やはり俺の実力至上の青春ラブコメはまちがっていない。   作:ゆっくりblue1

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第二話です。お楽しみいただければ幸いです。一之瀬との絡みです。そして、あの方もーーーー


ボッチに似合わないBクラスと不自然さ

廊下を歩いて、Bクラスの教室を目指していく俺。

 

 

そして、教室に着き、中に入ると、もう何人か教室にいて仲良くなっていた。そう、仲良くなっていたんだ・・・・・

 

 

「嘘だろ・・・」

 

 

この学校、教室に来て間もなくして初対面の相手と楽しそうに話しているクラスメイトになる者達を見て、俺は驚愕をさすがに隠せなかった。

 

 

コミュ力高いな、おい。

 

 

俺は少しだけげんなりしつつ、窓側で会話しているクラスメイト達とは反対の廊下側の一番後ろの席に座り、また小説の続きを読み始めた。何故廊下側なのか?そんなの喋り掛けられないようにするために決まってんだろ。あの中に入るのはリア充のみだ。

 

 

小説を見つつ、教室の様子を見渡していると、ある部分に気が付いた。

 

 

監視カメラ・・・教室の教卓のある天井部分に取り付けられていた。生徒達の様子を見て何かするのか・・・?普段の様子、いや、もしくは・・・

 

 

「授業態度の監視・・・か」

 

 

やはり、3年間、外部との接触が禁止されていることやあの監視カメラ・・・この学校は不自然すぎる。学校がこうも気を張る必要など普通はないはずだ。政府公認の学校だからだろうか。

 

 

俺は学校の不自然な様子に思案しながら黙って小説を読み進める。教室にもどんどん生徒が入ってきて騒がしくなり始める。

 

 

それからまた暫く経つと、教卓がある方の扉から黒に近いグレースーツを着た女性が入ってきた。髪色は黒よりのピンクだった。先生だろうか。ていうか先生が髪を染めてもいいのだろうか。

 

 

「はーい、皆席に着いてちょうだい」

 

 

先生?の声を聞いて席に着き始める生徒たち。かなりフレンドリ-に喋るなこの先生。

 

 

席に全員つき終わった様子を見てから、再度口を開いた。

 

 

「まず、新入生の皆さん、入学おめでとう。私がこの1年Bクラスの担任になった星之宮知恵です。よろしくねー!教科担当は理科。分からないところがあったら相談に乗るから遠慮なく言ってね。さて、まず説明するのは、この学校は3年間クラス替えがないから注意してね?後、合格発表時に渡されたパンフレットに記載されている通り、この学校は『3年間、在校中において特別な緊急の理由がない限りは如何なる場合においても外部との接触を禁ずる』、『女性寮に男子が入っていい門限は11時まで』・・・」

 

 

そうして他の注意事項についても改めて説明していく星之宮先生。パンフレットに書いてある内容とほとんど同じだ。

 

 

「そして、もう1つ重要なことが、この学校は『Sシステム』っていう特別な仕組みでその配布してある学生証に『プライベートポイント』っていう現金代わりの電子マネーがあるから買い物するときとかはそれを使ってね?原則はこのポイントで買えないものはないから。生徒間で譲渡しあうのもOKだから、困ったときは助け合ってあげるのもありよ。このポイントは月の初めに学校が配当するから覚えておいてね」

 

 

そう言われて学生証を見てみると『10万pt』と表示されていた。マジか。おそらくだが1pt=1円の計算だろう。それにしても高校生に与える額とは到底思えないな。

 

 

「びっくりしたでしょう。このptはどう使うにも貴方達生徒の自由だから、先生は口出ししないし、合格記念のようなものととらえるのも自由よ。これから3年間よろしくね」

 

 

そしてHRのチャイムが鳴り終わって先生が出ていくと、ドッと生徒がまた騒ぎ始める。

 

 

「ごめんねみんなー。ちょっと注目して欲しいんだけどいいかな?」

 

 

そう声を大きく発したのは女子で、ストロベリーブロンド色の髪のストレートでアイドル顔負けレベルの容姿と抜群なプロポーションが特徴的だった。

 

 

その声にみんな注目する中、件の美少女は教卓に立って口火を切った。

 

 

「私は一之瀬帆波って言います。これからよろしくね。早速提案があるんだけどこれから互いが集団として生活するけど、円滑に仲良くしていきたいから自己紹介の時間を設けたいんだ。したくないって人は首を横に振ってもらえるかな?」

 

 

一之瀬が聞くが、誰も首を振らない。俺?振ったら振ったで面倒くさそうだから振らない。

 

 

「うん、皆ありがとう!改めまして私は一之瀬帆波です。趣味は読書と映画鑑賞かな。これから3年間、よろしくね」

 

 

よろしくー、と声が上がり、疎らに拍手も聞こえる。・・・うーん、なんていうか・・・クラスを間違えた感じ。もの凄く、キングオブボッチたる俺には似合わない明るすぎな雰囲気だ。

 

 

自己紹介に耳を傾けつつ、俺はさっき、星之宮先生が言った説明について考えていた。

 

 

10万pt、この金額分を毎月配当するのか?一人当たり、年間にして120万、しかもクラスの人数は約40人だから4800万、クラスは4クラスあって40人程度だ。3年間払えば5億以上の支出になる。こんな真似、続けるとは思えない。口ぶりからしてもそんなことは微塵も感じられなかった。

 

 

ptについての使い方は自由と言っていたが、裏を返せば使わない方がいいと言われているような気がしてならないのだが。

 

 

やはり変だなこの学校。と結論付けようとした時、ちょうど俺の自己紹介の番が来た。

 

 

「じゃあ次は、廊下側の後ろの一番端にいる男の子。自己紹介お願いします」

 

