刀使ノ指令ダグオン   作:ダグライダー

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 こんばんわ!
 変態(宇宙人)が思ったより勝手に暴れたので長くなりました。反省。

 鬼一法眼が刺さったので、執筆速度落ちそうなこの頃。加隈ボイスであのビジュアルは反則ですよ。
 
 シンデレラグレイ1巻、購入しました!簡単パイセンはヤッパ可愛い。
 アプリもやっと出走しますし楽しみです。



第八十三話 驚天動地?!変態あらわる!!

 前回の"刀使ノ指令ダグオン"

 

 前々回の予告サブタイトル

   鳳凰:よっしゃ、遂に出番や!

 

 前回の登場にて

   "喜びの":ぁぁぁああ!幼女!麗しき幼女ぉぉお!!

   鳳凰:アレ?!ウチの出番は!!?詐欺やん!予告詐欺やん!!

   霊亀:哀れ…変態の手に渡ったばかりに……。

 

 てな感じだったよね~、ネプちーと結芽っちダイジョブかなぁ(;゚Д゚)

 


 

 

 「ウヒョヒヒフフ…フヒヒヒヒャハッハハハ♪」

 

 赤く、紅く、朱く、緋いドレスを纏った金糸の髪を美しく飾った美女が奇声を挙げて身悶えている。

 なまじ、整端な顔立ちを持つが故にその行動と容姿のギャップが激しい。

 こんな残念極まる美女の名は【喜びのアドヴェリア】、宇宙監獄エデンで妖精の付き人を務める異星人にして喜怒哀楽の喜を司る【罪窩の四騎士】の一角である。

 哀を司る【哀しきブリューリテ】以外、出身惑星、種族が不明と言うのが罪窩の四騎士の特徴である。

 

 

 

 

 

 

 

 ━━浜松のとある場所

 

 浜名湖を挟んで現在ダグオン、ネプテューヌ一行、そしてアドヴェリアの騒動を眺める2つの影──否、1台と1匹。

 

 「あーあ、やっぱりこうなったんよ」

 「まぁ、あの女が降りて来ると分かっていた時点でな…ウン」

 1台の方は嘗てダグシャドーと激闘を演じた宇宙海賊オルゴンのメンバー、高速偵察諜報員(ハイウェイスパイ)アスクラ。そのビークル形態である。

 そして──

 

「ママ~!ペンギンがバイクに乗ってる~!!」

「凄いわね~。(何かのイベント告知かしら?)」

 

 アスクラに跨がる…跨がる?黄色いボディのゴーグルを掛けたペンギン、アスクラ同様オルゴンのメンバー──惑星文明研究員フリッジだ。

 このフリッジ、肩書こそ宇宙海賊に見合わぬ物であるが、傭兵時代、そして宇宙海賊転向後も戦場で略奪行為を働いている。

 曰く、死人から使えるモノ、価値あるモノを奪って何が悪い!との事だ。

 しかしオルゴンの中では比較的、戦場以外でも頭を使う側のメンバーなので未開の惑星文明には心が躍っているのも事実である。

 

 「なぁ、フリッジよぉ…お前さん、何でまた()()()()()()()()()()()()()?ウン?」

 アスクラが己の上に跨がる"そんなの"こと人間大のフンボルトペンギン形態のフリッジに語りかける。

 「可愛いだろ?ペンギン。それに副船だけ動物なんも寂しいし、マンモスとペンギンって相性良さそうじゃんよ」

 「副船長ボッチ扱いは止めろよな、ウン。にしても、あの女自重しねぇなぁ…ウン」

 フリッジを通して視覚野を共有しているアスクラはアドヴェリアの醜態に辟易する。

 

 「こんな辺境の星の現住生物を欲しがるなんて理解出来ないね。ウン。あ、攻撃された」

 「確かに辺境だがね、オラ的に地球人っつーのは中々稀有な生物だと思うんよ。原始的な理由で未だに同種同士で殺し合いしてる割に倫理観は殺人を忌避するわ、楽を求める為に苦労するわ、アレだけ一つの星に国家が反立して種として成り立ってんのはかなり珍しいと思うんよ。それこそ最初に挙げた殺し合い、アレも争いの為だけにあそこまで技術を歪に発展させられんのも凄いんよ」

