やはり俺の実力至上の青春ラブコメはまちがっていない。   作:ゆっくりblue1

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第8話です。暴力事件編です。今回はDクラスとの邂逅とあのキャラとの絡みです。このキャラもある重要なキーになってます。今回もお楽しみ頂ければ幸いです。


やはり俺が暴力事件に巻き込まれるのはまちがっている!

中間テストを無事に乗り越えて、夏の蒸し暑さが到来する時期になった。いつも通りに学校へ登校し、教室に入ると、クラスメイトが何やら集まってひそひそ話しをしていた。何、陰口かな?Bの奴に限ってないだろうけど。

 

 

その様子が珍しかったため、耳を澄ませて話している内容を聞き取る。

 

 

「Dクラスの須藤がCクラスの生徒を殴ったって噂があるけどマジ?」

 

 

「いや、分からないけどあの素行の悪さなら本当の可能性はあると思う」

 

 

Dクラスの話しか。ていうか、噂されるほどってどんだけ素行悪いんだよ。

 

 

「ていうかさ、須藤君もそうだけど。あの雪ノ下さんと由比ヶ浜さんも酷くない?この前なんかさ、普通に廊下歩いてたら曲がり角のところで由比ヶ浜さんにぶつかったんだけど、その時、あの子歩きながらスマホしてたんだ。一応、こっちは謝ったんだけどね?そしたら「次から注意してね?」って言ったんだ。酷くない?」

 

 

「雪ノ下さんは、コンビニ行ったら由比ヶ浜さんと一緒にいて最初は歩きスマホを注意してたんだけど由比ヶ浜さんに何か言われたら、私のことを悪口言ってたんだよ!?本当意味が分かんない!!」

 

 

女子は憤慨しながら言う。いくらなんでもあり得ない。女子はぶつかって謝ったのに対して由比ヶ浜は歩きスマホをしていて、ぶつかっても謝らずそっちの不注意だ。と言ってきた。第3者から見れば明らかに由比ヶ浜が糾弾されるだろう。ていうか雪ノ下は性格変わりすぎじゃないか?明らかに由比ヶ浜も悪いのに、由比ヶ浜に甘すぎだろ。よくそれで世界を人ごと変えるなんて言ってたな。

 

 

呆れて俺は聞くことをやめた。別にどうでもいいからな。そして視線を手元の小説に向けて読み進めていると。

 

 

「おはよー。皆」

 

 

一之瀬が登校してきて、クラスメイトに挨拶していく。そして俺のところにもやってきて挨拶をしてきた。

 

 

「おはよ!比企谷君」

 

 

「・・・・おう」

 

 

相変わらずいつも通りだな、一之瀬は。添い寝というイベントを2回こなしておきながら俺に話しかけるとは。添い寝をする時点で大概の奴なら襲い掛かるぞ普通。それとも、俺は男として認識されてないのか?

 

 

そんな男として悲しいことを考えていると、当の一之瀬はこっちを怪訝そうに見つめて聞いてきた。

 

 

「・・・何か比企谷君、鍛え始めたの?」

 

 

「・・・いや、そんなことないが?」

 

 

よく見てるな一之瀬は。なんだかんだ言って観察力もあるしな。クラスを纏めるリーダーなだけはある。

 

 

「そっか。じゃあチャイムももう鳴るし、行くね?」

 

 

「おう」

 

 

そして一之瀬は席に座りに行った。チャイムが鳴るとほぼ同時に星之宮先生が教室に入ってきた。

 

 

「はーい、皆席についてー。いつも通りHRを始めたいところだけど・・・一つだけ皆に緊急連絡があって。昨日の放課後に特別棟でDクラスの男子生徒がCクラスの3人の生徒を殴ったことが判明したの。CクラスとDクラスの意見は全く逆だから事態の収集に時間がかかっているみたいなの。みんなもこんな事件を起こしたりしないように気を付けてね?」

 

 

先生の話を聞いてちょうど須藤の話をしていた奴は驚いていた。まあそうだよな。一之瀬は先生に質問した。

 

 

「もし、どちらかのクラスに助けを求められた場合は協力してもいいんですか?」

 

 

「そこは貴方達の自由だから特に教師である私は口出しはしないわ」

 

 

そして質問に答え、ほかに質問がないことを確認していつも通りにHRが始まった。にしても、暴力事件ね。Dクラスの状況は更に悪くなったな。ま、どうでもいいが。

 

