納得のいく感じに仕上がらずにあれこれしてました()
シチュエーション募集した方が更新頻度早まっていいですかね~
将棋にこんな格言がある。
「金底の歩、岩より堅し」
この言葉を見てからは実戦でなるべくそうするようにしているのだがほとんど上手くいかない。格言というものはその道を極めたものにしか解らない意図というものが含まれているのであって、高々3年弱の俺がその真意とやらを理解できる訳もなく、今はただ崩壊の一途を辿っている我が陣営を眺めやることしかなかった。
格言についてあーだこーだ思っても仕方がないので浮かぶはずもないが打開策を考え始めるのとパチリ、と駒を進める音が聞こえるのが同時であった。
(...)
顔に似合わず指す手はいつも辛口である。既に駒から手を離している目の前の女性は既に投了図が見えているのであろうか、外の風景に目をやっている。将棋を嗜む美人は中々絵になる、しばらく眺めていたい衝動に駆られるが、一瞬でも気を散らすと矢が飛んできそうなので再び盤上に視線を下ろす。下ろしたところで相手の攻め方ばかりが見えてしまうところが己の実力不足を痛感させる。しばし考えて俺は口を開いた。
「負けました」
「はい」
一局の終了が確認されると目の前の女性は緊張を少しだけ解き、落ち着き払った様子で立ち上がった。
「今、お茶を入れてきますね」
「すみません」
「いえいえ、対局に付き合ってくれたお礼ですよ」
ふふっと笑ったその女性は身を翻し、部屋を後にした。俺は正座を崩すタイミングを逃したことに後悔しつつ部屋の時計で時刻を確認して苦笑いした。
(60分もかかっていないな、最短記録か...)
お盆に湯呑みを二つ乗せた海未さんが部屋に戻ってから少しして感想戦を始めた。互いに暇な時間に彼女とはこうして一局を指している。以前うちに遊びにきた時に俺が将棋を指せると言ったところ目を輝かせて対戦相手になってほしいと言われたのでこうしてたまに将棋をしている訳である。どちらかといと相手をしてもらっているのは俺の方なのだが、周りに同じくらいの歳の将棋仲間がいないらしく、こんな俺でも海未さんは喜んで対局をしてくれる。
「穂乃果とことりはルールも知りませんからね、μ'sでも指せる人は絵里くらいですし」
そう言って困った顔で笑う海未さんの姿をよく覚えている。
因みにうちの姉貴は指せるとは言っても駒の動かし方を知っているくらいで定跡なんかとは縁がない。それでは遊び相手にもならないだろう。将棋に関してはそれくらい初心者と経験者で実力差がある。
「それにしてもしゅうは強いですね、僅か3年でここまでとは、尊敬しますよ」
「とんでもないです、海未さんには勝てる気がしません」
またまた、と彼女は笑う。補足をしておくとこれは謙遜でもなんでもなく見る人が見れば終始勝ち負けのはっきりとした一局であるため反応に困るのだ。
盤から目線を少し上にあげれば様々な展開を考えて悩んでいる海未さんの顔が目に入る。私服ではあるが海未さんの持つ雰囲気のせいだろう、駒を動かす動作一つ一つが洗練されており、姉貴とはまた違った大人の女性という印象を受ける。穂乃果さんと同い年ということが信じられないがこんなことを言うと穂乃果さんに知れ渡った時に面倒なので口に出さないでおく。
落ち着いた和の空間で静かに海未さんと将棋を楽しむこの時間は俺の好きな空間の一つであった。
「絵里は元気ですか?」
感想戦を終えた後で湯呑みに手をかけながら海未さんが口を開いた。
「ええ、元気ですよ、彼氏が出来ないと嘆いていはいますが」
「相変わらずですね」
そういってふふっと笑う姿もまた完成された絵のように美しい。大和美人とはこういう人のことをいうのであろう、和室にいる海未さんの動作全てが魅了的に映る。因みに姉貴の名誉のために言っておくと毎日こんなことを言っている訳ではなく、いわゆるデートシーズンになると言い出す。
「今日は穂乃果とことりも来るのでもう少し待っててください」
「いや、幼馴染3人に水を差すのは気が引けますよ...」
「問題ありません、ことりも貴方に会いたがっていますし」
やはり申し訳無い気がするものの、姉貴も亜里沙も今日は用があって家を開けている、家に帰っても1人なので俺は好意に甘えることした。
「でも着せ替え人形はごめんですよ」
「それはことりに直接お願いしてください、私にはどうすることもできませんからね」
苦笑いを浮かべる海未さんにこちらもため息をつく他なかった。
「といっても私と穂乃果もしゅうがことりの着せ替え人形になるのを見るの好きですからね、やめるのをお願いされても断るつもりです」
そういって悪戯っぽく笑う海味さんは普段とは少し違うものの、やっぱり綺麗だった。
因みに実戦で王手と言った人を僕は見たことがありません笑
今週は少し忙しいので土日前にもう一本書ければいいかなって感じです。
今回も見てくださってありがとうございました!