やはり俺の実力至上の青春ラブコメはまちがっていない。 作:ゆっくりblue1
結局、ウォーターシャワーを壊した犯人は出てこなかった。そして今日が試験6日目だ。金田はまだクラスにいる。クラスの警戒も殆ど消えて、クラスメイトともかなり打ち解けたようだ。しかし、俺はそんなクラスメイトと逆に警戒を上げていた。
今日は俺がキーカードを持っている。金田が盗み取れないようにポケットに入れている。なるべく接触もしないようにしている。俺は金田がいつ消えるのかを観察しながら今日はスポット内でのんびりと過ごしている。俺がスポットの端で惚けっとしていると帆波が話し掛けてきた。
「今日で最後の試験日だね。八幡君」
「そうだな・・・早く終わって欲しいわ、何でもいいからちゃんとした飯と飲み物が欲しい。もうこんな試験は勘弁だよ」
帆波は俺の言葉に苦笑する。Bクラスもかなり工夫をこらして生活をし易くしたが、やはり無人島暮らしをしていると元の生活のありがたみが今になって良く分かる。このような試験がもう1回あったら俺は仮病を使って休む事も考えている。Cクラスの大胆さが羨ましいものだ。
「船に戻ったらゆっくり出来るんじゃないかな?」
「どうだろうな・・・・俺はこの学校がこれで終わりにするとは思えないんだよなぁ。船の行き帰りを込みで2週間を使うって言ってたし、この試験では行きとこの試験を合わせて1週間しかまだ経ってない。もう1つくらい試験を入れてくるんじゃないかと思ってるんだが・・・」
帆波もその言葉を聞いて考え込む。夏休みは実際には明日からなので船に帰る日がただ1週間続くと言うのはどうしても考えにくい。まぁ、推測でしかないんだが。ここで余計な事を言って混乱させる訳にもいかない為、俺は思考を切り替えて言った。
「まぁ、今は試験を乗り切ることが最優先だ。余り深く考えても仕方がない」
「そうだね・・・」
金田の動きによって俺の計画が変わる。今日は6日目、恐らく動くなら夕方以降だろう。まぁ、夕方ぐらいに動いてくれたら都合が良いんだが。俺はクラスメイトに混ざって朝食の準備を進めていった。
そして昼過ぎになった頃、俺は食糧調達の手伝いをした後の帰り道を一緒に手伝いに来た神崎達と辿っていると、空が曇り始め、天気が怪しくなりだした。神崎も空を見上げて目を細めて言った。
「これはひと雨ありそうだ。早く戻ろう」
俺は頷くとクラスのスポット拠点に向けて走り出す。幸い、足の速いチームで来たのでスポット拠点にはそう時間はかからないだろうが、問題はいつまで曇りがもつかだ。周りには雨宿りに利用出来る場所がないので降り出さないうちに戻らなければならない。しかし、何とかもっていた不安定な天気もついに崩れ始めて雨が降り出した。
「ヤバい・・・降ってきやがった」
俺は悪態をつきながら余り濡れないうちに全力で走る。神崎達も速度を上げて走る。道は結構劣悪だが、そんな事に構っている暇はない。暫く走り続けると、クラスの拠点が見えてきた。それで緊張が緩んでしまったのか、泥濘み始めた道で滑ってしまい、体勢を崩して転んでしまった。その拍子に思いっ切り泥がジャージについた。転んでしまった俺を、神崎達は心配してくる。幸い俺は食糧は持ってないので食糧も犠牲になることはなかった。
「大丈夫か比企谷!」
俺は、大丈夫だ。という意味を込めて首を振って、倒れた身体を直ぐに起こして再び走り出す。それにしても泥がジャージに着いてしまった。雨に濡れたのも相まって泥の冷たさが体温を奪う上に感触が気持ち悪ぃ。これはシャワーに入らないと寒いな。まだ夏だから余り寒くないだけマシだろう。冬だったら風邪引く自信がある。
スポット拠点に着くな否や、帆波が雨が降ってきたから心配だったと駆け付けて俺の今の惨状を見ると「早くシャワーを浴びて温まってきて、替えの着替えやタオルは濡れないようにテントの前に置いて置くから」と言われた。神崎達は俺に「泥が着いたお前の方が寒いだろ、先に入れ」と言ってくれたのでありがたく先に入ることにした。
