やはり俺の実力至上の青春ラブコメはまちがっていない。 作:ゆっくりblue1
俺は15年間生きてきて、人に向けて怒りを打つけたことはほとんど無かった。どんなに人から何を言われ、何をされても最終的には自分が1番の原因だと思って納得していたからだ。故に人に赴くまま怒ったことはない。
唯一、他人が原因で怒りたいと思ったのは文化祭の時に最後まで往生際が悪かった相模のことだ。彼奴、人の努力を全て水の泡にするところだったからな。修学旅行は葉山に利用されて奉仕部の2人から拒絶されたことは置いておいて、俺の拒否も甘かったし、あの方法よりももっと上手く出来る方法があったと思う、俺が原因の一因を持っていると思ったからだ。
だから、葉山は兎も角として奉仕部の2人にはある程度何を言われても仕方がないと思って見逃していた。だが、もう限界だ。怒ったことが余りないから加減が難しいからやり過ぎるかもしれないが、いいよなぁ?葉山に由比ヶ浜。
俺が信じられない程の低い声と殺気を溢れさせる。周りの空気は完全に凍り付き、緊張感が流れる。周りの何人かの生徒は怯えて震え始める。しかしこの程度はまだマシで、殺気を諸に受けた葉山は青い顔でガタガタと震え、由比ヶ浜は腰が抜けたのか、地面に尻餅をついて涙目になって怯えている。
俺の変貌に帆波とひよりが目を見開いて驚いていて、有栖は何故か笑っていた。しかし今はこの
「おい、そろそろ良い加減にしろよ。俺が強く言い返さない事を良い事に罵倒しやがって・・・・・」
俺の事をびびりながらも葉山は抵抗するかのように言い返してくる。
「じ、事実じゃないか!事実を言って何が悪いんだ!!」
「・・・確かに俺の事に関しては事実だ。だから俺の事は何を言おうと気にしない。・・・・だがな、葉山」
俺は一拍置いて、葉山を睨め付けながら言い放った。
「この3人は俺に居場所をくれた。俺は間違っていないと、俺は俺のままで良いんだと拒絶せずに許容してくれた。その俺にとっては掛け替えのない3人に対しての罵倒は絶対に許さん・・・・それに葉山、お前がそんな事を言える立場だと思うなよ?」
その言葉に葉山はビクリと反応して冷や汗を流し始める。此奴には1度、徹底的に地獄を見てもらわないとな。
「お前には黙ってたが、あの件の事は全部録音してある。それをバラしたらお前はどうなるんだろうなぁ?皆の葉山隼人」
それを聞いた葉山は目に見えて動揺し始める。そして俺は更に続けて言った。
「中学の時はクラスメイト含める全学年の支配者なようなものだったから大きな顔を出来ただろうな。俺みたいな根暗なぼっちを虐める程度は。しかしこの学校でのお前の影響力は皆無に等しい、クラスの支配者は龍園だからな。しかも同学年でお前より遥かに優れてる奴は有栖や帆波、ひよりを含めての何人もいるからな」
龍園や噂で聞いた高円寺に俺的に1番警戒している綾小路などだ。その他にも隠れた実力者はまだまだ存在する筈だ。
「お前が調子に乗って罵倒するのは勝手だが、お前の得意な『皆』はほぼ使えない。それに前の中学の時の俺だと思うなよ?」
正直
「ッ!!ヒキタニイイイイイィィィ!!」
普段はこの程度の挑発には乗らないであろう葉山はこっちの予測通りに堰を切ったかのように殴りかかってきた。しかし焦っているのか、冷静ではない葉山の攻撃は単調だ。振りかぶられた右手を左手で受け止め、足払いをかける。呆気ないほどに引っかかり、体勢を崩したので俺は葉山の前から横に身体をずらす。そして葉山は前に頭から倒れた。
俺は葉山を冷ややかな視線を一瞬だけ送ると、まだ尻餅をついて呆然とアホ面を晒してる由比ヶ浜に言った。
「なあ、由比ヶ浜」
「ひ、ひぃっ!?」
俺が声をかけた瞬間、身体を跳ね上げて怯える由比ヶ浜。おいおい、まだ何もしてないだろ。その程度で悲鳴なんか上げるなよ、俺の中学の時に受けてきた虐めの方が数倍上だぞ?由比ヶ浜の様子を俺はゴミを見る目で言った。
「この際だから今までに言われた分を返してやる。お前は俺が中学の時にいじめられてたのにも関わらず、助けるどころか虐めてきた連中と笑ってたよな?そして俺の事を散々キモイとか言う癖に依頼でいざ困ったら俺や雪ノ下に頼ってお前は美味しいところだけ掻っ攫って汚い部分は俺に押し付ける。そして俺が利用出来なくなったら拒絶したもんな?」
俺の言葉に周りは由比ヶ浜に驚きと軽蔑の眼差しを向ける。と言っても驚いていたのは同じクラスのグループの奴等だけで他はほぼほぼ全員だ。良い評価を聞かないみたいだ。まぁ、人の話をまともに聞かない自分だけが正しいと思っている傲慢になっちまった奴だ、自業自得だ。