 

そこからは特に変わったことも起こらずに時間が流れ、昼休みになって食堂へ向かうと。

 

 

「あら、比企谷君ではありませんか」

 

 

坂柳と鉢合わせした。そしてその隣には神室ではなく知らない金髪の男子生徒がいた。

 

 

「おう、じゃあな」

 

 

なるべく相手にしたくないので、スルーして横を通り過ぎようとするが。

 

 

「ふふ、待ってください」

 

 

「痛えっ!」

 

 

坂柳の杖で足を踏まれ、痛みに悶える。金髪はそれを見るとケラケラ笑っていた。

 

 

「声をかけたのにスルーしてそのまま行こうとするのは酷いのではありませんか?比企谷君」

 

 

「杖で足踏んづけるお前の方が酷いわ!!」

 

 

マジで痛いんだからな!?此奴、最近俺を揶揄うのが趣味になってきてんじゃねえのか?

 

 

「それでは痛み分けとして手を打ちましょう。それと比企谷君、私と一緒に食事してください」

 

 

そう軽く先ほどのことを流して食事の誘いを受けたが、コイツ俺が断ってくんのをめんどくさがって疑問形じゃなくて命令形で言ってきやがった。

 

 

「・・・・はぁ、わーった。行けばいいんだろ?」

 

 

「ふふ、ありがとうございます比企谷君。なんだかんだ言ってついて来てくれる比企谷君のことは好きですよ?」

 

 

そう揶揄う様なこと言ってクスクス笑っている坂柳に若干ドキッとさせられつつ、何かやられてばかりでは癪になのでこっちも揶揄うつもりで返す。

 

 

「ま、嫌も嫌も好きのうちって言うしな」

 

 

どうだ。これでドン引きして俺を揶揄ってくることは無くなるだろ。あれ?何か自分で言ってて悲しくなってきた。

 

 

「・・・え?」

 

 

坂柳を見ると驚いたような表情をしてこっちを見てきた。ここまで驚いたような表情の坂柳は初めて見た。ていうか、顔が赤い。何で?

 

 

「ははっ、坂柳にこんな表情させるなんて思わなかったぜ」

 

 

金髪は心底面白がるように言うと、俺に向き直って言ってきた。

 

 

「俺は橋本正義。坂柳と同じクラスだ。お前が坂柳の恋「橋本さん?」おおっと、友達の比企谷って奴だな?」

 

 

坂柳が遮った部分が気になるが、適当に頷いておく。

 

 

「そうか。いやー、坂柳の話題にお前がよく出てくるから会ってみたいと思ってたんだよ。よろしくな?」

 

 

此奴からリア充臭がプンプン漂ってくる。出来ればあまり関わり合いたくないな。

 

 

「・・・自己紹介も済んだようですし、行きましょうか」

 

 

表情もいつも通りに戻った坂柳に促されて、俺たちは食堂へ向かう。すると坂柳は俺を見て不思議そうに聞いてきた。

 

 

「比企谷君。貴方、何か習い始めたのですか?」

 

 

「・・・何でそう思うんだ?」

 

 

一之瀬も此奴も鋭いな。そんな分かりやすいか?

 

 

「いえ、歩いているときの体軸のブレが前と比べてほとんど無くなっていますし、それに体の筋肉の付き具合が増えているので」

 

 

幾らなんでも鋭すぎだろ。よく見ただけでそこまで情報を引き出せるもんだ。やっぱり此奴とぶつかり合いたくねえわ。

 

 

「ちょっと鍛え始めたんだよ。最近何かと物騒だしな」

 

 

「そうですか。物騒と言えば、昨日CクラスとDクラスの間で暴力事件が起こったそうですが、比企谷君はどう思いますか?」

 

 

食堂について席に座って料理を頼んで出来上るのを待つ中、坂柳が聞いてくるので俺は考えていた答えを言う。

 

 

「どうも何もDクラスが殴った加害者側なんだから不利だろ?」

 

 

「そうですね。ではこう言いましょうか。場所は特別棟で、誰もいない中呼び出されて、一方的に相手を殴ってしまった。殴られた側は3人で、殴った側は1人です。殴った人を庇う場合、比企谷君ならどうしますか?」

 

 

そこまでの前提条件を聞き、俺は考えると、1つの案が思いついた。これが上手くいけばDクラスは無傷で済むが・・・・これはいわば博打だった。失敗した時のリスクも大きい。