テントに入ってジャージを脱いで、着いている泥を払う。そして折りたたんでキーカードをポケットから出して、折りたたんだ服の上にキーカードを置いておく。テントの前に誰もいない事を確認してシャワーを浴びる時に濡らさないようにテントの入り口前に置いた。テントの先には濡れないようにカバーが入り口前を覆っているので濡れる心配はない。そして身体を洗う。その時一瞬、影がテント越しに映るのが見えた。シャワーの水圧を緩めて音を小さくする。その影は暫く動かずにいた後に『ピッ』という電子音が雨音に混ざる。そして影はその場から去った。
身体を温めると同時に洗い終えた俺は、俺の鞄に入っていたのを、シャワーに入る前に帆波が用意してくれた鞄と着替えのジャージの上に置いてあったタオルを取って身体を拭く。俺の身体洗うところなんて誰も得しないのでカットである。・・・誰に言ってんだろうな。着替えた後に、隣にある脱いだ後のジャージを見るとカードは畳んであったジャージの上に乗っていた。
「好都合だな、これは・・・」
キーカードを今、俺が着ているジャージのポケットにしまい込む。多分、金田はこれで此処を出ただろう。キーカードが取られたらヤバかったが、周りの事を警戒したのか、カメラに収めるのに留めたようだ。俺も動かないとな。俺は神崎達にシャワーが空いた事を知らせた後にリーダーを担当している網倉に若干、勇気を出して話しかける。
「・・・悪いんだが、少し良いか?」
「?どうしたの?」
俺が急に声をかけてきたので不思議そうに聞き返してくる。リーダーの事について話しがあるから2人で話そう。と言ったら怪訝そうにしながらも頷いてくれた。そしてスポットの端にあるテントに入る。そして俺は本題を切り出した。
「本題だが、網倉の口からは、今から言う事を帆波にしか言わない事と驚くかもしれないが大きな声は出さないで欲しいんだよ。お願い出来るか?」
すると網倉は頷いてくれる。俺は素直に頷いてくれた事に驚きつつも本題を話す。
「・・・ありがとな。で、話すんだが、網倉・・・午後のいつでも良いからリタイアして欲しい」
「・・・・ええっ!?」
驚きの声を漏らしてしまったので俺は咄嗟に口に人差し指を立てる。網倉もそれに気づいて咄嗟に両手で口を抑えた。そして周りに気配や人影ないか確認して小声で、それと雨の音で聞こえにくい為、網倉には嫌だろうが耳元に近付いて俺の策について話した。途中でこそばゆいのは分かるけど「ンッ・・・」と艶やかな声を漏らすのは勘弁して欲しかった。マジで色々危ないから。
「ーーーって訳何だが、やってくれるか?」
俺の策について全て話し終えて、俺は網倉に頼む。網倉は少し考えた後に頷き、そして言った。
「・・・分かったよ。私はリタイアするよ」
「・・・悪いな、こんな感じで。後で帆波にも伝えて、俺もクラスに出来る限りお前をフォローしとく」
俺が謝ると、網倉は首を横に振って言った。
「ううん、謝らなくても良いよ。比企谷君の事を帆波ちゃんは信頼しているし、実際に比企谷君は頭の良い人だって思えたからね。それに最初は少し怖いって思ったけど、優しいし、私も信用しているから」
網倉の言葉に俺は頰を掻いて言った。
「・・・別に。俺はただ、cptを増やしてpptをもっと得たいだけだ。だから優しいってのは違うし、頭が良い奴なら帆波や神崎の方が上だ。俺は感性が普通の人とずれているだけにすぎないんだぞ?」
どっちかと言えば龍園に近いしな。網倉は俺の言葉を気にする様子はなく、そっか。と短く答えた。俺は直ぐに話題を戻す。
「今は俺の事はどうでもいい。取り敢えずリタイアする時は、道中で顔を見られないようにする為に顔を隠して体型も変えて欲しい。それと、リタイアした後にリーダーを変更する時に、カモフラージュでお前の他にも俺ともう1人ついて行くことにする。もちろん顔も隠して体型も変える」
他のクラスの生徒と出くわしても、誰がリタイアして、誰がリーダーになったかを誤魔化せるからな。顔は持参したタオルを巻いて、その上からジャージをフードのようにすればいい。しかし今は雨が降っているので濡れながら船の停留所に行かないといけない。
「多少濡れるが、我慢してくれるか?」
「うん、大丈夫だよ」
今の時間を確認する。3時半か・・・・午後の点呼をしてから行きたいが、雨が酷くなる可能性もある。今から行ったほうがいいな。