 フリッジが珍しく彼なりの学者的観点を述べる。アスクラはマフラーから排気煙を大きく蒸かせ、そんなもんかねと溢す。

 

 「おろ、またまた攻撃喰らった。あのお嬢さん色々大丈夫なんかな?」

 「まぁいざとなればオイラ達が影ながら手を貸して助けてやろうや。ウン」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━━浜松市・浜名湖近辺自然公園

 

 「あべしっ?!」

 どこぞの世紀末救世主漫画に出てくるヤラレ役の様な悲鳴を挙げて大地の上に赤いドレスが転がる。

 

 「な、なんて…しぶとい野郎だ。いや女だしアマって言うのが正しいか!?」

 

 「そんな事はどうでも良い!いきなり現れ一人で勝手に興奮しては悶えていたから攻撃したが、何なんだコレは?」

 

 「美人だとか何だとか、そんな要素全てをダイナシにしてるよナ、このネェチャン。つか敵ダヨナ?コレ?」

 

 「……敵味方以前に邪気が強すぎて意味が解らん、悪意とは別の次元の邪気だ……」

 

 「何と言うか……まさか二度も無防備に攻撃にされるがままになるとは…逆に不安になりますね…」

 

 「そいでも生きとるようじゃから油断は禁物じゃ、生きとるよなコレ?」

 

 6人の戦士が攻撃を受け地面に倒れた女に対し各々の了見を述べながら構える。

 

 「おぉう……ダグオンのみんなフツーに攻撃してたけど、見た目メッチャ人間にしか見えなかったよ!?初めてこの世界で見たウチュウジンより人間ぽいのに!!」

 ネプテューヌは女が現れてからその奇行に唖然としながらもリュウの一言と言い知れぬ生理的嫌悪感諸々により外見の一切が人間と何ら変わり無いドレスの女ことアドヴェリアを容赦無く攻撃を加えたダグオン達に対し思わず叫ぶ。

 

 「いやでも……なぁ?」

 「ああ、何故だか躊躇ってはいかんと言う気がしたんじゃ…」

 エンとゲキが顔を見合せながらネプテューヌの発言に対し躊躇いがちに答える。

 

 「……何でしょうね?この、何と言いますか、今までの宇宙犯罪者達とは違った意味で危険性を感じる存在は?」

 「少なくとも、妹が感じた悪寒分は我々の攻撃は正当化されても良い筈だ」

 ヨクが未だにピクリとも動かないアドヴェリアを解析しながら歯切れ悪く溢す。

 カイは最早個人的な事情が見え隠れしていなくも無い、一応、由依と呼吹の手前結芽の名は伏せたが、彼の本能は一刻も速く結芽を連れて此処から去りたいと言う部分と、さっさとこの得体の知れぬ敵にトドメを刺し、出来る事ならば跡形も無く消し去ってしまいたいと言う感情で溢れていた。

 

 

 「くっはぁぁあ!!いけないいけない、詐欺師の不細工の護衛ついでに地球に降り、暇だからその辺散策していたらとんだ掘り出し物を見付けてついつい興奮してしまった…!」

 やけに説明的な科白と共にドレス姿で器用に飛び起きるアドヴェリア、その顔は先程の間抜け面とうって変わって美女全としている。口許の涎痕に目を瞑ればだが……。

 

 呼吹がそんなアドヴェリアを見て、次に由依に目を向ける。

 「お前、ウチュウジンの親戚なんて居たのかよ?」

 「呼吹さん?!何を言ってるんですか!!?」

 これには由依もツッコまざる負えない。最初は突如として現れた美女の異星人に荒魂討伐の邪魔をされた呼吹はイライラしていたし、由依もアドヴェリアの美貌に見惚れていたのではあるが、彼女の奇行には心持ちドン引きである。

