刀使ノ指令ダグオン   作:ダグライダー

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 こんばんは。大分久し振りになりました。

 この回幾つかプロットを練っては消して書いて消して書いてしてたんですが…ゴールデンウィーク全て仕事浸けになった為、かなり遅れました。

 それはそれとして天華百剣は欠かさずログインして四周年記念無料ガチャを回して新しい巫剣をゲットしたり、アイプロで博士やナターリアを愛でたりウミサンの新たな魅力を知ったり世界レベルに笑わせて貰ったりもしてました。



第八十七話 別たれた戦士達!新たなる一手。

 

 前回の"刀使ノ指令ダグオン"

 

 うん?何だ貴様、これを俺に読めと……?

 チッ、レイヴェルの手前、無下にする訳にはいかんか…。

 

 宇宙監獄エデンの凶悪な宇宙人達が異世界から地球に侵略を開始した!

 立体交差平行世界管理上位超次元生命体アルファと宇宙警察機構の宇宙人ブレイブ星人は地球の平和を守る為に五人の高校生にスーパーパワーを与える。

 力を与えた勇者達、その名はダグオン!

 彼等は新たな仲間ドリルゲキを加え、異世界の異邦人達と共に地球の為に戦う!!

 

 これで文句無いだろう? …何?!別パターンも収録したいからもっと読めだと!!?

 


 

 ━━月衛星軌道上

 

 『良かったのか?要請があったとは言え、ダグオン共を奴の作品の材料があった場所に飛ばしてしまって』

 漆黒の新幹線が牽引する貨物車輌に同乗する者へ疑問と共に訊ねる。

 それは地球で起きた戦いに関する事を何処か批難めいてもいるように聴こえる。

 

 「無論、良い。彼奴がそう指示したのだからな。それで例えご自慢のキャンパスが狂わされたとて、此方(こなた)の責任ではない、何故ならば飛ばす先までは事細く指示されてはおらぬのだから。それに今まで奴の我儘に付き合ってやったのだ、ここからは此方(こなた)が好き勝手しても文句はあるまい」

 

 『成る程…お主も鬱憤が溜まっていたのか……まぁ傀儡宇宙人も乱入した今、律儀に協力し続ける必要も無いか』

 修道女の言葉に得心いったのか、これ以上の追及を止めるJーエース。

 囚人同士の協定関係など、ふとした切っ掛けで容易く途切れる存在なのだ。

 『エデンの方も色々と騒がしくなっているだろうな……』

 乱入した傀儡宇宙人の暴挙にエデンで一波乱起きると予想しJーエースは地球の観測に戻るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━━駒王町山北町境・異星人対策本部テント

 

 5人の勇者が数人を刀使と異邦人と共に空間の穴に吸い込まれ別の場所へと飛ばされて数時間。

 前線の拠点となった対策本部のテントに1人の戦士が帰還した。

 その気配に気付いたアーサー、イリナ、舞衣が戦士を出迎える。

 

 「何かあった様だなドリルゲキ」

 

 「あれ?みんなはどうしたの?」

 

 「ゲキさん?」

 

 三者が黒い勇者に声を掛ける中、清香も遅れてテントから外に出る。

 丁度そのタイミングで黒鉄の勇者は拳を力一杯握りながら悔し気に口を開く。

 

 「作戦は失敗じゃ。敵の邪魔が予想以上だった…、特に、首魁と思われる星人は倒しても倒しても復活する。恐らくは本体が別に居るんじゃ無いかと思う……が、ワシではこれ以上は解らん!ヨクが居れば違ったんじゃが…兎も角、此処も危ないかもしれん、一度撤退して対策を建てる必要がある」

 まずは結果と作戦にて判明した事を語るゲキ、次いでバイザー越しに清香に視線をチラリと向けながら姿の無いメンバーの事を説明する。

 「それと…他の皆じゃが……突然現れた奇妙な穴に吸い込まれちまった。ワシはこのダグテクターの特性で難を逃れたが、皆が何処に行ったのかまでは分からん。故にワシは基地に戻る。何か分かればペンドラゴンか紫藤に連絡する。ではな」

 口惜しそうに説明しながらアーサーとイリナに軽く顔を向け目配せの様な動作をし後を任せるゲキ。バックルのスターシンボルを弄りその場でダグベースへと帰還した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━━ダグベース・オーダールーム

 

 「おっかえり~!ってそんな場合じゃ無さそうぢゃん」

 ダグベースへと帰還し、オーダールームに顔を出して真っ先に撃鉄に声を掛けたのは今時のギャルそのままの姿の少女…に見える上位生命体ゼータ。

 

