒る理由にはならない。流石に1時間はきついけどな。すると坂柳がなにやら頰を赤らめて呟いた。

 

 

「・・・・ぱり、八幡君はやさ・・いですね」

 

 

小声で所々聞こえなかったが、今此奴、俺のことを名前で言わなかったか?少し脳の奥から何かが開いたような感覚がした。

 

 

「・・・どうした?」

 

 

「・・・いえ、何でもありませんよ。今回私が貴方を呼び出したのは2日後のバカンスの件で頼みたいことがあったからです」

 

 

此奴が俺に頼みたいことって絶対面倒くさそうな感じがするんだが。俺が面倒くさそうな雰囲気を出してるのを他所に坂柳は話し始める。

 

 

「今回のバカンスがただのバカンスとはこの学校の仕組み上は有り得ないと思ってます。おそらく何らかの試験の様なものがあるのではないかと考えています」

 

 

だろうなぁ・・・・・中間試験や期末試験で赤点を出したら退学っていう鬼畜なこの学校がこんな甘い事するはずがない思っていた。生徒会長も試験があるって言ってたしな。試験内容までは聞かされなかったが無人島でバカンスとか言っといて、クラス対抗試験とかやりそうだもんな。

 

 

「・・・・で、そこで俺になにをさせたいんだ?」

 

 

大体予想はついてはいるが一応聞いておく。

 

 

「試験の内容によりますが、もし試験がクラス対抗だった場合には貴方にAクラスの葛城派の妨害をしてもらいたいのですよ」

 

 

ですよねー。ていうか派閥が違うとはいえ、同じクラスなのに容赦ねえな。マジっべーわぁ。思わず中学の時にいた騒がしい彼奴の口調が移ったわ。・・・・・海老名さんに告白出来たんだろうか。修学旅行の時から関わることがなくなったから行く末は知らない。

 

 

坂柳の言葉に神室が顔を引攣らせながら反応する。

 

 

「あんた、本当に容赦が無いわね」

 

 

「葛城君の方法ではそう遠くない未来に下クラスに落ちてしまうので早く芽は摘まないといけませんからね」

 

 

「・・・・話しは分かった。お前には世話になったから、条件付きで受けよう」

 

 

過去の俺の話しを聞いても拒絶せずに俺を受け入れてくれた坂柳には少なからず恩があるしな。それにBクラスにとっても旨味があるし、断る理由はない。・・・・まぁ、坂柳が完全なリーダーになったらきついかもしれんがな。まぁ、それは追々考えるとしよう。

 

 

「ありがとうございます、比企谷君。条件は最大限絶対に呑みましょう。お約束します。そして条件はなんでしょう?」

 

 

うーむ、そうなんだよなぁ。pptは今月で500万になったから困ってないし、かと言って2000万で個人でAクラスに上がれる権利の為にAクラスから融資を受けたいわけでもない。・・・まぁ、特に思い浮かばないし、これだけでいいか。

 

 

「ああ、条件はーーーーーー」

 

 

俺のその条件を言うと坂柳はクスッと微笑んで、神室はどこか眩しい物でもみたかのような表情になった。そして坂柳は優しげに言った。

 

 

「分かりました 。ですが、その条件は依頼が失敗したとしても呑みましょう。バカンスには私も船までは同行することにします。それにしても比企谷君らしい条件ですね」

 

 

その言葉に俺は照れ臭くなり、思わず頰を赤くしてそっぽを向いて言った。

 

 

「・・・・・うっせ」

 

 

その様子を聖母のような微笑みで坂柳は見つめてきた。何これ・・・

 

 

ーーーーーこれが2日前に起こった出来事である。坂柳と結んだ契約は俺個人が受けている。Bクラスにも影響するのだが、無駄な混乱を避ける為に申し訳ないが一之瀬達には何も話していない。それにしても坂柳が付き添いの奴を付けていないのは珍しいな。

 

 

「神室や橋本はどうしたんだよ?」

 

 

「彼等にも自由な時間は必要でしょうから自由行動させていますよ。縛ってばかりではストレスも溜まりますから」

 