 「まったく、失礼しちゃいますね。あたしだって弁える時は弁えますよ!人を節操の無い変態扱いしないでくださいよ」

 清香かミルヤが共にこの場に居れば何とも言えぬ顔をしたであろう事は想像に難くない。正にどの口が言うかである。

 「いや、お前も割りとあんなもんだよ…」

 呼吹が心底呆れたように呟く。七之里呼吹は荒魂さえ絡まなければ基本は常識的な刀使なのである。

 

 そんな刀使2人のやり取りを置いても、アドヴェリアの登場にはあらゆる意味で皆度胆を抜かれたと言う事だ。

 改めて、立ち上がったアドヴェリアが己が立つ戦場を俯瞰する。

 (ふむ、我等が邪魔者ダグオンに、我々とは違う異世界から来たとか言う連中、それに刀使、後は荒魂と虫ケラ。そしてそれはそれとして幼女!幼女が二人!!一人は正に天真爛漫でボーイッシュ感溢れ、でもそこはかと無く乙女心はある幼女!もう一人はフードに隠れてよくは顔が見えないけれど…あのもう少しで第二次性徴迎えますよ!後もう少しで子供から大人の階段の陛まで来てますよ的な正に熟れごろ食べ頃愛で頃な幼女!!ウヘヘヘ♪)

 俯瞰…していたのだが、最後の方は欲望に抗えなくなっている。

 

 「?!」 「…!!」

 

 そんな邪な想いを感じたか、ネプテューヌも結芽も背筋の辺りに悪寒が走る。

 そんな2人(ターゲット)の反応など知らんとばかりにエデンの中でも監獄主に迫る実力を持った残念美女は口を開く。

 

 「お、お、お、お嬢ちゃん達はいくつなのかしら?ハァハァ……(わたくしの力に恐れ慄けダグオン共!)」

 

 

 「へ……変態だーーーーーー!!?」

 

 建前を建前に出来ぬ程の我欲まみれな発言にネプテューヌが思わず叫ぶ。

 その表情は眼をぐるぐるにして目尻に涙を溜め、口を鳥のように菱形にした漫画の様である。

 

 「何なのかしらね…異世界、それも宇宙の彼方から来た存在にも性癖を隠さない人がいるのね……」

 リアスが偏頭痛に苛まれ額を押さえる。

 「やべぇ…何がヤバいって、おっぱいドラゴンとかケツ龍皇だとか、そんなレベルじゃ無いくらいヤバさ全開の変態が目の前に居ることがやべぇ…!」

 一誠、アドヴェリアのあまりにあんまりな奇行に何処からか謎の電波でも受けたのか平行世界の知識(義姉が存在しない世界)とでも言うべき科白を溢す。

 

 そしてネプテューヌ達がアドヴェリアに頭を抱える一方でダグオンと刀使達も、今までに無い敵の意味不明理解不能さに悩まされる。

 

 「あいつマジで危ないな…!」

 エンが今までに会った事の無い人種に自分の常識が崩れる音を聞く。

 「ウ~ン、顔、スタイル、声、オール100点SSSなのに凡そ全てを台無しにするあの性格…いや性癖か……ハァ~宇宙は広いねぇ、今回ばかりはオレもパスで」

 シンはアドヴェリアのあまりの酷さに匙を投げた。

 

 「……警察に突き出すか?」

 「流石にそれは……。それに彼女は宇宙人ですからむしろ僕達の方が捕まえる側ですよ?」

 リュウがアドヴェリアを見ながらトンチキな事を口走る。ヨクはそもそも自分達がその警察の立場であると真っ当な事を言うとリュウがあからさまに肩を下げた。

 どうやら彼程の人物であってもアドヴェリアの奇行は堪えたようだ。

 

 「あの女人、完全に御チビとねぷてゅーぬを狙っとるぞ!?」

 「何としても奴は此処で滅するべきだ!!」

 ゲキはアドヴェリアの視線が先程から結芽とネプテューヌに注がれ一向に動かない事に最近マシになっていた女性に対するトラウマがぶり返す心持ちになる。

 カイなど嘗てのライアンの様な事を公言しアドヴェリアに殺意剥き出しである。

 

 (過保護…) (過保護ダネぇ) (過保護ですね…まぁアレを見れば仕方無いかもしれませんが……) (…気持ちは理解出来る……) (ワシも妹が居たら分かるんじゃろうか?)