 「お主か、アルファの奴めはまだ隠っておるのか」

 「そーなんだよねぇ、ギアっちまで付き合わせてめっちゃ作業してるけど進捗ヤバめみたい。そんで代わりに教えとくけど、急な転移現象で今はみんなと連絡付かない感じ」

 姿を見せない少年の代わりにこの場で管制を引き受けるゼータが何処かに飛ばされた仲間達の状況を教えてくれる。

 

 「うぅむ、ならばワシはどうしたものか……」

 自発的に動こうにも駒王町に居座ったアーテシャン星人は本体を見付けねば何度も復活してしまうし、参謀を務める戒将や頭脳派の翼沙と連絡が取れない以上、下手に動く訳にも行かない。

 

 「う~ん悩んでる鉄ちゃんには悪いんだけど、悪い報せってがあります。聞く?」

 

 「おぉう、そこは普通…良い報せと悪い報せ両方あるんじゃなかろうか!?」

 

 ギャルギャルした見た目の割りにアルファに比べてえらく真っ当な管理者の言葉に眉間に皴寄せしながらツッコミを入れる撃鉄。

 

 「そんで…悪い報せとやらは何じゃ?」

 「あの街を覆ってる光の壁、かなーーーーーりゆっくりだけど徐々に広がってんだよね~。マジヤバくね?」

 「ぬぅ……ゆっくりと言うがどの程度じゃ?それ如何によってはワシも皆を待たず動く必要がある」

 ゼータが告げた事実に腕を組んで困った顔をしながらも、取り敢えずどの程度の物かと訊ねる。

 

 「一時間に10cm。それも現れた時からだから今は結構な範囲壁の中に呑み込まれてるっぽい」

 

 「はー、なるほど…あの時覚えた違和感はそれか!うむ、広がっていたのなら道理ではあるな。しかし、うーむそうなるとどう動くべきか……」

 良い案などてんで無い撃鉄は椅子に腰掛け突っ伏すと唸り始める。

 

 そうしてかれこれ8時間程頭を悩ませていると、ピーピーと独特な高音のアラートがオーダールームに響き渡る。

 

 「ぬぉ?!」

 

 「はいはい。出るよ出るよ~」

 

 半ば眠りこけていた撃鉄と違い、今の今までメンバー各員の行方を探っていたゼータが応答を摂る。

 

 『ゼータか』

 「かいちん!無事だったんだ!っと、他にも通信が入った系……これ多分エンピッピとシンちゃんとばっしゃとリュウくんぽい気」

 『ならば相互リンク通信を頼む。皆の現状を把握しておきたい』

 「おけおけ」

 通信越しの指示に従い、コンソールを軽快に叩くゼータ。

 それによりエン、カイ、シン、ヨク、リュウとの通信が繋がり、互いのやり取りも可能となる。

 

 『お、これ今みんなと繋がったのか?』

 『その様です。一応訊ねておきますが…きっちり僕達だけのプライベート通信にしていますね?』

 『そりゃ、異世界の連中はトモカク…カワイコチャン達に聴かせるワケにいかねぇしな』

 『……撃鉄も其処に居るのか…』

 「おう、おるわい」

 モニターに映っている訳でも無いのに手を挙げ応じる撃鉄。

 

 『先ずは我々の状況を報告しよう。俺と結芽…他飛ばされた者達が出たのはエジプトだった』

 『俺はあれだ!ヨーロッパの凱旋門があるトコだ!』

 『フランスじゃネーか!国の名前くらい憶えとけバカ』

 『んだと馬鹿!』

 

 『ヤるか?!』『何おう!』

 

 『脱線していますよ。因みに僕達はニュージーランドです』

 『…俺はブラジル…だろうな、発音から察するに…』

 途中、エンとシンが顔も見えずに喧嘩を始めたが、ヨクが話の軌道を戻し、リュウもまた己が現在地を報告する。

 

 「見事に全員バラバラじゃ。こっちはお主らが消えた事もあり撤退するハメになったわい」

 『だろうな。あのまま残ったとしても敵の本体が見付からなければ永遠に鼬ごっこだ。それで何か解ったのか?』

 撃鉄が腕を組みながらあの後の事をボヤけばカイも妥当な判断だと同意しながら、撤退後に何か新事実が判明したかを問う。

 

 「あー、なんちゅうかのう…」

 『どうした?』

 『何かあったんですか?』

 歯切れの悪い撃鉄にカイ、ヨクが訝しむ。一頻り唸った後、説明が面倒になったのか同席しているゼータに説明を投げる。

 