そして、網倉と俺ともう一人の奴はきっちりと変装した後に船の停留所に行く事になった。網倉は体調不良で船に戻るという事をクラスメイトに言ってある。疲れが溜まって熱を出したという具合に。
「・・・じゃあ行くぞ。もし、他クラスの奴に話しかけられたとしても喋らずに無視して進んで欲しい。声でもバレる可能性は充分にあるからな」
2人は俺の言葉に頷いてくれたので、俺達は移動を始めた。なるべく早く移動しつつもバテないようにしながら。幸いな事に道中も俺達の他に気配は無かった。そして無事に船の停留所に着いた。俺達は要件を伝えて、網倉をリタイアさせた後にリーダーを変更した。そして残った俺達はクラスのスポットに足早に戻った。
さてと、これで打てる手は全て打った。後は試験の結果を待つだけだ。今現在のBクラスのptは、145ー30=115ptだ。ここからどうなるか・・・・
そして当日になった。網倉以外のBクラスの生徒は全員無事に点呼を終えて、リーダーを当てる時間となった。俺達はAクラスのリーダーのみに絞る事にした。その理由は、Cクラスは龍園が同じような策を使っている可能性があるからだ。Dクラスに関しては休戦同盟の関係なので除外、よって解答用紙には、戸塚弥彦のみ名前を記入した。解答時間は終わり、Bクラスの生徒全員が今ある荷物を纏めて、最初に試験の説明が行われた浜辺に移動する。
そして丁度、正午の時間に船の停留所である浜辺に全生徒が集まった。Cクラスの方を見ると、龍園のみがいた。その他の生徒は誰も居ない。そんな予想はしていたが・・・・まぁ、良いか。殆どの生徒は龍園を見て騒ついていた。当の本人はそんなことは気にせずにDクラスに絡みに行っているが。すると、隣にいた神崎が言った。
「・・・・やはりCクラスは別次元だな」
「行動が予測しにくいから皆は動揺してるね」
神崎の言葉に帆波がそう返す。まぁ、もしリーダーを当てられずとも龍園に損はないがな。Aクラスの有栖以外からpptを1万5千ptを月1で貰うんだから。そして暫くすると、真島先生が生徒全員の前に出てきた。
「そのままリラックスしていて構わない。既に試験は終了しているので、今は夏休みの一部のようなものだ」
そうは言っても試験結果が発表されるんだからリラックスなんて出来ないと思う。この試験でリラックス出来る程神経が図太い生徒は殆どいないだろう。
「それではこれより、特別試験の結果を発表したいと思う」
真嶋先生の言葉により、一気に緊張感が走る。
「なお結果に関する質問は一切受け付けていない。自分たちで結果を受け止め、分析し次の試験へと活かしてもらいたい」
真嶋先生はそう言って、試験の結果を言い始めた。
「ではこれより特別試験の結果を発表する。最下位は―――――Cクラスの0ポイント」
そう口にする。同時に笑い声が聞こえてきたので見てみれば、須藤と由比ヶ浜が龍園を馬鹿にしていた。対する龍園はショックというよりも何がなんだかわかってない表情を浮かべていた。リーダー当てで失敗したのだろう。BクラスとDクラスのリーダーを当てられなかった感じだな。だが、少なくともAクラスよりはまだ得をしていると思う。真島先生は3位を告げる。
「続いて3位はAクラスの20ポイント」
その言葉にAクラスの生徒、否ーーー葛城派の奴が愕然としていて、逆に坂柳派の奴からは動揺の色は見られない。大方、有栖から聞かされていたんだろう。葛城は葛城派の奴等に詰め寄られていて、その葛城は龍園を睨んでいる。これで有栖からの依頼は完了だな。内訳は多分こうだ。
270(元のpt)ー150(B、C、Dクラスにリーダーを当てられる)ー50(Cクラスのリーダーを外す)ー50(B、Dクラスのリーダーのどちらかを外す)=20ptになる。龍園を通じてリーダーの情報は受け取っていたが、リスクも考えてどちらかのリーダーを除外した。全て当てにいったら0ptになってただろう。俺は思わず笑いを漏らした。そして真島先生は2位を告げる。
「・・・2位はBクラスの186ptだ」
そう告げられたBクラスの生徒達は俺と帆波と、そしてリーダーのカモフラージュに協力してもらった