 カイ以外のメンバーは心中で結芽に対するカイの過保護ぶりに苦笑する。

 

 (かいしょーくんがどんどん過激になってる!?)

 (まぁ、ネプテューヌが絡んだ一誠も大体あんな感じよね)

 (一誠くんと違って普段真面目な彼の場合、色々とギャップがあるなぁ~……)

 

 「気持ち解るぜ!俺も姉ちゃんに悪い虫が居るからな!」

 「フッ、言ってくれる。俺をあんな変態と一緒くたにするなよ?それはそれとして奴は此処で滅ぼすと言うのは同意しよう」

 女性陣がカイの豹変ぶりに各々感想を述べる中、二天龍は何時の間にか神器の鎧を展開していた。

 「お前ら…大概仲良いよな…?」

 妙な所で気が合った赤と白の龍へヘラクレスはボソリと溢す。

 

 さてはて、ネプテューヌは兎も角として結芽の方はと言えば………。

 

 「12歳って言った方が良いのかな?おじさん?」

 『敵だろう。態々律儀に応対する義理は在るまい?』

 自らの手に握る相方と相談していた。

 故に変態の変態性を見くびっていた、今し方の少女と剣の会話を、その優れた聴力で聴き捉えたアドヴェリアは絶頂へ至る。

 

 「じゅ、じゅ12歳!!ふひひ…正にわたくしの予想通り!地球人が幼女から少女へ至る熟れ頃の年代!!嗚呼!神は此処に居た!さぁお嬢ちゃん!これ以上老けてしまう前にわたくしの元へ来て、永遠の若さのまま!余生を過ごさないかしら!!?」

 

 「やだ!」

 

 ──やだ! やだ! やだ! やだ!

 

 少女の飾らぬ本心からの拒絶が空に木霊する。

 結芽と拳を握り震えるカイ以外の皆がアドヴェリアへ顔を向ければ、ドレスの女はまるで超巨大な言葉の刃の矢印に貫かれたかの様に体を海老反りさせ痙攣していた。

 

 「殺す…!」

 

 ジェゲンガ星人フィメルを相手にした時同様…或いはそれ以上の怒りのオーラを立ち昇らせるターボカイ。

 蒼い疾風が音速を越え、光速を凌駕し、矢となってアドヴェリアへ迫る。

 

 

 「ホイールキックオォォォバァァァアロォォォォォォドォォォォオ!!」

 

 本来は刀使の迅移に対応する為の超高速移動機能をホイールキックに上乗せして、目の前の不埒者(度し難き変態)に喰らわせる。

 衝撃波が吹き荒れ、砂塵が舞い、大地に大きな亀裂が走る。

 

 「「「「「カイ…!?」」」」」

 

 「やべぇな青い奴めちゃくちゃキレてんじゃねぇか…」

 「はぇ~、あの女の子がよっぽど大事なんですね~。もしやあのフードの下は途轍もない美少女なのでは!?」

 呼吹がカイの怒りに引きながら怯んでいる傍ら、由依はフードを被って顔を隠す結芽に興味津々だ。

 

 そして砂塵が風で晴れる──

 

 「なっ…?!」

 青い戦士の驚愕の声が洩れる。

 

 「ひひ……ダグオン、随分とお冠のようですわねぇ?もしやあの幼じ…少女は身内なので?うふふ…だとしたら貴方の許可も要るかしらね?」

 アドヴェリアのスカートの上部が翼の様にその身を包む。

 カイの蹴りはその翼に阻まれた形となったのだ。

 「戯れ言を…!」

 即座に距離を取り、敵の間合いから退避するカイ。アドヴェリアはスカートの翼を元へ戻しゆっくりと上体を起こす。

 「さぁわたくしの目的の為に素敵なパーティー始めましょう?」

 その目は先までの変態のそれで無く、怜悧な殺人者のソレだ。

 喜びの罪窩はそのドレスと同様の紅き御刀を構える。

 

