いつからだろうか、自分の中に酷く醜い部分を自覚しはじめたのは。
自分はそれなりに恵まれた家庭に生れ落ちて、育ち、また生活を続けている。
だけれど、何かが足りない。
正確には自分の中で燻る何かがある。
それは他人の言葉を借りて言うなれば「生きる意味」だったりするのだろうけれど、どうにも自分の中で解決する術を見つけられなかった僕は
今日もまた夜の部屋の隅で"二人"でひとりごとを繰り返す。
「どうだ、生きる意味は見つかったか。」
見つかるわけが無い。誰と比べたところでぼくだけが秀でた部分は無い。
この世を引っくり返せばどこかしら、誰かしらに僕がやっている事は勤まる。
もっと言うならば僕よりうまく出来るだろう。
「そうだろうさ、お前はお前以上になれない。」
自分の中に巣食う何かは知っているといわんばかりに続ける。
「お前はそう知っているくせに、自分以上の何かを追い続けるばかりだけどな。」
大仰な素振りで腕を広げながら、オフになっているテレビの反射に何かは姿を映す。
「自分が享受できる以上の幸せを望んで、自分の辛さを分かってくれる誰かを探している。」
叶わない夢を見るのは勝手だろうと返す。
「いいや、どこか心の中でお前は知ってるんだ。今までのように皆の輪の中で一般人を演じればそういう機会がやってくるかもしれないって。」
思わず口を噤んでしまう、だがそうじゃない。
「そうだとも、今まで血反吐を吐きそうになりながら壊した心の代償を幸せで埋めようとしている。」
違う、違う違う。
「僕は普通の人が皆得ているような幸せがほしい?自分自身で言ってただろう。」
何を言っているんだ。
「お前は人並み以下なんだって。おこがましいとは思ってたよな。」
何もいえなくなる。
追い討ちを掛けるように鏡の中の何かが続ける。
「自分が羨んだ誰かの総和を均した存在に叶うわけが無い」
そうだ、けどそんな自分にも生まれてきた意味を探すことくらいは許されていいだろう。
「探して何かを得られるならどうぞご自由に。だけど二十数年間探して見つからない価値がこの先見つかるのかい?」
...
「それだったらさっさと終わらせるのもひとつの手じゃないか。」
それは何度も考えた。
「死ぬ勇気があったら、他に出来ることがあったはずだものな。」
もう寝よう。
「そうやって逃げているのがお前らしいよ。」
お前だってそうだろう。
「もちろん、どこまで行っても俺はお前だからな。」
明日は今日よりは悪くならないと祈りながら、お気に入りの音楽に自分の心を代弁させて床に就く。
夜は長いから、秋は嫌いだ