 

一見したら坂柳は良いやつっぽく思えるが、本当は不満とかを生み出して裏切りや反逆する可能性を防ぐ為にやっているのだと思う。まぁ、此奴が本当の意味で仲間を切り捨てるとは思わんけどな。龍園や葉山ならやるだろうが。

 

 

「そう言えば一之瀬さんや八幡君はレストランに行くところでしたか?」

 

 

会話の話題が切り替わり、椎名は聞いてきた。すると、一之瀬と坂柳は若干驚いた様に目を見開いた。俺のこと名前で呼んだからだと思うが。椎名もこれまでの間に名前呼びがしたいと言ってきた。そして、俺は断れ切れるわけもなく、椎名の天然に押し切られる形で俺の名前呼びが決定した。だって断ろうとしたら涙目になるんだもん、抗える術を俺は持ってない。

 

 

俺は椎名の質問に頷く。・・・・何か2人の視線が怖い。坂柳も一之瀬もニコニコ笑ってる筈なのに目が氷点下に達する程冷たい気がする。ふぇぇ・・・怖いよおぉ。どこか椎名の顔は勝ち誇っていると思うのは俺の見間違いでありたい。

 

 

「・・・とりあえず分かりました。一之瀬さんに八幡君、私達も同行しても良いですか?」

 

 

「え、ちょ「良いよー、私も色々と話したいことが出来たからね」」

 

 

嫌な予感がした為に俺は断ろうとしたが、一之瀬の見事なまでの絶対零度(可憐)な微笑みを向けられながら遮られ、本能的に逆らったらヤバいと感じ、逃げられないと悟った俺は項垂れながら3人にドナドナされてついて行くことになった。解せぬ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、レストランに着く。内装は綺麗でなかなかの数の全クラスの生徒達がいる。俺達のことを見ると周りはやはりというか騒ついている。思わず俺の胃がキリキリとするが、この空気を生んだ当の3人は気にする様子もなく、席に着いた。座るのを躊躇った俺の様子に気付いたのか一之瀬が手招いて隣に座るのを薦めてくる。もうどうにでもなれ、と考え諦めて座る。

 

 

一之瀬の隣に俺、それと向かい合う形で坂柳と椎名が座っている。・・・さっきから視線の嵐を浴びてるからめっちゃ辛いんですけど。メンバーが1年のトップでAクラスのリーダーである坂柳とBクラスのリーダーでめっちゃ人気者の一之瀬、更にはCクラスで唯一龍園が支配していない椎名がいるのだ。この異色の3人にBクラスのモブが中にいれば不思議に思うのも仕方あるまい。

 

 

いつまでも店に何も頼まず居る訳にもいかないので適当な料理を全員頼む。そして料理が運ばれるのを待っていると坂柳が口火を切った。

 

 

「それで八幡君、一体いつから椎名さんに名前呼びをされているのですか?」

 

 

誤魔化しは一切認めないと、強い瞳を向けながら聞いてくる坂柳。そして一之瀬も黙って答えを言うのを待っている。はぁ・・・・別に隠すことじゃないし、言うか。

 

 

「1週間前に、親しくなってきたから名前で呼びたいって言われたんだよ」

 

 

急な頼みだったが、一之瀬に名前で呼ばれるようになってから名前で呼ばれることに羞恥心はあまりなくなった。小町ちゃん、俺、女性慣れしてきたよ。ぶっちゃけこの学校に来てから殆ど女子生徒とばっかり話しているので耐性がついたのかもしれない。

 

 

その答えに坂柳は何やら考え込んだ後に言った。

 

 

「そうですか・・・一之瀬さんにも名前で呼ばれているのですか?」

 

 

「ああ」

 

 

短い肯定をすると、坂柳はまた何か長考した後に一之瀬と椎名に目を向けて、そして俺に視線を戻した。

 

 

「では、3人共に名前で呼ばれている八幡君に頼みがあります。私達を名前で呼んでください」

 

 