 「っ!やっぱアレは御刀か!!?」

 「ハァ?!どう言うこった?!何で宇宙人が御刀を使えんダヨ!!」

 アドヴェリアが持つ刀が御刀に相違無い事にエンが困惑を呈する。

 シンは何故御刀を宇宙人が振るう事が出来るのかと困惑するエンに詰め寄る。

 「判らねぇ!でも一つだけ確かなのはあの御刀はどの刀工の作品でも無いって事だけだ!!」

 「確かに、あの紅い独特の刃……どの資料にも該当する物はありませんね。ですがあの神性は間違い無く御刀の物、一体アレは何なんでしょうか……!」

 エンの言葉を受け解析を行ったヨクがアドヴェリアの持つ鳳凰に疑心を向ける。

 

 「フフフ…驚いている驚いている。まさかお前達も我々が御刀を持っているとは思わなかったようですわね?良いでしょう!その反応の愉快さに免じて我が愛刀の銘だけは教えてあげましょう!さぁ!良く聞き!良く見ると良いですわ!!我が御刀……"鳳凰"を!!!」

 

 紅い刃を女傑が振るう。その切っ先が振り下ろされる先は先程から一貫して本能の恐怖から身動ぎ出来ずに居た荒魂。

 鳳凰が荒魂に触れた瞬間、獣は炎に罷れその姿を変質させる。

 

 「……荒魂の姿が変わっていく…?!」

 リュウの言葉通り、炎に罷れた獣は段々と熔けてゆき、4つの影を為す。

 1つは獣の荒魂を一回り小さくし背面に翼を生やしたマンティコア。

 1つは蛇の如く細長い胴体に翼を生やしたケツァルコアトル。

 1つは人と同様の姿に右手が刃の様に鋭い天使を模した翼人。

 最後に、球体に翼が浮かぶ謎の物体。

 

 4つの異形がアドヴェリアを中心として一行の前に立ち阻かる。

 

 「ぁアっ?荒魂ちゃんか?アレ…」

 北谷で肩を叩きながら訝しげに荒魂の獣から別たれた4つの異形を見る。

 「ファインダーの反応は一応…荒魂を示してますね……」

 由依が左手の端末片手に右手で額に笠を作り注目する。

 「うーん、私達の世界でも強い敵に何でもアリなのが居たけど……荒魂も何でもアリなんだ…」

 ネプテューヌが分裂、増殖した荒魂に冷や汗を覚える。

 ネプテューヌは驚愕しているが戦力比で言えば、分裂した個体1つ1つは実の所最初の獣型より強くは無い。

 しかし問題は鳳凰によって増えた、その一点に尽きる。

 

 ──Syaaaaaaaaaa!

 

 蛇型荒魂(ケツァルコアトル)が呼吹に襲い掛かる。

 「ハッ!自分から飛び込んで来るなんて殊勝な荒魂ちゃんじゃねぇの!!まったくこれだから止められねぇ!愛してるぜぇぇえ!!」

 蛇型の咆哮に怯むこと無く迎え撃つ呼吹、二刀を手許で器用に操り荒魂をぶつ切りにする。

 「さぁ、次はどいつだぁ?!」

 剥き出しの犬歯、その笑顔を見てリアスとイリナが呼吹のイメージを固める。

 

 「あの娘……戦闘狂なのかしら?」

 「う~ん、さっきも荒魂を横取りするなって言ってたし性格に難がある娘なのかも…」

 

 その傍らでさり気に美少女2人の側に近寄っていた由依が叫ぶ。

 「呼吹さん!まだ終わってません!!?」

 

 「あっ?」

 

 由依の声に胡乱と共に振り返る呼吹、瞬間目に飛び込んだのはぶつ切りにされた筈の蛇型が再生し己に向かって牙を突き立てようとする所であった。

 (やべぇ?!躱せねぇ!?)