 

 

「・・・・監視カメラか?」

 

 

その呟きを聞くと坂柳は楽しそうに笑った。

 

 

「ふふっ、やはり貴方もその方法を思いつきましたか。ちなみに橋本君は分かりましたか?」

 

 

「いや全然。答えを言ってくれ」

 

 

降参というポーズを示す橋本を見て、坂柳はクスクスと笑って言った。

 

 

「そうですね。ではこの騒動が終わった時に答えを言いましょう」

 

 

その後は雑談しつつ、橋本とメールアドレスを交換して、別れた。そして教室前まで戻ると見覚えのない奴等がクラスメイトと話していた。

 

 

龍園がいるCクラスがBクラスに来るわけがない。ってことはDクラスの連中か?その場にいたのは騒がしい二人の男子と、無表情の男子、そして明るそうな女子だった。

 

 

俺はそれを見ながら静かに教室に入ろうとする。その時、無表情な男子と眼が合った。その眼を見た途端、今までより遥かに本能の警鐘が鳴り響いた。何だ・・・!?彼奴は!?

 

 

思わず後ずさりそうになったが、何とか耐えて教室の中に入った。雪ノ下さんの強化外骨格と比べ物にならないぞ・・・?引きずり込まれそうな感覚に陥った。

 

 

俺は深呼吸していると、教室の中にいたDクラスの明るそうな女子が俺に話しかけてきた。

 

 

「あの、ちょっと良いかな?」

 

 

そう不安そうに確認する仕草を見て1回で分かった。此奴も強化外骨格持ちの奴だ。雪ノ下さんの劣化版、もしくは一色の強化版と言ったところか。

 

 

「・・・何だ?」

 

 

「あっ、自己紹介がまだだったね。私はDクラスの櫛田桔梗だよ。今私たち、同じクラスの須藤君がCクラスの人を殴っちゃったんだけど。正当防衛なの、正当防衛の証拠を持っているかもしれない目撃者を捜してるんだけど・・・・その人に心当たりはないかな?」

 

 

俺はそもそも先生に言われて事件のことを知ったので、目撃者は知らない。

 

 

「悪い、知らない」

 

 

そう言うと、櫛田は落ち込む態度を見せたがすぐに笑顔になって言った。

 

 

「そっか、じゃあ私とメールアドレスを交換しないかな?事件の手がかりを見つけたら教えてほしいの!」

 

 

普通はこういう美少女とメルアドを交換したがるんだろうが、こんな仮面つけてる奴と俺は関わりたくない。しかし、こういうタイプは断っても折れないので交換して、すぐ削除すればいい。

 

 

「・・・分かった」

 

 

「ありがとうっ!」

 

 

そして俺は櫛田とメルアドを交換する。そして櫛田たちは帰っていく。一瞬櫛田と眼が合った気がした。微笑んでいて、眼は()()()()の色が滲んでいたーーー様な気がする。

 

 

そして櫛田達が去った後、入れ違いの形で一之瀬達が入ってきた。俺に聞いてきた。

 

 

「あれ?櫛田さん達が来てたの?」

 

 

「ああ、事件のことで協力をしてくれって言ってきた」

 

 

「そうなんだ。・・・・じゃあ協力しようか!」

 

 

一之瀬はDクラスに協力することを選んだようだ。まぁ、俺はどっちでもいいが。

 

 

「そうか、頑張れよ」

 

 

「うん・・・ってええっ!!?比企谷君は協力してくれないの?」

 

 

「だって俺としちゃあCクラスが勝とうがDクラスが勝とうがどっちでも良いし。というか、こっちに飛び火する可能性だってある」

 

 

ていうかどっちのクラスにも協力したくない奴がいる。Cクラスは葉山、Dクラスは雪ノ下と由比ヶ浜。顔を合わせるかもしれないし、会ったら一緒になって罵倒されるだけだ。

 

 

「そ、そこを何とか、協力してくれないかなぁ?」

 

 

目を潤ませながら上目遣いで棄てられた子犬のような雰囲気を纏わせて頼んで来る。計算でやっていないため、余計に破壊力があるが俺も譲れない理由があるんだ。ここはしっかりと断って・・・・

 

 

「わ、分かった。協力するからそんな顔するな」

 

 

あれー?ちょっと逆のこと言ってなぁーい?どんだけ俺の意思弱いのん・・・?

