手短に説明しよう、俺には美人の姉と妹がいる。
姉は現在大学3年生で都内の有名私立大学に通っており、妹の方は現在高校3年生で都内の国立高校で受験勉強に勤しんでいる。
姉は金髪で容姿端麗、スタイルも抜群、雑誌の表紙を飾ってもおかしくないレベルの美人。そのため大学で男につきまとわれていないか非常に心配である。妹はプラチナ色の髪にどこかあどけなさの残る可愛らしい顔立ちをしている。最近までスクールアイドルとして活動し、知名度・人気は抜群なために変な男に付きまとわれていないかこちらも心配する必要がある。
俺はというと黒髪に普通の顔で背も高いわけではない。同じクォーターとしてここまで差が出るともなると神を恨むしかない。唯一救いなのは両目ともブルーなことくらいだ。それ以外は日本人の血筋が色濃く現れている。ありがたいことに頭脳には恵まれていたので、都内の有名国立大学で日々睡魔と戦いながらありがたい話を聞く毎日を送っている。
「ただいまぁぁ」
おっと、玄関から妙にでかい声が聞こえたな。堅苦しい挨拶はここまでにしておこう。なにせ今から姉の世話で話どころじゃなくなるからな。
「シュー?どこいるのぉ?」
一々語尾を伸ばすあたり相当酔ってるなこれ。今日は課題を終わらせるつもりだったのに…
「あ!ここにいた!ひどいじゃない!無視するなんて!」
頰を膨らませ拗ねた子供のようにして姉がリビングに入ってきた。
「ごめんごめん、気づかなかった」
「もー!エリーチカ寂しくて拗ねるよ!」
とても2個上の姉とは思えない態度がまた可愛い。うちの姉は普段は頼れるお姉さんキャラだがアルコールが回ると途端に幼児退行する。と言ってもせいぜいほんの少し甘えるようになるだけだがここまで酔っているのは珍しい。
「姉貴、今日どれくらい飲んだんだよ…」
「もー!姉貴って呼ばないでよぉ、ほら?絵里ねぇ、でしょ?」
「はいはい、わかったわかった」
ただでさえ友人からは美人の姉がいることで羨望の的になっているのに家でのこんな会話を聞かれたらそのうち殺されそうだ。そうそう、誤解の無いよう言っておくと姉妹には欲情なんてしないものだ。俺の中では恋愛対象というよりは愛でるべき小動物?みたいなイメージだな。もちろん自分が重度のシスコンであることは理解しているつもりだ。こんなに美人な姉妹を持ってシスコンにならない訳が無い。
「ねぇ~構ってってば」
「これ解いてからね」
駄々をこねる姉を余所見に俺は目の前の問題へと戻った。
「もー、そっけないんだから」
不意に身体が包まれる感覚を覚えた。どうやら後ろから抱きついてきたらしい。身体に他人の暖かさが伝わると共に馴染みのある香りもほのかに感じられる。スキンシップをとれるくらいには姉弟妹仲が良好なことは自慢に思っている。知り合いの姉弟仲や兄妹仲の話を聞いてもその仲は崩壊しているケースが多々あるからだ。
「絵里ねぇ、勉強できない」
「いいじゃない、今日くらい♪最近は亜里沙も忙しくて構ってくれないからお姉ちゃん寂しいのよ」
妹、もとい亜里沙は受験生なので当然酔っぱらいの介抱等行う訳もなく既に夢の中にいる。
「わかったからとりあえずはなれて、動けない」
「えぇ、もう少しこのままでもいいじゃない」
そういって絵里ねぇはさっきより強く抱きしめる。
アルコールの匂いが鼻腔に入る。まだ未成年の俺には少し強い刺激だ。クォーターとはいえ俺は二人と違って日本人の血が色濃く現れているのでこういう刺激は苦手である。
「お酒くさいよ」
「ひど~い、まだ全然酔ってません!」
酔っている人間こそ自分が酔ってないと主張するものだとどっかで見たような気がするが反論するよりもしたがった方が早く済みそうだ。そう判断した俺は姉が満足するまでぬいぐるみになることに決めた。
「シューっていい匂いするわよねぇ」
「そうかな、自分じゃわかんないけど」
「なんかお母さんの匂いする」
「ふーん」
「もー、つれないなぁ」
(明日は遅刻だな…)
はぁ、とため息をつく俺をみて姉はどこか可笑しそうに笑っていた。
テストはよ終われ