 沫やこれまで、そう思わず呼吹の脳裏に過った瞬間、吹雪と銃弾が蛇型を呑み込む。

 

 「シャッ!ギリギリセーフ!」

 「ですが、敵はまだ健在です!」

 シンがガッツポーズする横でヨクが声を荒げる。その言葉の通り、蛇型は即座に凍結から回復し銃弾に砕かれた身を再生させる。

 

 同じ様に、獅子型を相手取りドリルクラッシュで貫いたゲキが鬱陶しそうに声を挙げる。

 

 「だぁぁあ!!? また治ったぞ!何なんじゃコイツらはぁぁぁぁあ!!」

 「殴っても穴開けても治りやがる。面倒だな?!」

 ゲキと共に獅子型と対峙していたヘラクレスがげんなりとした感想を述べる。

 「ネメアの獅子を相手取るよりはマシだろう!貴公はそのままゲキのサポートをしてくれれば良い!」

 翼人型の剣と蹴りで渡り合うカイがヘラクレスを激昂する。

 「……球体と言うのは存外、厄介だな…!」

 シャドー手裏剣やクナイを弾かれたリュウが球体型に歯軋りする。

 

 「はーっはっはっは!どうだ?ダグオン!どうだ!異世界の迷い子!この鳳凰の力は!恐れいったか!!」

 「なろっ!てめぇを倒せば!!」

 高笑いするアドヴェリアにエンが肉薄するも炎の拳を鳳凰でいなす。

 「フフン、単純な奴め!わたくしを倒したからと言って、荒魂共が止まるとは限らんだろうに?ま、幼女と言う勝利の女神が居る以上、わたくしがお前達野蛮人に負ける道理は無いのだがな!あーっはっはっはっは!!」

 一々幼女どうこう口にしなければ強敵としての威厳があっただろうに、何とも締まらない。残念此処に極まれり。

 

 「誰が誰の女神だ!姉ちゃんはお前の女神じゃねぇよ!!」

 エンの後ろから赤龍帝の鎧を纏った一誠が拳を振り下ろす。

 籠手により強化、増幅されたその拳をドレスの翼で包み流す。

 その行動で出来た背後の隙を突こうと白龍皇の鎧で身を包んだヴァーリが半減をアドヴェリアに仕掛ける。

 「手応えがある。」 『どうやら奴には半減が効くようだ』

 「ふぬ?少し身体が気怠い?が、幼女の前には関係ない!欲を言えば幼い美少年も欲しい!具体的には地球換算で9歳くらいの!!」

 しかしトンチキな発言と共に白い閃光を蹴り上げる。

 「何っ?!くっ……!」

 『奴の力は確かに低下している…!だと言うのにこんな阿保な理屈で防がれるだと?!!』

 神器の中のアルビオンも敵のふざけた強さに苦言と文句を語ちる。

 

 「もう!こうなったらやっちゃうよ!」

 泥沼と化した戦況、それを打破する為にネプテューヌが手札を切った。

 

 「刮目せよ~!女神の力!へ~んし~ん!!」

 ネプテューヌが光に包まれ白と紫のツートーンカラーを思わせる服が消える。

 そしてどういう原理か不明だが、小学生並みの身長から等身が伸び、女性のソレへと変貌する。

 

 「パープルハート、見参!」

 

 光が晴れた場所には身体にピッタリとフィットした黒い近未来的なスーツと装甲を纏い、所々肌を露出させた、些か刺激的な格好の濃い紫の髪の一部を後ろ手に三つ編み状に纏めた怜悧な女性が立っていた。

 

 「は?」 「何だと?!」 「ウソん…」 「これは…驚きました…」 「……魔法少女と言う奴か…?」 「おおう、何ぞ鞭を振るいそうなオナゴになりおった!!?」

 ダグオン達は突如として姿を大きく変えたネプテューヌに目を丸くする。取り敢えずゲキが溢した鞭云々は別の女神であるので彼女は無関係だ。

 