 「任せた!」

 「オケ!」

 二つ返事で嫌な顔1つせず引き受けるゼータ。彼女はもう少し躊躇した方が良い。

 

 「じゃ、タンチョで結論言うけど、あの壁段々広がってんの。ちょーゆっくりだけどほっとくとヤバい感じ」

 

 『『……』』

 

 『マジか!ヤベェな!』

 『やっぱ早く帰って倒さねぇと!』

 『……しかし策も無く再び相間見えたとて、先の二の舞になるだけだ……』

 黙り混む頭脳陣に対し、エンとシンは状況を理解していのかしていないのかと言える反応を返し、リュウはリュウで敵の厄介な性質を攻略しなければ再び戦闘になっても無意味だと証する。

 「ちょまち!みんな今居る場所調べてちょ」

 『何かあるのか?』

 「みんながトばされた所…多分、宇宙人が何か仕掛けたかもしんない」

 『『『『『!?』』』』』

 「そんで、まだ確定じゃない系だけどその仕掛けを壊したらもしかしたら壁何とかなるんじゃね?的な」

 

 『……手掛かりが無い以上僅かな糸とは言え…掴んでみるのも手ではないか…?』

 『ふむ…確める価値はあるか。その仕掛けとやらのポイントは我々が居る国だけか?』

 「他はアメリカ、イギリス、ロシア、中国、タイ、オーストラリア、チリ、インド、イタリア、んで京都」

 

 「ん?京都?!」

 ゼータによって列挙される国々に混じって最後に告げられた都市の名に撃鉄が思わず反応する。

 「ん、京都」

 『法則が解らんな』

 『無いんじゃネーの?』

 『或いはそうかもしれません。あの異星人は芸術と、己の行いを称していましたから』

 『……ならば方針は決まったんじゃないか?』

 『俺らが世界中で宇宙人の仕掛けを壊して、撃鉄が京都の仕掛けを壊す。そんで決まりだ!』

 

 『……。まぁそうだな、今は敵の動機どうこうでは無く、一刻も早く事態を収終させる事が専決か。頼めるか?』

 「おうよ!この国の事は任せろい!!」

 方針がはっきりした為か顔にやる気が戻った撃鉄が吼える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━━京都

 

 「と言う訳でやって来たぞ京都に!」

 翌日京都に降り立った番長ルック。側にはイリナとアーサー、更にはロスヴァイセと言う布陣である。

 

 「でも良かったの?刀使の子達に話しておかなくて」

 ラフな格好のツインテール少女が番唐男に首を傾げる。

 

 「まぁ、情報が不確定じゃからな。人海戦術は効果的だが……刀剣類管理局…伍箇伝は人手をそこまで割けん。だからと言って他の警察組織に委託も出来ん。京都は広いが、府都一つならばワシらでも事足りるとカイ…戒将が言っとったわ」

 撃鉄が学帽を被り直しながらイリナ達に言い聞かせる。

 

 「あの、それで…私はご一緒しても宜しいのでしょうか?」

 銀髪を揺らしロスヴァイセが申し訳無さそうに手を挙げる。

 

 「戦力は多いに越した事は無い。そう言う事だね」

 「うむ。聞くところによればロスヴァイセ嬢は優秀な魔法を使う戦乙女だとか。ならば今現在動かせる戦力が少ないワシらからすればお主は有難い戦力じゃ」

 「そう言う事でしたら…微力ですが頑張ります!」

 

 アーサー、撃鉄の言葉を受け小さく拳を握り上げるロスヴァイセ。

 撃鉄は思い出した様にとある事を告げる。

 

 「お、そうそう。此処にも……と言うか今は平城、ウチの五條学長がお主らの世界の者らしき少女を保護しとるそうじゃ」

 

 「「「!?」」」

 

 「ダグオンとしての目的は伏せたまま、あらかじめ学長に確認を取った。つう訳でワシらの表向きの京都来訪はその少女がお主らと面識があるかどうかを確かめる、と言う事になる。待ち合わせは伏見稲荷じゃ、時間に余裕もある。行掛けの駄賃と言う訳ではないが観光に託つけ宇宙人の仕掛けとやらも探すっつう訳じゃ」

 腕時計を確めながら一連の方針の詳細を語る撃鉄。財布を取り出し、頭の中で算盤を弾きながらバスを使うかタクシーを使うかを考える。

 