俺の言葉に由比ヶ浜は違うと子供がイヤイヤとする様に頭を横に振る。
「ち、違う、違うのッ!私はそんなつもりじゃ・・・」
「違わんだろ。実際俺がそんな目にあったんだから・・・修学旅行の件は俺にも一因があったから助けてくれとは言わない。だが、俺の事を虐めてきた連中と同じような行動を取るか普通は?同じ部活仲間で一度はお前の家族を救った奴に対して、そんな態度は取らんだろ。つまりお前は」
ーーーー俺を見下してたんだろう?と、俺は前々から思っていたことを言った。その言葉に由比ヶ浜は俯いて嗚咽を漏らし始める。何か俺が悪い事をしてるみたいだから止めて欲しいんだが。
「!八幡君ッ!!」
ひよりが焦ったような声を出す。しかし、葉山が起き上がって後ろから殴りかかってくることは予想していたので、横に飛んで避ける。
「ッヒキタニ・・・・!!」
恨みが篭った目で睨んでくるが、此奴、本当に今の状況を理解出来てないな。俺は葉山に言う。
「お前さぁ、この状況で殴りかかったらどうなるかぐらい理解しといた方が身の為だぞ?お前の味方は今誰もいない」
現時点で葉山の味方は誰1人としていない。側からすれば絡んで散々いちゃもん付けた挙句、こっちが少し言い返したら殴りかかってくるんだからな。1回目はこっちがあからさまに挑発したから殴ってきた。それならばまだ味方はいた筈だ。でもこの2回目は挑発無しにも関わらず殴りかかったんだ。弁護なんて出来る筈がない。しかも胸ポケットに未だ録画中のスマホがあるし、証拠も揃っている。
「弁護士を目指している賢い頭のお前なら分かるだろ。今のこれだけでも暴行罪だ。俺が受け止め無かったら傷害罪も入っていたな。お前の行動は録画してるし、何より此処にいる全員が証人だ。ここで俺が学校側に訴えたら、お前は悪くて退学、良くても停学だ」
葉山は青ざめて怯え始める。まぁ、退学の方が此奴には良いだろうな。停学なんかしてCクラスの足を引っ張った暁には、龍園の地獄が待っているだろうからな。山田アル何とかの暴力は受けたくないね。俺が此奴の立場だったら舌噛んで死ぬまである。
まぁ、俺としては訴えても良いんだが、此処で龍園と敵対するのは面倒だから今はしないけど。
「まぁ、もうお前らと関わりたくないからはっきりと言っておくとするわ。俺にもう絡んでくんな。そうすればこの事も黙っておくし、お前の行動の邪魔もしない。ほら、簡単だろ?『誰も傷つかない世界』の完成だ。皆の葉山隼人君」
そうして俺達は飯を食う気が失せたので、店員さんに店で騒いだことやその他諸々込みで謝罪する。すると店員さんは嫌な顔や文句も言わずに、逆にこっちを大変でしたね。と気遣ってくれた。俺はお礼を言って店から出て行った。
そして船の休憩スペースまで出て適当に座る。そしてそれまで沈黙していた有栖達が聞いてきた。
「良いのですか?葉山君を訴えなくて」
どうやら俺が葉山を訴えない様子を怪訝に思ったらしい。俺は苦笑しながら答える。
「ああ、此処で葉山を訴えて龍園と敵対することになったら面倒だからな。それに龍園も彼奴の事を簡単に切れるだろうし。退学してペナルティーがあったとしてもそれは同時にCクラスの足手まといを消すことにもなる。だったら足手まといを残しといて、Cクラスの保険のカードを増やしておいた方がこっちにとっては特だ」
俺の思惑を聞くと有栖とひよりは感心した様に、帆波は苦笑した様な複雑そうな表情を浮かべる。
「あはは・・・八幡君はえげつない事考えるんだね。・・・・それにしても八幡君」
「どうした?」
帆波が顔を赤らめながら俺の名前を呼んだので怪訝に思いながら聞く。
「八幡君って私達の事を掛け替えの無い存在って思ってたんだね」
帆波の言葉で有栖とひよりの顔も赤く染まる。・・・・・・うあああああぁぁぁぁ!何言ってんだ俺ええー!滅茶苦茶恥ずかしいじゃねえかよ!これじゃあ俺がプレイボーイみたいになる。はっずッ!俺は思わず片手で顔を覆い隠す。赤面で顔が燃えている様に熱い。そしてそのまま言葉を振り絞るように言う。
「す、すまんな。怒りで冷静じゃなかったから口走っちまった」
「ううん、謝る事じゃないよ。私達、物凄く嬉しかったし」
「「ええ(はい)」」
そう言って嬉しそうな表情を浮かべる3人。そう思ってくれるならありがたいが。そして話が戻って、葉山の事と由比ヶ浜の事になる。
「それにしてもやっぱり個人的にはあの2人の事は許せないので、今度は徹底的に潰しましょう」