その言葉に一瞬だけ理解が遅れた。今の俺は間抜け面を晒しているだろう。そして、理解がやっとの事で追い付くと俺は言った。坂柳の提案に一之瀬と椎名が頷いた。

 

 

「・・・・や、何でそうなる?」

 

 

正直意味が分からん。何故、俺に名前呼びをさせるのか。坂柳は真剣な表情でこう返してきた。

 

 

「私達が八幡君を名前で呼んでいるのに、八幡君は私達を苗字呼びしているのに違和感があるのですよ」

 

 

そんな理屈(?)じみた理由に俺はうぐっ。と唸る。そして押された俺に考える隙を与えないかのように一之瀬が言葉を継いだ。

 

 

「正直に言うとね、私も違和感を覚えてたんだ。今までで私達はそれなりに親しくなったと思う。そしてもっと八幡君のことを知りたいんだ。だからね、その証として私達を名前で呼んで欲しいなって」

 

 

一之瀬の真っ直ぐな言葉に更に俺は唸る。そしてトドメとばかりに椎名が言った。

 

 

「私達は八幡君ともっと仲良くしていきたいのです。・・・・多分私達が想っていることは同じ筈です」

 

 

・・・・ここまで踏み込んできたのはこの3人が初めてだ。そして俺の過去の事も知っていて尚、受け入れてくれた。1度は拒絶されて見放された俺に居場所をくれた、だったら恩返しとしてそれくらいの要望は大したことではないのだ。後に布団の中で悶えればいいだけなのだから。

 

 

そして俺は一息置いて、瞑目して直ぐに目を見開いて言った。

 

 

「・・・分かった。有栖、帆波、ひより。・・・・・改めて宜しくな」

 

 

この時の八幡の表情は普段の腐った眼ではなく、とても澄んだ淀みのない瞳に加え、滅多に出さない穏やかな優しい笑みを浮かべていたらしい。その笑みを見た3人は顔が成熟しきった林檎のように赤かったそう。遠くから見ていた周りの女子生徒も何人か顔を赤くしていた程だった。

 

 

そしてその後は適当に雑談に入っていた。そして料理が運ばれてきて全員食べ始めようとした時。離れた席の方から言い争う声が聞こえてきた。片方は聞き覚えのある声だったのでそちら側を向くと・・・・・

 

 

「何であんたにここに来ちゃいけないって言われなきゃいけないの!?別にいいじゃん!」

 

 

「はっ!お前のような品のない馬鹿がここで飯を食べる資格はないんだ!大人しくジャンクフードでも食ってろよ」

 

 

その声の主は由比ヶ浜と見覚えの無い男子のものだった。Dクラスのグループで食事していたところを邪魔されたのか?すると坂柳が呟いた。

 

 

「あれは、戸塚弥彦君・・・」

 

 

「有栖が知ってるって事はAクラスの奴か?」

 

 

「ええ、彼は葛城派の幹部の人です。・・・・それにしてもこんな公共の場で騒ぎを起こすなんて」

 

 

有栖が呆れた表情を見せる。まぁ、見ている限りあんな騒ぎを起こす奴を有栖が自分の派閥に入れるとは思えないしな。それにしても俺の知る戸塚とは大違いだな。

 

 

「こりゃ完全に葛城の監督責任だな。・・・・ん?」

 

 

ふと目を右にやると橋本がいて、携帯で撮影していた。有栖の依頼もあることだし、俺も録画しとこ。

 

 

そうしているうちに口論は止むどころか、どんどん大きくなっていく。周りにいる生徒が迷惑そうに見ている。それを見た帆波は止めに入る為なのか、立ち上がる。正義感の塊だからな。

 

 

「行くのか?」

 

 

「うん。あのまま誰も止めに入らなかったら周りの人とお店の迷惑になっちゃうし」

 

 

やはりというか、何というか・・・・・本当に生粋のお人好しだな。

 

 

「・・・一応付いて行くわ。面子がアレだからな」

 

 

その俺の返事に一瞬、帆波はきょとんとするとクスッと微笑んで言った。

 

 

「ふふっ、ありがとう八幡君」

 

 

「素直じゃないですねえ、八幡君は」

 