 「いやいやいや、ちょっと待って!色々一気に情報が押し寄せて混乱してるんだけど!?ちょっと…ホンのちょっと思考を纏める時間を下さい!」

 一応撃鉄の方が年上なので最後に敬語になるイリナ、蟀谷を指で抑えながら言われた情報を整理している。

 

 「構わんが、移動しながらでも出来んかのう?最初は取り敢えずタクシーを使う事にしたんでのう。悩むなら車内で存分にやっとくれ」

 そう言って駅前のタクシー乗り場へ向かう撃鉄。特に気にせず後に続くアーサー、イリナに同情的な視線を向けながらも自らも彼等の後を追従するロスヴァイセ。

 慌ててイリナも後を追う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━━京都の山奥の何処か

 

 「スンスン……匂う…匂うなぁ、芳醇な若さの香り…居る。この地にわたくしが求める幼き存在がっ!!」

 

 「お前は何をほざいているのかな?ウン。常々頭のおかしな女だとは思ってたけど……遂に完全にイカれた…………いや元からイカれてたなウン」

 

 人気の無い山の一部には不釣り合いな深紅のドレスの女が口走った言葉に隣でエンジンを蒸かせる鋼鉄の鉄騎が呆れた様に唸る。

 

 「と言うかお前さん、エデンに戻らなくて良いのか?ウン」

 

 「このまま幼女か美幼年の一人でも持ち帰らず帰ったら、あの方に申し訳が立たんだろう」

 「いや、あの妖精っ子は別に求めて無いだろ?!」

 

 「ともかく!わたくしは行く!我が望みの為、あの方の心を充たす為、そして全ての幼き存在の為!」

 

 「もうお前それ殆ど私用じゃん?私欲以外の何モノでもないよな!!?ウン!?」

 

 「ふん、わたくしの高尚な趣味を理解しろとは言わないが、邪魔だけはするなよ!!」

 

 「しねぇよ!ウン」

 

 ドレスの女──"喜び"のアドヴェリアが山間森林の中に消える。

 残された鋼鉄の騎馬はライトを明滅させながら彼女が消えた方向とは別の方へと消えるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━━京都・伏見稲荷大社

 

 鳥居を潜り、階段を登り、本殿宇迦之御魂大神に到着した撃鉄一行。

 

 「結局道中は仕掛けは見つからなんだ…しかし、うむ、やはり神社は良いのう…こう、気が引き締まる感じがする」

 

 「それは良いけど、どうして京都に私たちの世界の誰かが居るって知ってるの?」

 イリナが素朴な疑問を口に出す。

 

 「なに、以前食堂で話した時は京都の方はその何某が少々情緒が不安定だったらしくな。比較的問題無しと踏んだ二人…レイヴェル嬢とロスヴァイセ嬢の事を優先したらしい。ま、ワシらも後で知ったんじゃがな!」

 

 「ふんふん。それで?」

 

 「五條学長から保護した者がやっと落ち着いたとあって保護した京都で合流と相成った訳じゃ」

 

 「だが五條学長とは平城…奈良の学院なのだろう?ここは京都なのだから綾小路で保護されるのが妥当ではないかな?」

 次いでアーサーが当然の疑問を挟む。

 

 「そこはワシも詳しくは知らん。ただ、龍悟曰く、どうにも最近綾小路がキナ臭いらしい。機会があれば戒将達協力の元潜入するとか言うとった」

 

 「そこは彼等に頼む訳じゃないんですね」

 ロスヴァイセが目尻を引き吊らせながら苦笑する。

 

 「まぁ龍悟なりの矜持があるらしいからのう……と、居おった。おーい、学長ーー!お待たせしもうした!!」

 

 目的の人物達を探し彷徨いていた一行は本殿の裏手側にて談笑していた妙齢な着物の女性と子供服を着て帽子を被った幼女が居た。

 

 「あのちっこいのが此処で見付かった異世界人か。どうじゃお主らの知り合いか?」

 駆け寄る前に傍にて同じ様に眺める3人へ訊ねる。

 

 「もしかして……九重ちゃんかしら?」

 イリナが答え、知人と確認した撃鉄はでは行こうかと再びいろは達へと歩み始める。

 

 

 

 「よぉ来てくれはったね。でもまさか田中くんが来はるなんてなぁ。連絡受けた時は驚いたわ~」

 どちらかと言えば京訛りに近い関西弁で一行を迎い入れるいろは。

 隣の九重なる少女は最初こそいろはの後ろに隠れていたが見知った顔を見付けた為、その服に隠れた幼い双房を張り大仰な態度で名を名乗る。

 