115(昨日の暫定のpt)+21(1日3pt×1ヶ所のスポットを1週間占有)+50(Aクラスのリーダーを当てる)=186ptになった。まぁ、スポット1ヶ所だけ占有していただけだが上出来だな。だがBクラスが2位ということは1位は・・・・・
「そして1位は・・・・」
真島先生は一瞬だけ言葉を詰まらせるが、直ぐに発表した。
「ーーーーDクラスの225ptだ。以上で試験の結果発表を終了する」
そう結果が告げられた。Dクラスは一瞬理解が追いついていなかったが、誰かが雄叫びのような声を挙げて、それが伝染する形で大歓声が沸き起こった。うるせぇ・・・・ていうか、このpt数ってことはDクラスも俺の思い付いた策と同じようなものを実行したみたいだな。俺は実行したであろう人物を見た。
「2位になったね、八幡君。Dクラスが225ptもあったのは少し驚いたけど」
「そうだな。まぁ、Aクラスの差もこれで大分と縮まったし悪くはないと思うぞ」
帆波が言うので、俺はそう答えた。真島先生が試験の終了の合図すると、Aクラスから順に乗船していく。Aクラスの雰囲気は葛城派がお通夜で、坂柳派は逆に嬉しそうだ。そして俺が試験の結果発表前の休憩で返された携帯が鳴る。3通のメールが来ていた。見られないように確認すると、有栖と神室、そして龍園からだった。有栖の方から確認する。
From 坂柳有栖
To 比企谷八幡
Subject 試験お疲れ様です。お見事でした。私の依頼は成功です。報酬の件に関しては私がいる部屋で話しましょう。部屋は4階の403号室です。後、用がなければ食事でも一緒にどうでしょう?
そう来ていたので、用はあるから後で連絡する。と返信しておく。そして次は神室の内容を見る。
From 神室真澄
To 比企谷八幡
Subject 葉山の事、学校に言わなかったけど、本当にこれで良いの?
その内容に、別に良いぞ、心配させるようで悪かったな。と返信する。すると、乗船する直前だった神室はこっちを見た。俺は小さく頷いておくと、神室は頷き返して乗船した。橋本が何かこっちを見てニヤついているので若干イラッてした。そして龍園の内容を確認する。
From 龍園翔
To 比企谷八幡
Subject 今回はやられたが、次の試験でお前らのクラスを徹底的に潰してやるから覚悟しておくんだな。お前や坂柳の他にDクラスにも裏で動いてる奴がいるから退屈しなさそうだぜ。
そう来ていたので、隣にいる龍園を見ると龍園もこっちを獰猛な笑みを浮かべて見ていた。そして俺は、絶対お前の相手はしない。後、葉山の事で話しがあるから、ロビーに来い。と返信して置いた。やっぱり次の試験について考えてるし、本当に龍園は相手にしたくねえな。そしてもう1通メールが来た。ひよりからだった。
From 椎名ひより
To 比企谷八幡
Subject 試験お疲れ様でした。昨日の天気は雨でしたが、体調は大丈夫ですか?後、用がなければ食事を一緒に取りませんか?
ひよりにも有栖と同じように食事に誘われたんだが。俺は、そっちもお疲れ。用があるからまた後で連絡する。と返信しておく。そしてBクラスも乗船していく。そして各々で喜びあっていた。まぁ、予想外にptが多かったからな。これで全クラスのcptはこうなった。
Aクラス 1004+20=1024cpt。
Bクラス 810+186=996cpt。
Cクラス 552+0=552cpt。
Dクラス 87+225=312cpt。
と、いった感じでAクラスとBクラスの差はほぼ無くなった。DクラスもCクラスに追いついてきた。しかしAクラスの指揮は今度からは有栖がするので厳しい闘いになるのは間違いない。有栖と帆波では相性は悪い。後はポテンシャルの差だ。どうしても有栖には見劣りしてしまう。龍園みたいなやり方も思いつけるようになれば良い勝負になると思うが、やっぱりそのやり方は合わないだろうな・・・・
帆波はどうしてこのようなptになったのかをクラスに説明している。もちろん俺が思い付いたということは伏せてもらっている。目立ちたくないから。俺は説明を帆波に任せてロビーに向かう。その途中から頭痛がしてきたが、気にせず誰もいないロビーで龍園が来るのを待っていると、龍園がきた。そして龍園は愉しそうに用件を聞いた。