 

有栖の弄りに俺は小さく、うっせ。と言い返すと言い争っている2人の所に行く。有栖とひよりも付いてくるようだ。ひよりはともかく、有栖は色々打算はあるだろうが、一応リーダーとして止めに入るのだろう。

 

 

「はい、ストップストップ。これ以上は周りとお店の迷惑になるよ」

 

 

「お前は・・・・一之瀬か」

 

 

止めに入った一之瀬に戸塚は一時言い合いを中断する。そして今度は一之瀬に向けて口を開く。

 

 

「Bクラスのリーダーのお前には関係無いだろう。俺は此奴らにDクラス(不良品)に相応しい過ごし方を教えてやっているだけだ」

 

 

その言葉にDクラスのグループの奴等は戸塚に殺気を向ける。俺は店内を見回す。テラスの席でコーヒーを飲んでいてこの状況に気づいていない葛城がいた。・・・おいおい、何で一緒にいるのに葛城は止めに入らないんだよ。普通は気付くだろう。俺は有栖に小声で聞いた。

 

 

「おい、有栖。葛城派は余程の選民思想に塗れた奴等の集まりなのか?」

 

 

「どうでしょうね、Dクラスを不良品と蔑む人達は少なくないですから。彼の派閥も例外ではないのでしょう。特に戸塚君はその傾向が強いようですが」

 

 

「マジかよ。引くわ」

 

 

この会話が聞こえていたらしく戸塚はこっちを睨んできた。何故か由比ヶ浜も俺達を睨んでくるのだが。そのほかの奴等からの視線も向けられる。

 

 

「何だと・・・!お前、葛城さんの悪口を言いやがって!」

 

 

「いや、そりゃあそうだろう?お前みたいなクラスの差別を言うような奴を派閥に葛城は入れてるんだろう?俺なら絶対に入らないね」

 

 

俺の切り返しに切れたのか怒鳴ろうしてくる戸塚だが、その前に有栖が言った。

 

 

「Aクラスの貴方が差別のようなことを公共の場で言うなんて思いもしませんでした」

 

 

「坂柳・・・・調子に乗るなよ・・・!他クラスに絡んでいくお前がリーダーなんて務まるわけがない!!相応しいのは葛城さんなんだからな」

 

 

「いえいえ、調子になんて乗ってませんよ。それにそのリーダーとなる葛城君の派閥の貴方がこんな騒ぎを起こせば葛城君の評価が下がりますよ?」

 

 

有栖の言葉にハッとした戸塚は周りを見渡すと、Aクラスの葛城派の数人が戸塚を睨んでいた。なんて余計な事をしてくれたんだと言う感じで。戸塚は青ざめる。差別的発言をした戸塚の評価は大きく下がるだろう、この店にいるほぼ全員が証人なのだから。そして上司である葛城も監督責任として相対的に評価が下がり、派閥の奴等は坂柳派に移るだろう。恐ろしいな、本当に。そしてここでやっと騒ぎを聞きつけた葛城がやって来た。

 

 

「戸塚、これは何の騒ぎだ!」

 

 

「葛城さん、これは・・・・」

 

 

「貴方の部下である戸塚君がDクラスに差別的発言をしていましてね。余りにも酷かったので止めに入ったというわけですよ」

 

 

有栖の証言に眉毛を顰めつつ、戸塚に視線を向ける葛城。それに思いっきり萎縮する戸塚。

 

 

「・・・・そうか。Dクラスの皆、誠に申し訳ない!」

 

 

葛城はそう言って綺麗な90度のお辞儀で謝罪した。それを見た戸塚は慌てる。

 

 

「葛城さん!?な、何で・・・」

 

 

「黙れ。お前の理由が何であっても差別的発言をして良いことにはならない。Aクラスの模範としてあってはならないことだ!それに周りを不快にさせてしまったのならば謝罪するのは当然だ」

 

 