 

 

「ありがとうっ!比企谷君!!」

 

 

一之瀬はとても嬉しそうな表情を見せる。はぁ・・・また面倒ごとに首突っ込んじまったよ・・・・まぁ、一之瀬にはお礼(添い寝)のお礼ってことにしておこう。

 

 

一之瀬との話を終えて、昼休みは終わりを迎えた。放課後はとりあえずDクラスの状況を聞いてみるか。

 

 

そして放課後になって寮に戻った後、Dクラスの状況を聞くために消す予定だった櫛田の連絡先に繋げる。

 

 

『もしもーし、比企谷君?』

 

 

電話口から櫛田の声が聞こえるが、櫛田も寮に戻っているのか、周りの声が聞こえない。

 

 

「あぁ。とりあえずBクラスは協力することになったから、今1人ならDクラスの須藤がどんな感じで事件を引き起こしたのかとクラスの動きがどんなものなのか教えてくれ」

 

 

『分かったよ。ありがとうね比企谷君』

 

 

「礼なら一之瀬に言ってやってくれ。俺は最初、協力する気なかったしな」

 

 

『ううん、それでもだよ』

 

 

そこから須藤の事、殴られた3人の事とクラスの動きの詳細を聞いた。須藤は三人の男子生徒に呼び出された後、挑発されて殴り、殴られた側は抵抗しなかったらしくボコボコになった後に訴訟したということ。クラスは協力して須藤の嫌疑を晴らそうとして動いてはいるが、人数が少なく、唯一の希望である『目撃者』を探しているが、見つかっていないということだった。

 

 

「状況は分かった、思った以上に不利だなこれ」

 

 

『うん。目撃者の人が早く名乗り出てくれるといいんだけど・・・・』

 

 

櫛田はそう言うが、AとBのクラスの奴ならまだしも、Dクラスのとこから出ても口裏を合わせたって言われて証拠能力が低くなって、勝ち目がなくなる。

 

 

ていうかこの事件、絶対1枚龍園が噛んでんな。恐らくクラスの大まかな実力を知るために仕掛けたんだろ。

 

 

「とりあえずこっちでも他にやれることはやっとくから、そっちに動きがあったら連絡くれ」

 

 

『わかった!絶対連絡するねっ」

 

 

そして通話を終えた俺はため息をついて、思考する。櫛田との通話は神経使うな。それに龍園が関係してる可能性が高いし、殴られた3人の事を洗い流して見るか。

 

 

・・・・それにしてもーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーー櫛田の声って聞き覚えがあるが、どこかであったのか・・・?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 × × ×

 

 

女子寮の中で今しがた通話を終えた櫛田桔梗は鼻歌を歌いながらベッドに座り、足をブラブラ揺らしていた。

 

 

「ふふっ、また会えるなんて思わなかったなぁ・・・」

 

 

最近は堀北や綾小路君のことでイライラしてたけど、()()()を見た途端イライラが消えていった。私の外面を見たら1発で見抜かれただろうなぁ。

 

 

私は鞄の奥底にしまっていたある写真を取り出した。その写真は、二人の男女が手を繋ぎながら写っていて、公園の一角で明るい笑顔を浮かべて幸せそうに写っている私と、面倒くさそうな顔をしつつもしっかりと手を握っている男子ーーーーー八幡君が写っていた。

 

 

あの頃の八幡君は可愛かったけど、今の八幡君はとっても格好良くなってた。会って分かったことがある。ただ、何で私のことを覚えてなかったのだろうか?

 

 

何かあったのだろうか?そうだとしたら記憶喪失ということだけど・・・・・まあ何にしても。

 

 

「早く思い出してね?愛する人(八幡君)

 

 

写真をまた大切にしまってお風呂に入るために洗面台に行って服を脱ぎ始めた。

 

 




高度育成高等学校データベース(7/1)更新

氏名 比企谷八幡 Bクラス 
誕生日 8月8日

学籍番号 S01T004628

部活 無所属

学力 B

知性 A

判断力 A

身体能力 B

協調性 D+


担任からのコメント

入学当初に比べて、自分のクラスや他クラス、更には上級生の何人かと交流を持つようになりました。最近は体を鍛え始めていて、運動能力も上がっています。この調子でどんどん人との関わりを持ってほしいです。





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