 「うひょ~!?チビッ子元気美少女がとてもステキなお姉さまになりましたよ?!是非ともお近づきに!!」

 「アホか!?状況を考えろ!!」

 由依が一連のネプテューヌの変貌に遂に溢れた欲求に従い動こうとするのを、呼吹が制服の首根っこを掴んで無理矢理制する。

 

 「ネプおねーさん綺麗~。私も変身出来ないかなぁ」

 『あの者は女神とか言う特別な存在なのだろう?それにお前は人間だ、ゆっくり大きくなれ』

 結芽が溢した言葉に父性をちょくちょく見せるライアンが諫める。

 そして、ネプテューヌが女神パープルハートへと変貌した事に何より驚いている者が此処に居た。

 

 

 

「はっ?」

 

 

 "喜び"のアドヴェリアである。

 ドレスの女は固まる。それにつられるかの様に鳳凰で別たれた荒魂達も動きを止める。

 

 「は?」

 先程洩らしたドスの効いた声と同じ言葉を今度は小さく口にする。

 

 「いや、ちょっと……ちょっと待って、ちょっと待って下さいませ!確かに女神とは言いましたわよ?言いました、でも…は?え?ちょっと?何で?何で…………………………」

 わなわな震え始めるアドヴェリア、ソレは結芽の年齢を耳敏く聴いた時のような歓喜の震えでは無く、怒気が隠った憤慨のモノである。

 

 「何で…どうして……成長しくさって下さいやがりましたの?!このド糞ヴィッチがぁァァァァァァぁアアアアアア!!?!!」

 

 絶叫が空気を震わせる。大気が揺れ辺りの人物全てがポカンとしてしまう。そう、変身した張本人さえも。

 

 「え?」

 パープルハートも敵の反応が予想外であった事と何故か謂れも無くビッチと中傷された事で思考が停止する。

 アドヴェリアはそんなパープルハートに目もくれずに頭を抱え怒りに悶える。

 

 「あああ!!?嗚呼!!何と言う…何と言う悲劇!!幼女が成長しくさってしまうだなんて!!これを悲劇と言わず何と呼べば良いのでしょうか!!?」

 

 エン、赤龍帝鎧一誠、白龍皇鎧ヴァーリが目の前に居るにも関わらず、そんな事は関係無しに地団駄を踏むアドヴェリア。正直隙だらけである。

 その無防備な姿に今まで傍観者に徹して居たライザーが取り敢えず、何と無しに自身の最大量の魔力を込めた炎撃を放つ。

 

 「畜生ですわ!こん畜しょ…あづぅぅぅぅうう゛?!」

 当然防御すら疎かになっていたアドヴェリアに直撃し彼女は熱さに身悶え転がる。

 そして勢いで鳳凰を手離してしまう。するとどういう訳か、別たれた荒魂達に変化が現れ、その身はドロドロと今度は熔けるのでは無く、溶けてゆく。

 そのまま手摺を器用に転がりながら越え、湖に落ちる赤いドレスの女。

 

 「あ?荒魂ちゃん達が溶けちまった…」

 

 「まさか…彼女が御刀を手離したから…?」

 呼吹とヨクが荒魂の変化に目敏く反応する。ヨクは更にアドヴェリアが御刀を手離してから現象が起きた事に思考を巡らせる。

 

 「うぅ……おのれ…!卑怯にもわたくしを惑わせ欺いたばかりか、不意討ちまでするとは…!それでも宇宙警察の関係者か!!?」

 水辺より這い出し、合金性の手摺をに掴まり身体を持上げ地上に復帰するアドヴェリア、ドレスも髪もずぶ濡れである。

 

 「いや、俺はダグなんちゃらの関係者じゃ無いし……」

 ライザーが思わず呟く。

 

 「お前犯罪者じゃねぇか、そんな奴に卑怯とか言われたくねぇ…」

 エンが呆れ気味に反論する。

 