リーダー争いをしている有栖の言葉を素直に受け入れ、誠意謝罪することは葛城の良いところなのかもしれない。葛城の言葉に戸塚は俯きながらも謝罪する。そして周りに向けても謝罪して、お店の店員にも謝罪して出て行った。しかし、謝罪だけでは怒りが収まらないのか怒った様子のままこっちに絡んでくるやつが1人いた。

 

 

「用は済んだし、戻「ヒッキー!」・・・何だよ由比ヶ浜」

 

 

そう、由比ヶ浜結衣の存在だ。俺は鬱陶し気に顔を向けると由比ヶ浜は言った。

 

 

「何で私達を助けてくれなかったの!?」

 

 

「は?」

 

 

意味が分からなかった。何故、俺がDクラスを助けないとならないのか。て言うか形的にはDクラスを助けたんだが。

 

 

「何で助けないといけねえんだよ」

 

 

「私達は理不尽に責められてたんだよ!?なら助けてくれたって良いじゃん!!」

 

 

・・・・駄目だ頭が痛い。すると、帆波が俺の代わりに反論してくれた。

 

 

「あの言い争いに八幡君は全く関係無いよ。私の頼みを聞いて付いてきてくれただけだからね」

 

 

その正論に対して由比ヶ浜はとんでもない事を言った。

 

 

「そうだとしても止めに入ったんだったらこっちを助けるくらいはしたって良いでしょっ!?」

 

 

その言葉に思わず頭を抱えてしまう。駄目だ、此奴・・・やっぱり話しが通じねえ。そして有栖と帆波とひよりの顔が怖い。特に有栖と帆波、笑ってるのに殺気がダダ漏れだ。周りの生徒が怯えてるし。Bクラスの何人かの奴も由比ヶ浜を睨んでいる。

 

 

そして更に事態は面倒な方向に進んでしまう。ある1人の生徒が絡んできたからだ。

 

 

「そうだ。結衣を庇うくらいは出来たんじゃないのかい?」

 

 

そう、葉山隼人だ。どう聞きつけたのかは知らないが、そう言って乱入してきた。そして有栖と帆波の殺気が更に強くなった。怖いよ、怖過ぎる・・・・・

 

 

「・・・別に俺には関係無いことだろうが」

 

 

「同じ部活仲間だっただろう!」

 

 

「同じ部活仲間だろうが何だろうが、俺を罵倒し続けて、俺の言葉をまともに聞かない奴を俺が助ける訳ねえだろ・・・・」

 

 

俺も流石に苛立ってきたのでそう言い返すと、由比ヶ浜は憤慨して言った。

 

 

「あれはヒッキーが悪いんだし!人の気持ちを考えずに!本当に何で一之瀬さん達はヒッキー()()()と一緒にいるのか意味分かんないよ!」

 

 

「本当にそうだよ。あの坂柳さんと一之瀬さんが君のような奴と関わりを持つなんて・・・・()()()()()()。椎名さんも何でこんな奴を気にいったのか」

 

 

2人は嘲笑して、こっちを見下した視線を向ける。由比ヶ浜がいたグループは由比ヶ浜に困惑した目を向けていた。

 

 

ーーーその言葉が引き金だった。引き金がふり絞られ、俺の奥深くにある『何か』が押された。周りの空気が変わったがもうそんなことはドウデモイイ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ"?」

 

 

俺は今までで出したことのない殺気を出したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




氏名 由比ヶ浜結衣
 
学籍番号 S01T004753
 
部活 無所属
 
誕生日 6月18日
 
評価
 
学力 E-
 
知性 E-
 
判断力 E-
 
身体能力 E-
 
協調性 A-
 
 
面接官からのコメント

学力、知性、判断力、身体能力において全国の高校生の中で最低レベルである。また、筆記試験では登校設立以来ワーストとなりDクラス配属とする。また、彼女には必須となる最低限の社会的モラルやルールも身につけられていない。当面の最優先事項として常識を身に付けさせる事を求める。

担任からのコメント

一部のクラスメイトとは仲良くしているのは良いが、その他の生徒を見下している独善的な傾向が濃く見られる。学校の中でもいくつかの問題を引き起こしている為、早急に性格を改善するように促し、常識と教養を身に付けさせていく方針です。




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