 

「・・・・俺は、ひ、比企谷八幡です。よろしく」

 

 

そういって座ると一之瀬が少し驚いた顔で苦笑していた。周りを見渡したが、大半の奴等は苦笑したり驚いていた。

 

 

「よ、よろしくね、比企谷君。じゃあ次の人ー」

 

 

そして滞ることなく自己紹介は進んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自己紹介の時間が過ぎて、帰りの準備をして廊下に出る。

 

 

廊下に出たところで後ろから声を掛けられた。振り返って確認すると、先程自己紹介の時間を設けた女子、一之瀬帆波が立っていた。

 

 

「・・・・何か用か?」

 

 

初日で早くも『俺の中で苦手な女子ランキング1位』に輝いた一之瀬に話しかけられて少しげんなりして尋ねる。ちなみに男子の方は柴田っていう奴だ。男子版の一之瀬っていう感じがするんだよなぁ彼奴。

 

 

俺の様子に少し慌てたのか、申し訳なさそうな顔で謝ってきた。

 

 

「ご、ごめんね?都合悪かったかな?」

 

 

「いや、大丈夫だ。悪ぃ、態度が良くなかった。気を悪くさせたなら謝る」

 

 

「だ、大丈夫だよ。・・・・それでなんだけど、比企谷君はこの学校についてどう思ったかな?いきなりで悪いんだけど」

 

 

そんな質問をしてきた一之瀬に対して、俺は聞き返した。

 

 

「・・・なんで俺に聞くんだ?」

 

 

「学生証を見て、皆動揺してる様子だったんだけど、君は動揺してなかったからね」

 

 

あの時、一之瀬は周りを観察していたのか。・・・・一之瀬は違和感を持ったのか。

 

 

「まぁ、一言で言えば、怪しさ全開で信用ならない感じだな」

 

 

監視カメラにお小遣いとして10万・・・どう考えても不自然な学校だ。

 

 

「そうだよね。いきなり10万円をポンって渡された感じだもん」

 

 

「・・・・後、今後はたぶん調子に乗ってpt使いまくるやつが出てくる筈だから、一応注意した方がいいんじゃないか?」

 

 

俺にしては珍しい助言をしたが、何となくそうしたほうがいいと思っていたので素直に述べる。

 

 

「そうだね。何か嫌な予感もするし、先生の言い方にも不審な点がいくつかあったしね」

 

 

一之瀬が頷く。そんな様子を見た俺は更に言った。

 

 

「後、授業態度も徹底した方がいいと思う。教卓のある位置の天井に監視カメラがあったからな」

 

 

「えっ、監視カメラ?・・・・あっ、ほんとだ!よく気付いたね」

 

 

一之瀬は監視カメラの存在に気が付き、驚いた。それはそうだろう。普通は天井なんて気にしないからな。

 

 

「ptは毎月払うとは言ってたけど、10万を毎月払うとは言ってなかった。おそらくだが、授業の様子で振り込まれるptが変動するんだと思うんだが。・・・完全な憶測だけど」

 

 

俺の意見を聞いて熟考する一之瀬。自信はあるがどうだろうか。

 

 

「・・・うん、凄い参考になったよ。ありがとう、比企谷君」

 

 

笑顔を向けてお礼を言ってくる一之瀬。向日葵のような奴だな。どこまでも純粋で真っすぐ、俺とは正反対のやつだ。

 

 

「・・・別に良い」

 

 

照れくさくて頭をかいてしまう。そんないい笑顔向けんなよな。すげえ可愛くて惚れちまいそうだ」

 

 

「か、可愛い・・・」

 

 

頬を赤らめながら言う一之瀬。あっ、これってもしかして口に出した感じ?・・・・・やべえ、死にたい。

 

 

と、とにかく、一之瀬の怒りを解かなければ・・・・・

 

 

「わ、悪い、一之瀬。変なこと言っちまって」

 

 

「う、ううん、大丈夫!」

 

 

まだ頬が赤い一之瀬。怒った様子は感じなかったので少し安心した。

 

 

「比企谷君ってコミュニケーションが苦手なのかなって思ったけど話しやすいよ」

 

 

「・・・・まぁ、誰とも話す機会がなかったからな。友達も出来ないし」

 

 

「わ、私は・・・友達になれないかな?」

 

 

不安そうに聞いてくる一之瀬。しかも、上目遣い。たぶん、計算してないっぽい。ていうかめっちゃ近い!!

 

 

「お、おう・・・なれるだろ。・・・たぶん」

 

 

顔をそむけながら言う俺。・・・・何だこれ。

 

 

「・・・ふふっ、これからよろしくね?」

 

 

「・・・・ああ」

 

 

その後、俺たちは分かれ、俺は図書館に向かう。すると、その道中・・・・

 

 

「あっ・・・・」

 

 

カランと金属が落ちたような音がしたので振り返ると小柄な銀髪サイドテールの少女が杖を落としていた。

 

 

周りに俺と少女以外いないので、杖を拾って渡す。

 

 

「・・・大丈夫か?」

 

 

「すみません、ありがとうございます」

 

 

「・・・別に気にすんな。・・・じゃあ」

 

 

そういい、踵を返すと図書館に向かう。あっ、という声が聞こえたような気がしたが気にしない。

 

 

椎名はいるだろうか。いたら少し嬉しいんだがな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お礼を言いそびれてしまいましたか・・・・」

 

 

少し残念だったがすぐに切り替える。

 

 

「お礼・・・どうやって返しましょうか・・・・ふふっ」

 

 

「今度、食事に誘ってみましょうか」

 

 

少し、楽しくなってきましたね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ねえ、比企谷八幡君(愛しい貴方)

 

 

 


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