 「よくぞ迎えにきた!そしてそこの大男は初めましてじゃの!わたしは九重じゃ」

 

 (小さいのう。しかし喋り方が……何だったか?そうのじゃロリとか言うヤツか)

 ドヤふんすと表現出来る表情を浮かべる九重の口調に撃鉄は顎に手を宛て黙考する。

 

 「それじゃ九重ちゃん、知り合いの子ぉ達も来たようやし、此処でお別れやね~」

 「う、うむ。──今までお世話になりました。このご恩は絶対に忘れません」

 別れを告げるいろはに佇まいを直し、綺麗にお辞儀をする九重。狐色の短めの髪が微風に揺れる。

 

 「そんな畏まらんでもええんやけど…でもそやね、これが最後になるやもんなぁ…此方こそとても楽しく過ごせました。ありがとうな」

 いろはもまた綺麗にお辞儀を返す。そして頭を上げ撃鉄達に顔を向けると微笑んでいる様な細めた瞳で一行を一望し口を開く。

 

 「ほんならうちはこれでお暇するわ。田中くん、龍悟くんに会ったら宜しく言っとったってな」

 軽く手を振り撃鉄に伝言を告げ大社を後にする。

 九重はそんないろはの背中が見えなくなるまで手を振り続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「さて、件の人物とも合流を果たしたし後は宇宙人の仕掛けを改めて探すとするかのう!」

 いろはが去った後、伏見稲荷大社に到るまでに回った際にそれらしき仕掛けを見付けられなかった事から撃鉄は改めて奮起の為にもと声を上げる。

 その時であった、奴が現れたのは───

 

 

 

 幼女キタコレーーーーーー!!

 

 

 ともすれば気でも狂った変人の戯言でしかない発言。しかしそれを言い放った人物は空から降ってきた上に紅いドレスに身を包んで手には刀を持っているのだから大社にいた観光客は唖然としてしまう。

 

 「ぬぅ…彼奴は!?」

 

 「もしかしてアレがネプテューヌや一誠君が言ってた?!」

 

 「……何か、こう…色々と酷いな。何がとは言わないが」

 

 「警察は……駄目なんですよね?」

 

 「ひぅっ?!何じゃあヤツは?!こう…何かエタイが知れない悪寒がするのじゃ?!!」

 

 撃鉄が現れた存在に仰け反り、イリナ達が敵対心よりも嫌悪感からの警戒心を覚える中、狐色の幼女は謎の女の発言に全身鳥肌を立て戦慄する。

 

 「幼女以外要らん!来たれシードトルーパー!!」

 アドヴェリアの号令に石畳を突き破り植物の様な異星人達が生えてくる。

 

 それに伴いやっと危険を理解した参拝客や観光客達が蜘蛛の子を散らす様に逃げ出す。

 

 「んん?貴様らは何故逃げない。そして幼女は可愛いなぁ~」

 一通り人間が消えた事を確認したアドヴェリア、しかし其処で初めて九重の傍に数人の人間が居る事に気付き首を傾げ、しかし数秒後には九重以外の存在を視界からシャットアウトした。

 

 「此奴……ちびっこ以外目に映っておらぬのか?!」

 

 「変態だわ…!」

 「度し難いな」

 「宇宙人ってこんなのばかりなんですか?!」

 あまりにも悪い意味でぶっ飛んだインパクトの異星人に三者三様の忌避の言葉を吐いてしまう。

 

 「ええい、どうあれちびっこは渡さん。幸いにして人気も無くなった事だ、ワシらだけでやるぞ!トライダグオン!」

 

 ダグコマンダーをスライドさせ学ランの大男は黒鉄の装甲に身を包む。

 

 

 「ドリルゥゲキッ!喰らえドリルナッコォォオ!」

 

 「む!?ダグオンだと?!貴様何処から現れた!!へヴぉあ?!!」

 

 アドヴェリア、先程認識していた存在を本当に頭の隅から追いやっていたが為にゲキの出現に心の底から驚愕している。

 そして見事ゲキの右拳が顔面にヒットした。

 

 「最初から居ったわい!」

 

 「ちょ…いくら変態で宇宙人だからって、見た目人間と大差無い女の人の顔を躊躇無く殴る?」

 イリナがゲキの思い切りの良さに軽く引いているが構わずゲキは胸の水晶体からロックバスターを放ち追い打ちを掛ける。

 

 「あれは放って置くと害悪にしかならん!性別に拘っていては色々と取り返しが着かなくなるぞ!そもそも彼奴ら宇宙の犯罪者じゃ!!」

 