有栖がそう言ってきて俺は苦笑するが、帆波とひよりは頷いている。
「流石にちょっと目に余るからね。普通は反対するけど今回は賛成かな」
「私もです。八幡君にあれだけ好き勝手言っておきながら何も無しというのは・・・」
・・・俺が思うのもあれだが、あの2人には少し気の毒に思えてきたな。同情はしないが。・・・自惚れかもしれんがこの3人が此処まで怒ってくれるのに嬉しくもあった。そしてふと、男子生徒が笑いながら声をかけてきた。
「くはは、いつの間に囲ったんだよ?比企谷よぉ」
龍園が1人でジュースを飲みながらこっちに来た。俺は面倒臭い雰囲気と態度を隠さずに言い返す。
「俺にそんな度胸あると思うか?誰もそんな関係じゃねえよ。そう言うお前こそいつも部下を囲ってる癖に今回は1人か?」
「っは!気紛れに決まってんだろうが。それと坂柳、今回はお前んとこのクラスに仕掛けるから楽しみにしとくんだな」
「あらあら、それは楽しみですね。貴方の戦略か葛城君の戦略、どっちが勝るでしょうかね?」
どうやら龍園が今回動く様で有栖に戦線布告した。龍園もこのバカンスで何らかの試験があると予想しているようだ。まぁ、刺激を追い求めているであろう龍園らしいやり方だ。有栖も有栖で不敵な笑みで迎えるというな。こういうところは似てるんだよなぁ。
帆波は苦笑し、ひよりはぼうっと何処かを眺めている。ひよりは自由だなぁ。そして此処で船内アナウンスが流れる。
『生徒の皆様にお知らせします。お時間がありましたら、是非デッキにお集まり下さい。まもなく島が見えて参ります。暫くの間、非常に意義ある景色をご覧頂けるでしょう』
ちょうど良くデッキの近くの休憩スペースにいたのでデッキに向かう。それにしても意義ある景色、ね・・・・・
「こりゃあ、俺の想像通りかもしれねえな」
龍園が呟くように言った。既にデッキ内は大勢の生徒で混雑しており、島の様子は窺えない。
「邪魔だ。どけよ雑魚ども」
龍園は相変わらずな態度と言葉遣いで退くように言う。すると偶々生徒達がCクラスの奴だったようで慌てて退いていた。他クラスは龍園に敵意を見せているがそれだけだ。俺はそことは別のところで島が見える位置を確保していたので問題ない。ひよりは一応龍園と合流していて、いるのは有栖と帆波だけだ。近くにいたBクラスの生徒が有栖を警戒しているが有栖自身は気にした様子はない。
旋回が少しだけ早いが島の外観ははっきりと把握出来た。俺が把握したと同時に思わず愚痴ってしまう。
「やっぱり怪しいとは思ってたがペンションがないじゃねえか。洞窟に小屋とかはあるが・・・・無人島のサバイバルでもさせる気だな」
「あんまり想像したくないけど、そうかも知れないね」
「私は此処で留守番ですから。2人共頑張って下さいね、体調管理に気を付けて」
「ああ、ありがとな」
「うん、気をつけるよ。ありがとう坂柳さん」
そして島にそろそろ到着するであろう時にまた船内アナウンスが流れる。
『これより、当学校が所有する孤島に上陸致します。生徒の皆様は三十分後、全員ジャージに着替え、所定の鞄と荷物をしっかりと確認した後、携帯を忘れず持ちデッキに集合して下さい。またしばらく御手洗に行けない可能性がありますので、きちんと済ませておいて下さい』
有栖と別れ、アナウンスの指示に従って一度部屋に戻ってジャージに着替え、鞄と荷物と携帯を揃える。そしてトイレを済ませて、纏めた荷物を持ってデッキに集合する。
そして遂に試験が行われるであろう孤島に到着した。俺は息を吐き、これからやるであろう試験に向けて呟いた。
「さてと・・・・ぼちぼちやりますかね」
そんな俺の無人島生活が始まった。
氏名 葉山隼人
クラス 1年C組
学籍番号 S01T004692
部活 サッカー部
誕生日 9月28日
評価
学力 B+
知性 C+
判断力 D+
身体能力 B+
協調性 B
面接官コメント
学力、運動能力共に優秀で中学時代にはサッカー部の部長を務めており、能力面においてはBクラス相当の生徒だが、自他の優先順位が良いとは言えない。更に別付資料に記載されている通り、中学で起こったいくつかの問題行動、本人の偏った考え方を考慮した結果、Bクラス行きを見送り、Cクラスとする。
担任メモ
クラスでは比較的中心人物であるが多数の意見を最優先にして、少数の意見を無視する傾向がある。Cクラスの龍園君と行動を共にすることが多い。少し女子への偏執的執着が見える為、改善を促して経過観察をします。