「ククッ、俺に一体何の用だよ。Bクラスの影の王さんが」
「止めろ、その厨二臭い呼び方。ちょっとかっこいいが、別に俺はお前みたいに支配している訳じゃねえんだから。・・・んで、用ってのは葉山が契約違反した」
その言葉に龍園は笑っていた顔を真顔にして聞いてきた。
「・・・・何時の事だ?」
俺はこの試験が行われる前に起こった、船のレストランで録った録画を見せる。龍園はそれを見ると、笑って言った。
「クククッ・・・まぁ、これは確かに違反だな。で?pptを払わせれば良いのか?」
「いや、pptはいらん。その代わり徹底的に葉山を潰して欲しい」
ぶっちゃけ葉山を絡んでこさせないようにした方が俺にとっては得だからな。それを聞いた龍園はまた愉しそうに笑う。
「クハッ!容赦ないなぁ・・・良いぜ、乗ってやるよ。彼奴の独断専行は目に余ってたしな」
そして、Aクラスの情報を渡した報酬を受け取って別れた。貰えるとは思い難かったが、筋はしっかりと通すようだ。pptは『5,298,760pt』となった。色々と掛け試合してたら此処まで貯まった。無駄遣いはしないようにしないとな。そう思っていると、頭痛が酷くなったので思わず顔を顰める。
そして俺は有栖にメールで、部屋に今から行くが他にAクラスの奴はいるのか?と送信する。そして直ぐに、退室をお願いしたので来て下さっても大丈夫ですよ。と返信が来た。余り女子のフロアに行きたくないが、有栖だから仕方がないと割り切るしかない。何とか誰にも見つからんようにしないとな。俺はゆっくりと歩き出す。
それにしても肌寒いな・・・と、考えながら何とか誰にも見られることなく有栖のいる部屋に到着した。そして扉をノックする。そして、どうぞ。と有栖の声が聞こえたので、やけに重く感じるドアノブを回して扉を開けて中に入る。
「・・・来たぞ」
「特別試験、お疲れ様でした。早速ですが、報酬の件についてお話しを・・・・」
そこまで言って有栖がこっちを向く。すると俺の顔を見て目を見開いて驚いていた。俺の顔に何か着いてるか?不思議に思った俺は有栖に聞こうとするが、その前に有栖が言った。
「八幡君、顔色が優れていませんが・・・大丈夫ですか?」
そう有栖に心配そうな表情で言われた瞬間、急に眩暈がしてきた。ヤバい・・・・気分悪い・・・・。頭痛も酷く、何とか答える。
「はぁ、はぁ・・・・・わ、悪い・・・気分が・・・悪い、から・・・・はぁ・・・じ、ぶんのへやに・・・」
そう言って戻ろうとするが身体は鉛がのしかかった様に重く、思うように動かせない。
私は八幡君の状態を冷静に分析する。慣れない環境で慣れない生活、更には昨日は雨も降っている。1週間に溜まった疲労で風邪を引いてしまったのだろう。私は急いで言った。
「取り敢えず、このベッドまで何とか歩いて横になって下さい!」
八幡君は朦朧とする意識の中、私の言葉に従って、何とかベッドまで歩く。そして、仰向けに倒れ込んで意識を失った。私は一瞬、慌てて八幡君を呼びかけたが直ぐに冷静さを取り戻して教職員に電話をする。何とか伝えて電話を終えた後、八幡君の体温を確認の為、額に手を当てる。
「物凄い熱ですね・・・・」
此処までかなり身体を酷使させたのだろう。そして結果が分かって一気に緊張が解けて、疲労で発熱といったところと断定した。私は自分の鞄からタオルを取り出して、洗面所で冷水で濡らして絞った後、折りたたんで鞄から怪我をした時に使うと思って購入した冷却スプレーを掛けて簡易版氷枕にする。八幡君の頭を持ち上げてその下に敷く。そして頭をゆっくり下ろし氷枕に後頭部を当てる。すると苦しそうな表情は少し和らいだ。そして予備のタオルとブランケットを取り出して、同じような処置をタオルに施して八幡君の額に乗せる。ブランケットは身体にかける。
そして出来る限りの処置を終えて、先生が来るのを八幡君の手を握って待った。無事に治ることを祈りながら。
ちょこっと宣伝っぽい物(今回もスルーして下さっても構いません)
鬼滅の刃も書いているので是非見て下さいね〜。後、高評価m(((殴
八幡「流石にがめつ過ぎんだろ、作者・・・・」