 吼えるゲキの言い分に言われてみればそうかと納得するイリナ達。九重をロスヴァイセが庇いつつイリナとアーサーもシード星人の兵達に立ち向かって行く。

 

 「お、おのれ……またしても邪魔を…!荒魂…は、っち、この近辺は何故か居ない!仕方無いわたくし自らが相手をしてやろう」

 当然であるが京都一帯の荒魂は綾小路の刀使達が優先して排除しているのでアドヴェリアが鳳凰の能力を発揮する事は出来ない。

 とても渋々と言った顔でゲキを迎え討たんとドレスのスカートの一層目が翼の如く開き戦闘体制となる。

 

 「そいつが例の鬱陶しい盾になる羽スカートか!ワシの拳で砕いちゃるわ!!」

 

 「抜かせ!わたくしのスカートフェザーが貴様に貫けるものか!!」

 

 ゲキの鉄拳がアドヴェリアの翼の羽を叩く。しかし拳打の衝撃は羽を伝い、威力を別方向へと流される。

 

 「ふふん!どうだ、これが我が深紅の装いスカーレットフェザーのスカートフェザーよ」

 

 「フェザーフェザーしつこいんじゃい!」

 

 自慢気に己のドレスを称えながら鳳凰をゲキに振り下ろすアドヴェリア。

 それを腕のドリル状の装甲で受け止めるゲキはアドヴェリアの発言に噛み付きながら対処方を考える。

 

 (ようは打撃の威力を殺されるのが問題なんじゃ。んならここは組技で攻める)

 

 左で受けた鳳凰を弾き、左脚を僅かに落としキャタピラを回転させ土埃を上げる。

 

 「目眩ましとはアジな真似を!だが退いたとて我がドレスを攻略するには至らない!」

 「誰が退くものかよ!ワシゃあタイマンの喧嘩にゃあ逃げん!」

 土埃から口元を庇うアドヴェリアの真後ろからゲキの声が聴こえる。

 何時の間にやらドレスの女の背後に回った黒鉄の戦士は彼女の腰をホールドし持ち上げるとそのまま腰を落として叩き付ける。

 一種のドロップ技だが打ち付けるのは自分の膝にではなく、砕けた石畳にだ。

 

 「舐めるな!」

 

 が、そこはアドヴェリアとて無抵抗ではない。スカートの翼を浮いた臀部の間に滑り込ませ、技の威力を殺す。

 

 (無論予期していたわい!)

 

 半ば膝立ちのゲキは今度は両脚のキャタピラを急速回転させてその勢いで立ち上がり、ホールドを維持したままエビ反りになりジャーマンスープレックスに繋げる。

 

 「何っ?!ヴぉっ?!」

 

 あまりにもスムーズな技の移行にアドヴェリアも一瞬思考が白くなり、今度ばかりは頭部への衝撃を翼で防ぐ事が出来ない。

 

 「コイツはオマケじゃい!」

 

 更にスープレックス状態のまま無防備な背中にロックバスターを喰らわせるゲキ。ダメージがアドヴェリアに伝わる瞬間を見越し、絶妙なタイミングでホールドを解除する。

 

 「……っ!…ぁ!?」

 

 白目を向き絶句しながら転がるアドヴェリア。御刀鳳凰を離さない精神力だけは大したものである。

 

 「どんなもんじゃい!」

 

 大きくガッツポーズを取り、己を誇示するゲキ。灰塵の向こうに転がるアドヴェリアは頭部へのダメージと背中の火傷で満身創痍となっている。

 

 「ぐぐぅ……おのれ…ダグオン一人だけと甘く見ていたか……わたくしがここまでダメージを喰らうとは……こうなれば意地でも幼女に癒して貰わねば……」

 

 この女、ブレない。

 

 「まだ言うか!キャタピラドロップキィィィックッ!!」

 

 「ハボッ!?」

 

 「ドリルコブラツイストォォ!」

 

 「アギュ??!」

 

 「直伝!ブレーンバスター!!」

 

 「ボンペティ!?」

 

 視界不良の中跳んでくる黒い槍の様な両足跳び蹴り。からの組み込んでのアバラ折り。トドメの直下脳天砕きにドレスの美女が様々な奇声を上げる。

 技名はその場のノリで付けたが威力は語るべくも無い。

 因みに最後の直伝は姉からのモノであるとだけ追記しておこう。

 

 「うわぁ…痛そう…」

 流れる様なプロレス技にイリナが思わず声を溢す。

 「よ……幼女……ペ…ペロ……ペ……癒……ガクッ」

 人型故かかなりの大打撃を受けたアドヴェリア、最後まで九重に執着しながら意識を手放し気絶した。

 