 「そもそも戦場で卑怯もクソも無いだろうに」

 ヴァーリも興が削がれた形となり嘆息する。

 

 「くっ…荒魂も最早使い物にならない……。幼女が減ってやる気も削がれてしまった。口惜しいが此処までとしておきましょう、さらば!」

 

 「あっ!待て逃がすか!!姉ちゃんをビッチ呼ばわりしたの訂正しろ!」

 

 「誰が訂正するものか!!このヴィッチ!売女!淫乱!詐欺!婆ぁ!13歳より上は老いぼれと動議なんですのよ!!」

 

 「ええいっ!!奴を逃がせばまた妹に要らんちょっかいを出すに決まっている!!この場で倒すぞ!!」

 

 逃げるアドヴェリアに一誠が先程アドヴェリアが洩らした暴言を訂正しろと抗議しながら追跡し、カイも同調して追従する。

 

 「カイ!御刀を回収して下さい!!」

 ヨクが叫ぶもカイは聞く耳を持っていない。

 「しゃーない!俺が!」

 エンが一誠、カイに遅れてアドヴェリア…延いては御刀鳳凰の元へ走る。

 

 

 

 「あー、それは困るね。ウン」

 「激しく同意するんよね」

 しかしアドヴェリア、鳳凰と一誠、カイ、エンとの間に新たな声と影が割り込み爆煙が辺りを包む。

 

 「な、何だ!!?」

 「煙幕?!新手か!?」

 「御刀が!!?」

 3人が慌てふためき足を止める。

 「……今の声は…?!」

 リュウは聞き覚えのある声に新たな乱入者の正体にアタリを着ける。

 「…そこっ!」

 声と影からおおよその位置を割り出し手裏剣を投げるが短い金属音が鳴るだけで手応えらしいモノは無い。黒煙が晴れた後の場所にはアドヴェリアの姿もアスクラともう1人の姿も、御刀鳳凰も無かった。

 

 「逃げられたかっ!」

 「のヤロー、次に会ったら絶対訂正させる!!」

 悔しがるカイと一誠、戦場となった自然公園にはダグオン達、ネプテューヌ一行、呼吹、由依、ライザー、そして待避しながらも何が何だか分からないと言う顔の警官達と爆発と衝撃波でひび割れた大地に沈むノロだけが残されたのであった。

 

続く

 


 

 次回予告(BGM:We are DAGWON)

 

 いやぁ、スゴかったですね呼吹さん!あの宇宙美女の美しさとそれを置き去りにするインパクトの濃さ。

 

 やっぱアレお前の親戚かなんかだろ?お前よか酷いけど…。

 

 いやですね~、あたしはあそこまで変態じゃ無いですよ?可愛い女の子なら誰でもウェルカム、美人なお姉さまならお近づきになりたいってだけです!

 

 同じようなもんだろ……、っておい!何やってんだ!!?

 

 それは勿論!あそこにいるお姉さま方とお知り合いに!それに本部長も言ってたじゃないですか!異世界の人を本部に連れて来いって。

 

 あー…めんどくせぇ。

 

 次回、"刀使ノ指令ダグオン"

 変態は終わらない。オカ研、刀剣類管理局へ

 

 素晴らしいお山ですよコォルェワ!!ウェッヘッヘッヘ♪




 と言う訳で、新キャラフリッジ登場。モチーフは勿論トランスフォーマーシリーズから。

 鳳凰の能力はアレ、異星人が手にした時限定の能力ですので刀使が振るっても能力が高いだけの御刀です。
 いや使い手をほぼ選ばないので刀使からしたら手が出る程欲しい物ですけど。

 読者の方々はエデン囚人でお気に入りのキャラとか居ますかね?
 私自身はまぁ甲冑もとい引き籠りの傀儡宇宙人の少年が気に入っているので散り様を考えるのが楽しみです。
 
 とじみことラピライの同人誌って少ないですよねぇ。

 ではま次回
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