 「堕ちたな。油断と慢心もあったんだろうが…まぁ相性も良かったわい、他の面子じゃこうは行かん」

 最悪関節技や絞め技で打倒を予定していたゲキがダグテクターの上から額の汗を拭う動作をする。

 ゲキの言う通り、アドヴェリアは目下の脅威がゲキのみとタカを括っていた事や、九重の方に気を取られ過ぎていた事が勝利に繋がったと言って良い。

 

 「倒したの?」

 「倒しはした。が息の根はある。彼奴の意識が無い内に確実にトドメを刺すべきじゃろうて。そんな訳でロスヴァイセ嬢!何かこう…派手な魔法で今の内にこの変態を跡形も無く消し飛ばしてくだされ」

 イリナの問いに応えつつ、ロスヴァイセに魔法を使ってアドヴェリアを完全に抹消するよう懇願するゲキ。科白だけ聴けばとても正義の味方とは思えないが、相手が相手である為、是非も無い。

 

 「えっ?……良いんでしょうか?」

 流石に抵抗があるのか白銀の戦乙女は何とも言い知れぬ顔で確認を取る。

 「構わん構わん!とにかく強力なのをなるべく社殿に被害無くぶっ放してくれ」

 ゲキはゲキで何食わぬ顔ならぬ何食わぬ口調で肯定するのでロスヴァイセは楚々としながら従ってしまう。

 彼女が手を翳し、宙に幾学模様やらルーンを刻まれた複数の魔方陣が展開され色取り取りの閃光が気絶したアドヴェリアに降り注ぐ。

 アドヴェリアを中心に複数回爆発が轟く。

 

 「やったか…?」

 そのあまりにも容赦無い攻撃を見届けたアーサーが思わず口にした言葉、その結果は爆煙の晴れた先にあった。

 

 「ぬぅ?!」

 

 ドレスの女が浮いている。アドヴェリアに意識は無い、しかし彼女のドレスのスカートに備えられた全ての翼が開き、ともすれば天使の様にも見えなくは無い。

 

 「ちぃっ!ならばワシがドリルクラッシュで…!」

 

 今度こそトドメを…と身構えるゲキ。意識無き深紅の貴婦人はその体の内側から衝撃を与えられ意識を取り戻す。

 

 「かふっ……お、の、れ…幼女に意識が…向きすぎた……だが幼女が居る以上…負ける訳には…いか…ない…」

 ドレスの6枚羽に引き摺られながら息も絶え絶えに九重へと這いずる様に空を進む。

 

 「ひぃっ…!」

 

 「凄まじい信念…って言って良いのかしら?でもそれなら」

 イリナがアドヴェリアの執念に戦々恐々しながらもとある手段を思い付いたのか九重に耳打ちをする。

 

 「う…本当にそれを言うのか?」

 「多分これが一番効果的なの!」

 嫌な顔する九重に対しイリナが頑として首を振る。

 一方、アドヴェリアから九重を隠すようにロスヴァイセは前に立ち塞がり、アドヴェリアが眉を潜め機嫌を悪化させる。

 

 「このクソババアァァア!!わたくしが幼女を視愛でる邪魔をするんじゃねぇぇぇえええ!その無駄にデカイ乳とか邪魔くせぇえんだよぉ!」

 

 「なっ!?私はまだ19ですよ!それなのにば、ば、ババアとか!それと胸の大きさは関係無いでしょう!!だいたい無駄だって言うなら貴女もでしょう!!?」

 当然アドヴェリアの罵声に顔を真っ赤にして反論するロスヴァイセ。

 そんな反論をドレスの変態は鼻で伏して笑う。

 

 「はんっ!わたくしは愛でる側だから幼女幼年美少年、美少女が求める母性の象徴を持つのは当然だろうが、愚か者め!」

 

 「……っ!!っっっ…」

 言い返したいが何を言っても相手側は自身に都合の良い形にしか返さない事が理解出来てしまう為、押し黙って歯噛みする他ない。

 そんな女の口論に幼女の声が割って入る。

 

 「あ、あの…」

 「何かな麗しき幼女!?」

 恐る恐るアドヴェリアに声を掛けた九重に秒速で反応する変態。その反応の速さに臆しながらも、イリナからの入れ知恵に従い言葉を紡ぐ。

 

 「……教えて欲しい事があるのじゃ」

 

 「ヒャッホーウ!何かな何かな?わたくしに答えられる事なら何でも教えてあげよう!その代わりわたくしのモノになってね?ね?」

 状況は戦闘中にも関わらず、最早アドヴェリアの頭の中には九重の頼み事に答える事しかない。

 

 そして何となくイリナがこの小さな少女に何を吹き込んだのか察したゲキとアーサーは状況を見守る事にする。

 

 「この…京の都を蝕みおかしくした……この世界とわたし達の世界を狂わせた元凶の在処を教えて欲しい…です…」

 

 「蝕む?世界を……ああ!アーテシャン星人とディメシア星人のベテルがやった事か。なぁに簡単ですわ、ベテルの次元交換は今回アーテシャン星人のキャンバスに紐付けされているのでアーテシャンが仕掛けた接収のモナドの彫刻を破壊すれば入れ替わった建物は元に戻り、キャンバスを形成する壁は消え、土地も元に戻りましょう。この街ならダーイモンジーだかの場所とメインターミナルステーションにあった筈」

 

 「な、ならば人は!わたしの様に巻き込まれた人はどうなるのじゃ?!」

 

 「う~ん可愛い!それは簡単です、死ぬか地球から離れない限り強制的に転移した場所に戻ります。まぁ貴女はわたくしが貰い受けるので帰れませんけれど」

 

 アドヴェリアがペラペラと機密と言って良いモノを喋る。

 

 (こいつアホじゃな)

 (まさかここまでとは…)

 (考えといてなんだけど、大丈夫かしら)

 (と言うか信用出来るんですか?)

 黙って聴いている4人がこそこそ会話を交える。

 

 

 「他に訊きたい事は?無ければさっさと訳にわたくしのモノになりなさい!一杯可愛いがってあげますわ♪」

 恍惚の顔を浮かべるアドヴェリア、まさに喜びに満ち溢れている。

 

 「い、今言った事は全て事実なのか?」

 

 「勿論!幼女に嘘は付きませんわ」

 

 

 「こんの……ど阿呆ぉぉぉおお!!」

 

 「プチョヘンザ!?」

 

 

 

 九重(を通してイリナが考えた質問)の言葉に素直に答えてゆくアドヴェリア、そんな彼女の無防備な後頭部に大型2輪車の一撃が入る。

 翼の防御も味方の攻撃は防げなかったか再び気絶した。

 

 「む!彼奴は!」

 

 「このド糞変態!余計な事をペラペラ喋り過ぎなんだよ!!ウン!てな訳で撤退!ウン!」

 アドヴェリアを器用にビークル形態で拘束、搭載しマフラーの排煙を吹かして消えた。

 

 

 

 

 

 「助…かった……」

 変態が消え、腰を抜かしてへたり込む九重。

 

 「お疲れ九重ちゃん、ごめんね恐い思いさせて」

 

 「しかしそれに見合う成果はあった。だろう?ゲキ」

 

 「うむ、しかし大文字山と京都駅か…山は兎も角、駅は灯台もと暗しじゃったか」

 

 「では早速?」

 

 「うむ。オブジェの形が分かればソレの情報をみんなに送って共有せんとな。そうすれば世界も元通りで壁も消える。後は首謀者の星人を倒せば終いじゃ!」

 

 期せずして……或いは必然的に重要な情報を得た一行、彼等はその情報を元に世界を元に戻す為に行動を開始する。

 

 

 

 

 

 続く

 


 

 次回予告(BGM:We are DAGWON)

 

 はっ!此処は!?幼女は何処?!

 

 ド糞アホ!お前さんの所為で敵に余計な情報が渡っちまったじゃないか!ウン!

 

 うるさい!戻れ貴様!幼女が待っているんだぞ!!?

 

 このアホ!もうんな訳あるか!見ろ!京都が元に戻りつつある。奴のオブジェが破壊されたんだよ、ウン。その幼女とやらももう元の世界だ!お前は担がれて騙されたんだよ!

 

 がーん!いやしかし、幼女に騙されるならそれも本望。くふふ

 

 駄目だコイツ、イカれてる。

 

 次回、"刀使ノ指令ダグオン"

 

 行動開始。世界を修復せよ!

 

 まぁアーテシャン星人はわたくしも嫌いだったし、別に良いか!

 

 そこだけは同意してやるチクショウ!

 





 金が貯まんないなぁ、早く容量が大きいのに機種変しなきゃいけないのに……私、貯金苦手なんですよね……。

 あー若返れたらもう少し執筆ペース速く出来る気がする。10歳若返りたい。

 ではまた次回
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